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第十三節 銀狼騎士団・始動編
第242幕 銀狼騎士団の本領
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構築するのは『神』『焔』『剣』の三つの起動式。本来『神』は次に紡いだ文字にしか効果を及ぼさない。もちろんこれでも同じなのだが、明確な形を与えるという意味では上手く作用する。
生み出した大規模な魔方陣は、敵軍の頭上に展開されていく。
この異様さに気付いたシアロル兵はこちらに向けて射撃の雨を降り注がせてきたが、シグゼスが魔方陣を発動させて弾を全て地面に叩きつけていた。
起動式は見る暇がなかったが、あれは風を軸にした魔方陣で、凝縮した風の力で弾を叩き落としたのだろう。
こちらに向かってくる全てを次々に地面へと落としていくなんて容易に出来ることじゃない。避けるよりも遥かに難しいその技を、シグゼスは顔色一つ変えずに涼しげにこなしている。
「この程度の武器で我らが女王陛下が直々に任命せし銀狼騎士団が滅ぼせるとでも思っているのか? 笑わせてくれる。魔力を吸収するゴーレムだと? 確かに認めよう。ヒュルマの技術は素晴らしい。以前であればなす術もなかったであろう。
しかし……我らが女王陛下は真の戦いをすると決断された。ならば、これまで隠し通してきた我らが力を今こそ解き放とう!」
長ったらしい口上をよくもまあスラスラと述べることが出来るなと苦笑いを浮かべながら魔方陣の構築に集中する。
流石に俺も対軍を想定した魔方陣を発動させるのには時間が必要になる。こうしてシグゼスが防いでくれているのはかなり助かる。
シアロルの兵士たちは直接斬りかかってくればいいのだが、互いに誤射することを恐れているのだろう。銃弾の嵐の中、突っ込んでくるような勇気のある者は一人もいなかった。
さらにゴーレムが魔力を吸収してくれるということがそれに拍車を掛けているのだろう。
――その驕り、この一撃で打ち砕く!
「焼き尽くせ――!」
全ての工程を完了させ、魔方陣に構築された力が解き放たれる。
空に描かれた巨大な魔方陣からゆっくりと剣先が姿を現す。
炎と言えば赤なのだが、今生み出されたそれは全てが白く燃え盛っており、纏うものすらうっすらと白がかっている程だ。
展開された魔方陣に見合った大きさの剣に驚いた兵士たちは、散り散りに逃げ出す者。あくまでゴーレムに信頼を寄せてる者と様々な反応を見せた。
「まさか……ここまでのものを作り出すとはな……」
隣でどこか呆然としたようにシグゼスが呟いていたが、これを生み出せたのは彼のおかげだ。
彼がいなければこの規模の魔方陣を作るのにもっと時間がかかっていただろうし、それによるリスクを考えて途中で無理やり完成させ、威力が落ちたものを発動させただろう。
だが、それを言うのは変に照れ臭くて黙ってるけどな。
ゆっくりと降りてきた神の焔を宿した剣を受け止めるのはまとまってやってきたゴーレムたち。それらは確かに一度は受け止めた。だけれど、そんなものは一瞬。
吸収はしたのだろうが、これだけの高密度の魔力の塊をぶつけられてはひとたまりもなかったのだろう。
ゴーレムたちはどろっと溶け出して、全てを溶かし尽くしていく。
そのまま『神焔』の剣はゴーレムを押し潰し、周囲に炎を撒き散らす。
近くにいたシアロルの兵士はそれに当たり大きく燃え上がり、戦っていた騎士団員は冷静に防御に魔力を回しながら後退していた。
「正に神の放つ奇跡を体現した光景だ。これだけの魔方陣に対抗できるのはアウドゥリア騎士団長くらいだろう」
「騎士団長も……?」
「あの方は最古の英雄グレリアに次いで古い英雄の血を受け継がれているからな。巧みに『光』を操るその姿は、実に神々しかった。それでもあの方から言わせれば完璧ではないそうだがな」
見惚れるように目の前の光景を眺めているシグゼスは、興味深い事を言っていた。色々と聞きたいことや考えさせられることはあるが、喚び出された『神焔』の剣は、その役目を終えたとばかりに音もなく消えていった。
残されたのは辛うじて巻き込まれずに生き残ったゴーレムが片手で数えられるほどと、賢明に逃げる事を選択したシアロルの兵士たちだけだった。
『全軍、前進せよ! これより敵を掃討する!』
シグゼスはすかさず『拡声』の魔方陣を発動して、兵士たちに指示を出し、一気に攻め込む決断を下した。
あの魔方陣を見たおかげか、しばらく呆然とした後、グランセストの兵士たちは大声を上げて再び敵へと向かって突撃していく。
あんなに多かったゴーレムの数も明らかに減り、敵兵が混乱している現状では、圧倒的にこちらの方が有利だ。
シグゼスはいつの間にか後ろに下がり、俺と三人の騎士たちでゴーレムを抑え、後は両国の兵士次第。
敵兵は著しく士気が下がった結果、いくら銃による遠距離攻撃が出来るシアロル兵もなんとも出来なかったようだ。
