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監禁! 最後の文化祭
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怠惰な豚のように武藤様に飼われるのも悪くはないが、流石に俺は尊厳のある人間なので一年これは困る。てかインターネット禁断症状が出てきたので至急出してほしい。が。
「うめぇか」
「美味しい! 武藤様が一番だよ」
「フン……」
これが可愛くてやめられないのだ。
実際武藤様のご飯は美味しいが、褒めると鼻を鳴らして分かりづらく嬉しそうにする。なんでわかるって、ちょっと頬が染まるのと目尻が緩むのでわかるのだ。
その中でも殊更いちばん、という言葉を好む。
だから笑って一番だというと、最近では珍しく満足そうな顔をする。それが可愛い。
「これなんて名前の料理?」
「エスカロップ」
「エスカ、何」
よくわからんけどうまい。チャーハンの上にカツが乗っている。揚げ物ってアホみたいに手間かかるのによくやるよな。
「おいしいね、ところで武藤様スマホくらいそろそろ返して──」
「ダメだ」
「何でだよ~~」
そろそろSNSを見ないと不安症状でどうしようもないぜ。夏休み終わりまでだからと油断していたが、これが続くようなら本当に困る。禁断症状が出る。
「ハァ……じゃあ武藤様、郵便物出して」
ぺ、と手を差し出す。賭けだったが、武藤様の顔色が変わった。
ざ、と青ざめる。食べる手が止まる。瞳孔が震えていた。一気に張り詰めた空気に、俺は今日何度目かのため息をついた。
「分かりやす……」
やはり何か隠していたか。
別に、誰か宛がある訳ではない。ただ、この状況の俺に外部からの干渉があれば隠すだろうなとアタリをつけただけだ。
ここで鎌をかけて知らないようなら追求はしなかった。俺みたいなボッチに手紙やらの郵便物が来る訳ないしな。
「みんな俺のこと忘れて気にしてないなら言わないつもりだけど……そこまで自由を奪われる所以はないよ。例え誰だろうとその権利はない」
「……わぁってるよ」
「じゃあ出して」
武藤様はよく落ち着いて表情を観察すれば、考えていることがごく分かりやすい。今は……何でわかった、くらいだろうか。
別に約束したって良い。監禁のことは書かない、助けを求めないと。彼が言い出せば、だけど。
「……後で渡す……」
「おっけ! ありがとう~」
言わないのわかってるけど。
もう睨みつける気力もないのか、押し掛かる罪悪感がそれを許さないのか、武藤様は意気消沈して味のしなくなったであろう食事を口に入れる。
叱られた子犬のような姿に絆されそうになるがそれはそれ。
正直こんなコミュ障オタクに詰められてしょんぼりする武藤様は見たくなかったが、真面目な人なのだ。
食事が終われば、武藤様は部屋に引っ込んで何やらゴソゴソと取り出してきた。ガチャリと音を立てて扉が開き、特に何をするでもなくデケェテレビ(二週間前に買ってもらった)を見ていた俺に何やら封筒が渡される。
「オラ」
「ん……ああ、ユキちゃんか」
受け取った封筒はシンプルな薄紫のものだった。手紙を入れるときにしか使わない形の、横長の封筒からシーリングスタンプ風のシールを剥がして手紙を見る、と。
「っうお」
中から何か小さな袋みたいなものが落ちる。千代紙で折られた包み? だ。
同時に封筒を開けた瞬間、ふわりと香ってきたのはラベンダー。封筒の内側を見ると水彩風にラベンダーが描いてある。おしゃれだなー!!
「便箋からも匂いがする、すごいなこれ。でも紙濡れてない……」
香水、じゃないよな? 持続時間そんなに長くないし。
何だこれどうなってるんだ。
俺はオシャレに疎いのである。スマホで調べようとしたらなかった。そりゃそうか。
「武藤様~っ!」
「何だ!」
風呂掃除に行っていた武藤様が、風呂場から動かずに呼び掛けに答えてくれた。これ幸いにと疑問をぶつける。
「そら文香だ!! 香水をかけるんじゃなくて、香を砕いて包んだものを入れんだよ! 最近は同時に手紙も入ってる!!」
さすが武藤様、オシャレ品格がある。それはそれとして風呂場でめちゃくちゃ声張ってるな。いや近所迷惑とかないから良いのか。
武藤様はオシャレ事情もさることながらこういう雑学とか結構好きだ。凝り性な人なので、今も洗剤をいくつも使って風呂を清掃している。絶対そんな必要ないのに。
凝り性って結局三日坊主で続けない印象があるが、武藤様は大抵のことはせっせと続けている。一回夢中になるとやってしまうらしく、イブキの世話を鼻で笑ってた割に俺のために揃えられたボディケア用品とかもある。おもしれー人だ。
「ありがと~!!」
「ちなみにファンレターでこういうことをすんのはマナー違反だ!! 香害になるからな!!」
「何でそんなことまで知ってんの??」
アイドルのファンレター事情に詳しい武藤様なんか嫌だなー。送ったりすんのかな。お笑い芸人とか好きらしいし、結構芸能界については詳しかったりするんだろうか。
