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密着! 夏休み旅行!
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「大変申し訳ございませんでしたお客様……!」
「本当にな! 覚えてろよ老害ども!」
「コラッ師匠!!」
結局、あのあと俺はカネさん達にやり返し大乱闘を繰り広げ、最終的にはバスでサボっていた引率のホスト教師こと仁川先生に確認をとってもらい誤解が解けた。
カネさん達にやり返した件については相手がケチをつけたとのことで不問だそうだ。当たり前である。
「っだぁーーもう疲れた! もう動かねー!」
「師匠は帰省したようなものだからな……俺も帰省の時は少し緊張する」
「そんなんじゃないよ~。いいんちょーみたいな名門はそりゃまぁ帰るたびに大変だろうけど、うちは普通の家だし……」
ちょっと地域に知り合いが多いだけだ。とはいえうちは子供の数が少なく、港町である点と温泉旅館の存在で成り立っているような場所だ。
少し前まで観光業すら碌になかったこの土地は、長閑で穏やかだが閉鎖的で、若者がまともに暮らせるような環境ではなかった。
「そういえば、明後日は五年に一度の祭りだと言っていたが」
「……あ~」
通された部屋の畳に寝転ぶ俺に引き摺られて、真道も寝転んだ。
祭り……そういえばもうそんな時期か。
前に参加したのはいつだったか、中学に上がった頃だったような気がする。
祭りの頻度も少ないからここは見どころもないんだよなー。
最近は海開き大会とか開催してるらしいけど、所詮おっさん達の考える祭りだし時代に合わないっていうか。
「お、何だこのパンフレット。映えスポット特集……?」
「都会に迎合しようとしてない?」
「文字入りチュロスとりんご飴専門店だそうだ」
「思いの外迎合してる……」
腹を見せる速さが瞬時じゃねーか。
机の上に置いてあるパンフレットと優待券(サービス)を見ながら真道がほんのり楽しそうに伝えてくる。
その手に繋がれた手錠は、先ほどの乱闘でくっきりと跡がついていた。
「……ハァ……ごめんね。地元ではしゃぎすぎちゃった~。手首冷やそっか」
「む? いや、問題ないぞ。我が校には不良が多いからな、多少の痛みは慣れている」
それはそう。真道は我が校の風紀をまとめる委員長。いくら童貞くさいとはいえ、生徒会役員で最も荒事に長けている。
多分俺より──まぁ俺はそもそもそこまで荒事は得意じゃないが。
「そういう話じゃないでしょ? いいんちょー、きれーな肌してるんだから~。大事にさせてよ。ねっ?」
今更仮面をかぶっても無意味な気がするが、もはやこれは俺の意地である。にっこりといつも通り笑いかければ、分厚い眼鏡の奥で真道が気圧されたようにぐ、と黙り、そっとこちらに手を差し出してきた。
「いいこ~」
「成程、それが師匠の技というわけか」
「なぁに? きゅんとしちゃった~?」
流石は砂月屋、広い室内である。少し足を伸ばして冷蔵庫から氷嚢を手に取り、冷蔵庫に立てかけておいた鞄からタオルを一枚抜き出した。アメニティを借りてもいいが、部屋の露天風呂は遠いので真道にも歩いてもらわんといかん。
氷嚢を直接当てないようにタオルで巻く。他の人は知らんが俺はじんわり冷やしてもらう方が嬉しい。
「うん」
「え」
ごとり。
地面にタオルごと氷が落ちる。振り返れば、真っ直ぐな眼がこちらをむいていた。
「思わず、どきりとした。お前の手にかかれば、俺は簡単に恋をしてしまいそうだ」
…………!?!?!?!?!?
わぁ一瞬頭の中に宇宙が浮かんだ。
人間ってびっくりしたらマジでこうなるんだ!?!?
いや待て落ち着け田中宗介、冷静に冷静に。
いつも通りクールでシニカルで甘ったるいチャラ男を演じるんだ。
「氷嚢が買ったばかりの金魚みたいに暴れ倒しているが大丈夫か?」
「じゃあ静かでしょ!!!」
「うるさいが!?!?」
うるせっこっちが今生死の境彷徨ったわ!!
びっくりした本当、急に告白一歩手前みたいなこと言うから。あと二ミリくらいずれてたら告白くらいの位置に言葉を投げてくるもんだから!
