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結果的に犬神さまに助け出された形になったわけだが、教室に向かう道中はかなり気まずいものがあった。
何しろこの男、しゃべらないのである。
「助かった~! ごめんね犬神さま、うちの痴情に巻き込んで~? なんてね~」
「……」
「てかこれ、犬神さまもSHR遅れてる感じ? それとも教師公認? まっじめ~」
「……」
全然喋んない。え? これ俺がダメ? なんか話題選びミスってる? わかんないよコミュ障だもん。コミュ障に会話の盛り上がりを期待しないでほしい。
犬神さまは動物好きで才色兼備でめちゃくちゃすごいお人だけれど、直接お話ししたい感じではないのだ。
「てかさ~、執行部なら知ってるんでしょ? 会長さまとおれが同室なの。おれってば問題児なのに、会長さまも困っちゃうよね~」
犬神さまがじっとこちらを見た。この話題は食いつきがいいらしい。
「あ、もちろん謀反なんてしないよ~? いい子にしてますって。おれもバカじゃないんだからさぁ」
「……知ってる」
「へー、意外と高く買われてるんだ? ま、じゃないと警戒なんてしないもんねぇ」
果てしなく長い廊下を二人で歩く。俺は比較的自由に歩いているのだが、明らかに足の長さが違う俺を犬神さまが置いていくことはなかった。警戒対象にこの優しさ、さすがは慈愛の犬神である。
「それにしても、会長さまって料理も出来るんだね~。ま、執行部のみんななら知ってるか~」
まさに完璧人間ってやつ? と本心も込めて笑えば、犬神さまは眉間の皺をぎゅうっと深くした。
「……普通だ」
「普通に仲良いって? あはは、言われちゃった~」
執行部の皆さまは独特の距離感があるが、仲は悪いわけではないらしい。
推し達の仲が悪いとオタクは悲しいのでよいことである。これから先も末長く仲良くしていてほしい。
執行部は顔面美が飽和していて集まると眼福だというのもある。
「おれは、」
「ま、役員って言っても執行部は上司って感じだからねぇ~。仲良くしてもらった方が助かるけど……」
「…………」
「どしたの?」
「なんでもない……仲は良い」
オタクニッコリ案件です。
あまり自己主張をしない犬神さまが仲良しだと名乗る、それにしかない栄養があります。ありがたいね。
「ふっ、ふふ! 素直じゃ~ん。おれ、素直な子は好きだよ~?」
顔を逸らされた。嬉しくはないらしい。俺に好かれたところで嬉しいとは確かに思えないが、それならそれではっきり言ってくれた方が……傷付くな。うーんさすが慈愛の犬神……
「っと、おれ教室ここだから~。じゃね~」
「……ああ、また」
または出来れば会いたくないかもしれない。あまり周囲と交流しない犬神様に会うってことは、武藤様に忠実な彼の逆鱗に触れる様なことがあるということである。
特に俺の立場は今グラッグラなので……今日も多分釘を刺しに来たんだろうし……
答えずに無言で手を振って教室に入る。
「……」
そんな俺の背中を犬神さまはじっと眺めていたわけだけれど、俺が振り返ることはなかった。睨まれてたらめっちゃ傷付くので。
何しろこの男、しゃべらないのである。
「助かった~! ごめんね犬神さま、うちの痴情に巻き込んで~? なんてね~」
「……」
「てかこれ、犬神さまもSHR遅れてる感じ? それとも教師公認? まっじめ~」
「……」
全然喋んない。え? これ俺がダメ? なんか話題選びミスってる? わかんないよコミュ障だもん。コミュ障に会話の盛り上がりを期待しないでほしい。
犬神さまは動物好きで才色兼備でめちゃくちゃすごいお人だけれど、直接お話ししたい感じではないのだ。
「てかさ~、執行部なら知ってるんでしょ? 会長さまとおれが同室なの。おれってば問題児なのに、会長さまも困っちゃうよね~」
犬神さまがじっとこちらを見た。この話題は食いつきがいいらしい。
「あ、もちろん謀反なんてしないよ~? いい子にしてますって。おれもバカじゃないんだからさぁ」
「……知ってる」
「へー、意外と高く買われてるんだ? ま、じゃないと警戒なんてしないもんねぇ」
果てしなく長い廊下を二人で歩く。俺は比較的自由に歩いているのだが、明らかに足の長さが違う俺を犬神さまが置いていくことはなかった。警戒対象にこの優しさ、さすがは慈愛の犬神である。
「それにしても、会長さまって料理も出来るんだね~。ま、執行部のみんななら知ってるか~」
まさに完璧人間ってやつ? と本心も込めて笑えば、犬神さまは眉間の皺をぎゅうっと深くした。
「……普通だ」
「普通に仲良いって? あはは、言われちゃった~」
執行部の皆さまは独特の距離感があるが、仲は悪いわけではないらしい。
推し達の仲が悪いとオタクは悲しいのでよいことである。これから先も末長く仲良くしていてほしい。
執行部は顔面美が飽和していて集まると眼福だというのもある。
「おれは、」
「ま、役員って言っても執行部は上司って感じだからねぇ~。仲良くしてもらった方が助かるけど……」
「…………」
「どしたの?」
「なんでもない……仲は良い」
オタクニッコリ案件です。
あまり自己主張をしない犬神さまが仲良しだと名乗る、それにしかない栄養があります。ありがたいね。
「ふっ、ふふ! 素直じゃ~ん。おれ、素直な子は好きだよ~?」
顔を逸らされた。嬉しくはないらしい。俺に好かれたところで嬉しいとは確かに思えないが、それならそれではっきり言ってくれた方が……傷付くな。うーんさすが慈愛の犬神……
「っと、おれ教室ここだから~。じゃね~」
「……ああ、また」
または出来れば会いたくないかもしれない。あまり周囲と交流しない犬神様に会うってことは、武藤様に忠実な彼の逆鱗に触れる様なことがあるということである。
特に俺の立場は今グラッグラなので……今日も多分釘を刺しに来たんだろうし……
答えずに無言で手を振って教室に入る。
「……」
そんな俺の背中を犬神さまはじっと眺めていたわけだけれど、俺が振り返ることはなかった。睨まれてたらめっちゃ傷付くので。
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