王道学園のコミュ障ニセチャラ男くん、憧れの会長と同室になったようで

伊月乃鏡

文字の大きさ
3 / 201

2

しおりを挟む
ということで誰もが憧れた学園の生徒会長と同室になりました。どういうラノベ? 奇跡なの?

(いや、はしゃぐなはしゃぐな俺。俺は友達が著しく少ない)

それがなんの関係があるのかは不明だが、友達の数を指折り数えようとして数本で終わった時俺は自分がゴミカスバッドコミュニケーション芸人であることを自覚できるので有効である。

(あくまで冷静に、理知的に! 武藤様の不快にならないようなコミュニケーションを心がける!)

そうたとえば、武藤様と良く一緒にいる副会長のような。メガネをきらんと光らせ、なんかすごいオシャレでシニカルな発言を常にする感じで。

よし、いくぞ!

「ただいま~、へぇ俺、生徒会長様と一緒だったんだ? 光栄だねぇ」

ガチャ、と鍵を開けた先は玄関であった。クソ広。奥の方にリビングが見える。

「……」

びっくりするくらい誰もいない。まぁ武藤様以外基本いるはずがないんだけども。
そういえば生徒会、まだ活動してたんだっけ……

「…………」

コミュ障、一人で大はしゃぎ、ってことですか。
なるほどね?

「流石に死にてぇ~~~~笑」

一瞬で仮面を叩き割る。割らないと何するか分からなかった。とりあえずこれはしばらく引きずるし今日寝る時そっと記憶が蘇ることは確定した。

仕方がないので玄関で靴を脱ぎ揃え、泥だらけの靴下で上がるのも──造園作業をすると汚れるので──忍びないので仕方なく靴下を脱ぎ、ぺたぺたとリビングに上がる。
あっなんかスリッパ持ってきてた方が良かったかな。まぁいっか明日買お。

「リビング広、ダイニングキッチンじゃんけ。なんかフライパンいっぱいある! 何に使うの?」

失礼である。カスの自炊力を見せつけてしまった。
普通に私物の可能性が高いし。ちなみに俺はフライパンと鍋は一つずつしかない。

だだっ広いダイニングキッチンの端っこにいくつか段ボールが積んである。俺の荷物だろう。
開けてみると新築もびっくりのだだっ広いフローリングだった。ここで寝泊まりしろってことか。
家具、無い?

流石に困惑して併設されていた収納をのぞけば、お値段以上のローテーブルとラグと布団と座椅子が入っていた。二年間使っていた相棒たちである。
なーんだ、俺の私物が部屋に対し少なすぎただけか!

「出しといてくれや~」

い草を使った大きめのラグを、コンセントのある端っこに合わせて敷く。デケェ窓から太陽光が入るのでちょっといい匂いがした。

そこに収納から取り出した布団を敷いて、余ったスペースにお値段以上なローテーブルを組み立てておき、座椅子を設置した。
これで俺の部屋再現はおしまいなのだが。

「びっくりするくらいスペース余った」

教科書類は学校に置き勉してるし、鏡は手鏡を駆使してるし、元々使ってなかっただけに省スペースなのに加え部屋が広すぎる。旅館のあの一番楽しいわけわからん和室みたいになってる、俺の生活スペースが。
ブレザーとネクタイをクローゼットにかけて、シャツとズボンというラフな格好で腕をまくる。

「っし! この調子で段ボールも開封してくか!」

いくつか積まれた段ボールに手をかける。異常に重い。心折れた。

「お、重ッッッッ……まるで俺の出来た友達への執着みたいに重い! なに!? 何の重さこれ!?!? 怖!!」

グッと腰を入れて持ち上げる、と。
段ボールの底が抜ける。何かが落ちてくる。え、茶色。芋? デカ。新じゃが?

