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第27話 魔族に関心を持たれる元魔王
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周辺に森が広がる暗い場所。その中で大きな声が突如として響き渡る。
「なんだと、聖女を殺し損ねただと?!」
「申し訳ございません。まだ幼いがゆえにたやすいかと思われたのですが、かなり強い力を持っていたようでございます」
「ぐぬぬぬぬぬ……、言い訳など聞きたくないわ!」
漆黒のローブをかぶった人物が報告を行い、目の前の屈強な魔族に怒られている。
どうやらこの漆黒のローブの人物が、魔物やフィシェギルたちにアリエスを襲わせた犯人のようである。なるほど、魔族であるのなら聖女の存在を許せないというのは、納得のいく話である。
「すぐに次の作戦を考えて実行しろ。これ以上聖女が増えては、我々魔族の復権など遠のく夢になってしまうからな」
「はっ、承知致しました。必ずや、我らの悲願、達成してみせましょう」
「いいか、もはやどの聖女でも構わぬ。一人たりとも生かしておくな!」
魔族の怒号が響く中、ローブの魔族はそそくさと去っていった。
一人となった魔族は、怒りが収まらないのか膝をトントンと指で叩き続けている。
「くそっ、まだ成長しきっていない未熟な聖女ではなかったのか?」
魔族はぶつくさと独り言が絶えないようだ。
「サンカサスという国に現れた聖女、前魔王の手によって育てられて屈強なるフィシェギルの猛者どもを蹴散らすとは……。このままでは我らはますます立場がなくなってしまうではないか。どうしたらいいというのだ」
苛立ちを隠せない魔族は、歯ぎしりが止まらない。凄まじい音が周囲に響き渡る。
「ようやく目の上のたんこぶだった前魔王の影響を取り除いて魔王の座に就いたというのにな……。くそっ」
まったく落ち着きを取り戻せない魔族は、戻ってきたフィシェギルたちを自分のところに連れてくるように言いつける。
どうやら、懲罰という名の八つ当たりをするつもりのようだ。
「役に立たずどもがどうなるのか、その身をもって思い知れ。ふはははははっ!」
魔族の笑い声が、周囲に響き渡るのだった。
その声がこだまする中、ローブの魔族は小さな小屋へとやって来る。
小屋の中へと入り、椅子に腰かけて落ち着こうとしているようである。
「やれやれ……。なにゆえ、あんなものが魔王となってしまったのだ。ああ、魔王様、なぜあなたはあんな奴まで助けてしまったのですか。おかげで、今の魔族は以前のようなまとまりを取り戻せずにいます」
首を左右に振ったかと思うと、天井を見上げて嘆きの言葉を漏らしていた。
どうやら、二人揃ってアリエスの前世にあたる魔王の部下だった者のようだ。
「あいつが真の魔王だというのなら、今頃はあなた様のような立派な居城を構えていられたはず。それがどうだ。いまだに拠点らしい拠点もなく、ただ威張り散らすのみ。あの頃の栄光には、程遠いのが現実だ……」
魔族は大きなため息を漏らしている。
「パイシズ様、お疲れ様でございます」
「おお、ライラか。フィシェギルたちからの報告はどうだった」
ローブの男のところに、ふわふわなウェーブのかかったピンク色の髪の毛の魔族の女性がやって来る。オールバックの渋い感じのパイシズと呼ばれた魔族とは真逆な感じである。
「それが……、一名ほど戻ってきていないのです」
「なに? 誰が戻ってきていない」
「サハーでございます」
「……あやつならそうするか。部下を逃すために自ら残ったのだろう。前魔王様の考えに賛同していた者だ、丁重に葬ってやってくれ」
「はっ。それでは戻る前に報告をお伝えします。あの無能な魔王の手に渡る前に話ができて幸いでした」
ライラはフィシェギルたちから聞いた話をパイシズに伝える。
