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第二十一節・凍てつく大地での戦い編
第358幕 凍える道のり
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国境付近で足止めを食らった俺たちは、セイルが昔買ってきたシアロルの服を参考に作られた防寒服の数が揃うのを待つ事になった。
それまでの間、身体を休める……という名目でテントを張り、野営の準備をしたが、絶えず襲ってくるゴーレムが減る事はなかった。ただ、向こうも新型の投入には躊躇いがあったようで、送り込まれてくるのはもっぱら旧型のゴーレムだった。俺たちがあれだけ倒したのだから、こうもなるか。
これくらいなら魔方陣を得意とする兵士ならなんとか出来ると言うことで、俺たちはゆっくりと休ませてもらう事にした。
「テントっていうのはもっと寒いものかと思ってたけど……案外暖かいんだな」
「服に魔方陣を刻めるなら、テントに刻んでも効果があるだろうってな。おかげで外の肌寒さは気にならない」
『防寒』『暖』の起動式で構築した魔法をテントに刻んだ。効果はしっかり現れているようで、セイルやスパルナは中でくつろいでいた。特にスパルナは寒さにとても弱いらしいから大喜びだったな。
「……ここでこのまま時間をかけて――それが本当に通じるのだろうか?」
「無理……というかまず待ってはくれないだろうな」
ロンギルス皇帝は戦いを楽しんでいる節がある。わざと個別に侵攻したり、自分が敵地に踏み込んできたり……普通ではありえない事を次々とやってのけてくる。俺たちが考えている以上の事をしでかしてくるはずだ。用心することに越したことはない。
「グ、グレリア様!」
――少し前に話した事がもう現実になりそうな……そんな予感がしそうなほど慌てた兵士が、俺たちのテントの中に入ってきた。
「どうした?」
「実は……別の場所で野営していた兵士たちが空から突然奇襲を受けて……」
「まさか全滅したのか?」
「い、いえ。半壊に近い被害は受けたようですが、全滅は免れたようです」
空から……ということは攻撃機の爆撃を受けた、ということになる。やっぱり大人しくはしてなかったようだな。
全滅しなかったのはやはり攻撃機の特徴が軍内に周知されていたおかげだろう。防御の魔方陣に魔力を集中させれば、被害を抑えることくらいは出来るだろうからな。
「それで、その空から攻撃してきた奴は?」
「は、はい。あれら――攻撃機はそれからシアロルの方面に向かっていったとの事です」
「兄貴、どう見る?」
セイルが俺の判断を仰ぐように視線を向けてきた。
ふむ……一度爆撃した後シアロルに撤退した、ということは多分補給しに戻ったんだろう。それなら――
「恐らく、もう一度別の場所を叩きに来る。それを狙って今度はこっちが仕掛ける」
「なら、僕が行った方が早いかも」
俺の言葉にスパルナが反応してくれたが、攻撃機が彼より早かったら彼は倒されてしまうだろう。
「兄貴。スパルナなら大丈夫だ。俺たちも戦車や攻撃機を相手に戦ってきた。今更心配する必要はないさ」
「うん、ぼくなら大丈夫だよ。だから、任せてよ」
スパルナの強い視線に、俺はそれ以上何も言うことが出来なくなった。
……そうだな。覚悟してるのは俺たちだけじゃない。スパルナもまた、相当の覚悟をしてきたんだろう。
「わかった。それならセイルがスパルナの動きを補佐してくれ」
「よし、スパルナ。行くぞ!」
「うん!」
張り切った二人は勢いよくテントから飛び出して行った。全く、勢いだけは一人前だな。
「グレリア様……」
その様子を見守っていた兵士が不安そうな声で俺の事を伺っていた。恐らく、彼は俺がなんとかしてくれると思っていたのだろう。だが、なんでもかんでもこっちに頼るのは間違ってる。
「大丈夫だ。少しは一緒に戦う仲間を信じろ。被害状況を報告してくれ」
「は、はい!」
兵士がビシッと敬礼して詳しい情報を教えてくれた。セイルとスパルナが攻撃機を討つ為に動いてくれている間に、こっちは体勢を整えておこう。
――
それから数週間の時間を掛けて、俺たちは準備を進めていった。
セイルとスパルナは率先して戦ってくれた。大きな火の鳥になり、かなりの速度を出す攻撃機と互角に渡り合ってくれた彼らがいなければ、軍の被害はより一層拡大していただろう。地下都市に行ったときに手に入れた本の中には音速を超える程の速度を出す戦闘機の存在も書かれていたが、それが出てこなかったのは良かった。いや、あれだけの能力の物を造る技術がまだないか……それとも材料や燃料の関係か……。
なにはともあれ、こちらでなんとか出来る範囲の物が出てくる分には問題ない。セイルたちには悪いが、二人が頑張っている間にコートや防寒具に起動式を刻み込んで行き……とうとう兵士たち全てに行き渡り、侵攻の準備は整った。
「セイル、スパルナ。よくやったな」
「えへへ、これくらいなんともないよ!」
「これから、だろ。兄貴」