ァッッッッ!!!!!!!!!」

ドゴゴゴゴ!! と重い音を立て、5月初旬の芋が親指の根っこを強かに打つ。綺麗なダイニングに芋がゴロンゴロンと転がっていき、俺はあまりの痛みにそれ以上声が出ずのたうち回る。

何ならのたうち回った時芋が倒れ込む俺と地面との間に入って肋にダメージがいった。芋は無傷だった。芋つよ。

「~~~~ッ、なんで芋……!?」

投げ捨てた段ボールの奥からメモがはらりと落ちてきて偶然目に入った。母親の少し右肩上がりの文字で、メッセージが書いてある。

『芋2キロです。お友達と食べてね』

2キロ消費できるお友達とかいないが?
母はどうやら、俺の部屋割り変更のことを友人チャンスだと理解しているらしい。
コミュ障ゆえに心配をかけているし、母は根明なので根暗コミュ障の息子を一切理解できていない。ちなみに俺は顔が母親性格が父親に似ているそうだ。祖母談。確かに父さんは根暗である。

ゴロゴロとのたうち回っている過程でふと後ろを向く。
一対の瞳が俺を見つめていた。

「……」
「……」

煌びやかな美貌、艶やかな着こなし、ぬばたまの黒髪。獅子のように鋭い薄い金色の瞳が、じっと俺を見つめている。
何も言いようがない。芋にまみれてんだからこっちは。

「……何?」

正当な疑問である。

「やっほー会長さま、親の差し入れ開封しただけだけどぉ?」
「お前の家系、差し入れを散らばしてのたうち回ることを開封の儀にしてんのか?」
「……」

鋭いツッコミだった。チャラ男で誤魔化せるわけもない。当たり前である。どこの世界で芋に埋もれてのたうち回るチャラ男がいるのか。

武藤様にもドン引きされている。
違う、違うんだ。これも全て親指を打ったから。
指の付け根が防護できてなかったからなんだ。

そう、これも全て

「スリッパがないから……!」
「それは違うだろ」
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

【完結】我が兄は生徒会長である!

tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。 名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。 そんな彼には「推し」がいる。 それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。 実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。 終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。 本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。 (番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)

とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~

無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。 自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。

風紀委員長様は王道転校生がお嫌い

八(八月八)
BL
※11/12 10話後半を加筆しました。  11/21 登場人物まとめを追加しました。 【第7回BL小説大賞エントリー中】 山奥にある全寮制の名門男子校鶯実学園。 この学園では、各委員会の委員長副委員長と、生徒会執行部が『役付』と呼ばれる特権を持っていた。 東海林幹春は、そんな鶯実学園の風紀委員長。 風紀委員長の名に恥じぬ様、真面目実直に、髪は七三、黒縁メガネも掛けて職務に当たっていた。 しかしある日、突如として彼の生活を脅かす転入生が現われる。 ボサボサ頭に大きなメガネ、ブカブカの制服に身を包んだ転校生は、元はシングルマザーの田舎育ち。母の再婚により理事長の親戚となり、この学園に編入してきたものの、学園の特殊な環境に慣れず、あくまでも庶民感覚で突き進もうとする。 おまけにその転校生に、生徒会執行部の面々はメロメロに!? そんな転校生がとにかく気に入らない幹春。 何を隠そう、彼こそが、中学まで、転校生を凌ぐ超極貧ド田舎生活をしてきていたから! ※11/12に10話加筆しています。

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…

彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜?? ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。 みんなから嫌われるはずの悪役。  そ・れ・な・の・に… どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?! もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣) そんなオレの物語が今始まる___。 ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️

平凡ハイスペックのマイペース少年!〜王道学園風〜

ミクリ21
BL
竜城 梓という平凡な見た目のハイスペック高校生の話です。 王道学園物が元ネタで、とにかくコメディに走る物語を心掛けています! ※作者の遊び心を詰め込んだ作品になります。 ※現在連載中止中で、途中までしかないです。

処理中です...