「やはり、サハーのやつは自分を犠牲にして部下を逃がしたか。しかし、いくら聖女とはいえ一喝された程度で動けなくなるとは……。なんとも気になる聖女だな」
パイシズは考え込む。そして、ライラへと顔を上げると、ひとつ命令を出す。
「その聖女が拠点としている街に潜入して、ちょっと調べてもらえないか?」
「聖女のことをですか。畏まりました。では、サハーの処置を丁重に行った後、すぐさま向かおうと思います」
「うむ、頼むぞ。なんだかとても気になるのでな」
パイシズが声をかけると、ライラは丁寧に頭を下げると、霧のようになって姿を消してしまった。
「……まだ今は十歳のはず。神聖魔力が強かったとしても、使いこなすにはまだ未熟のはず」
再び天井を見上げるパイシズは、自分の感じ取った状況にフィシェギルたちの報告を重ねながら、いろいろと考え込んでいるようだ。
「私は魔物たちを使役しただけだからよく分からなかったが、不可解な点があるな。一般的な人間の兵士を退けられるだけの力を持つフィシェギルの集団を、一喝するだけで動けなくできるかという点が既におかしい。そんなことができるのは、……まさかな」
思わず何かが頭にちらついてしまったパイシズだが、すぐさまその考えを否定していた。
「相手は聖女だ。まさかそんなことがあるわけがない。……ただ、魔王様が亡くなられた時期を考えると、あながち否定できる話でもなさそうなのがな」
何かに思い至ったパイシズは、否定しながらもつい可能性を考えてしまって笑っていた。
だが、今の自分は思うように動けない。あの暴君である自称魔王の下でただ耐え忍ぶだけの日々が続く。
「ライラの調査をおとなしく待つとしよう。頃合いを見て、あやつに傷つけられたフィシェギルたちを労いに行かねば。まったく、参謀という立場がうらめしすぎる」
パイシズは、自分の置かれた状況にため息しか出なかった。かつての魔王を失った魔王軍の状況は、かなり悪いようである。
この状況の打開をできるかどうか、パイシズはライラの報告に期待を寄せるのだった。
「なんだと、聖女を殺し損ねただと?!」
「申し訳ございません。まだ幼いがゆえにたやすいかと思われたのですが、かなり強い力を持っていたようでございます」
「ぐぬぬぬぬぬ……、言い訳など聞きたくないわ!」
漆黒のローブをかぶった人物が報告を行い、目の前の屈強な魔族に怒られている。
どうやらこの漆黒のローブの人物が、魔物やフィシェギルたちにアリエスを襲わせた犯人のようである。なるほど、魔族であるのなら聖女の存在を許せないというのは、納得のいく話である。
「すぐに次の作戦を考えて実行しろ。これ以上聖女が増えては、我々魔族の復権など遠のく夢になってしまうからな」
「はっ、承知致しました。必ずや、我らの悲願、達成してみせましょう」
「いいか、もはやどの聖女でも構わぬ。一人たりとも生かしておくな!」
魔族の怒号が響く中、ローブの魔族はそそくさと去っていった。
一人となった魔族は、怒りが収まらないのか膝をトントンと指で叩き続けている。
「くそっ、まだ成長しきっていない未熟な聖女ではなかったのか?」
魔族はぶつくさと独り言が絶えないようだ。
「サンカサスという国に現れた聖女、前魔王の手によって育てられて屈強なるフィシェギルの猛者どもを蹴散らすとは……。このままでは我らはますます立場がなくなってしまうではないか。どうしたらいいというのだ」
苛立ちを隠せない魔族は、歯ぎしりが止まらない。凄まじい音が周囲に響き渡る。
「ようやく目の上のたんこぶだった前魔王の影響を取り除いて魔王の座に就いたというのにな……。くそっ」
まったく落ち着きを取り戻せない魔族は、戻ってきたフィシェギルたちを自分のところに連れてくるように言いつける。
どうやら、懲罰という名の八つ当たりをするつもりのようだ。
