リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット

文字の大きさ
24 / 415
第一節 アストリカ学園編

第24幕 再戦の日

しおりを挟む
 エセルカはその小動物の容姿に目をつけられ、変態達に拉致監禁されてしまった……ということになっていた。
 貴族が関わった事実が公にされることはなかった。当然のように確実に圧力がかかったのだろう。

 子爵の連れ……恐らく男爵の息子達だろう。彼らも関わっているのだから揉み消しがあっても当然か。

 この調子だとまたなにか仕掛けてきそうだし、しばらくはエセルカと共に行動するほうがいいだろう。
 ……また妙な噂というか、冷やかされる口実を作ってしまうことになるだろう。
 が、二人で宿に泊まり、朝帰りしてしまった時点で興味の対象になってしまってるだろうからな。

 全く……13の子供が何を期待してるのやら。

 事情を知ってるはずのエウレやシュリカまでもニヤニヤ顔でこっちを見てくる始末。
 エセルカの方はマントにやってしまった件でも引きずっているのだろうか……目が合うと顔を真っ赤にして俯いてしまって、ほとんど会話にならなかった。
 それでも目を逸らしていれば話すことが出来るようだし、ま、まともに話せるようになるのも時間の問題だろう。

 それからの日々は特になんの問題もなく進んでいった。
 学園に通う者として文学に明け暮れ、徐々に訓練の方も戦闘に関連することに移っていく毎日。
 あまりにも平和すぎて逆に不気味な程だった。

 魔法に関してや、英雄たちの歴史は相変わらず疑問の多いものだったが、そこに関しては今更だろう。
 そういえばちょうど吉田英彩について触れていたな。

 なんでも200年前に現れた英雄らしく、魔法の発展に貢献し、和食と呼ばれる文化の一端である米をジパーニグに持ち込み、食文化の改善に尽くした事が評価された。
 更に魔王を名乗るアンヒュルを討伐したことにより、貴族の地位を頂いたのだとか。

 英雄召喚されたときに彼は特殊な能力を授かったらしく、なんでも『触れた相手の魔力を吸収する』だったらしい。
 魔王を名乗っていたアンヒュルは魔法を得意としていたそうで、相性の関係からかなり有利な戦いが出来ていたそうだ。

 他にも同時に召喚された二人と仲が良かったらしく……今まさにアルフォンス・吉田にくっついているおつきの連中のようだったのらしい。

 まあ、結構盛ってるような気がしたけどな。
 魔法の発展のところなんか具体的にどう貢献したか書いてないし、結構大雑把に書き足してる部分が多い。

 それでも見知らぬ世界で生きるのは辛かっただろう。
 そう考えると全て悪いとも……言えないんだよな。

「どうしてもあの吉田のお坊ちゃんを連想しちまうんだよなぁー。
 髪の色とか以外の容姿はほとんど同じらしいし、余計にな」

 というのはセイル談。
 とまあ、こんな感じで勉強の方もつつがなく進んでいき、全てが順調に思えた……そんな時だ。

「おい、止まれ!」

 全ての授業が終わり、後は寮に帰るか、図書館にでも行くか……そう思いながら校舎を出た時に声を掛けられる。
 その声の方を向くと……そこにいたのはアルフォンス・吉田だった。
 今回、エセルカはエウレとシュリカの二人と帰るそうで、俺一人だったのが良かった。
 この男とエセルカを引き合わせるのは色々と問題だからな。

「あんたは……吉田だったか」
「アルフォンス! アルフォンス・吉田だ! この無礼者め!」

 常識の欠如した男には言われたくない。
 ……が、急にどうしたのだろうか? こいつから話しかけてくるとは……。
 初めて会ったときはそれなりに礼を持って接したような気もするが、アレだけのことをしておいて今更そんなの、あったものじゃないだろう。

「で、そのアルフォンスがどうした?」
「くっ……この、どこまでも失礼な奴め……」
「人をさらっておいてよく吠えるな」
「はっ! そんな証拠、何処にあるというんだ? これだから下民は……」

 よくもまあぬけぬけとそう言えるものだ。
 そのにやけた面を再起不能になるほどぶちのめしてやりたくなってくる。
 一通り馬鹿にした笑みをこちらに向けてきた吉田は、ようやく本題を切り出してきた。

「ふん、まあいい。そのふざけた態度、後悔させてあげようじゃないか」
「さっさと用件を言えよ。お前の馬鹿に付き合ってる時間すら惜しい」
「……チッ。貴様に決闘を申し込む!」
「……決闘?」

 ビシッと俺に指を突きつけて自信満々に言ってくる吉田の頭は本当におかしくなったのだろうか?
 あれだけのことがあって決闘を挑むなんて、普通はありえないだろう。

「ああそうだ。まさか……逃げるとは言うまい? いくら下民とは言え、この高貴なる者の誘いを断ればどうなるか……知らないはずはないだろうからなぁ」
「……当たり前だ」
「ならば明日の放課後、訓練場で待っている。もし逃げれば……くっくっくっ」

 最後まで告げず、いやらしい笑みを浮かべながら吉田の馬鹿は去っていった。
 こういう奴は断れば何をしでかすかわかったものではない。
 なら、次はこんな決闘なんか起こす気にもならないほど徹底的に叩きのめすだけだ。

 ――そして、その次の日。吉田の言う通り、俺は決闘をするために訓練場へと向かった。
 そこには――A組・L組問わず大勢の生徒が見物に来ているようだった。

 中央のリングには吉田と……あれは誰だろう? 見知らぬ男が四人ほど、立っていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...