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第117話 魔王 対 元魔王
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「私は、あなた方を統べていた魔王の生まれ変わりなのですよ」
アリエスはラースたちの目の前でしっかりと言いきっていた。
(ふん。俺がお前たちを拾って育ててやったのだ。知らぬわけがない。それこそ末端の一人に至るまで。自らが目をつけた魔族のことはすべて把握しておるわ)
自信満々な表情でラースたちを見るアリエス。
アリエスの言葉に、ラースは顔を手で押さえながら、大きく体を震わせている。
「……ありえん。そんなわけがありえるわけがない!」
ラースは大きな声で叫んでいる。
その大声は周囲の空気をびりびりと振動させていて、アリエスの背中の方向にいる魔族たちを震え上がらせていた。
「魔族の頂点である魔王が、聖女に生まれ変わるだと? はっ、バカも休み休み言え」
ラースは怒りに満ちた血走った目をアリエスに向けている。信じられないというよりは、ふざけたことを言うなという雰囲気である。
怒りに体を震わせるラースの姿を見ても、アリエスはまったく怯む様子はなかった。むしろ、望むところといわんばかりに笑っている。
「その目……、気に食わねえ! 確かにそうだ。あの腰抜け魔王の目と同じだ!」
ラースは震えながら、言ってはならない言葉を言ってしまう。
「なんですって?」
その場の空気が一変する。
場に満ちていく神聖力だが、その力は寒気がするくらいに冷たいものだった。
「こ、怖い……」
アリエスの背中にいる魔族たちが震え上がっている。そもそもラースの威圧でも震えているというのに、聖女の神聖力にもあてられている。生きた心地がしないのも無理もない。
「大丈夫ですよ。あなた方は私が助けます。安心してペガサスと一緒に私たちの戦いを見ていて下さい」
魔族たちに振り返り、優しく声をかけるアリエス。
そのどこまでも曇りのない瞳に、魔族たちはぽつりと呟いてしまう。
「この瞳は、確かに魔王様だ……」
魔族たちのつぶやきが聞こえたアリエスは、にこりと微笑んでラース再び対峙する。
「よそ見をしているとは、間抜けなやつだなぁっ!」
だが、その時にはすでにラースが目の前まで迫って来ていた。魔族と話をしている間に、間合いを詰めていたらしい。
それでもアリエスはまったく慌てない。
「ハイシールド!」
魔法を使ってラースの攻撃を弾く。
「ガードインパクト!」
おまけに攻撃の威力をそのまま跳ね返す。
転生して聖女となったアリエスは、驚くほどに人を傷つける魔法を持っていない。
だが、このガードインパクトだけは例外だ。
自分や大切なものを守るために、敵の力をそのままお返ししてやるのだ。しかも、属性をなくして跳ね返すので、単純に耐久力がなければ自分の力で大きく傷ついてしまう。
「ぐわああっ!!」
ラースが吹き飛んでいく。
そう、相手の力が大きくなればなるほど、そのまま相手への有効な反撃となるのである。
しかも、ラースは元々がオーガであるために、それほど頭がよろしくなかった。さっきも同じように弾き返されていたというのに、まったく学習しない魔族なのである。
「すごい、ラース様があんなにも簡単に吹き飛んでいく」
「俺たちを抑え込んできた力で、自らが傷ついているんだ。ははっ、ざまーみろって感じだぜ」
魔族たちはラースの無様な姿を、とても愉快そうに眺めているようである。
あざ笑っている魔族たちの姿に、アリエスはあまりいい顔をしていない。
「あなたたち、ラースを恨む気持ちは分かりますが、それはあまりよろしくありませんね。私は、魔王軍をひとつの家族と思って大切に育ててきました。だから、そんなことを言われると、悲しくなってしまいますね」
「ま、魔王様……」
アリエスが泣きそうな表情を見せると、魔族たちがものすごく戸惑っていた。
見た目は聖女である少女なのに、その姿が自分たちの知る以前仕えていた魔王の姿に重なってしまったことも、戸惑っている原因である。
思わず目を擦ってしまう。
アリエスは再びラースを見る。
「あなたの野心を見抜けなかったのは、ひとえに私の落ち度です。ですので、非常に心苦しいのではありますが……、私があなたの野望をここで終わらせてあげましょう!」
アリエスは祈りを捧げるような格好で、覚悟を決めて宣言している。
吹き飛んでいったラースも再び起き上がり、アリエスをじっと睨みつけている。
「気に入らねえ……。聖女も魔王もすべてがな! お前を殺し、俺様が、すべてを統べる大魔王として降臨するのだ!」
大声で叫ぶと、ラースはアリエスを叩きつぶすべく、再び棍棒を振り上げて突進をしてくる。
「何度来ようと無駄です。私の魔法で、あなたの力をすべてそのままお返ししてあげますよ!」
「やれるものなら、やってみやがれぇっ!」
ラースは渾身の力を籠め、さらには飛び上がってまでアリエスに強い殺意を向けている。
「ハイシールド!」
アリエスは攻撃に備えて、再び強力な防御魔法を展開する。
「そんなちんけな防御、いつまでも俺様に通じると思うなぁっ!」
勢いをつけたラースの一撃が、アリエスの防御魔法に叩きつけられる。
バリバリというものすごい音を立てて力が拮抗している。
