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密着! 夏休み旅行!
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翌日。俺は朝からクソデカ神社こと水明神社の境内に登っていた。水明神社は山に続く踏切の向こう、海のよく見える高い場所にある。その高さや規模から、津波が来た時の避難所として俺たち子供は何度もきたことがあった。
「ほんで、これですか」
「人使いの荒い方じゃのう大将は」
「地元への義理も忘れねぇ、さすが兄貴ッス!」
「……って奴らに引きずられてきた俺たちの事も考えてもらえませんと」
「眠い、死ぬ……」
「早朝の六時に山登りをさせる理由がそれですか、田中宗介……」
えーい黙って聞いていればチピチピチャパチャパと。まぁ俺が巻き込んだので仕方がないのだが。
境内には俺含めて八人の生徒が集まっていた。
正確に言えばイブキと獅童くんにしか声をかけていないのだが、手錠のせいで二人引きずられてきた上にどこからか聞きつけた東郷くんまで来てしまった。申請して外してこいよ手錠は。
「まぁーそういうこと~。みんなには明日、それぞれ屋台の担当をしてもらいたいんだよね~」
「どれだけ人不足なんだここは」
「映えスポットに依存し始めた田舎町に未来なんてあるわけないでしょ」
当然人も居ない。長い階段を登ってきて息切れしている生徒は置いておいて、元気そうな獅童くんを呼ぶ。引きずられて島田くんもきた。一番しんどそうなのにごめんね。
「はい、これ」
「? なんやこれ……狐面?」
「屋台自体は簡単だし、壊滅的に不器用な人も居ないから大丈夫だと思うんだけど……大事な注意点があるんだよね~」
そもそも出すものは決まっているし、試作とか試食とかその辺りの楽しいことは元々屋台の担当だった人がやっている。まぁそれで気ィ抜いて全員で集まり宴会をして何人か倒れた結果これなんだが。
つまり明日は指示通り手を動かせば良いだけ。で、材料がなくなれば終わりでいい。バイト経験のない副会長にはイブキがついてるし簡単なことだ、が。
「明日はね、顔を見せちゃいけないよ。このお面は決して外してはならないからね」
これも水明祭の運営に人が来ない理由の一つである。水場に霊は集まるというが、元々は漁業で栄え水と密接に過ごしてきたこの町はほんのりと不思議で不穏なところがある。
見たことのない裏路地に、行こうとしても行けない駄菓子屋。襖の奥で誰かが呼んで、四時につけた豆電球へたかった虫は微かに言葉を話している。
そんな町において『神様が来る祭り』は、本当に神様が来るのだ。
「…………………すんません、怖い話してます?」
「ちょっとしてる」
「真藤家も古いからそういうのには馴染みがあるな。真っ白な反物が夜になれば真っ赤に見えるとか」
「ああそれ市ヶ谷にもありますよ。古い家には大抵なんかありますよね」
「俺の家鳴らない鈴があるぜ。鳴ったら災害が起きんだ」
古くから日本にある家系の人たちがそれぞれ顔を見合わせて頷く。なかなか飲み込みが早いようで何よりである。そういう少し不思議なものは基本的に危害を加えてこないのだが、水明祭は曲がりなりにも神事であるので。
「えっ!? ちょっと待ってちょっと待ってなんでそんなあっさり受け入れてるの!?!? どういうこと僕全然ついていってない!!」
「急に怪談にしなさんなや!!!!」
「怖ーーッッ何!? 急に本当になんなんですか田中さま!!」
そして二人が騒ぎ始めた。あの二人はどちらも古い家系ではないので不思議体験に慣れてはいないのだろう。
確かに怖い、急に顔をけして見せるなとか言われたら。
「因習村やないですか!!!!!!!!!」
「獅童くんここがおれの地元であることを忘れてるな~??」
「だとしても因習村や!!!!!!!!!!!」
頑なすぎる、因習村判定が。
絶叫する獅童くんを堂々と落ち着かせる。副会長はさっきから黙っているけれど大丈夫なのだろうか。
「……それで? 面を取って仕舞えばどうなるのですか?」
あ、喋った。さすが副会長だな、即刻ルールの確認に来る。
俺はその疑問に、ううんと首を傾げた。
「実は分かんないんだよねぇ~……覗き込まれるとは言われてるんだけど~……」
「覗き込まれる?」
「うん。神様に覗き込まれちゃダメなんだよ~。でも、取った人の話聞いたことないんだよね~」
「1番怖いやつやないですか!!!!!!!!!」
早朝の霧が勝った境内に獅童くんの絶叫が響き渡る。すごい反響している。朝から元気だなこの子は。
「何が起こるかわからんけど絶対にしちゃいけんことがあるって因習村の定番やないか!! そらわからんわだって連絡つかんのやもん!! 話聞けるわけがなか!! 考えうる限り最も怖い回答やそれはーーッッ!!!!!!!!!」
「待って待って、あとで死体見つかるとかよりかは怖くなくない~?」
「死体見つからん方が面を外した人の存在が消えてそうで怖かですよ!!!!!!!!!」
崩れ落ちた獅童くん。この子意外と怖いの苦手なんだな。古い家系組はなんかやばそーとケラケラ笑っている。この情報で一切動じないこいつらも怖くなってきたな。
「因習村の定番すぎて怖くなってきたかも」
「わしはもう怖い。面ははずさんきちびっても許いてくれんか?」
「さっきから因習村因習村って人の地元に向かって」
固まってる四人の中で冷静なのは副会長だけである。
「なるほど、ところで面はいくつほど持参すればよろしいのでしょうか。九つほど?」
「猫の魂の数かなそれは」
あれっ副会長!?!?!?!?!?
