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第52話 年末といえばケーキです
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商業ギルドに寄って、いろいろと欲しいものが手に入りそうですね。
やはり年末となると、前世のクリスマスを思い出します。寒いのでなおさらです。
そうなると、どうしても食べたくなるのがケーキです。
卵がありませんので知っている作り方とは変わってしまいますが、チーズにバター、それとリンゴみたいな果物があればなんとかなるでしょう。
「えーっと、水と小麦粉とバターと……」
私は厨房で料理を早速始めます。
その傍らには、リンゴのような果物を切って水に浸したものが置かれています。
「何をなさってられるのですか、レチェ様」
洗濯物を済ませたイリスがやってきます。
「新しいお料理を作っているんです。年末ということでちょっと珍しいものが食べたくなりましてね」
「はあ、そうなんですか。レチェ様ってお料理が好きでらっしゃいますよね」
「ええ、まあ」
料理好きというところについては、あまり言い返せませんね。
公爵領の湖の近くにやって来てからというもの、イリスと私はほぼ半々ですからね。ギルバートが料理をするのは私たちがいない時くらいです。
「それにしても、今日は何をお作りになられるのですか。最近、なんだか変わったものを作るようになられましたけど」
ひょっこりとイリスが私の手元を覗き込みに来ます。
私の手元には、水と小麦粉の入ったボウルがあります。
「ケーキと呼ばれる甘味を作ろうと思います。ミルクがありますから、クリームとバターが作れますから」
「ケーキでございますか。王都では作ってらっしゃるお店があったような?」
「……それは初耳ですね」
なんと、バターサンドはなかったというのに、ケーキを出すお店があるのですか。
くうう、それは公爵令嬢としてあるまじき失態。この間行った時に見てくればよかったです。
「クリームバターサンドがないのにケーキがあるとは……。なんというちぐはぐな世界なのですか……」
がっくりしながらも私は小麦粉を混ぜるのをやめません。
作り始めてしまった以上、作り切らなければ私のプライドが許しませんからね。
さて、イリスは呆れたように掃除へと向かっていきます。その間も、私は一生懸命ケーキの土台を作っていきます。
リンゴのような果物から作った酵母も混ぜ合わせると、私は土魔法で作った型にケーキの元を流し込みます。
あらかじめ温めておいたオーブンの中に入れてしっかりと焼きます。
その間に、今度は周りに塗る生クリームや、飾りつけのフルーツを用意します。
イチゴは見つかりませんでしたからね。代わりに見つけた果物で代用ですよ。イチゴのショートケーキが食べたかったです。
ケーキが作れたのなら、パイも作れるでしょうかね。
なんだか余計なことを考えたくなってきますね。
っと、そうこうしているうちに焼き上がりましたね。どんな風になりましたでしょうか。
私は焼き上がったケーキをオーブンから取り出します。
串を刺してみてもくっついてきませんので、焼けてはいるようですね。
ただ、土魔法で作った型にがっちりとケーキがくっついているので取り出せません。困ったものです。
やむなく風魔法を使って……、って土魔法で作った型を土魔法で壊せばいいんですよ。こういう時は魔法って便利ですね。
「えいっ!」
バコッという変な音を立てながら、ケーキが入っている型が壊れます。
大きな破片に分かれた型を慎重にどけていくと、そこにはホカホカと湯気を上げるケーキのスポンジが姿を見せました。うん、いい感じの焼き上がりです。
それを風魔法で冷まして、上下に分割します。
下半分に生クリームを塗って、その上に切った果物を並べます。これだけでもおいしそうです。
上半分を乗せて、全体的にクリームを塗っていきます。最後にイチゴはないけれど代わりに用意した果物を乗せて完成です。
「うわぁ……、できました」
「何ができたんですか、レチェ様」
「ギルバート、いたのですか」
今度はギルバートが現れました。外で畑作業をしていたのではないのですかね。
「こうも寒いとやることはないし、逃げ込みたくもなりますよ」
ギルバートはこんなことを言っています。
どうやら外がかなり寒かったらしく、さすがにギルバートも音を上げてしまったようですね。
「おっ、なんか妙な物体があるな」
「妙とは何ですか。これでもおやつですよ」
「へえ、そうなんですね」
ギルバートはあまり興味がなさそうですね。この世界の男性は、お菓子には興味のない方が多いようですね。
「レチェ様、ケーキができたのですか?」
声が聞こえてきたので気になったらしく、イリスもやってきました。
「はい、この通りです。試食してみましょう」
「いいですね。それでは、お茶を淹れますね」
イリスがお茶を用意してくれます。
さて、初めてこの世界で作ったケーキです。二人の反応はどうでしょうかね。
「甘さはそこそこですね。少しぼそぼそしていますでしょうか」
「ああ、やっぱりですか。分量や混ぜ加減が分からずに作りましたから、そこは心配だったのです」
「俺には甘いなぁ。こういう時はお茶と合わせるといい感じになる」
