氷狼陛下のお茶会と溺愛は比例しない!フェンリル様と会話できるようになったらオプションがついてました!

屋月 トム伽

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第二章 ユニコーン

怯えるフェレスベルグの子供

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朝食のあとは、フェリクス様と庭を散策している。フェレスベルグの子供も一緒だ。

「ぴゅぅっ!!」

フェレスベルグの子供が落ち着きなく騒いでいる。

「落ち着かんな……昨夜から、妙な気配がするし……」
「私もです……」

ディティーリア国の城に着いてから、ずっと誰かに呼ばれている気がする。それは、私の心の声と通じているフェリクス様も感じていた。それが気になるようで、フェリクス様は城や庭を散策と言って私とあちこち歩いている。

「あの建物はなんだ?」

騒いでいるフェレスベルグの子供の視線の先には、庭から見える大きな建物に向っている。その建物をフェリクス様が不思議がって聞いてきた。

「あれは奉殿です」
「何か祀っているのか?」
「よくわかりません。年に一度か二度ほど連れていかれているだけでして……中には植物がたくさんあるんですよ」

奉殿の中の様子を話すと、何のために? とフェリクス様が不思議がるけど、肝心なところはわからない。でも、私が軟禁されていた小さな屋敷もあの奉殿の側だった。

「フェリクス様。そろそろ会談の時間ですので……」
「もうそんな時間か?」

フェレスベルグの子供を手のひらに乗せていると、ヴァルト様が声をかけに来る。
フェリクス様は、名残惜しそうに私の額に口付けをする。

「ここでも、仲の良いフリですか?」
「リーネを守るのに役に立つぞ? 俺の庇護下にいればディティーリア国は手を出せないだろう」

そういうものかなぁと思いながら、手を振る彼を見送った。

「ぴゅぴゅぅっ!」
「どうしたの?」

フェリクス様がいなくなると、フェレスベルグの子供が怯えたように私の肩に乗り身を寄せてくる。
絶対におかしい。こんなに怯える理由がわからなくて、フェレスベルグの子供を抱いて部屋に戻るけど、それでも怯えたまま羽が震えている。それは午後になっても変わらなかった。

「アリエッタ。フェレスベルグの子供はどうしたのでしょうか?」
「なにか怖いものでもありますかね?」

抱いたまま震える身体を撫でると、その瞬間に外から雷鳴がとどろいた。

「今のは何……?」
「フィリ―ネ様。おかしいですよ。こんな晴れた天気なのに雷が落ちるなんて……」

アリエッタは、いつものメイド服と違い騎士服で腰の剣に手を添えた。部屋の外を軽快しながら扉を開けると、護衛たちも緊張感で周りを軽快している。

「何か異常は?」
「今のところは何も」

アリエッタがこの部屋を警護している騎士たちに聞いている。
窓から外を見ると、奉殿のほうに雷雲が立ち込めている。そして、もう一度雷が落ちた。

「どうして……あんなところに避雷針なんかなかったわ。午前中は庭を散策していたのに、こんなに天気が変わるなんてありえない……」

困惑している間にも、アリエッタは「フィリ―ネ様には、誰も近づけないように!」と指示を出している。

「フィリ―ネ様! 窓から離れてください! 城中が騒ぎ出しました。フェリクス様がお帰りになるまで……どうなさったのです!?」

奉殿から目を離さない私にアリエッタが聞いてくる。

「アリエッタ……あそこに誰かいるのよ。ずっと呼んでいた人かも……」
「何も声など聞こえませんが……」
「でも、私を呼んでいるのよ。すごく怒っているわ」

わかる。言葉ははっきりと聞こえないけど、怒りのまま私を呼んでいる。

「行かないと……」

奉殿は、私がお父様に年に一、二度連れていかれたところだ。植物がたくさんの植えられた部屋の中央には御簾があり、その前で一人で祈れと言われていた。

でも、何も変化はなく、その度にお父様はお前じゃなかった。生むんじゃなかったと憎らしく言われていた。それが子供心に傷ついたことを憶えている。
だから、あの奉殿にいくことが嫌いだった。でも、私がお父様に会えるのはそんなときだけ。
いつしか奉殿は、私からすれば恐怖の場所になっていた。

「フィリ―ネ様!? どこに行かれるのです!?」

アリエッタの止める声にハッとした。気がつけば窓の先に進もうとしていたのだ。

「アリエッタ……怖い。あそこは嫌なの」

身体を張って止めてくれたアリエッタにしがみついた。でも、心細い。

「フェリクス様は……?」
「すぐにお戻りになりますよ。それまで気をしっかりと持ってくださいね」
「はい。頑張ります」

アリエッタにしがみついた手が震えている。その時に廊下がさらに騒がしくなっていた。








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