二人共良い笑顔で答えてくれたが、疲れているはずだ。これからの行軍は寒さや環境の変化とも戦いになる。なるべく休ませてあげないといけないだろう。
こうして、俺たちはシアロルの帝都に向けて更に進軍を開始した。
それまでの間、身体を休める……という名目でテントを張り、野営の準備をしたが、絶えず襲ってくるゴーレムが減る事はなかった。ただ、向こうも新型の投入には躊躇いがあったようで、送り込まれてくるのはもっぱら旧型のゴーレムだった。俺たちがあれだけ倒したのだから、こうもなるか。
これくらいなら魔方陣を得意とする兵士ならなんとか出来ると言うことで、俺たちはゆっくりと休ませてもらう事にした。
「テントっていうのはもっと寒いものかと思ってたけど……案外暖かいんだな」
「服に魔方陣を刻めるなら、テントに刻んでも効果があるだろうってな。おかげで外の肌寒さは気にならない」
『防寒』『暖』の起動式で構築した魔法をテントに刻んだ。効果はしっかり現れているようで、セイルやスパルナは中でくつろいでいた。特にスパルナは寒さにとても弱いらしいから大喜びだったな。
「……ここでこのまま時間をかけて――それが本当に通じるのだろうか?」
「無理……というかまず待ってはくれないだろうな」
ロンギルス皇帝は戦いを楽しんでいる節がある。わざと個別に侵攻したり、自分が敵地に踏み込んできたり……普通ではありえない事を次々とやってのけてくる。俺たちが考えている以上の事をしでかしてくるはずだ。用心することに越したことはない。
「グ、グレリア様!」
――少し前に話した事がもう現実になりそうな……そんな予感がしそうなほど慌てた兵士が、俺たちのテントの中に入ってきた。
「どうした?」
「実は……別の場所で野営していた兵士たちが空から突然奇襲を受けて……」
「まさか全滅したのか?」
「い、いえ。半壊に近い被害は受けたようですが、全滅は免れたようです」
空から……ということは攻撃機の爆撃を受けた、ということになる。やっぱり大人しくはしてなかったようだな。
全滅しなかったのはやはり攻撃機の特徴が軍内に周知されていたおかげだろう。防御の魔方陣に魔力を集中させれば、被害を抑えることくらいは出来るだろうからな。
「それで、その空から攻撃してきた奴は?」
「は、はい。あれら――攻撃機はそれからシアロルの方面に向かっていったとの事です」
「兄貴、どう見る?」
セイルが俺の判断を仰ぐように視線を向けてきた。
ふむ……一度爆撃した後シアロルに撤退した、ということは多分補給しに戻ったんだろう。それなら――
「恐らく、もう一度別の場所を叩きに来る。それを狙って今度はこっちが仕掛ける」
「なら、僕が行った方が早いかも」
俺の言葉にスパルナが反応してくれたが、攻撃機が彼より早かったら彼は倒されてしまうだろう。
「兄貴。スパルナなら大丈夫だ。俺たちも戦車や攻撃機を相手に戦ってきた。今更心配する必要はないさ」
「うん、ぼくなら大丈夫だよ。だから、任せてよ」
スパルナの強い視線に、俺はそれ以上何も言うことが出来なくなった。
……そうだな。覚悟してるのは俺たちだけじゃない。スパルナもまた、相当の覚悟をしてきたんだろう。
「わかった。それならセイルがスパルナの動きを補佐してくれ」
「よし、スパルナ。行くぞ!」
「うん!」
張り切った二人は勢いよくテントから飛び出して行った。全く、勢いだけは一人前だな。
「グレリア様……」
その様子を見守っていた兵士が不安そうな声で俺の事を伺っていた。恐らく、彼は俺がなんとかしてくれると思っていたのだろう。だが、なんでもかんでもこっちに頼るのは間違ってる。
「大丈夫だ。少しは一緒に戦う仲間を信じろ。被害状況を報告してくれ」
「は、はい!」
兵士がビシッと敬礼して詳しい情報を教えてくれた。セイルとスパルナが攻撃機を討つ為に動いてくれている間に、こっちは体勢を整えておこう。
――
それから数週間の時間を掛けて、俺たちは準備を進めていった。
セイルとスパルナは率先して戦ってくれた。大きな火の鳥になり、かなりの速度を出す攻撃機と互角に渡り合ってくれた彼らがいなければ、軍の被害はより一層拡大していただろう。地下都市に行ったときに手に入れた本の中には音速を超える程の速度を出す戦闘機の存在も書かれていたが、それが出てこなかったのは良かった。いや、あれだけの能力の物を造る技術がまだないか……それとも材料や燃料の関係か……。
なにはともあれ、こちらでなんとか出来る範囲の物が出てくる分には問題ない。セイルたちには悪いが、二人が頑張っている間にコートや防寒具に起動式を刻み込んで行き……とうとう兵士たち全てに行き渡り、侵攻の準備は整った。
「セイル、スパルナ。よくやったな」
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「これから、だろ。兄貴」
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