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監禁! 最後の文化祭
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監禁生活も三週間目に突入するとなればなかなか板についてきた。完全に外に出られなくなり、そろそろ一ヶ月である。夏休みも明ける。
このあたりで俺はやばいかもしれないという気持ちになってきた。今日は月曜日。来週の初めにはもう始業式である。
「まさか本当にずっと監禁するつもりじゃないだろうな……」
昼、武藤様が出かけている間俺はバルコニーで頭を抱えた。
ここ最近は日光浴が趣味で、ぷにってきたのでトレーニングルームで運動し朝(昼)風呂に入って外でダラダラしているのだ。
「武藤様は認めないだろうけど、こんなのガキの遊びだろ……まぁ、あの人が言うなら本当に就活はどうにかなるんだろうし、行きたい会社もないからなんでもいいけどさ」
そもそもこの高校だって、高卒でもこの学歴社会で生きていける場所かつ寮制、良い会社への足掛かりに入ったのだ。
うちの親は成金だが、いつその才能が尽きるかは分からない。
大学に行くくらいならどこか良い会社に入り、実家にお金を入れるのが最優先だ。
「だからといって勉強しなくて良いわけでも、バイトサボって良いわけでもない……」
なんというか、人間としてダメにされている気がする。ただでさえダメ人間なのに。
ただどうやらギリギリの精神でやっているらしく、一度晩御飯を作って待っていたらめちゃくちゃ青ざめた顔で食ってたのでもうしてない。
「ペットになった気分だな~……武藤様のペットか……」
悪くない響きである。
じゃない、すぐに俺は色ボケする。ウルセーーッッッ仕方ないだろ好きなやつに毎日毎日溺愛されるかのように丁寧に世話されてて色ボケしない方がおかしい!!
正直役得とかも思ってる!! めちゃくちゃよくないけど!!!!!!!!!
好きでもない相手を監禁して、一体何が満たされるというのか。少し厳しい物言いをするしかないだろうか。いや、それで精神が壊れたら困るな。
なんで豆腐メンタルコミュ障にメンタルの心配されてるんだあの人は。
ため息をついていると、玄関の方から音がした。バルコニーから室内に戻ると、ちょうど武藤様がブレザーを脱いでいるところだ。
「ただいま」
「おーおかえりー」
「また日差し浴びてたのかよ。やけて泣いても知らんぞ」
「いやいや、一夏の青春なんだから肌は焼かないと! 小麦色の肌ってなんかえっちじゃない?」
「いや知らん。そしてそうなってどうするんだ、どうせ出られねー癖に」
俺は俺の満足度のために肌焼いて良いだろ、と反論すれば納得したようで追求はしてこなかった。そしてまだ全然監禁するつもりそうだな。
「今日は早かったじゃん。なんかあったん?」
「いや、生徒会の仕事はもう終わってんだ。今日は用事があって行ってただけだな」
「へぇー、何してたの?」
しかし生徒会も大変だな。ちなみにこれの内容としては旅行における費用についての書類と起こった問題への対処、その他諸々らしい。俺はわりと楽しかったけどアレ因習だろ。
「理事長の権利が異様に強いから下手に廃止出来ねェんだよ」
「マジかよ強すぎるな理事長」
そしてダメな大人だ。色ボケのために学校を使っている。完全顔面格差社会だ。この間理事長を強請っ、お話しした時は威厳も感じなかったものだが。
「まぁ来年から無いがな」
「廃止している」
武藤様もかねてから因習だとは思っていたらしく、理事長に家から圧をかけて廃止させたらしい。おお、金と権力の有用な使い道。さすがだ。
理事長も流石に金と権力に逆らえなかったらしい。やはり威厳がない。威厳という点で言えばイブキの方があるくらいである。
「じゃあ今日もその話しに行ってたん。忙しいねー会長は」
「いや、その話も昨日終わってる。今日はテメーの休学届だ」
「へぇー休学届…………休学届!?!?」
ブレザーを丁寧にハンガーに掛け、腕を捲って首元を緩める。くつろぎモードに入っている武藤様には悪いが俺としては聞き逃せない。休学届!? 俺の!?!?
パジャマ姿のままコップを持って振り返る俺に、どっかりと室内のソファに腰掛けた武藤様が怪訝な顔をする。
「? 必要だろうが、てめーの親、ずっと学費払うことになるぞ」
「えっ、休学って学費いらないの??」
「ウチはそうだな、授業受けねーから。端金だし別に武藤家で補填しても良いが……就職が理由の休学にしておいたから、不名誉って訳でもねぇだろ」
流石に武藤家に学費提供させてこっちでのんびりしてるとか親に殺されそうだから良いかな。
武藤グループの傘下の企業で就職するにしろ、なんか優遇って言われそうだし。実際コネ入社なんだけど、必要なスキルはちゃんと身に付けてるから許して欲しい。
「休学って、そういうの本人がいなくてもできるもんなの?」
「知らん、俺に常識を適応するな」
「ワァ」
まっっ……ずいことになってないかこれ。
休学は基本的に一年単位で数えられる。どうやら武藤様、本気でこの部屋から俺を出さないつもりらしい。
(ガキのお遊びじゃ……?)