「びっくりしたぁ。いいんちょー、あんまそういうの人に言っちゃダメだよー」
いや良いのか逆に。こいつは童貞卒業したい訳だし。
「なに! もう五人くらいに言ってしまった!」
「……」
まぁーそうだよな。俺が初出な訳ない。流石に。
なにしろこいつは女の子に少し優しくされただけで自分に気があるのか勘違いし、その勘違いの結果相手に恋をするタイプの童貞だ。
「うん、セクハラに値するからね~セクハラにね~」
「セクハラなのか!?!?!?!?!?」
氷嚢をタオルにくるんで投げつける。当然のようにキャッチされてむかついたが、これで怪我されても困ったのでまぁいい。
大人しく冷やしている真道を横目に、俺は着替えることにした。うわ浴衣しかないじゃん。
「む、浴衣か。洋服を着るよりは良いが──」
「うわ変態えっち見ないでよ」
「すすすすまない!!!!!」
何でやねん。てか去年も思ったけど、手錠でどうやって着替えるんだよ。ちなみに去年は親指の関節を外した。もう二度と経験したくないものである。
まぁ今年も参加しちゃった俺が悪いしな。
「そういえば、着替えの際は衛生面から手錠を外す許可が出っ、何をしているかお前はーーーッッッ!!!!!」
「え?」
「手錠まで外せたらお前ッ、流石に言い逃れようがないぞお前!!!!」
嘘だろ申請すればよかったのか。だから去年のペアドン引きしてたんだ。でもその日の夜貞操を奪われそうになって関節外して逃げ出したんだよな。人間の琴線って不思議なところにある。
「田中宗介!! 不躾な質問で申し訳ないが!」
「(申し訳ないならしないでほしい)なに!?」
「一度手錠を掛けられたことがあるのか貴様!?!?」
ねぇよ!!!!!!! 何でそう思ったんだよ!!
──心当たりがありすぎる!!!!
「ない! 誓ってないです!! ありそうなのは認めるけど……!!」
というかワッパえ。呼び方が堂に入りすぎている。普通に手錠って呼んでくれなんか怖いから。
はだけた服を整えてスパンと襖を開ける。何とは無しに気まずいのでさっさと手錠を外してしまいたい。
「本当にな! 覚えてろよ老害ども!」
「コラッ師匠!!」
結局、あのあと俺はカネさん達にやり返し大乱闘を繰り広げ、最終的にはバスでサボっていた引率のホスト教師こと仁川先生に確認をとってもらい誤解が解けた。
カネさん達にやり返した件については相手がケチをつけたとのことで不問だそうだ。当たり前である。
「っだぁーーもう疲れた! もう動かねー!」
「師匠は帰省したようなものだからな……俺も帰省の時は少し緊張する」
「そんなんじゃないよ~。いいんちょーみたいな名門はそりゃまぁ帰るたびに大変だろうけど、うちは普通の家だし……」
ちょっと地域に知り合いが多いだけだ。とはいえうちは子供の数が少なく、港町である点と温泉旅館の存在で成り立っているような場所だ。
少し前まで観光業すら碌になかったこの土地は、長閑で穏やかだが閉鎖的で、若者がまともに暮らせるような環境ではなかった。
「そういえば、明後日は五年に一度の祭りだと言っていたが」
「……あ~」
通された部屋の畳に寝転ぶ俺に引き摺られて、真道も寝転んだ。
祭り……そういえばもうそんな時期か。
前に参加したのはいつだったか、中学に上がった頃だったような気がする。
祭りの頻度も少ないからここは見どころもないんだよなー。
最近は海開き大会とか開催してるらしいけど、所詮おっさん達の考える祭りだし時代に合わないっていうか。
「お、何だこのパンフレット。映えスポット特集……?」
「都会に迎合しようとしてない?」
「文字入りチュロスとりんご飴専門店だそうだ」
「思いの外迎合してる……」
腹を見せる速さが瞬時じゃねーか。
机の上に置いてあるパンフレットと優待券(サービス)を見ながら真道がほんのり楽しそうに伝えてくる。
その手に繋がれた手錠は、先ほどの乱闘でくっきりと跡がついていた。
「……ハァ……ごめんね。地元ではしゃぎすぎちゃった~。手首冷やそっか」