「あの人本当に色々と面白いな……」
取り出したシンプルな便箋にはユキちゃんらしい、細いけれど丁寧で読みやすい文字が綴られていた。
「うめぇか」
「美味しい! 武藤様が一番だよ」
「フン……」
これが可愛くてやめられないのだ。
実際武藤様のご飯は美味しいが、褒めると鼻を鳴らして分かりづらく嬉しそうにする。なんでわかるって、ちょっと頬が染まるのと目尻が緩むのでわかるのだ。
その中でも殊更いちばん、という言葉を好む。
だから笑って一番だというと、最近では珍しく満足そうな顔をする。それが可愛い。
「これなんて名前の料理?」
「エスカロップ」
「エスカ、何」
よくわからんけどうまい。チャーハンの上にカツが乗っている。揚げ物ってアホみたいに手間かかるのによくやるよな。
「おいしいね、ところで武藤様スマホくらいそろそろ返して──」
「ダメだ」
「何でだよ~~」
そろそろSNSを見ないと不安症状でどうしようもないぜ。夏休み終わりまでだからと油断していたが、これが続くようなら本当に困る。禁断症状が出る。
「ハァ……じゃあ武藤様、郵便物出して」
ぺ、と手を差し出す。賭けだったが、武藤様の顔色が変わった。
ざ、と青ざめる。食べる手が止まる。瞳孔が震えていた。一気に張り詰めた空気に、俺は今日何度目かのため息をついた。
「分かりやす……」
やはり何か隠していたか。
別に、誰か宛がある訳ではない。ただ、この状況の俺に外部からの干渉があれば隠すだろうなとアタリをつけただけだ。
ここで鎌をかけて知らないようなら追求はしなかった。俺みたいなボッチに手紙やらの郵便物が来る訳ないしな。
「みんな俺のこと忘れて気にしてないなら言わないつもりだけど……そこまで自由を奪われる所以はないよ。例え誰だろうとその権利はない」
「……わぁってるよ」
「じゃあ出して」
武藤様はよく落ち着いて表情を観察すれば、考えていることがごく分かりやすい。今は……何でわかった、くらいだろうか。
別に約束したって良い。監禁のことは書かない、助けを求めないと。彼が言い出せば、だけど。
「……後で渡す……」
「おっけ! ありがとう~」
言わないのわかってるけど。
もう睨みつける気力もないのか、押し掛かる罪悪感がそれを許さないのか、武藤様は意気消沈して味のしなくなったであろう食事を口に入れる。
叱られた子犬のような姿に絆されそうになるがそれはそれ。
正直こんなコミュ障オタクに詰められてしょんぼりする武藤様は見たくなかったが、真面目な人なのだ。
食事が終われば、武藤様は部屋に引っ込んで何やらゴソゴソと取り出してきた。ガチャリと音を立てて扉が開き、特に何をするでもなくデケェテレビ(二週間前に買ってもらった)を見ていた俺に何やら封筒が渡される。
「オラ」
「ん……ああ、ユキちゃんか」
受け取った封筒はシンプルな薄紫のものだった。手紙を入れるときにしか使わない形の、横長の封筒からシーリングスタンプ風のシールを剥がして手紙を見る、と。
「っうお」
中から何か小さな袋みたいなものが落ちる。千代紙で折られた包み? だ。
同時に封筒を開けた瞬間、ふわりと香ってきたのはラベンダー。封筒の内側を見ると水彩風にラベンダーが描いてある。おしゃれだなー!!
「便箋からも匂いがする、すごいなこれ。でも紙濡れてない……」
香水、じゃないよな? 持続時間そんなに長くないし。
何だこれどうなってるんだ。
俺はオシャレに疎いのである。スマホで調べようとしたらなかった。そりゃそうか。
「武藤様~っ!」
「何だ!」
風呂掃除に行っていた武藤様が、風呂場から動かずに呼び掛けに答えてくれた。これ幸いにと疑問をぶつける。
「そら文香だ!! 香水をかけるんじゃなくて、香を砕いて包んだものを入れんだよ! 最近は同時に手紙も入ってる!!」
さすが武藤様、オシャレ品格がある。それはそれとして風呂場でめちゃくちゃ声張ってるな。いや近所迷惑とかないから良いのか。
武藤様はオシャレ事情もさることながらこういう雑学とか結構好きだ。凝り性な人なので、今も洗剤をいくつも使って風呂を清掃している。絶対そんな必要ないのに。
凝り性って結局三日坊主で続けない印象があるが、武藤様は大抵のことはせっせと続けている。一回夢中になるとやってしまうらしく、イブキの世話を鼻で笑ってた割に俺のために揃えられたボディケア用品とかもある。おもしれー人だ。
「ありがと~!!」
「ちなみにファンレターでこういうことをすんのはマナー違反だ!! 香害になるからな!!」
「何でそんなことまで知ってんの??」
アイドルのファンレター事情に詳しい武藤様なんか嫌だなー。送ったりすんのかな。お笑い芸人とか好きらしいし、結構芸能界については詳しかったりするんだろうか。
「あの人本当に色々と面白いな……」
取り出したシンプルな便箋にはユキちゃんらしい、細いけれど丁寧で読みやすい文字が綴られていた。
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