たとえば、この恋に終わりがないと言われても──

永江寧々

文字の大きさ
19 / 105

妻子

しおりを挟む
「ファリド」

 皇帝陛下を「とと様」と呼び、七星が揃って頭を下げる相手。

「子供いたんですか!?」
「ああ」

 振り向かないまま返事だけしたザファルがファリドの頭を撫でる。
 まだ幼く、5歳ぐらいだろうか。無邪気に笑っている。
 彼が走ってきたほうから足音に気付いた七星が頭を上げた。

「お帰りなさいませ、陛下。ご無事でなによりです」

 穏やかに微笑むその女性は同性であるアストリッドやイヴァから見ても美人に映った。

「お目にかかれて光栄です、アストリッド様。私は、ザファル・アレイファーンの妻で、第七夫人のアリアと申します」

 アリアと名乗ったその女は、薄い紺の絹のような薄衣を身にまとい、流れるような黒髪と相まって、まるで夜明け前の月の美しさを連想させる。
 その目は穏やかに細められ、どこか儚げな印象さえ受けるのだが不思議と弱さは感じない。むしろ、どこまでも静かで、どこまでも強い、そんな印象を受けた。

 彼女はこの招待をどう思っているのだろう。
 船の中でイフラーシュたちが話していたのはアリアではなくリアーナという女性のことばかりだった。美しい女を連れ帰る嫉妬で暴れるかもしれない、怖いだなんだと言っていただけに、アリアの反応に少し警戒していたのだが、彼女からは、嫉妬も敵意も、なにも感じない。
 それが逆に、少し怖いと思った。

「第七!?」

 子供のときと同じく、驚きに声を上げたイヴァが慌てて口を押さえるも目は見開きっぱなしでアリアを見ていた。

「ファリド、いらっしゃい」
「かか様、とと様が帰ってきて嬉しいです!」
「そうね。まだかまだかと帰りを待っていたものね」

 ラフナディールについて話はある程度聞いていた。しかし、ザファルについてはあまり聞かなかった。聞いたのは、いつ皇帝陛下になったのか、ということだけ。
 彼は二十代半ば。一夫多妻制のラフナディールで皇帝となった男に妻子がいないほうがおかしいのかもしれない。

「ア、アストリッド様、ど、どうします!?」

 焦るイヴァが首を捩じ切らん勢いでアストリッドを見るとザファルも振り返った。しかし、両者の目はどちらともアストリッドの視線と交わることはなかった。
 アストリッドが一歩前に出ると七星が道を開ける。開いたそこに立って頭を下げた。

「お会いできて光栄です、アリア様。亡き夫との約束を守るためと、義理堅い皇帝陛下のお言葉に甘え、厚かましくもここまで来てしまいましたこと、どうぞお許しください」
「王妃よ、それほどまでにへりくだる必要はない。私が勝手にしたことだ」
「ザファル陛下はフィルング陛下にとても心を寄せておられましたので」
「勘違いされるような言い方はよせ」
「ふふっ、ごめんなさい。羨ましく思うぐらい熱心に手紙の返事を出されていたものですから」

 大人なのだろう。どんな感情を抱えていようと、それを他者に見せることはしない利口な女性。
 それか、妻であることの余裕。
 どちらにせよ、立場が違うのだから嫉妬する理由もないのだろうと思い至った。

「ルールが多い皇宮での生活には苦労なさるでしょうが、私でよければ説明いたしますので、なんでも聞いてくださいね」
「ありがとうございます」

 ここで静かに暮らすつもりのアストリッドにとってルールはあまり関係ないが、ありがたい申し出に笑顔を見せた。

「とと様、この方がフィルング陛下のお嫁さんですか?」

 アリアの後ろに少し身を隠しながらこちらを覗くファリドにも笑顔を向けると笑顔が返ってくる。

「アストリッド様、よろしければ私たちのお茶会にご参加いただけませんか? 夕方に──」
「アリア、王妃は長旅で疲れている」
「あ……ごめんなさい。配慮ができていませんでした」
「お気遣いいただき光栄です。ですが、どうぞ私はいない者として扱ってください」
「そんなこと……」
「ラフナディールの生活に慣れた頃、街で家を探して暮らすつもりですから」

 驚いた顔で見上げてくるアリアと目を合わせることをしなかったザファルは「ゆっくり休んでくれ」と残してその場を離れていく。
 戸惑いながらもザファルのあとを追いかけるアリアが見えなくなるまでアストリッドはそこに立っていた。

