リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット

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第二十一節・凍てつく大地での戦い編

第361幕 分散する者たち

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 後方からイギランスの侵攻を受けた俺は、単独で彼らが進むルートに佇んでいた。
 結局、シアロルの軍勢と戦うには今の数が必要になる。ただでさえ少ない数をイギランスに割く訳にはいかない。そして、同時に処理できる程、こちらの戦力は整っていない。
 シアロルの軍を相手にするには、イギランス軍の足止めが必要不可欠だ。

 だからこそ、俺がこの場に立っていた。シアロルでの攻防はかなりの犠牲が出るだろう。だが、向こうにはセイルやスパルナもついていてくれる。銀狼騎士団の者たちもいる。こちらを相手にするよりはマシなはずだ。

 少しずつ身体が緊張していることがわかる。今までとは明らかに違う、明確な死の香りがするからだ。
 兵士は侵攻を教えてくれはしたが、どれ程の規模なのかまでは言ってくれなかった。しかし、わざわざこの機を狙ってきたのだ。少人数で来るわけがない。少なくとも、イギランス単独でグランセスト軍を相手に出来るほどには準備しているはずだ。

 いくら俺でも、それほどの兵士たちを相手にしたことはない。それに加えて、ヘルガもあの軍の中にいるかもしれない。彼女一人に遅れを取ることはないつもりだが、何万もの軍勢と戦いながらヘルガとも戦うとなると、流石の俺も無事では済まない。いや、例えヘルガがいなくてもかなり厳しい戦いになるだろう。

「……もしかしたら、ここが俺の死に場所になるのかもな」

 ちらほらと雪が降る、一面銀の世界。その中で呟いた言葉も、雪のように降り積もって見えなくなりそうだ。
 とはいえ、ここで死ぬ気はさらさらない。俺は生きる。生きて世界の変革を見守っていく。それが新しい命を頂いた俺の役割だ。だからこそ……ここを戦い抜く。魔力、血の一滴を絞り尽くしてもここを制覇する。

「来たか」

『索敵』の魔方陣に引っかからないが、白の世界に他の色の混じっている。それらに向かって何の勧告もなく、大きな魔方陣を空中に展開する。今までとは比べ物にならない全力の一撃。身体の中の魔力が沸騰するように熱くなっていくのがわかる。もしかしたら高揚しているのかも知れないな。俺もまた、戦士だったというわけだ。

「さあ……始めようか。本当に最後の、戦いを……!」

 上の様子に気づいた兵士の何人かが『防御』関連の魔方陣を発動させているようで、軍の上空に壁のような光が展開されている。それと同時にこちらの魔方陣から逃げるように軍が後退していく。敵ながらに考えられる限り効果的な対処法だろう。だが……その程度で俺は止められはしない!

 魔方陣の起動式マジックコードを更に付け足す。『追跡』を加える。そして呼び出すのは最早俺の代名詞とも呼ばれそうな『神焔の剣』だ。ゆっくりと姿を現したそれは、後退して逃げる敵軍に目掛けて緩やかに落ちる方向を変えていく。それを見た敵軍はかなり焦ったのか、次々と魔方陣を展開して神焔の剣に向けて攻撃を加えていく。

 頭上から炎を纏った巨大な剣が降ってくるのだ。その恐怖は想像を絶するだろう。それが……直に伝わってくるような魔方陣の数々だ。流石の神焔の剣も、大量の魔方陣による攻撃が効いてるのか、少しずつ削れていっている……が、これを完全に無力化するには時間が足りないだろうな。
 そう思っていた直後、神焔の剣に向かってなにか大きな物が放たれ、着弾と同時に大きな爆発が響く。

 あれは……『ロケットランチャー』とか呼ばれている兵器だな。魔法や魔方陣なら、煙が糸みたいに引くことはない。奴らめ、こんなものまで持ち出してくるとはな。随分と本気な戦いを仕掛けてこようとしてるじゃないか。

 良いだろう。それならば、俺も更なる力を見せつけるだけだ。続け様に魔方陣を展開させる。いつまでも神焔の剣の制御しか出来ない男だと思うなよ……!

「開幕の合図はより派手な方が華やかだろう? 遠慮なく受け取れ」

 俺の前方に無数の魔方陣が一つずつ、素早く展開されていく。『炎』『弾』の単純な起動式マジックコード。だからこそ大量に展開できる。そして、一度展開すれば制御する必要はない。打ち出されてそれで終わりだ。

 神焔の剣に気を向けていた兵士たちはこちらの方に気付いて攻撃を始めてきた……のだが、距離が遠くなれば弾はあらぬ方向へと飛んでいく。風が吹き、雪が舞っているここでは余計な。だが、それはこちらにも同じことが言える。こうも距離があれば、神焔の剣のような広範囲の魔方陣ならばともかく、炎弾のような狭範囲の魔方陣で目標に命中させるなんて該当はなかなか出来ない。だが、その分数で押すことが出来る。

 解き放たれた炎弾は、相手から見たら何千の軍から同時に放たれたように見えるだろう。動揺し、中には炎弾に当たって悲鳴を上げて慌てふためいている者も。
 そんな中、神焔の剣は敵軍の中に深々と突き刺さり、周辺の敵兵を雪や大地諸共、全てを焼き払っていく。

 それでも巻き込めたのはどれくらいの兵士だろう? 殺した兵よりも更に多くの兵士が俺に向かって襲いかかってくる。

 銃を片手に馬に乗る者。狙撃銃を持っているのか、動かない者。様々な者たちとの戦いが……今ここに始まった。
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