5 / 31
第5話 やっとの一休み
しおりを挟む
『これ返すね』
そう言ってさっきまで使ってた剣を再び渡して来た棚見、いやお前の方が適任だろう。
そう思って抗議の睨みを向けるも、口笛を吹くだけでさっさと道を歩き始めた。
一体奴の思考回路はどうなっているのか? 今日だけでそんな事を数回考えたが、答えはいつも考えるだけ無駄という結論だった。
とっくに答えが出ているのについ考え込んでしまうのは、こいつに振り回されてる証拠だろうか?
正直嫌になるな。
手に切った剣を見る。ボロボロだった刀身は今は新品同様。
これを俺が成したというのだから、いよいよもってファンタジーの実感が強く沸き上がってくる。
(こうなると俺の能力とやら物を新品に戻すってことか? いやそう決めつけるのはさすがに早いか)
こういう場合、転移物の小説だと……。
「……ステータス。ステータスオープン……」
聞こえないようにボソッと呟く。しかし、何も起こらない。
空中にゲームのようなステータス画面が表示されて、自分のスキルやら職業やらを閲覧出来たりするんじゃないかと思ったが……あてが外れてしまった。
俺だけが出来る特殊スキルで成り上がり! といきたかったが。
出来ないものにこだわっても仕方ない
俺たちをここに呼び寄せたあの女、やはり相当性格がねじ曲がってるんじゃないか?
せめて何が出来るかくらい教えろっての。
「見て見て! 森を抜けたぜ香月くん! はぁ綺麗だなぁ……」
しばらく歩いてやっと森の出口を通り抜けた。
夕陽も降りた森の中は薄暗く、正直あの状況で化け物に襲われたらひとたまりもなかったが、結局あの猪以来何も出会わなったな。
はしゃぐ棚見じゃないが、森を抜けた草原の夜空はきらびやかだった。
満天の星空。
言葉にするとなんてことはないが、都会育ちの俺にはテレビやネットの中の産物でしかなかったそれが、まさに頭上に輝いてる。
「イエーイ! やっぱラッキーじゃんオレたち! 明日もきっといい事あるって」
何がそんなに楽しいのか、天に手を掲げて一人でやいやい騒いでいた。
(調子のいい奴……)
でもこの光景は素直に興奮出来た。
それにもう一つ、幸運な出来事があったのだ。
「見てよ、向こうの方ピカピカしてるっしょ! あれ町だよ町! あ、でももしかしたら村かもね」
そう、森の出口からそう遠くない場所に町らしきものを見つけたのだ。
「町……か」
目的の一つを達成出来そうになって、感慨深いものを感じる。
とは言ってももう夜だ。町の散策だなんだっていうのは今日はもう諦めた方がいいだろう。
「よーし競争だドーン!!」
「……は?」
突拍子もないことを言い放ちながら急に走り出した棚見。
これだから陽キャは意味がわかんないんだ!
「くっ、くそ。こっちは剣持ってんだぞ……!」
別に張り合うつもりはないが素直にムカつく。
「ホラホラ、置いてくよー!」
散歩時の犬のようなはしゃぎっぷりで、俺を置いて奴は走り去っていく。
その後ろ悪態をつきながら俺も走っていくのだった。
◇◇◇
「着いたね~町。ま、入り口だけどさ」
「……はぁっ……! ひぃ……ぁあ……ぅ……!」
結局距離を開けられながらそれでもたどり着いた時、俺の息は上がっていた。
体育の授業でもここまで全身で呼吸するような感覚に陥った事は無いのに。
授業では疲れきれない程度に適当に手を抜いて走ったりしていたから、この感覚は本当に久しぶりだった。
こっちは剣を抜き身で持って走って来たんだぞ! 運動能力だってこいつの方が上なのに……!
