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第60話 安全を訴える元魔王
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アリエス、カプリナ、サハーの三人とハデキヤの聖女オーロラが向かい合っている。
その中で、オーロラが魔族を連れていることを指摘してきたのだ。これには思わずアリエスたちは目を丸くして顔を見合っている。
「オーロラ様。ちなみにお聞きしますが、魔族というのはどなたを指して仰ってますでしょうか」
おそるおそる、アリエスはオーロラに確認を取ってみる。
オーロラの聖女としての能力を確かめてみようとしているのである。
「この鎧でガッチガチに固めている人ですね。それと、聖騎士の方のマント、それも魔族ですよね?」
「まぁ、そちらも分かりますか?」
オーロラの指摘に、アリエスは驚いている。
これだけきっちり言い当てられてしまえば、アリエスたちは隠す必要はない。
「サハー、兜を取りなさい」
「は、はあ。分かりました」
サハーが兜を取ると、そこにはフィシェギルの特徴的な魚のような頭部が出てくる。
「これでよろしいでしょうか」
「ええ、大丈夫です。スラリー、あなたも姿を見せなさい」
「わかった」
カプリナが身に着けているマントから声がする。言い当てたとはいえ、実際に喋っているのを聞いたオーロラが驚いている。
次の瞬間、マントが変形していき、床にスライムが現れる。
「す、スライム?!」
さすがにオーロラは引いていた。布型の魔物だと思っていたらスライムだったからだ。
スライムは音もなく忍び寄ってきて、全身に覆いかぶさり溶かしてくる捕食者だ。
そんな危険な魔物だとは思ってもなかったので、オーロラが驚いているというわけだ。
「スライムが喋るのですか?」
「すらりー、しゃべれる。まおうさまの、ぶか。まおうさま、すらりー、きたえてくれた。ふつうのすらいむ、ちがう。すらりー、ありえすさまの、やくにたつ」
体をぽよんぽよんと揺らしながら、スラリーがオーロラの問い掛けに答えている。
「せいじょ、みかた。すらりー、まもる。でも、いま、かぷりな、まもる」
今度は飛び跳ね始めるスラリー。どうやら、どのくらい本気かということを見せつけているようだ。
「言葉だけでは信じられませんね。私が触ってみても大丈夫でしょうか。試してみましょう」
「スラリー、平気ですよね?」
「へいき、ためして」
スラリーは自信満々に言うので、オーロラはおそるおそる手を近付けてみている。
アリエスは心配そうにその様子を眺めている。自分が触っても大丈夫だったのは確認済みではあるものの、他の聖女が触って大丈夫なのかが分からないからだ。
オーロラが触ってみるものの、ぷにぷにと揺れるばかりで何の反応も起きない。
「あら、私が触ってもなんともありませんね。抱きかかえてみてもいいでしょうか」
「いいよ」
スラリーは即答だった。
オーロラがスラリーを抱きかかえると、これまたなんとも不思議な光景である。オーロラの頭の倍近い大きさのあるスライムが、軽々と持ち上げられている。
普通、スライムは聖女に触れられると溶けてしまうものだ。しかし、スラリーはまったく問題はない。スラリーは魔物ではなく魔族だからということなのだろうか。
なんにしても、聖女に抱えられるスライムとは見られた光景ではない。
「なんとも不思議な感触ですね。これがスライムなのですか」
「くすぐったい。やっぱり、ありえすさまが、いい」
スラリーは不快というわけではないけれど、どうもオーロラとは魔力の反発があるようだった。やはり、魔族と聖女では相性が良くないようだった。
スラリーの感触を楽しんでいたオーロラは、ちょっと残念そうにスラリーを放す。
解放されたスラリーは、カプリナの肩に乗ると再びマントへと擬態していた。
「そちらの魔族の方も、危険ではないのですね」
「もちろんですとも。私はアリエス様に命を救って頂きましたからね。今の魔王にはそもそも忠義がございません。ですので、私はアリエス様の護衛として今は過ごしているのです」
ぴしょっと直立を決めているサハーは、堂々とアリエスの護衛だと言ってのけている。
オーロラが確認するようにアリエスを見ると、頬笑みを浮かべてこくりと頷いている。
「分かりました。お二人のことは信じましょう。そのままの姿でも歩けるようには配慮致しますが、全員がきちんと守ってくれるとは思えませんね」
「あら、聖女の命令は国王陛下の命令同様に順守されるべきではありませんか?」
アリエスが確認をすると、オーロラは首を横に振っている。
「見ていないところでは悪いことをする人というものはいるものです。そういったところまで強制力を働かせられないというのは、もどかしいものですよ」
オーロラは現状を憂いているようだった。
アリエスはこの話を聞いて、聖女たちもかつての自分と同じように苦労をしているのだなと、気付かされていた。
「ひとまず、スラリーさんとサハーさんの安全は確認させて頂きました。それでは、お話を始めましょうか」
先程までと打って変わって、オーロラはにこやかな表情で手を叩いている。懸念がなくなって喜んでいるようだ。
