264 / 415
第十四節 奸計の時・セイル編
第249幕 ゴーレムの弱点
しおりを挟む
「さて、それでは皆さん。準備はいいですか?」
辿り着いた場所で、アルディがそう声を掛けると、他の兵士たちが一斉に背筋を伸ばして彼に敬礼していた。
「はい! 大方の準備は完了しております! 斥候からも敵はこのエリアに侵入したという情報を得ておりますので、ご指示があれば、いつでも!」
一際声の大きい声の兵士がアルディに報告してきた。
彼の方もその報告を待っていたようで、ばっと片手を前方に広げて、勢いよく命じた。
「よろしい! それではこれより、ゴーレム無力化作戦を決行します。魔方兵は一般兵と二対三のチームを組んで行動。残った方々はここに待機。速やかにヒュルマのゴーレムを攻略しに行きます!」
『『おおおおぉぉぉぉ!!!』』
周囲に響き渡るような大声と共に兵士たちは次々に配置についていく。霧の浮島のようなこの場所で洗練された動きを見るのは中々様になっていて、力強さを感じる。
「俺たちはどうすればいい?」
「貴方たちは私と共にゴーレムを無力化するのが仕事ですよ。なに、そう難しい事ではありません」
当てられるように勢いづいて聞いてみると、アルディは俺に耳打ちしてきた。それを聞いて、納得すると同時に俺は、そんな戦い方もあるのかと感心したのだった――
――
説明も聞き終えて、再び霧の中への突入。俺たちはアルディと共に『索敵』『地図』の魔方陣を展開して、それを頼りにひたすら歩く。
俺もさっき知ったことなんだけど、この地図は周囲の地形が詳しくわかる以外にもゴーレムなどの魔力で動いてるものもすぐにわかるんだそうだ。
ヒュルマもアンヒュルも、この地図上では全員同じに見える。魔力の量によって認識しているタイプだからだ。
大なり小なりの変動は誰にでもあるし、ぱっと見では区別がつかない。アルディや銀狼騎士団と思える者、それとヘンリーやスパルナは普通より大きいからむしろわかりやすい。
ちなみに俺を除いたらスパルナが一番高く、次いでアルディといった感じだ。こういうわかりやすくするのにはそれなりに魔力を使うし、魔力の流れを観察しているわけじゃないから遠いほど索敵能力が低下する。
が、こういう濃霧で近場にいる誰かを区別するのにはむしろこの方がわかりやすい。
ちなみにゴーレムは魔力の塊だからすぐにわかる。俺たちはそれを目印に進んでいくだけでいいというわけだ。
「皆さん、準備はよろしいですね?」
アルディが小声で息を潜めるように問いかけてきた。
スパルナ、ヘンリーの二人と頷き合って、改めてアルディの方を向いて小さく頷く。
随分進んだおかげで、敵――ヒュルマの軍勢がもう目の前といったところまでやってきていた。
彼らはこの霧の中を注意深く進んでいるようだけど、慣れてない行軍に手こずってる様子だった。
なんとか移動しようと声を出して自分たちのいる場所を知らせているようだけど、こっちからしてみたら丸わかりだ。
「それでは、作戦通りにお願いします」
アルディの言葉に俺たちは出来る限り小さく答え、小さく固まっているゴーレムと数人の兵士がまとまってる場所に静かに向かい、敵に気取られないように魔方陣を展開する。
多分、他の兵士たちも今頃同じものを展開しているだろう。今回の作戦の肝。それは――
「な、なんだ!? 身体が……沈む……!?」
「う、うわああああ! た、助けてくれ……!」
『沼』『地』の二つの起動式で出来たかなり底の深い沼だ。俺たちですら誰かの手を借りなければ抜け出すことが難しいこれを鈍重なゴーレムがなんとか出来るわけもなく、ずぶずぶと大地の海に沈んでいった。
誰か一人の声が上がったと思ったら、次々と色んなところから悲痛な声が上がっていく。アルディの作戦は上手くいったようだ。
『油断しないでくださいね! 相手はあの状態でも攻撃できます。武器を捨てた者だけ、救助してください!』
どんどん聞こえてくる悲鳴に適当に撃っているであろう銃撃が響き……もう隠密に動く必要がなくなったアルディは『拡声』の魔方陣を使って大声でこちらに指示を出しつつ、遠回しに敵に対して降伏勧告を行った。
実際、彼の声を聞いて沼はまってしまったヒュルマの兵士は次々と武器を投げ捨て、助けてくれと言ってきたしな。中には『アンヒュルの言うことなんて信用できるわけがない』とか『邪悪な者に魂を売り飛ばすくらいなら……』とかいって構わず銃で攻撃してきたり、自ら命を絶つ者も多くいた。
それでもこうやって多くの命を失わずに済んだのは、ひとえにアルディのおかげだと言っても過言ではないだろう。ただ、この魔方陣は魔力の消費が多い。後、展開にも時間が少しかかる。今回のように相手の視界を奪うことが出来たからなんとかなったけど、戦闘中に使用するにはリスクが大きい。事前に準備して追い込むような戦い方をしない限り、使うことはないだろう。
「皆さん、ありがとうございます。おかげでこちらに被害もなく、無事に戦闘を終えることができそうです」
魔方陣で作られたであろう霧が徐々に晴れてきた頃。アルディはひとしきり兵士たちに指示を出した後、笑顔でそんな事を言っていた。
周囲ではヒュルマの兵士で抵抗を続けている者も少ないし、今回の戦闘は完全勝利で治めることができたようだった。