抗議の目線を向ける。そんな俺に奴は肩に手を置いてきた。
「まぁまぁ、いい運動になったと思ってさ。ほら、今日はベッドでぐっすり眠ろうよ。せっかく町まで来たんだし。オレってつい最近までバイトとかしてたからちょっとしたお金持ちなんだよね~」
そう言って懐にしまってあった財布を取り出して見せて来た。
まあ、俺もはっきり言って疲れたしここは好意に甘えて……あっ。
「金……」
「ん? お金がどうかしたん?」
「日本円なんて、ここで役に立たないんじゃ……」
「…………あっ」
この時ばかりは俺もこいつも同じ心情だっただろうよ。
「ああ!!? オレたちってもしかしなくても無一文じゃん! ……どうすっぺ」
初めて見るこいつの困り顔。こんな奴でもこういう顔するんだなとか考えても仕方がないわけで。
これでじゃベッドどころか路地裏で一夜を明かすことになりかねん。どうしたものか……。
困り果てて何かないかと周りを見る。
……すると、手に持ってる剣に目がいき……。
◇◇◇
「ありがとうございましたー」
背中に店主の声を浴びながら店を出た俺達。
武器屋と思われる看板の店をくぐり抜けて、今日手に入れたばかりの剣を売っぱらう。
多少名残惜しいが、これも仕方ない。
一応俺の能力を使ってもう一度新品同様の状態で店主に見せた。
どうやらこの剣はこの辺りでは取り扱ってないものらしく、それなりにいい値段で売れた……と思う。
こっちの金の相場が今一つわからないから何とも言えないが。
「とりあえず今日のホテル代になったかな? どう思う?」
「……こういう町じゃホテルじゃなくて宿かもしれん」
傍から聞いたらどうでもいいようなやり取りをしながら、武器屋の店主についでに聞いた宿泊所の場所まで向かっていた。
「剣、売っちゃって良かったのかな?」
「金が無いんじゃ仕方ない」
せめて少しばかりの資金ぐらいおいて消えてくれたらよかったのに、あの妖しい連中め。
残った連中もきっと苦労することだろうな。
いや、もしかしたら売り物になるような道具を作れる能力を持った人間がいるかもしれない。
別に心配するわけじゃないが、同郷の人間が野垂れ死にしたりするんじゃないかと考えると思うところがある。
でもあの人数だったらいろんな能力で森も難なく抜けてこれるだろう、きっと。
ここいらで特に安い宿の扉を潜り抜ける。
「いらっしゃいませ」
若い女の店員の声が聞こえてきた。
入り口から入ってすぐのカウンターに立つ彼女に今日の宿泊の話をつければいいんだろうか。
「……あ、あの」
「お姉さん、今日二人で泊りたいんだけどぉオレ達ってあんまりお金持ってないんだよね。一番安い部屋って空いてる感じ?」
俺が言い終わる前に棚見が宿の状況について話を聞いていた。
さすがに口を開くのが早い男だ。
店員が料金の書かれた案内表を見せながら説明を始める。
「一番お安い部屋ですと一部屋開いていますが、ベッドが一つしかありません。申し訳ありませんがベッドが二つ以上でお安い部屋ですともう埋まっております。どうなさいますか?」
「どうする? 同じベッドで寝ちゃう?」
いや冗談じゃない、何が悲しくて野郎二人で寝なくちゃならないんだ。俺は全力で首を振った。
「ああ……。じゃあ床に布団とかって出来る?」
「可能です。その場合お部屋代も変わりませんが、本当に床に敷いてよろしいので?」
「まあ汚れてなかったらいいんじゃない? 野宿よりはマシだしね」
「承りました。では後程お布団の方はお部屋の方にお持ち致しますので、……こちらの鍵を持ってお先にお部屋へと上がられて下さい」
カウンターの下から鍵を取り出した女性店員は、その白い手に持った鍵をやさしく俺の手へと渡してきた。
「……」
「どったん? なんか難しい顔しちゃってさ」
「あ、いや。……あ、ありがとうございます」
受け取った鍵の部屋番号を確認して、部屋のある二階へと階段を上っていった。
……いやな記憶というのは不意の思い出すもんだな。
つまらない感傷に気分を落としたが、だからといってそのことで足を止めるわけでもなく、鍵と同じ番号が書かれたプレートのある部屋へとたどり着いた。
そう言ってさっきまで使ってた剣を再び渡して来た棚見、いやお前の方が適任だろう。
そう思って抗議の睨みを向けるも、口笛を吹くだけでさっさと道を歩き始めた。
一体奴の思考回路はどうなっているのか? 今日だけでそんな事を数回考えたが、答えはいつも考えるだけ無駄という結論だった。
とっくに答えが出ているのについ考え込んでしまうのは、こいつに振り回されてる証拠だろうか?
正直嫌になるな。
手に切った剣を見る。ボロボロだった刀身は今は新品同様。
これを俺が成したというのだから、いよいよもってファンタジーの実感が強く沸き上がってくる。
(こうなると俺の能力とやら物を新品に戻すってことか? いやそう決めつけるのはさすがに早いか)
こういう場合、転移物の小説だと……。
「……ステータス。ステータスオープン……」
聞こえないようにボソッと呟く。しかし、何も起こらない。
空中にゲームのようなステータス画面が表示されて、自分のスキルやら職業やらを閲覧出来たりするんじゃないかと思ったが……あてが外れてしまった。
俺だけが出来る特殊スキルで成り上がり! といきたかったが。
出来ないものにこだわっても仕方ない
俺たちをここに呼び寄せたあの女、やはり相当性格がねじ曲がってるんじゃないか?
せめて何が出来るかくらい教えろっての。
「見て見て! 森を抜けたぜ香月くん! はぁ綺麗だなぁ……」
しばらく歩いてやっと森の出口を通り抜けた。
夕陽も降りた森の中は薄暗く、正直あの状況で化け物に襲われたらひとたまりもなかったが、結局あの猪以来何も出会わなったな。
はしゃぐ棚見じゃないが、森を抜けた草原の夜空はきらびやかだった。
満天の星空。
言葉にするとなんてことはないが、都会育ちの俺にはテレビやネットの中の産物でしかなかったそれが、まさに頭上に輝いてる。
「イエーイ! やっぱラッキーじゃんオレたち! 明日もきっといい事あるって」
何がそんなに楽しいのか、天に手を掲げて一人でやいやい騒いでいた。
(調子のいい奴……)
でもこの光景は素直に興奮出来た。
それにもう一つ、幸運な出来事があったのだ。
「見てよ、向こうの方ピカピカしてるっしょ! あれ町だよ町! あ、でももしかしたら村かもね」
そう、森の出口からそう遠くない場所に町らしきものを見つけたのだ。
「町……か」
目的の一つを達成出来そうになって、感慨深いものを感じる。
とは言ってももう夜だ。町の散策だなんだっていうのは今日はもう諦めた方がいいだろう。
「よーし競争だドーン!!」
「……は?」
突拍子もないことを言い放ちながら急に走り出した棚見。
これだから陽キャは意味がわかんないんだ!
「くっ、くそ。こっちは剣持ってんだぞ……!」
別に張り合うつもりはないが素直にムカつく。
「ホラホラ、置いてくよー!」
散歩時の犬のようなはしゃぎっぷりで、俺を置いて奴は走り去っていく。
その後ろ悪態をつきながら俺も走っていくのだった。
◇◇◇
「着いたね~町。ま、入り口だけどさ」
「……はぁっ……! ひぃ……ぁあ……ぅ……!」
結局距離を開けられながらそれでもたどり着いた時、俺の息は上がっていた。
体育の授業でもここまで全身で呼吸するような感覚に陥った事は無いのに。
授業では疲れきれない程度に適当に手を抜いて走ったりしていたから、この感覚は本当に久しぶりだった。
こっちは剣を抜き身で持って走って来たんだぞ! 運動能力だってこいつの方が上なのに……!
