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Chapter.4
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帰宅後、夕飯を食べ、シャワーを浴び終えた鹿乃江がピンチハンガーを使って洗濯物を室内に干していると、ポコン♪ ポコン♪ と聞き覚えのある音がリュックの中から聞こえてきた。
(あれ? ミュートしてたはず……)
リュックを探りスマホを取り出すが通知は来ていない。
「んん?」
念のためアプリを立ち上げてみるが、やはり新着メッセは届いていなかった。
「なんで?」
そのとき、再度ポコン♪ と音がする。しかしその音は、手の中のスマホではなくリュックの中から聞こえている。不思議に思い中身をすべて出した。ついでに中身を整理しようと、帰り際に職場で詰め入れたサブバッグを開き、中を覗く。と、何故かそこには、財布と一緒に見知らぬスマホが入っていた。
「えっ?」
身に覚えのない端末機を取り出してみる。今日一日の行動を思い返すが、入れた記憶はない。
「えっこわい」
そのときもう一度通知音が鳴り、見知らぬスマホの画面にメッセの新着通知が表示された。すべて短文で書かれたメッセは『このスマホを拾った方へ』という一文から始まっている。
『このスマホを拾った方へ』
『良ければ返信ください』
『ロックはかかってないのですぐ使えます』
『いまは先輩のスマホから送ってます』
メッセはすべて【久我山みやび】から受信されている。
また新たに通知音が鳴って、メッセの新着通知が更新された。
『昼間、ぶつかりそうになった男です』
(あー、“肌の綺麗な男の子”か)
件の青年の顔を思い出す。
少し悩んで、通知からメッセアプリを起動すると個別ルームが表示された。
こんばんは、と打とうとしたところで新着メッセが届く。
『拾ってくれた方ですか?』
『はい、そうです。』送信と同時に既読のサインがつく。
『通知拝見して、スマホお借りしてます。』送信。既読。
『間違っていたらごめんなさい』
『昼間の女性の方ですか?』
『はい。』
『ぶつかりそうになったとき、』
『何故かバッグに入ってしまったみたいで。』
『気付くの遅くなってすみません。』
送信者のパターンに倣い、幾度かに分けて短文を送る。既読はすぐにつくが、しばらく返信がない。
「んー……」
鹿乃江は少考して、メッセを送った。
『明日、警察に届けますので』送信。既読。
お昼すぎたら問い合わせてみてください、と打ったところで、送信する前にメッセが届く。
『まってください』
文字通りの要求に、鹿乃江は送信ボタンを押せなくなった。
『ちょっと警察行く時間なくて』
『直接返してほしいんです』
『明日とか、どうでしょう』
突然の提案に回答を躊躇する。
(うーん。まぁお互い手続き面倒だよね……)
業務上、店で拾得した落とし物を届けに行くが、預けるにも受け取るにも多少の時間と手間がかかるのを鹿乃江は識っている。
仕事以外で警察に行くのは正直おっくうだ。“肌の綺麗な男の子”は、見た限り性格の良さそうな青年だった。
(ちょっと会って渡すだけならいいか……)
『ダメですか?』
考えている時間を躊躇の時間だと解釈されたのか、窺うようなメッセが届く。明日も出勤で家から出なければならないし、終業後なら行けないことはない。
さきほど入力した文章を削除して、新たにメッセを送る。
『大丈夫です。』
『仕事の後なので夜になってしまいますが……。』
『それでもよろしいですか?』
『もちろんです!』
『僕は前原紫輝といいます』
『シキって読みます』
『鶫野 鹿乃江 (つぐみの かのえ)です。』
遅ればせながらの自己紹介をしあって、待ち合わせの約束をした。
(あれ? ミュートしてたはず……)
リュックを探りスマホを取り出すが通知は来ていない。
「んん?」
念のためアプリを立ち上げてみるが、やはり新着メッセは届いていなかった。
「なんで?」
そのとき、再度ポコン♪ と音がする。しかしその音は、手の中のスマホではなくリュックの中から聞こえている。不思議に思い中身をすべて出した。ついでに中身を整理しようと、帰り際に職場で詰め入れたサブバッグを開き、中を覗く。と、何故かそこには、財布と一緒に見知らぬスマホが入っていた。
「えっ?」
身に覚えのない端末機を取り出してみる。今日一日の行動を思い返すが、入れた記憶はない。
「えっこわい」
そのときもう一度通知音が鳴り、見知らぬスマホの画面にメッセの新着通知が表示された。すべて短文で書かれたメッセは『このスマホを拾った方へ』という一文から始まっている。
『このスマホを拾った方へ』
『良ければ返信ください』
『ロックはかかってないのですぐ使えます』
『いまは先輩のスマホから送ってます』
メッセはすべて【久我山みやび】から受信されている。
また新たに通知音が鳴って、メッセの新着通知が更新された。
『昼間、ぶつかりそうになった男です』
(あー、“肌の綺麗な男の子”か)
件の青年の顔を思い出す。
少し悩んで、通知からメッセアプリを起動すると個別ルームが表示された。
こんばんは、と打とうとしたところで新着メッセが届く。
『拾ってくれた方ですか?』
『はい、そうです。』送信と同時に既読のサインがつく。
『通知拝見して、スマホお借りしてます。』送信。既読。
『間違っていたらごめんなさい』
『昼間の女性の方ですか?』
『はい。』
『ぶつかりそうになったとき、』
『何故かバッグに入ってしまったみたいで。』
『気付くの遅くなってすみません。』
送信者のパターンに倣い、幾度かに分けて短文を送る。既読はすぐにつくが、しばらく返信がない。
「んー……」
鹿乃江は少考して、メッセを送った。
『明日、警察に届けますので』送信。既読。
お昼すぎたら問い合わせてみてください、と打ったところで、送信する前にメッセが届く。
『まってください』
文字通りの要求に、鹿乃江は送信ボタンを押せなくなった。
『ちょっと警察行く時間なくて』
『直接返してほしいんです』
『明日とか、どうでしょう』
突然の提案に回答を躊躇する。
(うーん。まぁお互い手続き面倒だよね……)
業務上、店で拾得した落とし物を届けに行くが、預けるにも受け取るにも多少の時間と手間がかかるのを鹿乃江は識っている。
仕事以外で警察に行くのは正直おっくうだ。“肌の綺麗な男の子”は、見た限り性格の良さそうな青年だった。
(ちょっと会って渡すだけならいいか……)
『ダメですか?』
考えている時間を躊躇の時間だと解釈されたのか、窺うようなメッセが届く。明日も出勤で家から出なければならないし、終業後なら行けないことはない。
さきほど入力した文章を削除して、新たにメッセを送る。
『大丈夫です。』
『仕事の後なので夜になってしまいますが……。』
『それでもよろしいですか?』
『もちろんです!』
『僕は前原紫輝といいます』
『シキって読みます』
『鶫野 鹿乃江 (つぐみの かのえ)です。』
遅ればせながらの自己紹介をしあって、待ち合わせの約束をした。
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