「ほんで、これですか」
「人使いの荒い方じゃのう大将は」
「地元への義理も忘れねぇ、さすが兄貴ッス!」
「……って奴らに引きずられてきた俺たちの事も考えてもらえませんと」
「眠い、死ぬ……」
「早朝の六時に山登りをさせる理由がそれですか、田中宗介……」
えーい黙って聞いていればチピチピチャパチャパと。まぁ俺が巻き込んだので仕方がないのだが。
境内には俺含めて八人の生徒が集まっていた。
正確に言えばイブキと獅童くんにしか声をかけていないのだが、手錠のせいで二人引きずられてきた上にどこからか聞きつけた東郷くんまで来てしまった。申請して外してこいよ手錠は。
「まぁーそういうこと~。みんなには明日、それぞれ屋台の担当をしてもらいたいんだよね~」
「どれだけ人不足なんだここは」
「映えスポットに依存し始めた田舎町に未来なんてあるわけないでしょ」
当然人も居ない。長い階段を登ってきて息切れしている生徒は置いておいて、元気そうな獅童くんを呼ぶ。引きずられて島田くんもきた。一番しんどそうなのにごめんね。
「はい、これ」
「? なんやこれ……狐面?」
「屋台自体は簡単だし、壊滅的に不器用な人も居ないから大丈夫だと思うんだけど……大事な注意点があるんだよね~」
そもそも出すものは決まっているし、試作とか試食とかその辺りの楽しいことは元々屋台の担当だった人がやっている。まぁそれで気ィ抜いて全員で集まり宴会をして何人か倒れた結果これなんだが。
つまり明日は指示通り手を動かせば良いだけ。で、材料がなくなれば終わりでいい。バイト経験のない副会長にはイブキがついてるし簡単なことだ、が。
「明日はね、顔を見せちゃいけないよ。このお面は決して外してはならないからね」
これも水明祭の運営に人が来ない理由の一つである。水場に霊は集まるというが、元々は漁業で栄え水と密接に過ごしてきたこの町はほんのりと不思議で不穏なところがある。
見たことのない裏路地に、行こうとしても行けない駄菓子屋。襖の奥で誰かが呼んで、四時につけた豆電球へたかった虫は微かに言葉を話している。
そんな町において『神様が来る祭り』は、本当に神様が来るのだ。
「…………………すんません、怖い話してます?」
「ちょっとしてる」
「真藤家も古いからそういうのには馴染みがあるな。真っ白な反物が夜になれば真っ赤に見えるとか」
「ああそれ市ヶ谷にもありますよ。古い家には大抵なんかありますよね」
「俺の家鳴らない鈴があるぜ。鳴ったら災害が起きんだ」
古くから日本にある家系の人たちがそれぞれ顔を見合わせて頷く。なかなか飲み込みが早いようで何よりである。そういう少し不思議なものは基本的に危害を加えてこないのだが、水明祭は曲がりなりにも神事であるので。
「えっ!? ちょっと待ってちょっと待ってなんでそんなあっさり受け入れてるの!?!? どういうこと僕全然ついていってない!!」
「急に怪談にしなさんなや!!!!」
「怖ーーッッ何!? 急に本当になんなんですか田中さま!!」
そして二人が騒ぎ始めた。あの二人はどちらも古い家系ではないので不思議体験に慣れてはいないのだろう。
確かに怖い、急に顔をけして見せるなとか言われたら。
「因習村やないですか!!!!!!!!!」
「獅童くんここがおれの地元であることを忘れてるな~??」
「だとしても因習村や!!!!!!!!!!!」
頑なすぎる、因習村判定が。
絶叫する獅童くんを堂々と落ち着かせる。副会長はさっきから黙っているけれど大丈夫なのだろうか。
「……それで? 面を取って仕舞えばどうなるのですか?」
あ、喋った。さすが副会長だな、即刻ルールの確認に来る。
俺はその疑問に、ううんと首を傾げた。
「実は分かんないんだよねぇ~……覗き込まれるとは言われてるんだけど~……」
「覗き込まれる?」
「うん。神様に覗き込まれちゃダメなんだよ~。でも、取った人の話聞いたことないんだよね~」
「1番怖いやつやないですか!!!!!!!!!」
早朝の霧が勝った境内に獅童くんの絶叫が響き渡る。すごい反響している。朝から元気だなこの子は。
「何が起こるかわからんけど絶対にしちゃいけんことがあるって因習村の定番やないか!! そらわからんわだって連絡つかんのやもん!! 話聞けるわけがなか!! 考えうる限り最も怖い回答やそれはーーッッ!!!!!!!!!」
「待って待って、あとで死体見つかるとかよりかは怖くなくない~?」
「死体見つからん方が面を外した人の存在が消えてそうで怖かですよ!!!!!!!!!」
崩れ落ちた獅童くん。この子意外と怖いの苦手なんだな。古い家系組はなんかやばそーとケラケラ笑っている。この情報で一切動じないこいつらも怖くなってきたな。
「因習村の定番すぎて怖くなってきたかも」
「わしはもう怖い。面ははずさんきちびっても許いてくれんか?」
「さっきから因習村因習村って人の地元に向かって」
固まってる四人の中で冷静なのは副会長だけである。
「なるほど、ところで面はいくつほど持参すればよろしいのでしょうか。九つほど?」
「猫の魂の数かなそれは」
あれっ副会長!?!?!?!?!?
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