「イヴァ、入りましょう」
「あ、はい」

 アリアの姿が見えなくなった頃、中に入ってドアを閉めるとひんやりとした室内に大きく息を吐き出す。
 身につけていたストールを外し、イヴァが預かる。アストリッドはそのまますぐ、ソファーに腰掛けた。

「第七夫人って言ってましたね。」
「ええ、そうね」
「ということは、他にもたくさん夫人がいるということですか……」
「どうしたの?」

 首を傾げるアストリッドにイヴァはどこか落ち込んだ様子で答えた。

「私、ザファル様はてっきり……アストリッド様を正妻に迎えるおつもりなんだとばかり……」
「理由がないじゃない」
「好きだったとか」
「ありえない。話したのは一度きりよ。そのときだって長くは話さなかったし」

 若くしてメイドとして働き始めたイヴァにとって、恋とはそれほど身近なものではなく、彼女はまだ恋をしたことがない。
 パーティーの際に貴族たちを見てはミーハー全開で小さくはしゃぐことはあっても、それが恋に繋がったことは一度もなかった。
 そんなイヴァの中で、なんとなくだが、ザファルはアストリッドを嫁にするつもりなのだと思っていただけに、妻子がいたことは驚きよりもショックのほうが大きかった。

「ザファル様はフィルング陛下をとても慕っておられました。まるで実の兄のように」

 一緒に残ったアミーラがお茶の準備をしながらこぼした言葉にザイードを思い出した。
 兄弟仲が良くないのは明白で、兄から怒りと嫌味をこぼされるのでは手を取り合う気になれるはずもない。
 ザファルがフィルングを兄のように慕っていたのだとしたら、フィルングも同じだったはず。ザファルから手紙が届くと嬉しそうに読んでいたから。
 兄弟がいないフィルングにとってザファルは自分を慕ってくれる弟のように感じていたのかもしれない。
 それこそ、相思相愛のように。

「アリア様は夫人の中で唯一、ザファル様の子を身籠られた方です」
「一人だけなんですか?」
「はい。ザファル様はあまり積極的ではないらしく、お父上のマルダーン様に叱られたことでようやく動き出したぐらいなのです」
「第七夫人が最初に妊娠したとき、問題にならなかったんですか?」
「皆わかっていましたから」

 かぶりを振るアミーラにイヴァが首を傾げる。

「ラフナディールでは、“七”という数字が守護数と言われています」
「ああ、七星とか?」
「そうです。そしてアリア様は第七夫人でしたので、まず子を身籠るならアリア様だろうと噂はありました」
「ザイード様の第七夫人も真っ先に妊娠したんですか?」
「ザイード様は……」

 苦笑するアミーラがアストリッドの前に茶を運び、側に立った。

「イヴァ、あまりあれこれ聞かないの」
「あ、すみません。つい……」
「いえ、いいんですよ。ザイード様は第四夫人までしかおられませんので」
「そうなんですか? 意外と一途なのかな?」

 一途という言葉に苦笑を深めるアミーラがアストリッドを見るとかぶりを振られたため答えるのは控えることにした。

「私からも一つ、よろしいですか?」
「ええ、どうぞ」

 向かいに座るよう促すと頭を下げてから腰掛けたアミーラが少し神妙な顔を見せる。

「自立されるとおっしゃっていましたが、本気ですか?」
「……ここに長居する理由がないのです。命を救っていただいただけでなく、居場所がなくなった私に選択肢を与えてくださいました。返しきれないほどの恩がある以上、もうご迷惑をお掛けするわけにはいきません」

 ザファルの傍にいることをフィルングは願っていたが、父親が言ったように死者の言葉だ。
 アストリッドの中で、夫からの最後の願いだからというのは、居座り続ける理由にはならなかった。

「ザファル様はアストリッド様にここでゆっくりと過ごしていただきたいと望んでおられます。心身ともに療養が必要だと」
「ありがとうございます。しかし、ここよりもイヴァと二人で暮らすほうがゆっくり過ごせると思うんです。イヴァと二人で仕事をしてお金を稼ぎ、買い物をして、料理をして──上手くいくかはわかりませんが、それが私の理想なのです」

 風の精霊にできることは限られている。火は起こせないし水も出せない。だからこそ、ちゃんと自分でできることを増やしていく必要がある。
 だが、自分だけの意だけで先走るわけにはいかない。まずはイヴァがこの世界に慣れることが先決。自分はイヴァに教えを乞う立場であることを自覚しているからこそ、踏み出すのはイヴァの許可を得てからと決めている。

「あなたはそれでいいのですか?」

 イヴァに振り返ったアミーラはイヴァの即答を見た。

「私はアストリッド様の人生を共に歩く者ですから。アストリッド様の“したい”ができるようにお手伝いし、支えるのが役目なんです」

 付き従う覚悟はとうの昔にできている。迷いはない。
 ドンッと胸を叩いて眩しいほどの笑顔を見せるイヴァにアミーラは頷くことしかできなかった。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』

鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」 華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。 王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。 そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。 レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。 「お願いだ……戻ってきてくれ……」 王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。 「もう遅いわ」 愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。 裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。 これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

婚約破棄されたので、自由に生きたら王太子が失脚しましたあ

鍛高譚
恋愛
名門アーデン公爵家の令嬢 ロザリー・フォン・アーデン は、王太子 エドワード・カミル・レグノード の婚約者として誰もが認める完璧な貴族令嬢だった。 しかしある日、王太子は突如 “聖女” を名乗る平民の少女 セシリア・ブランシュ に夢中になり、ロザリーに無情な婚約破棄を言い渡す。 「これは神の導きだ! 私の本当の運命の相手はセシリアなんだ!」 「ロザリー様、あなたは王太子妃にふさわしくありませんわ」 ──ふたりの言葉を前に、ロザリーは静かに微笑んだ。 「……そうですか。では、私も自由に生きさせていただきますわね?」 だが、これがロザリーの “ざまぁ” 逆転劇の幕開けだった! 神託と称して王太子を操る “聖女” の正体は、なんと偽者!? さらに王室財政を私物化する 汚職貴族との黒い繋がり も発覚!? 次々と暴かれる陰謀の数々に、王宮は大混乱。 そして、すべての証拠が王の手に渡ったとき──王太子 エドワードは王太子の地位を剥奪され、偽の聖女と共に国外追放 となる! 「ロザリー様を捨てた王太子は大馬鹿者だ!」 「やっぱり王妃にふさわしかったのはロザリー様だったのよ!」 社交界ではロザリーへの称賛が止まらない。 そしてそんな彼女のもとに、なんと隣国の 若き王クラウス・アレクサンドル から正式な求婚が──!? 「私はあなたの聡明さと誇り高き心に惹かれました。私の王妃になっていただけませんか?」 かつての婚約破棄が嘘のように、今度は 本物の愛と自由を手にするチャンス が巡ってくる。 しかし、ロザリーはすぐに頷かない。 「私はもう、誰かに振り回されるだけの人生は選びません」 王妃となる道を選ぶのか、それとも公爵家の令嬢として新たな未来を切り開くのか──?

引きこもり聖女は祈らない

鷹 綾
恋愛
内容紹介 聖女ポーラ・スターは、引きこもっていた。 人と話すことができず、部屋から出ることもできず、 彼女の意思表示は、扉に貼られる小さなメモだけだった。 「西の街道でがけ崩れが起きます」 「今日は、クラムチャウダーが食べたいです」 祈らず、姿も見せず、奇跡を誇示することもない聖女。 その存在は次第に「役立たず」と見なされ、 王太子リチャードから一方的に婚約を破棄され、聖女の地位も解かれる。 ──だが、その日を境に、王国は壊れ始めた。 天候不順、嵐、洪水、冷害。 新たに任命された聖女は奇跡を演じるが、世界は救われない。 誰もが気づかぬまま、 「何もしない聖女」が、実はすべてを支えていた事実だけが残されていた。 扉の向こうで静かに生きる少女と、 毎日声をかけ続ける精神科医フォージャー。 失われていく王国と、取り戻されていく一人の人生。 これは、 祈らない聖女が選んだ、 誰にも支配されない静かな結末の物語。 『引きこもり聖女は祈らない』 ざまぁは声高でなく、 救いは奇跡ではなく、 その扉の向こうに、確かにあった。

夫が運命の番と出会いました

重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。 だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。 しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?

婚約破棄されました(効率の悪い労働でした) ― 働いてない? 舞踏会は、充分重労働ですわ! ―

ふわふわ
恋愛
「働いていない?――いいえ、舞踏会も社交も重労働ですわ!」 前世で“働きすぎて壊れた”記憶を持ったまま、 異世界の公爵令嬢ルナ・ルクスとして転生したヒロイン。 生まれながらにして働く必要のない身分。 理想のスローライフが始まる――はずだった。 しかし現実は、 舞踏会、社交、芸術鑑賞、気配り、微笑み、評価、期待。 貴族社会は、想像以上の超・ブラック企業だった。 「ノブレス・オブリージュ?  それ、長時間無償労働の言い換えですわよね?」 働かないために、あえて“何もしない”を選ぶルナ。 倹約を拒み、金を回し、 孤児院さえも「未来への投資」と割り切って運営する。 やがて王都は混乱し、 なぜか彼女の領地だけが安定していく――。 称賛され、基準にされ、 善意を押し付けられ、 正義を振りかざされ、 人格まで語られる。 それでもルナは、動かない。 「期待されなくなった瞬間が、いちばん自由ですわ」 誰とも戦わず、誰も論破せず、 ただ“巻き込まれない”ことを貫いた先に待つのは、 何も起きない、静かで満たされた日常。 これは―― 世界を救わない。 誰かに尽くさない。 それでも確かに幸せな、 働かない公爵令嬢の勝利の物語。 「何も起きない毎日こそ、私が選び取った結末ですわ」