辿り着いた場所で、アルディがそう声を掛けると、他の兵士たちが一斉に背筋を伸ばして彼に敬礼していた。
「はい! 大方の準備は完了しております! 斥候からも敵はこのエリアに侵入したという情報を得ておりますので、ご指示があれば、いつでも!」
一際声の大きい声の兵士がアルディに報告してきた。
彼の方もその報告を待っていたようで、ばっと片手を前方に広げて、勢いよく命じた。
「よろしい! それではこれより、ゴーレム無力化作戦を決行します。魔方兵は一般兵と二対三のチームを組んで行動。残った方々はここに待機。速やかにヒュルマのゴーレムを攻略しに行きます!」
『『おおおおぉぉぉぉ!!!』』
周囲に響き渡るような大声と共に兵士たちは次々に配置についていく。霧の浮島のようなこの場所で洗練された動きを見るのは中々様になっていて、力強さを感じる。
「俺たちはどうすればいい?」
「貴方たちは私と共にゴーレムを無力化するのが仕事ですよ。なに、そう難しい事ではありません」
当てられるように勢いづいて聞いてみると、アルディは俺に耳打ちしてきた。それを聞いて、納得すると同時に俺は、そんな戦い方もあるのかと感心したのだった――
――
説明も聞き終えて、再び霧の中への突入。俺たちはアルディと共に『索敵』『地図』の魔方陣を展開して、それを頼りにひたすら歩く。
俺もさっき知ったことなんだけど、この地図は周囲の地形が詳しくわかる以外にもゴーレムなどの魔力で動いてるものもすぐにわかるんだそうだ。
ヒュルマもアンヒュルも、この地図上では全員同じに見える。魔力の量によって認識しているタイプだからだ。
大なり小なりの変動は誰にでもあるし、ぱっと見では区別がつかない。アルディや銀狼騎士団と思える者、それとヘンリーやスパルナは普通より大きいからむしろわかりやすい。
ちなみに俺を除いたらスパルナが一番高く、次いでアルディといった感じだ。こういうわかりやすくするのにはそれなりに魔力を使うし、魔力の流れを観察しているわけじゃないから遠いほど索敵能力が低下する。
が、こういう濃霧で近場にいる誰かを区別するのにはむしろこの方がわかりやすい。
ちなみにゴーレムは魔力の塊だからすぐにわかる。俺たちはそれを目印に進んでいくだけでいいというわけだ。
「皆さん、準備はよろしいですね?」
アルディが小声で息を潜めるように問いかけてきた。
スパルナ、ヘンリーの二人と頷き合って、改めてアルディの方を向いて小さく頷く。
随分進んだおかげで、敵――ヒュルマの軍勢がもう目の前といったところまでやってきていた。
彼らはこの霧の中を注意深く進んでいるようだけど、慣れてない行軍に手こずってる様子だった。
なんとか移動しようと声を出して自分たちのいる場所を知らせているようだけど、こっちからしてみたら丸わかりだ。
「それでは、作戦通りにお願いします」
アルディの言葉に俺たちは出来る限り小さく答え、小さく固まっているゴーレムと数人の兵士がまとまってる場所に静かに向かい、敵に気取られないように魔方陣を展開する。
多分、他の兵士たちも今頃同じものを展開しているだろう。今回の作戦の肝。それは――
「な、なんだ!? 身体が……沈む……!?」
「う、うわああああ! た、助けてくれ……!」
『沼』『地』の二つの起動式で出来たかなり底の深い沼だ。俺たちですら誰かの手を借りなければ抜け出すことが難しいこれを鈍重なゴーレムがなんとか出来るわけもなく、ずぶずぶと大地の海に沈んでいった。
誰か一人の声が上がったと思ったら、次々と色んなところから悲痛な声が上がっていく。アルディの作戦は上手くいったようだ。
『油断しないでくださいね! 相手はあの状態でも攻撃できます。武器を捨てた者だけ、救助してください!』
どんどん聞こえてくる悲鳴に適当に撃っているであろう銃撃が響き……もう隠密に動く必要がなくなったアルディは『拡声』の魔方陣を使って大声でこちらに指示を出しつつ、遠回しに敵に対して降伏勧告を行った。
実際、彼の声を聞いて沼はまってしまったヒュルマの兵士は次々と武器を投げ捨て、助けてくれと言ってきたしな。中には『アンヒュルの言うことなんて信用できるわけがない』とか『邪悪な者に魂を売り飛ばすくらいなら……』とかいって構わず銃で攻撃してきたり、自ら命を絶つ者も多くいた。
それでもこうやって多くの命を失わずに済んだのは、ひとえにアルディのおかげだと言っても過言ではないだろう。ただ、この魔方陣は魔力の消費が多い。後、展開にも時間が少しかかる。今回のように相手の視界を奪うことが出来たからなんとかなったけど、戦闘中に使用するにはリスクが大きい。事前に準備して追い込むような戦い方をしない限り、使うことはないだろう。
「皆さん、ありがとうございます。おかげでこちらに被害もなく、無事に戦闘を終えることができそうです」
魔方陣で作られたであろう霧が徐々に晴れてきた頃。アルディはひとしきり兵士たちに指示を出した後、笑顔でそんな事を言っていた。
周囲ではヒュルマの兵士で抵抗を続けている者も少ないし、今回の戦闘は完全勝利で治めることができたようだった。
0
あなたにおすすめの小説
平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~