オーロラは退出させた使用人たちを呼び戻し、飲み物とお菓子を改めて用意させる。
話の通じない相手ではないと確信したアリエスは、ちょっと胸を撫で下ろしたのだった。
その中で、オーロラが魔族を連れていることを指摘してきたのだ。これには思わずアリエスたちは目を丸くして顔を見合っている。
「オーロラ様。ちなみにお聞きしますが、魔族というのはどなたを指して仰ってますでしょうか」
おそるおそる、アリエスはオーロラに確認を取ってみる。
オーロラの聖女としての能力を確かめてみようとしているのである。
「この鎧でガッチガチに固めている人ですね。それと、聖騎士の方のマント、それも魔族ですよね?」
「まぁ、そちらも分かりますか?」
オーロラの指摘に、アリエスは驚いている。
これだけきっちり言い当てられてしまえば、アリエスたちは隠す必要はない。
「サハー、兜を取りなさい」
「は、はあ。分かりました」
サハーが兜を取ると、そこにはフィシェギルの特徴的な魚のような頭部が出てくる。
「これでよろしいでしょうか」
「ええ、大丈夫です。スラリー、あなたも姿を見せなさい」
「わかった」
カプリナが身に着けているマントから声がする。言い当てたとはいえ、実際に喋っているのを聞いたオーロラが驚いている。
次の瞬間、マントが変形していき、床にスライムが現れる。
「す、スライム?!」
さすがにオーロラは引いていた。布型の魔物だと思っていたらスライムだったからだ。
スライムは音もなく忍び寄ってきて、全身に覆いかぶさり溶かしてくる捕食者だ。
そんな危険な魔物だとは思ってもなかったので、オーロラが驚いているというわけだ。
「スライムが喋るのですか?」
「すらりー、しゃべれる。まおうさまの、ぶか。まおうさま、すらりー、きたえてくれた。ふつうのすらいむ、ちがう。すらりー、ありえすさまの、やくにたつ」
体をぽよんぽよんと揺らしながら、スラリーがオーロラの問い掛けに答えている。
「せいじょ、みかた。すらりー、まもる。でも、いま、かぷりな、まもる」
今度は飛び跳ね始めるスラリー。どうやら、どのくらい本気かということを見せつけているようだ。
「言葉だけでは信じられませんね。私が触ってみても大丈夫でしょうか。試してみましょう」
「スラリー、平気ですよね?」
「へいき、ためして」
スラリーは自信満々に言うので、オーロラはおそるおそる手を近付けてみている。
アリエスは心配そうにその様子を眺めている。自分が触っても大丈夫だったのは確認済みではあるものの、他の聖女が触って大丈夫なのかが分からないからだ。
オーロラが触ってみるものの、ぷにぷにと揺れるばかりで何の反応も起きない。
「あら、私が触ってもなんともありませんね。抱きかかえてみてもいいでしょうか」
「いいよ」
スラリーは即答だった。
オーロラがスラリーを抱きかかえると、これまたなんとも不思議な光景である。オーロラの頭の倍近い大きさのあるスライムが、軽々と持ち上げられている。
普通、スライムは聖女に触れられると溶けてしまうものだ。しかし、スラリーはまったく問題はない。スラリーは魔物ではなく魔族だからということなのだろうか。
なんにしても、聖女に抱えられるスライムとは見られた光景ではない。
「なんとも不思議な感触ですね。これがスライムなのですか」
「くすぐったい。やっぱり、ありえすさまが、いい」
スラリーは不快というわけではないけれど、どうもオーロラとは魔力の反発があるようだった。やはり、魔族と聖女では相性が良くないようだった。
スラリーの感触を楽しんでいたオーロラは、ちょっと残念そうにスラリーを放す。
解放されたスラリーは、カプリナの肩に乗ると再びマントへと擬態していた。
「そちらの魔族の方も、危険ではないのですね」
「もちろんですとも。私はアリエス様に命を救って頂きましたからね。今の魔王にはそもそも忠義がございません。ですので、私はアリエス様の護衛として今は過ごしているのです」
ぴしょっと直立を決めているサハーは、堂々とアリエスの護衛だと言ってのけている。
オーロラが確認するようにアリエスを見ると、頬笑みを浮かべてこくりと頷いている。
「分かりました。お二人のことは信じましょう。そのままの姿でも歩けるようには配慮致しますが、全員がきちんと守ってくれるとは思えませんね」
「あら、聖女の命令は国王陛下の命令同様に順守されるべきではありませんか?」
アリエスが確認をすると、オーロラは首を横に振っている。
「見ていないところでは悪いことをする人というものはいるものです。そういったところまで強制力を働かせられないというのは、もどかしいものですよ」
オーロラは現状を憂いているようだった。
アリエスはこの話を聞いて、聖女たちもかつての自分と同じように苦労をしているのだなと、気付かされていた。
「ひとまず、スラリーさんとサハーさんの安全は確認させて頂きました。それでは、お話を始めましょうか」
先程までと打って変わって、オーロラはにこやかな表情で手を叩いている。懸念がなくなって喜んでいるようだ。
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