【完結】これは紛うことなき政略結婚である

七瀬菜々
恋愛
 没落寸前の貧乏侯爵家の令嬢アンリエッタ・ペリゴールは、スラム街出身の豪商クロード・ウェルズリーと結婚した。  金はないが血筋だけは立派な女と、金はあるが賤しい血筋の男。  互いに金と爵位のためだけに結婚した二人はきっと、恋も愛も介在しない冷めきった結婚生活を送ることになるのだろう。  アンリエッタはそう思っていた。  けれど、いざ新婚生活を始めてみると、何だか想像していたよりもずっと甘い気がして……!?   *この物語は、今まで顔を合わせれば喧嘩ばかりだった二人が夫婦となり、紆余曲折ありながらも愛と絆を深めていくただのハイテンションラブコメ………になる予定です。   ーーーーーーーーーー *主要な登場人物* ○アンリエッタ・ペリゴール いろんな不幸が重なり落ちぶれた、貧乏侯爵家の一人娘。意地っ張りでプライドの高いツンデレヒロイン。 ○クロード・ウェルズリー 一代で莫大な富を築き上げた豪商。生まれは卑しいが、顔がよく金持ち。恋愛に関しては不器用な男。 ○ニコル アンリエッタの侍女。 アンリエッタにとっては母であり、姉であり、友である大切な存在。 ○ミゲル クロードの秘書。 優しそうに見えて辛辣で容赦がない性格。常にひと言多い。

「幼馴染は、安心できる人で――独占する人でした」

だって、これも愛なの。
恋愛
幼い頃の無邪気な一言。 「お兄様みたいな人が好き」――その言葉を信じ続け、彼はずっと優しく隣にいてくれた。 エリナにとってレオンは、安心できる幼馴染。 いつも柔らかく笑い、困ったときには「無理しなくていい」と支えてくれる存在だった。 けれど、他の誰かの影が差し込んだ瞬間、彼の奥に潜む本音が溢れ出す。 「俺は譲らないよ。誰にも渡さない」 優しいだけじゃない。 安心と独占欲――その落差に揺さぶられて、エリナの胸は恋に気づいていく。 安心できる人が、唯一の人になるまで。 甘く切ない幼馴染ラブストーリー。

伯爵令嬢の前途多難な婚活──王太子殿下を突き飛ばしたら、なぜか仲良くなりました

森島菫
恋愛
シャーロット・フォード伯爵令嬢。 社交界に滅多に姿を見せず、性格も趣味も交遊関係も謎に包まれた人物──と言えばミステリアスな女性に聞こえるが、そんな彼女が社交界に出ない理由はただ一つ。 男性恐怖症である。 「そのままだと、何かと困るでしょう?」 「それはそうなんだけどおおおお」 伯爵家で今日も繰り返される、母と娘の掛け合い。いつもなら適当な理由をつけて参席を断るのだが、今回ばかりはそうもいかない。なぜなら「未婚の男女は全員出席必須」のパーティーがあるからだ。 両親は、愛娘シャーロットの結婚を非常に心配していた。そんな中で届いたこのパーティーの招待状。伯爵家の存続の危機を救ってもらうべく、彼らは気乗りしない娘を何とか説得してパーティーに向かわせた。 しかし当日、シャーロットはとんでもない事態を引き起こすことになる。 「王太子殿下を、突き飛ばしてしまったのよ」 「「はぁっ!?」」 男性恐怖症のシャーロットが限界になると発動する行動──相手を突き飛ばしてしまうこと──が、よりにもよってこの国の王太子に降りかかったのである。 不敬罪必死のこの事態に、誰もが覚悟を決めた。 ところが、事態は思わぬ方向へ転がっていき──。 これは、社交を避けてきた伯爵令嬢が腹を括り、結婚を目指して試行錯誤する話。 恋愛あり、改革あり、試練あり!内容盛りだくさんな伯爵令嬢の婚活を、お楽しみあれ。

処理中です...