むしろ今までの鬱憤が溜まっていた魔方兵が存分に力を使い始め、猛威を振るったのだ。
その結果、シアロルの兵士は完全に撤退することとなり、俺たちは束の間の勝利を収めることが出来たのだった。
生み出した大規模な魔方陣は、敵軍の頭上に展開されていく。
この異様さに気付いたシアロル兵はこちらに向けて射撃の雨を降り注がせてきたが、シグゼスが魔方陣を発動させて弾を全て地面に叩きつけていた。
起動式は見る暇がなかったが、あれは風を軸にした魔方陣で、凝縮した風の力で弾を叩き落としたのだろう。
こちらに向かってくる全てを次々に地面へと落としていくなんて容易に出来ることじゃない。避けるよりも遥かに難しいその技を、シグゼスは顔色一つ変えずに涼しげにこなしている。
「この程度の武器で我らが女王陛下が直々に任命せし銀狼騎士団が滅ぼせるとでも思っているのか? 笑わせてくれる。魔力を吸収するゴーレムだと? 確かに認めよう。ヒュルマの技術は素晴らしい。以前であればなす術もなかったであろう。
しかし……我らが女王陛下は真の戦いをすると決断された。ならば、これまで隠し通してきた我らが力を今こそ解き放とう!」
長ったらしい口上をよくもまあスラスラと述べることが出来るなと苦笑いを浮かべながら魔方陣の構築に集中する。
流石に俺も対軍を想定した魔方陣を発動させるのには時間が必要になる。こうしてシグゼスが防いでくれているのはかなり助かる。
シアロルの兵士たちは直接斬りかかってくればいいのだが、互いに誤射することを恐れているのだろう。銃弾の嵐の中、突っ込んでくるような勇気のある者は一人もいなかった。
さらにゴーレムが魔力を吸収してくれるということがそれに拍車を掛けているのだろう。
――その驕り、この一撃で打ち砕く!
「焼き尽くせ――!」
全ての工程を完了させ、魔方陣に構築された力が解き放たれる。
空に描かれた巨大な魔方陣からゆっくりと剣先が姿を現す。
炎と言えば赤なのだが、今生み出されたそれは全てが白く燃え盛っており、纏うものすらうっすらと白がかっている程だ。
展開された魔方陣に見合った大きさの剣に驚いた兵士たちは、散り散りに逃げ出す者。あくまでゴーレムに信頼を寄せてる者と様々な反応を見せた。
「まさか……ここまでのものを作り出すとはな……」
隣でどこか呆然としたようにシグゼスが呟いていたが、これを生み出せたのは彼のおかげだ。
彼がいなければこの規模の魔方陣を作るのにもっと時間がかかっていただろうし、それによるリスクを考えて途中で無理やり完成させ、威力が落ちたものを発動させただろう。
だが、それを言うのは変に照れ臭くて黙ってるけどな。
ゆっくりと降りてきた神の焔を宿した剣を受け止めるのはまとまってやってきたゴーレムたち。それらは確かに一度は受け止めた。だけれど、そんなものは一瞬。
吸収はしたのだろうが、これだけの高密度の魔力の塊をぶつけられてはひとたまりもなかったのだろう。
ゴーレムたちはどろっと溶け出して、全てを溶かし尽くしていく。
そのまま『神焔』の剣はゴーレムを押し潰し、周囲に炎を撒き散らす。
近くにいたシアロルの兵士はそれに当たり大きく燃え上がり、戦っていた騎士団員は冷静に防御に魔力を回しながら後退していた。
「正に神の放つ奇跡を体現した光景だ。これだけの魔方陣に対抗できるのはアウドゥリア騎士団長くらいだろう」
「騎士団長も……?」
「あの方は最古の英雄グレリアに次いで古い英雄の血を受け継がれているからな。巧みに『光』を操るその姿は、実に神々しかった。それでもあの方から言わせれば完璧ではないそうだがな」
見惚れるように目の前の光景を眺めているシグゼスは、興味深い事を言っていた。色々と聞きたいことや考えさせられることはあるが、喚び出された『神焔』の剣は、その役目を終えたとばかりに音もなく消えていった。
残されたのは辛うじて巻き込まれずに生き残ったゴーレムが片手で数えられるほどと、賢明に逃げる事を選択したシアロルの兵士たちだけだった。
『全軍、前進せよ! これより敵を掃討する!』
シグゼスはすかさず『拡声』の魔方陣を発動して、兵士たちに指示を出し、一気に攻め込む決断を下した。
あの魔方陣を見たおかげか、しばらく呆然とした後、グランセストの兵士たちは大声を上げて再び敵へと向かって突撃していく。
あんなに多かったゴーレムの数も明らかに減り、敵兵が混乱している現状では、圧倒的にこちらの方が有利だ。
シグゼスはいつの間にか後ろに下がり、俺と三人の騎士たちでゴーレムを抑え、後は両国の兵士次第。
敵兵は著しく士気が下がった結果、いくら銃による遠距離攻撃が出来るシアロル兵もなんとも出来なかったようだ。
むしろ今までの鬱憤が溜まっていた魔方兵が存分に力を使い始め、猛威を振るったのだ。
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