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しおりを挟むその疑問には次男様が答えてくれる。
「他国では、色々な方法で水を浄化しているんだ。そもそも、この世界に水が少ないことを知っているか?」
「え?でも、地上の7割が海なのでは。」
「液体という意味ではそうだね。でも、その液体の量も、この星全体から見れば、ほんの少ししかなく、飲める水となると、さらに少なくなる。その飲めない水を浄化する技術が他国にはあるんだ。方法は国によって様々だが。とにかく飲める、綺麗な水に生まれ変わらせる技術がある。だが、我が国では、この泉に頼りすぎたために、そのような知識も技術も全くない。」
次は陛下。
時々間を置きながら、ゆっくりと、でもはっきりと、陛下は話す。
「この泉に頼りすぎるために、男子の血を継いでゆくという、王家の忌まわしい因習のせいで、国民もそれに倣った結果が、男性上位という忌むべき慣習を作ったのかもしれない。とも思っている。これは、不健全極まりない社会の在り方だ。
もしも、女神の思し召しが本当にあったとして、この王家の血が途切れかけている問題には、その大いなる意思が働いているのかもしれない。
神は、生めよ増えよ、と言った。だが、泉の元にいては、これ以上増えても死ぬだけだ。他国と協力して、知識、思想、技術をを磨き、何かに依存するのではなく、人間が人間として発展していけという思し召しだ。この歪んだ性差別も含めて。な。」
「なるほど……?」
「納得できぬか?」
「一部はわかります。全ては共感できませんが。」
「そうか。それで良い。」
陛下は私に笑いかけて、そして、言った。
「そろそろ良い時間だろう。送らせよう。戻りなさい。」
お付きの方が離宮まで送ってくださるというので、恐れ多いと、お断りしようとしたが、陛下がどうしてもと言うので、送っていただいた。
部屋を辞する時、次男様が、
「近いうちに説明に伺います。」
と言っていたが、疲れすぎて、聞き流してしまった。
帰り道に、チラッとオスカーを見かけたが、お付きの方が一緒に居てくれるからか、憎々しい視線を向けていたが、絡まれずに済んだ。
なるほど。だから送ってくれたのね。陛下は後宮に女性をたくさん置いていると聞いている。その話だけで、好色で嫌なおじさんだと思い込んでいたが、穏やかで優しげな人だった。話してくれた内容には少し疑問も残るものの、悪い人ではないように思う。
「陛下は、ああ見えて、とてもお心を痛めておられるのです。少しだけ、逃避している部分もありますが、理解して差し上げてください。」
お付きの方は、歩きながら言った。
エリザベス様の元へ戻り、お付きの方はエリザベス様と少し話した後、お帰りになった。
逃避。とは。だから、王子様とマリアさんを犠牲にしても仕方がない、ということだろうか。それは……。私の考えることではないが、答えの出ない問題に、決断を下したことは簡単ではなかったのだろう。と、少しだけ同情した。
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