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Chapter.45
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ポコン♪ ポコン♪ と音がする。シートにもたれかかっていた紫輝がその音に反応してガバッと前のめりになり、スマホを操作した。
「もっと酔うからやめなってぇ~」
右嶋の忠告をまたも無視し画面を凝視して、とろけるような笑顔を見せる。
「うわなに、キモイ」身体ごと引いた右嶋に
「カノジョからっしょ」左々木が言う。
「まだ違う」
「まだ」
「まだ」
メンバーが口々にマダマダ言うのを聞きながら紫輝はスマホを操作する。
パシャリ。
「スクショ!!」
後藤、左々木、右嶋と、運転する所沢の声が重なった。
「ストーカーか!」
「必死じゃん!」
「カノジョ逃げてー!」
後藤、右嶋、左々木のツッコミに、所沢は体を震わせ、声を殺して笑っている。
「なんでよ! いいじゃない! めっちゃ久しぶりの返信なのよ!」
「えっ?」
「仲直りしたんじゃないの?」
「まだできてない」
車酔いを覚ますために細く開けた窓から入る夜風に当たって、紫輝がふてくされたように言った。
「えっ? じゃあどーやって今日呼んだの?」
「呼んでない。呼べてない。けど、来てくれてたからびっくりしたの」
「じゃああんな反応になるか」フロート上での一部始終を知っている左々木が納得声で呟いた。
「あー、もう。めっちゃ色々聞きたいのにもうすぐ着いちゃう!」
車は右嶋の自宅近くまで来ていた。
「打ち上げの時に色々聞かせてよ!」
「話せることできたらね」
「できてなくても聞くから! じゃあね! おやすみ!」
皆に手を振り、右嶋が下車して自宅マンションへ入っていく。
「あいつなんでキレてたの」
「ライブあとでテンションおかしいんじゃね?」
後藤と左々木の会話を聞きながら、紫輝は喜びを噛みしめていた。
「良かったじゃん」
後部から後藤が声をかける。
「え?」
「良かったじゃん?」
「…うん。そうね。良かったね。……うん、良かった」
口に出すと、自分が思っている以上に嬉しく感じていたことに気付く。
「トワもあれで心配してるんだろうし、俺らもそうだから。なんかあったら相談してよ」そう言う後藤の横で左々木も頷き
「別にシキくんにカノジョができてファンの人が減っちゃっても、ぜーんぜん大丈夫だから!」満面の笑みで親指を立てる。
「うん。ん? うん。え? それ喜んでいいの? 応援してくれてんの?」
「うん」
「そう……。ありがとね。なんかあったら相談する」
「うん」
「待ってる」
最後部座席から紫輝の座る席の背面にもたれかかり、左々木と後藤が笑顔で頷いた。
ほどなくして紫輝の自宅マンション前に移動車が停まる。
「じゃあ、お疲れさまでした」
「お疲れさま~、がんばってね~」
車内から後藤と左々木が手を振る。紫輝はそれに応えてからエントランスに入った。
帰宅してリビングのソファに座る。車内でスクショしたメッセの画面を眺めていると、自然に頬が緩む。
『おつかれさまです。』
『まちがってないです。』
スマホのカメラロールに保存されたその二行のメッセは、ライブ後の疲れを吹き飛ばすのに充分な威力があった。
ライブのあとはいつもクールダウンがすぐにできずなかなか寝付くことができないが、今日はより一層目が冴えていた。
(メッセ…でんわ…いや~~~でもー!)
スマホを手に持ちリビングをうろうろする。
(なんか前にもこんなのやったな~~~!)
進歩のない自分の行動に苦笑する。そもそも、夜中とはいかないまでも、ライブが終わってから数時間は経っている。連絡するには時間が遅い。
ほかにも理由がひとつ。
今まで送っていた、ある意味独りよがりのメッセにも全部既読がついた。読み返しているかは別にして、それでも目に入っているであろう事実が気恥ずかしさを呼び起こす。
そんな感情と共に、控えめに手を振り返してくれた鹿乃江の笑顔を思い出した。
もっと近くで、たくさん笑っていてほしい。それがこの先、ずっと続いたら……。
嫌われたわけじゃないとわかったいま、これまでのように二の足を踏みたくない。
(さいご……本当に最後にしよう……)
その代わり、ちゃんと納得いくまで話がしたい。それには、まず会う約束をしないとならない。
(会って…くれるかな……)
気合が膨らんだり萎んだりと忙しい。
(いや、とにかく連絡! しよう! そこから!)
意を決して、日付が変わる前に送信できるよう、文面を考えてメッセを打ち始めた。
* * *
「もっと酔うからやめなってぇ~」
右嶋の忠告をまたも無視し画面を凝視して、とろけるような笑顔を見せる。
「うわなに、キモイ」身体ごと引いた右嶋に
「カノジョからっしょ」左々木が言う。
「まだ違う」
「まだ」
「まだ」
メンバーが口々にマダマダ言うのを聞きながら紫輝はスマホを操作する。
パシャリ。
「スクショ!!」
後藤、左々木、右嶋と、運転する所沢の声が重なった。
「ストーカーか!」
「必死じゃん!」
「カノジョ逃げてー!」
後藤、右嶋、左々木のツッコミに、所沢は体を震わせ、声を殺して笑っている。
「なんでよ! いいじゃない! めっちゃ久しぶりの返信なのよ!」
「えっ?」
「仲直りしたんじゃないの?」
「まだできてない」
車酔いを覚ますために細く開けた窓から入る夜風に当たって、紫輝がふてくされたように言った。
「えっ? じゃあどーやって今日呼んだの?」
「呼んでない。呼べてない。けど、来てくれてたからびっくりしたの」
「じゃああんな反応になるか」フロート上での一部始終を知っている左々木が納得声で呟いた。
「あー、もう。めっちゃ色々聞きたいのにもうすぐ着いちゃう!」
車は右嶋の自宅近くまで来ていた。
「打ち上げの時に色々聞かせてよ!」
「話せることできたらね」
「できてなくても聞くから! じゃあね! おやすみ!」
皆に手を振り、右嶋が下車して自宅マンションへ入っていく。
「あいつなんでキレてたの」
「ライブあとでテンションおかしいんじゃね?」
後藤と左々木の会話を聞きながら、紫輝は喜びを噛みしめていた。
「良かったじゃん」
後部から後藤が声をかける。
「え?」
「良かったじゃん?」
「…うん。そうね。良かったね。……うん、良かった」
口に出すと、自分が思っている以上に嬉しく感じていたことに気付く。
「トワもあれで心配してるんだろうし、俺らもそうだから。なんかあったら相談してよ」そう言う後藤の横で左々木も頷き
「別にシキくんにカノジョができてファンの人が減っちゃっても、ぜーんぜん大丈夫だから!」満面の笑みで親指を立てる。
「うん。ん? うん。え? それ喜んでいいの? 応援してくれてんの?」
「うん」
「そう……。ありがとね。なんかあったら相談する」
「うん」
「待ってる」
最後部座席から紫輝の座る席の背面にもたれかかり、左々木と後藤が笑顔で頷いた。
ほどなくして紫輝の自宅マンション前に移動車が停まる。
「じゃあ、お疲れさまでした」
「お疲れさま~、がんばってね~」
車内から後藤と左々木が手を振る。紫輝はそれに応えてからエントランスに入った。
帰宅してリビングのソファに座る。車内でスクショしたメッセの画面を眺めていると、自然に頬が緩む。
『おつかれさまです。』
『まちがってないです。』
スマホのカメラロールに保存されたその二行のメッセは、ライブ後の疲れを吹き飛ばすのに充分な威力があった。
ライブのあとはいつもクールダウンがすぐにできずなかなか寝付くことができないが、今日はより一層目が冴えていた。
(メッセ…でんわ…いや~~~でもー!)
スマホを手に持ちリビングをうろうろする。
(なんか前にもこんなのやったな~~~!)
進歩のない自分の行動に苦笑する。そもそも、夜中とはいかないまでも、ライブが終わってから数時間は経っている。連絡するには時間が遅い。
ほかにも理由がひとつ。
今まで送っていた、ある意味独りよがりのメッセにも全部既読がついた。読み返しているかは別にして、それでも目に入っているであろう事実が気恥ずかしさを呼び起こす。
そんな感情と共に、控えめに手を振り返してくれた鹿乃江の笑顔を思い出した。
もっと近くで、たくさん笑っていてほしい。それがこの先、ずっと続いたら……。
嫌われたわけじゃないとわかったいま、これまでのように二の足を踏みたくない。
(さいご……本当に最後にしよう……)
その代わり、ちゃんと納得いくまで話がしたい。それには、まず会う約束をしないとならない。
(会って…くれるかな……)
気合が膨らんだり萎んだりと忙しい。
(いや、とにかく連絡! しよう! そこから!)
意を決して、日付が変わる前に送信できるよう、文面を考えてメッセを打ち始めた。
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