「それは賛同しますね」
どうやら、初めて作ったケーキは少々不評のようでした。
う~ん、精進あるのみですね。
やはり年末となると、前世のクリスマスを思い出します。寒いのでなおさらです。
そうなると、どうしても食べたくなるのがケーキです。
卵がありませんので知っている作り方とは変わってしまいますが、チーズにバター、それとリンゴみたいな果物があればなんとかなるでしょう。
「えーっと、水と小麦粉とバターと……」
私は厨房で料理を早速始めます。
その傍らには、リンゴのような果物を切って水に浸したものが置かれています。
「何をなさってられるのですか、レチェ様」
洗濯物を済ませたイリスがやってきます。
「新しいお料理を作っているんです。年末ということでちょっと珍しいものが食べたくなりましてね」
「はあ、そうなんですか。レチェ様ってお料理が好きでらっしゃいますよね」
「ええ、まあ」
料理好きというところについては、あまり言い返せませんね。
公爵領の湖の近くにやって来てからというもの、イリスと私はほぼ半々ですからね。ギルバートが料理をするのは私たちがいない時くらいです。
「それにしても、今日は何をお作りになられるのですか。最近、なんだか変わったものを作るようになられましたけど」
ひょっこりとイリスが私の手元を覗き込みに来ます。
私の手元には、水と小麦粉の入ったボウルがあります。
「ケーキと呼ばれる甘味を作ろうと思います。ミルクがありますから、クリームとバターが作れますから」
「ケーキでございますか。王都では作ってらっしゃるお店があったような?」
「……それは初耳ですね」
なんと、バターサンドはなかったというのに、ケーキを出すお店があるのですか。
くうう、それは公爵令嬢としてあるまじき失態。この間行った時に見てくればよかったです。
「クリームバターサンドがないのにケーキがあるとは……。なんというちぐはぐな世界なのですか……」
がっくりしながらも私は小麦粉を混ぜるのをやめません。
作り始めてしまった以上、作り切らなければ私のプライドが許しませんからね。
さて、イリスは呆れたように掃除へと向かっていきます。その間も、私は一生懸命ケーキの土台を作っていきます。
リンゴのような果物から作った酵母も混ぜ合わせると、私は土魔法で作った型にケーキの元を流し込みます。
あらかじめ温めておいたオーブンの中に入れてしっかりと焼きます。
その間に、今度は周りに塗る生クリームや、飾りつけのフルーツを用意します。
イチゴは見つかりませんでしたからね。代わりに見つけた果物で代用ですよ。イチゴのショートケーキが食べたかったです。
ケーキが作れたのなら、パイも作れるでしょうかね。
なんだか余計なことを考えたくなってきますね。
っと、そうこうしているうちに焼き上がりましたね。どんな風になりましたでしょうか。
私は焼き上がったケーキをオーブンから取り出します。
串を刺してみてもくっついてきませんので、焼けてはいるようですね。
ただ、土魔法で作った型にがっちりとケーキがくっついているので取り出せません。困ったものです。
やむなく風魔法を使って……、って土魔法で作った型を土魔法で壊せばいいんですよ。こういう時は魔法って便利ですね。
「えいっ!」
バコッという変な音を立てながら、ケーキが入っている型が壊れます。
大きな破片に分かれた型を慎重にどけていくと、そこにはホカホカと湯気を上げるケーキのスポンジが姿を見せました。うん、いい感じの焼き上がりです。
それを風魔法で冷まして、上下に分割します。
下半分に生クリームを塗って、その上に切った果物を並べます。これだけでもおいしそうです。
上半分を乗せて、全体的にクリームを塗っていきます。最後にイチゴはないけれど代わりに用意した果物を乗せて完成です。
「うわぁ……、できました」
「何ができたんですか、レチェ様」
「ギルバート、いたのですか」
今度はギルバートが現れました。外で畑作業をしていたのではないのですかね。
「こうも寒いとやることはないし、逃げ込みたくもなりますよ」
ギルバートはこんなことを言っています。
どうやら外がかなり寒かったらしく、さすがにギルバートも音を上げてしまったようですね。
「おっ、なんか妙な物体があるな」
「妙とは何ですか。これでもおやつですよ」
「へえ、そうなんですね」
ギルバートはあまり興味がなさそうですね。この世界の男性は、お菓子には興味のない方が多いようですね。
「レチェ様、ケーキができたのですか?」
声が聞こえてきたので気になったらしく、イリスもやってきました。
「はい、この通りです。試食してみましょう」
「いいですね。それでは、お茶を淹れますね」
イリスがお茶を用意してくれます。
さて、初めてこの世界で作ったケーキです。二人の反応はどうでしょうかね。
「甘さはそこそこですね。少しぼそぼそしていますでしょうか」
「ああ、やっぱりですか。分量や混ぜ加減が分からずに作りましたから、そこは心配だったのです」
「俺には甘いなぁ。こういう時はお茶と合わせるといい感じになる」
「それは賛同しますね」
どうやら、初めて作ったケーキは少々不評のようでした。
う~ん、精進あるのみですね。
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