金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。
そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。
カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。
やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。
魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。
これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。
エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。
第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。
旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。
ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載
老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!
菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは
「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。
同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと
アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう
最初の武器は木の棒!?
そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。
何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら
困難に立ち向かっていく。
チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!
異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。
話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい!
****** 完結まで必ず続けます *****
****** 毎日更新もします *****
他サイトへ重複投稿しています!
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。
お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)
ファンタジー
どこにでも居るような冴えないおっさん、山田 太郎(独身)は、かつてやり込んでいたファンタジーシミュレーションRPGの世界に転生する運びとなった。しかし、ゲーム序盤で倒される山賊の下っ端キャラだった。女神様から貰ったスキルと、かつてやり込んでいたゲーム知識を使って、生き延びようと決心するおっさん。はたして、モンスター蔓延る異世界で生き延びられるだろうか?ザコキャラ奮闘ファンタジーここに開幕。
神々の間では異世界転移がブームらしいです。
はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》
楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。
理由は『最近流行ってるから』
数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。
優しくて単純な少女の異世界冒険譚。
第2部 《精霊の紋章》
ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。
それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。
第3部 《交錯する戦場》
各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。
人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。
第4部 《新たなる神話》
戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。
連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。
それは、この世界で最も新しい神話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる