たとえば、この恋に終わりがないと言われても──

永江寧々

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バシールという男

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 午後の陽射しが庭園に優しく注ぐ中、アストリッドは花壇の手入れに没頭していた。半年をかけて丁寧に育て上げた花々は、今や見事に咲き誇っている。
 白、赤、紫、水色、黄色、橙、それぞれが異なる香りを放ち、庭園全体を甘やかな芳香で包んでいた。

「ルィム、このデザートローズの蕾、もうすぐ咲きそうね」

 アストリッドが水差しを傾けながら呼びかけると、ルィムがふわりと舞い上がって薔薇の側に寄った。

「ルー!」

 ルィムの愛らしい声が風に乗って流れていく。
 アストリッドは微笑みながら次の花に水をやろうとしたとき、ルィムの様子が変わったことに気づいた。

「ル?」
「ルィム? どうかしたの?」

 ルィムが庭園の入り口の方を見つめている。そこには、ゆっくりとした流れでこちらに近付いてくる一体の精霊の姿。
 細身のルィムとは対照的にがっしりとした体格で騎士を思わせる格好をした精霊だった。一見、とても堅物そうに見えるが、花を見た瞬間、穏やかな笑みへと変わった。

「ルー?」

 ルィムに精霊に声をかけた。
 何かを話しているが、アストリッドにはルィムの声しか聞こえない。ザイードを見たときのようにルィムが警戒を見せないことから悪意あるタイプではないのだろうと判断し、二人が話し終えるのを水やりをしながら待つことにした。

「ルー! ルルッ、ルルッ!」

 アストリッドの前にやってきたルィムが身振り手振りを交えながら説明を始めた。
 彼の名前はティグラと言い、花の匂いに惹かれてやってきた土の精霊だと。

「ルー」
「ええ、もちろん。どうぞ」

 花を見せてあげてもいいかという問いかけに水やりを止めて中へ招き入れるように手で促した。
 礼儀正しく頭を下げて花の上を飛ぶティグラの動きはゆっくりで、活発に動き回るルィムとはこれもまた対照的だった。

「どこから来たのかしら?」

 野良の精霊は聞いたことがなく、精霊がいるということは近くに所持者がいるということになる。
 ふと、アストリッドの頭の中をある言葉がよぎった。

『兄は火を、弟は土を、そして俺だけが水だった』

 精霊の加護は誰もが受けられるわけではない。この国で加護を受けられる者がいるとすればアレイファーン一族。そして土を受けたのは──

「ティグラー?」

 後方から聞こえた声にアストリッドが振り返ると、一人の青年が困ったような表情でこちらへと歩いてきている。
 筋肉質な身体に甘いマスクの男性。

「あ、いたー。もう、勝手にいなくなるなっていつも言ってるのにお前はどうして俺の言うことを聞いてくれないの?」

 近付いてきたティグラが肩へと乗せ、そしてアストリッドに気付くとこれまた困った顔で近付いていく。

「勝手にお邪魔してごめんね。迷惑かけなかった?」
「あ、いえ、良い子でしたよ。花壇に入るのに断りまで入れてくれて」
「お前、俺にもそれぐらい礼儀正しくしてくれてもいいんだよ?」

 良かったと安堵すると同時に自分の精霊に文句を言うのを見てルィムが「ルー」と声をかけるとひどく驚いた顔をした。

「しゃべんの!?」
「え、ええ」
「うちの子しゃべんないんだけど」
「個性かもしれませんね」
「ルー!」
「いい個性だね」

 穏やかに笑う人懐っこい印象の彼にアストリッドはもしかして、と抱いていた疑問を問いかけることにした。

「ザファル陛下の──」
「弟だよ。名前はバシール。ようやく会えて嬉しいよ、アストリッドちゃん」
「ちゃん……」

 生まれて初めての呼ばれ方に戸惑いながらも差し出された手を軽く握った。力は決して強くはなく、長引かないようにアストリッドがすっと自然に引くとそれに合わせて彼も手を離した。

「俺の精霊は土だから花壇によく散歩しに行くんだよね。花も好きでさ。ここの香りに惹かれてきたのかも。邪魔してごめんね。あっちの花壇に行こう、ティグラ。ここはアストリッドちゃんの花壇だからダメだよ」

 ティグラに声はないが、表情には明らかに名残惜しさが込められていた。
 精霊同士話ができることは珍しく、話す機会など滅多に訪れないだけに嬉しかったのかもしれないとティグラの表情から察したアストリッドがジョウロを置いた。

「あの、もしよろしければ、ここの花壇でゆっくりさせてあげてください。ルィムもお話ができてとても楽しそうですから」
「えっ、あ、でも……忙しいんじゃない?」
「いえ、とんでもない。今日は休みにすると決めているんです」
「ティグラ、どうしたい?」

