リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット

文字の大きさ
257 / 415
第十三節 銀狼騎士団・始動編

第242幕 銀狼騎士団の本領

しおりを挟む
 構築するのは『神』『焔』『剣』の三つの起動式マジックコード。本来『神』は次に紡いだ文字にしか効果を及ぼさない。もちろんこれでも同じなのだが、明確な形を与えるという意味では上手く作用する。

 生み出した大規模な魔方陣は、敵軍の頭上に展開されていく。
 この異様さに気付いたシアロル兵はこちらに向けて射撃の雨を降り注がせてきたが、シグゼスが魔方陣を発動させて弾を全て地面に叩きつけていた。
 起動式マジックコードは見る暇がなかったが、あれは風を軸にした魔方陣で、凝縮した風の力で弾を叩き落としたのだろう。

 こちらに向かってくる全てを次々に地面へと落としていくなんて容易に出来ることじゃない。避けるよりも遥かに難しいその技を、シグゼスは顔色一つ変えずに涼しげにこなしている。

「この程度の武器で我らが女王陛下が直々に任命せし銀狼騎士団が滅ぼせるとでも思っているのか? 笑わせてくれる。魔力を吸収するゴーレムだと? 確かに認めよう。ヒュルマの技術は素晴らしい。以前であればなす術もなかったであろう。
 しかし……我らが女王陛下は真の戦いをすると決断された。ならば、これまで隠し通してきた我らが力を今こそ解き放とう!」

 長ったらしい口上をよくもまあスラスラと述べることが出来るなと苦笑いを浮かべながら魔方陣の構築に集中する。
 流石に俺も対軍を想定した魔方陣を発動させるのには時間が必要になる。こうしてシグゼスが防いでくれているのはかなり助かる。

 シアロルの兵士たちは直接斬りかかってくればいいのだが、互いに誤射することを恐れているのだろう。銃弾の嵐の中、突っ込んでくるような勇気のある者は一人もいなかった。
 さらにゴーレムが魔力を吸収してくれるということがそれに拍車を掛けているのだろう。

 ――その驕り、この一撃で打ち砕く!

「焼き尽くせ――!」

 全ての工程を完了させ、魔方陣に構築された力が解き放たれる。
 空に描かれた巨大な魔方陣からゆっくりと剣先が姿を現す。
 炎と言えば赤なのだが、今生み出されたそれは全てが白く燃え盛っており、纏うものすらうっすらと白がかっている程だ。

 展開された魔方陣に見合った大きさの剣に驚いた兵士たちは、散り散りに逃げ出す者。あくまでゴーレムに信頼を寄せてる者と様々な反応を見せた。

「まさか……ここまでのものを作り出すとはな……」

 隣でどこか呆然としたようにシグゼスが呟いていたが、これを生み出せたのは彼のおかげだ。
 彼がいなければこの規模の魔方陣を作るのにもっと時間がかかっていただろうし、それによるリスクを考えて途中で無理やり完成させ、威力が落ちたものを発動させただろう。

 だが、それを言うのは変に照れ臭くて黙ってるけどな。

 ゆっくりと降りてきた神の焔を宿した剣を受け止めるのはまとまってやってきたゴーレムたち。それらは確かに一度は受け止めた。だけれど、そんなものは一瞬。
 吸収はしたのだろうが、これだけの高密度の魔力の塊をぶつけられてはひとたまりもなかったのだろう。

 ゴーレムたちはどろっと溶け出して、全てを溶かし尽くしていく。
 そのまま『神焔』の剣はゴーレムを押し潰し、周囲に炎を撒き散らす。
 近くにいたシアロルの兵士はそれに当たり大きく燃え上がり、戦っていた騎士団員は冷静に防御に魔力を回しながら後退していた。

「正に神の放つ奇跡を体現した光景だ。これだけの魔方陣に対抗できるのはアウドゥリア騎士団長くらいだろう」
「騎士団長も……?」
「あの方は最古の英雄グレリアに次いで古い英雄の血を受け継がれているからな。巧みに『光』を操るその姿は、実に神々しかった。それでもあの方から言わせれば完璧ではないそうだがな」

 見惚れるように目の前の光景を眺めているシグゼスは、興味深い事を言っていた。色々と聞きたいことや考えさせられることはあるが、喚び出された『神焔』の剣は、その役目を終えたとばかりに音もなく消えていった。

 残されたのは辛うじて巻き込まれずに生き残ったゴーレムが片手で数えられるほどと、賢明に逃げる事を選択したシアロルの兵士たちだけだった。

『全軍、前進せよ! これより敵を掃討する!』

 シグゼスはすかさず『拡声』の魔方陣を発動して、兵士たちに指示を出し、一気に攻め込む決断を下した。

 あの魔方陣を見たおかげか、しばらく呆然とした後、グランセストの兵士たちは大声を上げて再び敵へと向かって突撃していく。
 あんなに多かったゴーレムの数も明らかに減り、敵兵が混乱している現状では、圧倒的にこちらの方が有利だ。

 シグゼスはいつの間にか後ろに下がり、俺と三人の騎士たちでゴーレムを抑え、後は両国の兵士次第。
 敵兵は著しく士気が下がった結果、いくら銃による遠距離攻撃が出来るシアロル兵もなんとも出来なかったようだ。

 むしろ今までの鬱憤が溜まっていた魔方兵が存分に力を使い始め、猛威を振るったのだ。
 その結果、シアロルの兵士は完全に撤退することとなり、俺たちは束の間の勝利を収めることが出来たのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

処理中です...