飽きれば終わるガキの遊び、それがこの監禁生活のはずだ。えっそうだよね? 確かに鍵とかめちゃくちゃついてて外部との連絡手段もないし完全に閉ざされてるけど。
冷や汗が流れる。パジャマのまま固まっている俺に何を思ったのか、武藤様がこてりと首を傾げた。
「……飯はまだだぞ」
「違う!!」
やばいことになってしまった。
監禁生活三週間目、どうやら本気で監禁するつもりらしいことに俺は気がついた。
ああっ脳内の水瀬が『いまさら気づいたのか? 危機管理能力もないんだな』と半笑いになっている。返す言葉もない。
このあたりで俺はやばいかもしれないという気持ちになってきた。今日は月曜日。来週の初めにはもう始業式である。
「まさか本当にずっと監禁するつもりじゃないだろうな……」
昼、武藤様が出かけている間俺はバルコニーで頭を抱えた。
ここ最近は日光浴が趣味で、ぷにってきたのでトレーニングルームで運動し朝(昼)風呂に入って外でダラダラしているのだ。
「武藤様は認めないだろうけど、こんなのガキの遊びだろ……まぁ、あの人が言うなら本当に就活はどうにかなるんだろうし、行きたい会社もないからなんでもいいけどさ」
そもそもこの高校だって、高卒でもこの学歴社会で生きていける場所かつ寮制、良い会社への足掛かりに入ったのだ。
うちの親は成金だが、いつその才能が尽きるかは分からない。
大学に行くくらいならどこか良い会社に入り、実家にお金を入れるのが最優先だ。
「だからといって勉強しなくて良いわけでも、バイトサボって良いわけでもない……」
なんというか、人間としてダメにされている気がする。ただでさえダメ人間なのに。
ただどうやらギリギリの精神でやっているらしく、一度晩御飯を作って待っていたらめちゃくちゃ青ざめた顔で食ってたのでもうしてない。
「ペットになった気分だな~……武藤様のペットか……」
悪くない響きである。
じゃない、すぐに俺は色ボケする。ウルセーーッッッ仕方ないだろ好きなやつに毎日毎日溺愛されるかのように丁寧に世話されてて色ボケしない方がおかしい!!
正直役得とかも思ってる!! めちゃくちゃよくないけど!!!!!!!!!
好きでもない相手を監禁して、一体何が満たされるというのか。少し厳しい物言いをするしかないだろうか。いや、それで精神が壊れたら困るな。
なんで豆腐メンタルコミュ障にメンタルの心配されてるんだあの人は。
ため息をついていると、玄関の方から音がした。バルコニーから室内に戻ると、ちょうど武藤様がブレザーを脱いでいるところだ。
「ただいま」
「おーおかえりー」
「また日差し浴びてたのかよ。やけて泣いても知らんぞ」
「いやいや、一夏の青春なんだから肌は焼かないと! 小麦色の肌ってなんかえっちじゃない?」
「いや知らん。そしてそうなってどうするんだ、どうせ出られねー癖に」
俺は俺の満足度のために肌焼いて良いだろ、と反論すれば納得したようで追求はしてこなかった。そしてまだ全然監禁するつもりそうだな。
「今日は早かったじゃん。なんかあったん?」
「いや、生徒会の仕事はもう終わってんだ。今日は用事があって行ってただけだな」
「へぇー、何してたの?」
しかし生徒会も大変だな。ちなみにこれの内容としては旅行における費用についての書類と起こった問題への対処、その他諸々らしい。俺はわりと楽しかったけどアレ因習だろ。
「理事長の権利が異様に強いから下手に廃止出来ねェんだよ」
「マジかよ強すぎるな理事長」
そしてダメな大人だ。色ボケのために学校を使っている。完全顔面格差社会だ。この間理事長を強請っ、お話しした時は威厳も感じなかったものだが。
「まぁ来年から無いがな」
「廃止している」
武藤様もかねてから因習だとは思っていたらしく、理事長に家から圧をかけて廃止させたらしい。おお、金と権力の有用な使い道。さすがだ。
理事長も流石に金と権力に逆らえなかったらしい。やはり威厳がない。威厳という点で言えばイブキの方があるくらいである。
「じゃあ今日もその話しに行ってたん。忙しいねー会長は」
「いや、その話も昨日終わってる。今日はテメーの休学届だ」
「へぇー休学届…………休学届!?!?」
ブレザーを丁寧にハンガーに掛け、腕を捲って首元を緩める。くつろぎモードに入っている武藤様には悪いが俺としては聞き逃せない。休学届!? 俺の!?!?
パジャマ姿のままコップを持って振り返る俺に、どっかりと室内のソファに腰掛けた武藤様が怪訝な顔をする。
「? 必要だろうが、てめーの親、ずっと学費払うことになるぞ」
「えっ、休学って学費いらないの??」
「ウチはそうだな、授業受けねーから。端金だし別に武藤家で補填しても良いが……就職が理由の休学にしておいたから、不名誉って訳でもねぇだろ」
流石に武藤家に学費提供させてこっちでのんびりしてるとか親に殺されそうだから良いかな。
武藤グループの傘下の企業で就職するにしろ、なんか優遇って言われそうだし。実際コネ入社なんだけど、必要なスキルはちゃんと身に付けてるから許して欲しい。
「休学って、そういうの本人がいなくてもできるもんなの?」
「知らん、俺に常識を適応するな」
「ワァ」
まっっ……ずいことになってないかこれ。
休学は基本的に一年単位で数えられる。どうやら武藤様、本気でこの部屋から俺を出さないつもりらしい。
(ガキのお遊びじゃ……?)
飽きれば終わるガキの遊び、それがこの監禁生活のはずだ。えっそうだよね? 確かに鍵とかめちゃくちゃついてて外部との連絡手段もないし完全に閉ざされてるけど。
冷や汗が流れる。パジャマのまま固まっている俺に何を思ったのか、武藤様がこてりと首を傾げた。
「……飯はまだだぞ」
「違う!!」
やばいことになってしまった。
監禁生活三週間目、どうやら本気で監禁するつもりらしいことに俺は気がついた。
ああっ脳内の水瀬が『いまさら気づいたのか? 危機管理能力もないんだな』と半笑いになっている。返す言葉もない。
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