抗議の目線を向ける。そんな俺に奴は肩に手を置いてきた。
「まぁまぁ、いい運動になったと思ってさ。ほら、今日はベッドでぐっすり眠ろうよ。せっかく町まで来たんだし。オレってつい最近までバイトとかしてたからちょっとしたお金持ちなんだよね~」
そう言って懐にしまってあった財布を取り出して見せて来た。
まあ、俺もはっきり言って疲れたしここは好意に甘えて……あっ。
「金……」
「ん? お金がどうかしたん?」
「日本円なんて、ここで役に立たないんじゃ……」
「…………あっ」
この時ばかりは俺もこいつも同じ心情だっただろうよ。
「ああ!!? オレたちってもしかしなくても無一文じゃん! ……どうすっぺ」
初めて見るこいつの困り顔。こんな奴でもこういう顔するんだなとか考えても仕方がないわけで。
これでじゃベッドどころか路地裏で一夜を明かすことになりかねん。どうしたものか……。
困り果てて何かないかと周りを見る。
……すると、手に持ってる剣に目がいき……。
◇◇◇
「ありがとうございましたー」
背中に店主の声を浴びながら店を出た俺達。
武器屋と思われる看板の店をくぐり抜けて、今日手に入れたばかりの剣を売っぱらう。
多少名残惜しいが、これも仕方ない。
一応俺の能力を使ってもう一度新品同様の状態で店主に見せた。
どうやらこの剣はこの辺りでは取り扱ってないものらしく、それなりにいい値段で売れた……と思う。
こっちの金の相場が今一つわからないから何とも言えないが。
「とりあえず今日のホテル代になったかな? どう思う?」
「……こういう町じゃホテルじゃなくて宿かもしれん」
傍から聞いたらどうでもいいようなやり取りをしながら、武器屋の店主についでに聞いた宿泊所の場所まで向かっていた。
「剣、売っちゃって良かったのかな?」
「金が無いんじゃ仕方ない」
せめて少しばかりの資金ぐらいおいて消えてくれたらよかったのに、あの妖しい連中め。
残った連中もきっと苦労することだろうな。
いや、もしかしたら売り物になるような道具を作れる能力を持った人間がいるかもしれない。
別に心配するわけじゃないが、同郷の人間が野垂れ死にしたりするんじゃないかと考えると思うところがある。
でもあの人数だったらいろんな能力で森も難なく抜けてこれるだろう、きっと。
ここいらで特に安い宿の扉を潜り抜ける。
「いらっしゃいませ」
若い女の店員の声が聞こえてきた。
入り口から入ってすぐのカウンターに立つ彼女に今日の宿泊の話をつければいいんだろうか。
「……あ、あの」
「お姉さん、今日二人で泊りたいんだけどぉオレ達ってあんまりお金持ってないんだよね。一番安い部屋って空いてる感じ?」
俺が言い終わる前に棚見が宿の状況について話を聞いていた。
さすがに口を開くのが早い男だ。
店員が料金の書かれた案内表を見せながら説明を始める。
「一番お安い部屋ですと一部屋開いていますが、ベッドが一つしかありません。申し訳ありませんがベッドが二つ以上でお安い部屋ですともう埋まっております。どうなさいますか?」
「どうする? 同じベッドで寝ちゃう?」
いや冗談じゃない、何が悲しくて野郎二人で寝なくちゃならないんだ。俺は全力で首を振った。
「ああ……。じゃあ床に布団とかって出来る?」
「可能です。その場合お部屋代も変わりませんが、本当に床に敷いてよろしいので?」
「まあ汚れてなかったらいいんじゃない? 野宿よりはマシだしね」
「承りました。では後程お布団の方はお部屋の方にお持ち致しますので、……こちらの鍵を持ってお先にお部屋へと上がられて下さい」
カウンターの下から鍵を取り出した女性店員は、その白い手に持った鍵をやさしく俺の手へと渡してきた。
「……」
「どったん? なんか難しい顔しちゃってさ」
「あ、いや。……あ、ありがとうございます」
受け取った鍵の部屋番号を確認して、部屋のある二階へと階段を上っていった。
……いやな記憶というのは不意の思い出すもんだな。
つまらない感傷に気分を落としたが、だからといってそのことで足を止めるわけでもなく、鍵と同じ番号が書かれたプレートのある部屋へとたどり着いた。
473
あなたにおすすめの小説
神子の余分
朝山みどり
BL
ずっと自分をいじめていた男と一緒に異世界に召喚されたオオヤナギは、なんとか逃げ出した。
おまけながらも、それなりのチートがあるようで、冒険者として暮らしていく。
途中、長く中断致しましたが、完結できました。最後の部分を修正しております。よければ読み直してみて下さい。
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
異世界へ下宿屋と共にトリップしたようで。
やの有麻
BL
山に囲まれた小さな村で下宿屋を営んでる倉科 静。29歳で独身。
昨日泊めた外国人を玄関の前で見送り家の中へ入ると、疲労が溜まってたのか急に眠くなり玄関の前で倒れてしまった。そして気付いたら住み慣れた下宿屋と共に異世界へとトリップしてしまったらしい!・・・え?どーゆうこと?