「役に立たずどもがどうなるのか、その身をもって思い知れ。ふはははははっ!」
魔族の笑い声が、周囲に響き渡るのだった。
その声がこだまする中、ローブの魔族は小さな小屋へとやって来る。
小屋の中へと入り、椅子に腰かけて落ち着こうとしているようである。
「やれやれ……。なにゆえ、あんなものが魔王となってしまったのだ。ああ、魔王様、なぜあなたはあんな奴まで助けてしまったのですか。おかげで、今の魔族は以前のようなまとまりを取り戻せずにいます」
首を左右に振ったかと思うと、天井を見上げて嘆きの言葉を漏らしていた。
どうやら、二人揃ってアリエスの前世にあたる魔王の部下だった者のようだ。
「あいつが真の魔王だというのなら、今頃はあなた様のような立派な居城を構えていられたはず。それがどうだ。いまだに拠点らしい拠点もなく、ただ威張り散らすのみ。あの頃の栄光には、程遠いのが現実だ……」
魔族は大きなため息を漏らしている。
「パイシズ様、お疲れ様でございます」
「おお、ライラか。フィシェギルたちからの報告はどうだった」
ローブの男のところに、ふわふわなウェーブのかかったピンク色の髪の毛の魔族の女性がやって来る。オールバックの渋い感じのパイシズと呼ばれた魔族とは真逆な感じである。
「それが……、一名ほど戻ってきていないのです」
「なに? 誰が戻ってきていない」
「サハーでございます」
「……あやつならそうするか。部下を逃すために自ら残ったのだろう。前魔王様の考えに賛同していた者だ、丁重に葬ってやってくれ」
「はっ。それでは戻る前に報告をお伝えします。あの無能な魔王の手に渡る前に話ができて幸いでした」
ライラはフィシェギルたちから聞いた話をパイシズに伝える。
「やはり、サハーのやつは自分を犠牲にして部下を逃がしたか。しかし、いくら聖女とはいえ一喝された程度で動けなくなるとは……。なんとも気になる聖女だな」
パイシズは考え込む。そして、ライラへと顔を上げると、ひとつ命令を出す。
「その聖女が拠点としている街に潜入して、ちょっと調べてもらえないか?」
「聖女のことをですか。畏まりました。では、サハーの処置を丁重に行った後、すぐさま向かおうと思います」
「うむ、頼むぞ。なんだかとても気になるのでな」
パイシズが声をかけると、ライラは丁寧に頭を下げると、霧のようになって姿を消してしまった。
「……まだ今は十歳のはず。神聖魔力が強かったとしても、使いこなすにはまだ未熟のはず」
再び天井を見上げるパイシズは、自分の感じ取った状況にフィシェギルたちの報告を重ねながら、いろいろと考え込んでいるようだ。
「私は魔物たちを使役しただけだからよく分からなかったが、不可解な点があるな。一般的な人間の兵士を退けられるだけの力を持つフィシェギルの集団を、一喝するだけで動けなくできるかという点が既におかしい。そんなことができるのは、……まさかな」
思わず何かが頭にちらついてしまったパイシズだが、すぐさまその考えを否定していた。
「相手は聖女だ。まさかそんなことがあるわけがない。……ただ、魔王様が亡くなられた時期を考えると、あながち否定できる話でもなさそうなのがな」
何かに思い至ったパイシズは、否定しながらもつい可能性を考えてしまって笑っていた。
だが、今の自分は思うように動けない。あの暴君である自称魔王の下でただ耐え忍ぶだけの日々が続く。
「ライラの調査をおとなしく待つとしよう。頃合いを見て、あやつに傷つけられたフィシェギルたちを労いに行かねば。まったく、参謀という立場がうらめしすぎる」
パイシズは、自分の置かれた状況にため息しか出なかった。かつての魔王を失った魔王軍の状況は、かなり悪いようである。
この状況の打開をできるかどうか、パイシズはライラの報告に期待を寄せるのだった。
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