異世界のオークションで落札された俺は男娼となる

mamaマリナ

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25、お客様第一号

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コンコン

 あっ、来た。ドキドキする。さぁ頑張るぞ。気合い入れて。かえで頑張ります。

「はい。どうぞ」

 ドアを開けると、プラチナシルバーの長髪が似合う背の高いシュッとしたイケメンがいた。うん。アフガンハウンドだ。めちゃくちゃ長髪が似合うな。当たり前か。さぁ、仕事仕事。

「お客様お待ちしておりました。かえでと申します。かえでと呼んで下さい。今日は、どうぞよろしくお願いします」

「あぁ、よろしく」

 耳がピクピクしてるし、しっぽがユラユラ揺れてる。獣人って、こういうとこ本当に可愛い。目が太ももに釘付けだ。

「あの、ジェイド様ってお呼びしてもよろしいですか?」

「あぁ」

「ありがとうございます。ジェイド様の隣に座ってもいいですか?」

 さりげなく言葉を崩して。少し距離を縮めよう。ジェイド様は、真面目なタイプだからスキンシップも少な目に。控えめな子を頑張る。

「ジェイド様は、長い髪が似合いますね。色もとてもきれい」

「そうか?怖くないか?」

「怖くないですよ。とてもカッコいいです。かえでは真っ黒なので、憧れます」

「ぐっ、ありがとう。かえでの真っ黒な髪もステキだと思う」

「本当?うれしい。ジェイド様は優しいですね」

「いや、そんなことは」

 オーナーが言っていたみたいに、ジェイド様は冷たく見られるのかなぁ。こんな言葉ひとつで顔が赤くなったり、目がキョロキョロしてるのに。こういう見た目の男の人の焦っている姿ってかわいいな。なんか女子の気持ちわかるかも。あっ、飲み物忘れてた。
 
「ジェイド様は何がお好きですか?」

「かえで」

「えっ?お飲み物なんですが?」

「えっあっ、紅茶」

 今、かえでって言った?言ったよな。なんかこっちの人ってチョロくない。少し髪についてカッコいいって言っただけなんだけど。

「紅茶ですね。かえでも好きです。ストレートも好きですけど、たまにミルクとお砂糖を入れて甘くするのも好きです」

「ミルクティー似合うな、うん、可愛い」

 ジェイド様、心の声漏れてます。ここはスルーします。さぁ、紅茶紅茶。
 それにしても心配になるぐらいチョロい。オーナーにも注意されたし、あまりヨイショするのはやめよ。当たり障りのない会話するしかないな。それも難しい。

「遅くなってすみません、紅茶どうぞ」

「ありがとう、うん。良い香り」

「良かった。ジェイド様は、オーナーの同級生なんですよね?学校が一緒だったんですか?かえでは、ここに来てまだ少しなので、色々なこと知りたいです」

「あぁ、クレイとラークとゾロと同じ学校で時を過ごした」

 支配人も店長も学校一緒だったんだぁ。こっちの学校ってどんなとこなんだろうな?

「そうなんですね。楽しそうですね。かえでも向こうの世界では学生でしたよ」

「かえでは、20歳と聞いていたが」

「向こうの世界で大学って言う場所で勉強していました。22歳で学校卒業する予定だったんですよ。日本は18歳が成人なんです。こちらは、16歳が成人なんですよね。場所が変わると色々違って面白いですよね」

 大学楽しかったなあ。こうなるならもっと遊べば良かった。ヤバいヤバい、今は、接客中。

「日本は勤勉な国なんだな。かえでは・・・・」

「ジェイド様?どうかしました?」

「いや、かえでは若く見えるなと思って」

「何歳に見えてます?」

「そうだな。16歳?」

「えっーそんなに幼いですか?」

「18~20歳?ぐらいかな」

「誤魔化された気がします」

 獣人の人に比べたら小さいよ。俺だって日本ではそこそこだったんたぞ。なんか悔しい。

「そんなことない」

「20歳です。ちゃんと大人です、エッチなことだって出来ます」

 足を組んで、膝でジェイド様の足をグッと押して、少しはだけた胸元を見せるように少し距離を縮めた。
 ジェイド様が胸元を見ている。見えそうで見えないから見てしまうよね。ここはそういうお店。次回も指名してもらえるように。最後は少しサービスだ。


コンコン

「ジェイド様、お時間となりました」

「はーい、了解です。ジェイド様、今日、ありがとうございました。短い時間でしたが、ジェイド様とお話出来て、かえでは楽しかったです」

「えっ、あっ、もう。早い。また来ても良いかな?」

「はい。かえでうれしいです。また来て下さいね、お待ちしてます」

「じゃあ、また、また来るから」

 ふぅ、終わった。固定客ゲットだな。
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