「む? いや、問題ないぞ。我が校には不良が多いからな、多少の痛みは慣れている」
それはそう。真道は我が校の風紀をまとめる委員長。いくら童貞くさいとはいえ、生徒会役員で最も荒事に長けている。
多分俺より──まぁ俺はそもそもそこまで荒事は得意じゃないが。
「そういう話じゃないでしょ? いいんちょー、きれーな肌してるんだから~。大事にさせてよ。ねっ?」
今更仮面をかぶっても無意味な気がするが、もはやこれは俺の意地である。にっこりといつも通り笑いかければ、分厚い眼鏡の奥で真道が気圧されたようにぐ、と黙り、そっとこちらに手を差し出してきた。
「いいこ~」
「成程、それが師匠の技というわけか」
「なぁに? きゅんとしちゃった~?」
流石は砂月屋、広い室内である。少し足を伸ばして冷蔵庫から氷嚢を手に取り、冷蔵庫に立てかけておいた鞄からタオルを一枚抜き出した。アメニティを借りてもいいが、部屋の露天風呂は遠いので真道にも歩いてもらわんといかん。
氷嚢を直接当てないようにタオルで巻く。他の人は知らんが俺はじんわり冷やしてもらう方が嬉しい。
「うん」
「え」
ごとり。
地面にタオルごと氷が落ちる。振り返れば、真っ直ぐな眼がこちらをむいていた。
「思わず、どきりとした。お前の手にかかれば、俺は簡単に恋をしてしまいそうだ」
…………!?!?!?!?!?
わぁ一瞬頭の中に宇宙が浮かんだ。
人間ってびっくりしたらマジでこうなるんだ!?!?
いや待て落ち着け田中宗介、冷静に冷静に。
いつも通りクールでシニカルで甘ったるいチャラ男を演じるんだ。
「氷嚢が買ったばかりの金魚みたいに暴れ倒しているが大丈夫か?」
「じゃあ静かでしょ!!!」
「うるさいが!?!?」
うるせっこっちが今生死の境彷徨ったわ!!
びっくりした本当、急に告白一歩手前みたいなこと言うから。あと二ミリくらいずれてたら告白くらいの位置に言葉を投げてくるもんだから!
「びっくりしたぁ。いいんちょー、あんまそういうの人に言っちゃダメだよー」
いや良いのか逆に。こいつは童貞卒業したい訳だし。
「なに! もう五人くらいに言ってしまった!」
「……」
まぁーそうだよな。俺が初出な訳ない。流石に。
なにしろこいつは女の子に少し優しくされただけで自分に気があるのか勘違いし、その勘違いの結果相手に恋をするタイプの童貞だ。
「うん、セクハラに値するからね~セクハラにね~」
「セクハラなのか!?!?!?!?!?」
氷嚢をタオルにくるんで投げつける。当然のようにキャッチされてむかついたが、これで怪我されても困ったのでまぁいい。
大人しく冷やしている真道を横目に、俺は着替えることにした。うわ浴衣しかないじゃん。
「む、浴衣か。洋服を着るよりは良いが──」
「うわ変態えっち見ないでよ」
「すすすすまない!!!!!」
何でやねん。てか去年も思ったけど、手錠でどうやって着替えるんだよ。ちなみに去年は親指の関節を外した。もう二度と経験したくないものである。
まぁ今年も参加しちゃった俺が悪いしな。
「そういえば、着替えの際は衛生面から手錠を外す許可が出っ、何をしているかお前はーーーッッッ!!!!!」
「え?」
「手錠まで外せたらお前ッ、流石に言い逃れようがないぞお前!!!!」
嘘だろ申請すればよかったのか。だから去年のペアドン引きしてたんだ。でもその日の夜貞操を奪われそうになって関節外して逃げ出したんだよな。人間の琴線って不思議なところにある。
「田中宗介!! 不躾な質問で申し訳ないが!」
「(申し訳ないならしないでほしい)なに!?」
「一度手錠を掛けられたことがあるのか貴様!?!?」
ねぇよ!!!!!!! 何でそう思ったんだよ!!
──心当たりがありすぎる!!!!
「ない! 誓ってないです!! ありそうなのは認めるけど……!!」
というかワッパえ。呼び方が堂に入りすぎている。普通に手錠って呼んでくれなんか怖いから。
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