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半身 (レオside)
しおりを挟むマオは可愛い。
ずっと可愛い。
マオは僕の半身だ。文字通りずっと。あの頃からずっと。
マオは寂しがり屋だから、僕がそばにいて守ってきた。
そうしなきゃ、あの純粋で繊細で脆いマオの魂はとうの昔に消滅していた筈だ。
学校からの帰り道。
僕とは違う柔らかい質感の明るい色の髪が少し前で揺れている。
その髪に鼻を埋めて思うさま匂いを嗅ぎたい。そんな事、いきなりやっても引かれるだけだからぐっと堪える。
成長途上の細い首、折れそうに華奢な体。
あの時代のマオも、同じように細かった。今のマオはこれから成長していくんだろうけど、体質的に見て、本人が憧れてるような筋肉質のごつい系にはなれそうにない。
昨夜、最近ハマって読んでるヤンキー漫画のキャラの筋肉質な体を見ながら、自分の服を捲り上げて無い腹筋を確認しているのを目撃した時は吹き出すのを堪えるのに必死だった。
その場は何とか耐えたんだけど、その後マオの顔見る度にその場面が脳裏に蘇ってくるもんだから、ほんと参った。
何時も塩でスンッてしてる癖に時たまそういう天然っぷり発揮してくるから面白い。でも本来の彼はそういう感じの素直な子なんだ。今は人を信じられなくなってるだけで。
信じたりしない、って最初から撥ね付けているそれが、もう傷つきたくないが故の自己防衛の為の鎧だって、僕は知ってる。
本当は、寂しい。
本当は甘えたいし愛したい。
でも裏切られたという記憶が、それを許さないんだよな。
今の僕に出来る事は、それでも寄り添う事だけ。
僕は、理由もわからずマオの心に触れるのを躊躇っている彼奴とは違う。
今生こそ、無条件でそばにいられる双子という最大限のメリットを活かし尽くして、マオの凍え固まった心を溶かしてみせる。
マオがあの人生で、あの家で、あの家族の元でどう生きたかも、彼奴とマオの間に何があったかも、僕は全て知っている。
彼奴がやってしまってマオを苦しめる事になったあの件も、いくつもの誤解がある事も、全て。
でも良かれと思ってした事とはいえ、彼奴がマオを裏切る形になったのと、それが結果的にマオの命の灯を消す事になったのは許さない。
だから敢えてこの姿で生まれたのだ。自分と同じ姿の僕が愛しい恋人の心を解きほぐし寄り添うさまを見れば、あの時のマオの気持ちが少しはわかるんじゃないのかと。
これは僕なりの、彼奴への制裁だ。
マオは迷っている。
限りなく似せた、僕と彼奴に。
でも未だそれで良い。
もう少し俺達が成長して、マオが惑う程に自分に似た僕がマオに選ばれるのを、彼奴は指を咥えて見ていれば良いんだ。
それ程にお前の罪は深いと知れば良い。
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