 ルィムの隣に並んで穏やかな表情で頷くのを見て、アストリッドが「中へどうぞ」と玄関へと向かうのを見てバシールがスッと目を細める。

「じゃあ、少しだけ」

 足取り軽くアストリッドの後ろを歩くバシールの目は頭のてっぺんから足先まで這うようにおりていく。
 
「イヴァ、お客様がいらしたからお茶を淹れようと思うんだけど、あなたも飲む?」

 アストリッドがイヴァがいる二階に向かって声をかけると、掃除をしていたイヴァが慌てて飛び出してきた。

「お客様? ザファル陛下、ではない――どちら様ですか?」

 イヴァはバシールを見て、目を丸くした。見知らぬ男性がいることに驚いたのだ。ましてや男は上半身裸。市場にはそういう男ばかりであるため見慣れはしたが、アストリッドの傍にいるのは違うと慌てて降りてきた。

「ザファル陛下の弟君よ。お茶飲む?」
「弟君?」

 そう聞いてもイヴァの表情は変わらない。ザファルが来ていないのに弟が何用だと怪訝な表情を見せる。

「ルィムが彼の精霊と話をしてる間、ここで休んでもらうことにしたの。外は暑いから」
「慣れてると思いますけど……」
「どうしたの?」
「ザファル陛下の許可は──」
「イヴァ、お茶を淹れてきてくれる?」

 明らかに無礼な発言をしようとしているイヴァに仕事を出すと渋々といった感じを全開にしてキッチンへと向かう。

「いい子だね」

 バシールの発言に驚いた顔をするアストリッドを見下ろしながらバシールが微笑む。

「主人を守ろうとするいい子だよ。皇族だからって信用せず、主人を第一に考えてるんだからね」

 そう受け止めてくれた相手の優しさにアストリッドは笑顔をこぼす。
 アストリッドはイヴァを褒められることが一番嬉しい。毎日一生懸命生きているイヴァを誰かが認めて褒めてくれる。それが大きな喜びとなる。

「どうぞ、おかけください」

 ソファーに腰を下ろしたバシールは窓の外にいる精霊たちを見た。二体の精霊は花壇を回りながら何やら楽しそうに会話を続けている。

「あんなふうに精霊同士が話すことって、少ないよね」

 バシールが感慨深げに言った。

「兄二人も精霊持ちだけどさ、仲良くないからティグラに友達作ってやれなくて」

 ザファルは兄から恨まれていると言っていた。兄弟仲が良くないとも言っていた。弟もそう言うのだから間違いないのだろう。

「一番上のザイードは火の精霊で、真ん中のザファルは水の精霊。火と水ってめちゃくちゃ相性が悪いじゃん? で、俺が土の精霊。バラバラなんだよね。一緒に過ごす時間もないから精霊同士が仲良くすることもないし」

 ザファルはどこか寂しげだったが、バシールの口調からは不仲であることはどうだっていいと思っているように感じる。肩を竦め、兄たちを思い出しながらやれやれと呆れている感じだ。

「偶然とはいえ、ティグラに話し相手ができたのは嬉しいな」
 
 バシールは心から嬉しそうに答えた。
 実際、彼の言葉には嘘はなかった。ティグラは無口で感情表現もさほど豊かではないが、友達を欲しがっているように見えていたから。
 精霊を所持していなければ精霊を見ることはできない。ティグラにとって唯一の話し相手はバシールだが、バシールは常に女と一緒にいるため話す時間はほとんどない。

「もうちょっと話してあげないとな……」

 ティグラの穏やかな表情にボソッと呟いた。

「お待たせしました」

 イヴァがお茶を運んでくるとバシールは笑顔を見せた。

「いい香り! え、なにこの香り。俺、お茶には結構詳しいけど、この香りは知らないかも」
「これはメルバというお茶なんです。メルの実を乾燥させて香りを移したもので、西ではよく飲まれるんですよ」
「へー! メルの実って美味しいの?」
「食べるとその渋さに顔が変わってしまうと言われています」
「うわー! 食べてみたいかも!」
「本当に渋いんですよ」
「食べたことある?」
「食べた人を見たことはあります」
「見てみたいなー!」

 無邪気な人という印象が強かった。どこかイヴァの元気さに似ている。
 ザファルの弟ということはまだ二十歳そこそこだろう。それこそイヴァと変わらないように見えた。

「どこに売ってたの?」
「ザファル陛下が取り寄せてくださったんです」
「ザファル兄が!? マジ!?」

 大袈裟に感じる驚き方にアストリッドのほうが驚いた顔をする。

「ザファル兄って誰かのために動く人じゃないんだよね。妊娠した妻のために何かを贈ることもしなかったし、出産に駆けつけることもなかったし、名前をつけることもしなかった。ザファル兄って心を母親のお腹の中に忘れてきたんじゃないかって言われるぐらい人に興味を持たないことで有名だから」

 ザファルはファリドのことを息子だと思っているだけだと言っていた。
 それは照れ隠しでもなく、とても悲しい本心なのだろう。
 だが、アストリッドが悲しいと思ったのは、彼の本心よりも周りがそういう言い方をすること。してきたことは事実だとしても、心がないと言われるのは悲しい。
 彼がどれほど優しい人か知っているアストリッドにとって、その言葉に同調することはできなかった。
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