侍女は婚約が内定している俺様属性の男と縁を切りたい。

彩柚月

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22 ゲイル伯爵に真実を知ってもらう

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 ゲイル伯爵が次男様と共にやってくる、と思っていたのだが、次男様は随分早くに訪問してきた。理由を聞くと、どうして一緒に行くのかと揉めるのが面倒なのと、オスカーの愚行を説明する側なので、迎える側の立場であることを伯爵に示したいのだという。そこで、
 「なので、マリナル家側に座らせてください。」
 と、言った。
 
 こちら側と言ってうちのソファは、コの字なので、リリアと次男様が同じソファに座るわけにもいかず、1人掛けに座ってもらうこととして、ゲイル伯爵の訪問を待つことになった。

 
 
 訪問してきたゲイル伯爵は、見るからに不機嫌な風で、挨拶もそこそこに客室に入ると、まず、次男様に、
 「お前が何故ここに居るんだ?サイラー。」
と、尋ねた。
 
 「もちろん、父上に真実を知っていただくためですよ。」
 と、次男様が答えると、今度はお父様が、
 「まあ、それはおいおいで。おかけ下さい。」

 お茶が人数分並べられ、ひとくち飲むと、お父様が
 「では、リリアとオスカー君の婚約の話をしたい。」
 と、切り出した。

 ゲイル伯爵は
 「もちろん、こちらは継続を望んでいる。どうやら、そちらはオスカーのことを誤解しているようだが、うちのオスカーは、優秀ではなくとも、出しゃばらず、大人しく優しい子だ。オスカー自身からも、リリア嬢と上手くやっていると聞いているし、そちらの要望にも叶っていると思うが?昨日も楽しく話したのだろう?」

 「楽しく、ですか?」
 「ああ。どんな話をしてきたか聞いたら、仕事のことや好みの服装のことなどを話したと言っていた。」

 確かに内容は合ってる。そのことが、かえって恐ろしさを覚えて、リリアは息を呑んだ。

 伯爵はそのこれを見逃さなかったようで、
 「ほら。そういうことを話したのだろう。きちんと交流はできているではないか。」
 と、勝ち誇るように言った。

 お父様は、そのことには答えずに、例の通信機を取り出してテーブルに置き、
 「まあ、そういうことは後で。まずは、これを聞いてもらいたい。」
 そう言って、カチッと再生ボタンを押した。

 昨日のオスカーとリリアの会話が再生される。
 
 —嘘だから言えないんだろう!
 —いやらしいヤツだな!
 
 改めて聞くと、何か、体の下から騒つく感じが昇ってくる。得体の知れない不安感が、ここから今すぐ立ち去りたいと思わせた。

 ふと伯爵を見ると、唖然としている。
 「……これは、オスカーの声……なのか?」
 
 再生の最後の方になってくると、心なしか青ざめて言葉を失っているようだった。

 再生が終わり、お父様がこう言った。
 「これは昨日のリリアとオスカー君の会話ですがね。さて。2人の婚約の話をしましょうか?」

 伯爵はリリアを見つめて、救いを求めるように
 「これは、オスカーではないだろう……?」
 と、言った。
 
 「いいえ。これはオスカー様と私です。」

 「嘘だ!これは捏造だ!」
 伯爵は勢いよく立ち上がり激昂した様子で、私を指さして責め立てる。
 「これがどういう道具かは知らないが、こんなことまでして、婚約をしたくない理由は何だ!オスカーの何が気に入らない!?あの子は大人しくて気弱な……こんなことを言うような子ではない!」

 「父上!失礼です。落ち着いて話さなければなりません。」
 次男様が、伯爵を抑えて、座らせた。

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