少し耐えていたアリエスが、いざ弾き返そうとした時だった。
パキッ……。
なんと、防御魔法に亀裂が入ったのだった。
アリエスはラースたちの目の前でしっかりと言いきっていた。
(ふん。俺がお前たちを拾って育ててやったのだ。知らぬわけがない。それこそ末端の一人に至るまで。自らが目をつけた魔族のことはすべて把握しておるわ)
自信満々な表情でラースたちを見るアリエス。
アリエスの言葉に、ラースは顔を手で押さえながら、大きく体を震わせている。
「……ありえん。そんなわけがありえるわけがない!」
ラースは大きな声で叫んでいる。
その大声は周囲の空気をびりびりと振動させていて、アリエスの背中の方向にいる魔族たちを震え上がらせていた。
「魔族の頂点である魔王が、聖女に生まれ変わるだと? はっ、バカも休み休み言え」
ラースは怒りに満ちた血走った目をアリエスに向けている。信じられないというよりは、ふざけたことを言うなという雰囲気である。
怒りに体を震わせるラースの姿を見ても、アリエスはまったく怯む様子はなかった。むしろ、望むところといわんばかりに笑っている。
「その目……、気に食わねえ! 確かにそうだ。あの腰抜け魔王の目と同じだ!」
ラースは震えながら、言ってはならない言葉を言ってしまう。
「なんですって?」
その場の空気が一変する。
場に満ちていく神聖力だが、その力は寒気がするくらいに冷たいものだった。
「こ、怖い……」
アリエスの背中にいる魔族たちが震え上がっている。そもそもラースの威圧でも震えているというのに、聖女の神聖力にもあてられている。生きた心地がしないのも無理もない。
「大丈夫ですよ。あなた方は私が助けます。安心してペガサスと一緒に私たちの戦いを見ていて下さい」
魔族たちに振り返り、優しく声をかけるアリエス。
そのどこまでも曇りのない瞳に、魔族たちはぽつりと呟いてしまう。
「この瞳は、確かに魔王様だ……」
魔族たちのつぶやきが聞こえたアリエスは、にこりと微笑んでラース再び対峙する。
「よそ見をしているとは、間抜けなやつだなぁっ!」
だが、その時にはすでにラースが目の前まで迫って来ていた。魔族と話をしている間に、間合いを詰めていたらしい。
それでもアリエスはまったく慌てない。
「ハイシールド!」
魔法を使ってラースの攻撃を弾く。
「ガードインパクト!」
おまけに攻撃の威力をそのまま跳ね返す。
転生して聖女となったアリエスは、驚くほどに人を傷つける魔法を持っていない。
だが、このガードインパクトだけは例外だ。
自分や大切なものを守るために、敵の力をそのままお返ししてやるのだ。しかも、属性をなくして跳ね返すので、単純に耐久力がなければ自分の力で大きく傷ついてしまう。
「ぐわああっ!!」
ラースが吹き飛んでいく。
そう、相手の力が大きくなればなるほど、そのまま相手への有効な反撃となるのである。
しかも、ラースは元々がオーガであるために、それほど頭がよろしくなかった。さっきも同じように弾き返されていたというのに、まったく学習しない魔族なのである。
「すごい、ラース様があんなにも簡単に吹き飛んでいく」
「俺たちを抑え込んできた力で、自らが傷ついているんだ。ははっ、ざまーみろって感じだぜ」
魔族たちはラースの無様な姿を、とても愉快そうに眺めているようである。
あざ笑っている魔族たちの姿に、アリエスはあまりいい顔をしていない。
「あなたたち、ラースを恨む気持ちは分かりますが、それはあまりよろしくありませんね。私は、魔王軍をひとつの家族と思って大切に育ててきました。だから、そんなことを言われると、悲しくなってしまいますね」
「ま、魔王様……」
アリエスが泣きそうな表情を見せると、魔族たちがものすごく戸惑っていた。
見た目は聖女である少女なのに、その姿が自分たちの知る以前仕えていた魔王の姿に重なってしまったことも、戸惑っている原因である。
思わず目を擦ってしまう。
アリエスは再びラースを見る。
「あなたの野心を見抜けなかったのは、ひとえに私の落ち度です。ですので、非常に心苦しいのではありますが……、私があなたの野望をここで終わらせてあげましょう!」
アリエスは祈りを捧げるような格好で、覚悟を決めて宣言している。
吹き飛んでいったラースも再び起き上がり、アリエスをじっと睨みつけている。
「気に入らねえ……。聖女も魔王もすべてがな! お前を殺し、俺様が、すべてを統べる大魔王として降臨するのだ!」
大声で叫ぶと、ラースはアリエスを叩きつぶすべく、再び棍棒を振り上げて突進をしてくる。
「何度来ようと無駄です。私の魔法で、あなたの力をすべてそのままお返ししてあげますよ!」
「やれるものなら、やってみやがれぇっ!」
ラースは渾身の力を籠め、さらには飛び上がってまでアリエスに強い殺意を向けている。
「ハイシールド!」
アリエスは攻撃に備えて、再び強力な防御魔法を展開する。
「そんなちんけな防御、いつまでも俺様に通じると思うなぁっ!」
勢いをつけたラースの一撃が、アリエスの防御魔法に叩きつけられる。
バリバリというものすごい音を立てて力が拮抗している。
少し耐えていたアリエスが、いざ弾き返そうとした時だった。
パキッ……。
なんと、防御魔法に亀裂が入ったのだった。
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