前編・後編・あとがきの3話です。1話7~8千文字。0時に更新。
*ご都合主義で適当に書きました。実際にこんな村はありません。
*フィクションです。感想は受付ますが、法律が~国が~など現実を突き詰めないでください。あくまで私が描いた空想世界です。
*男性出産関連の表現がちょっと入ってます。苦手な方はオススメしません。
イケメンチート王子に転生した俺に待ち受けていたのは予想もしない試練でした
和泉臨音
BL
文武両道、容姿端麗な大国の第二皇子に転生したヴェルダードには黒髪黒目の婚約者エルレがいる。黒髪黒目は魔王になりやすいためこの世界では要注意人物として国家で保護する存在だが、元日本人のヴェルダードからすれば黒色など気にならない。努力家で真面目なエルレを幼い頃から純粋に愛しているのだが、最近ではなぜか二人の関係に壁を感じるようになった。
そんなある日、エルレの弟レイリーからエルレの不貞を告げられる。不安を感じたヴェルダードがエルレの屋敷に赴くと、屋敷から火の手があがっており……。
* 金髪青目イケメンチート転生者皇子 × 黒髪黒目平凡の魔力チート伯爵
* 一部流血シーンがあるので苦手な方はご注意ください
ドジで惨殺されそうな悪役の僕、平穏と領地を守ろうとしたら暴虐だったはずの領主様に迫られている気がする……僕がいらないなら詰め寄らないでくれ!
迷路を跳ぶ狐
BL
いつもドジで、今日もお仕えする領主様に怒鳴られていた僕。自分が、ゲームの世界に悪役として転生していることに気づいた。このままだと、この領地は惨事が起こる。けれど、選択肢を間違えば、領地は助かっても王国が潰れる。そんな未来が怖くて動き出した僕だけど、すでに領地も王城も策略だらけ。その上、冷酷だったはずの領主様は、やけに僕との距離が近くて……僕は平穏が欲しいだけなのに! 僕のこと、いらないんじゃなかったの!? 惨劇が怖いので先に城を守りましょう!
期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています
ぽんちゃん
BL
病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。
謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。
五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。
剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。
加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。
そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。
次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。
一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。
妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。
我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。
こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。
同性婚が当たり前の世界。
女性も登場しますが、恋愛には発展しません。
婚約破棄されてヤケになって戦に乱入したら、英雄にされた上に美人で可愛い嫁ができました。
零壱
BL
自己肯定感ゼロ×圧倒的王太子───美形スパダリ同士の成長と恋のファンタジーBL。
鎖国国家クルシュの第三王子アースィムは、結婚式目前にして長年の婚約を一方的に破棄される。
ヤケになり、賑やかな幼馴染み達を引き連れ無関係の戦場に乗り込んだ結果───何故か英雄に祭り上げられ、なぜか嫁(男)まで手に入れてしまう。
「自分なんかがこんなどちゃくそ美人(男)を……」と悩むアースィム(攻)と、
「この私に不満があるのか」と詰め寄る王太子セオドア(受)。
互いを想い合う二人が紡ぐ、恋と成長の物語。
他にも幼馴染み達の一抹の寂寥を切り取った短篇や、
両想いなのに攻めの鈍感さで拗れる二人の恋を含む全四篇。
フッと笑えて、ギュッと胸が詰まる。
丁寧に読みたい、大人のためのファンタジーBL。
他サイトでも公開しております。
婚約破棄で追放された悪役令息の俺、実はオメガだと隠していたら辺境で出会った無骨な傭兵が隣国の皇太子で運命の番でした
水凪しおん
BL
「今この時をもって、貴様との婚約を破棄する!」
公爵令息レオンは、王子アルベルトとその寵愛する聖女リリアによって、身に覚えのない罪で断罪され、全てを奪われた。
婚約、地位、家族からの愛――そして、痩せ衰えた最果ての辺境地へと追放される。
しかし、それは新たな人生の始まりだった。
前世の知識というチート能力を秘めたレオンは、絶望の地を希望の楽園へと変えていく。
そんな彼の前に現れたのは、ミステリアスな傭兵カイ。
共に困難を乗り越えるうち、二人の間には強い絆が芽生え始める。
だがレオンには、誰にも言えない秘密があった。
彼は、この世界で蔑まれる存在――「オメガ」なのだ。
一方、レオンを追放した王国は、彼の不在によって崩壊の一途を辿っていた。
これは、どん底から這い上がる悪役令息が、運命の番と出会い、真実の愛と幸福を手に入れるまでの物語。
痛快な逆転劇と、とろけるほど甘い溺愛が織りなす、異世界やり直しロマンス!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる