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【19話】 柵の上の肉材料
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リリアが顔を上げると、「トスッ」と地面に矢が突き刺さった。驚くような距離ではない。
もとい、リリアからしたら相手の矢を拾っている時点で射程内にいる事はわかっている。
まだ相手の弓兵から距離がある。直射なら気を付けるべきだが、放物線射撃の距離なら、よほどの不運でない限り当たらない事を予想していた。
リリアは構うことなく矢を拾い集めては紐で束ねて転がしていく。
また相手が矢を放つのが見えた。3本程度だろうか?飛んで来る。
「あんな山なりが人に当たるわけないじゃない」独り言を言いながら構わず矢を拾う。
味方の兵士もリリアの意図が理解できたのか、ニヤニヤしながら眺めている。
矢を一束まとめて地面に転がすと、スタスタっと歩いて、わざと大胆に近づいてみた。
10本前後の矢が放たれ、飛んで来るのが見えた。まだ山なりだがさすがに狙いが正確になってきたか。それでも歩きながら余裕で避けられる。狙いが正確な矢は数が多くとも、その場を離れるように移動すれば纏めて回避できる。不正確な矢はバラついていて、しょせん避けるほどでもない。簡単な法則だ。
女兵士が一人でウロウロしながら矢を拾い集めているのが面白いのだろう、相手の陣を見ると弓を手にした者が増えて射撃を楽しんでいるようだ。見回すと、相手の砦の上でも、こちらの砦の上でも、リリアの遊びに気がついたのか、人が集まりつつある。
矢の数がいっきに増えて、30本以上飛んできた。ちょっとしたものだが先ほどの法則がある以上、大した事は無い、見上げながら歩いて避けるリリア。
「山なり射撃は方向より距離感が難しいのよ」呟きながら飛んできた矢を拾い集める。
「撃ち返してやろうか…」思ったが、リリア一人が放物線射撃を行っても相手の二の前だ。かといって、リリアの弓より相手の弓の方が高性能だ。リリアからは直射の距離に入れない。もっともせっかく和やかな雰囲気なのだ、相手も遊び気分な以上、リリアが下手に刺激することも無い。
「よし!リリアから鳥料理のプレゼントですよ」
相手弓兵達の手前の柵にカモメだか、ウミネコだか、アホウドリだかがとまっている。
海には馴染みがないリリアなのであの白い鳥が何かよくわからないが、どれでも鳥肉の材料になることは確かだ。
弓と矢を手に、距離の調整をする。放物線射撃は距離感が難しいのだ、自信のあるギリギリの距離まで移動したい。相手はリリアが弓と矢を手にしたので興味津々に見ている。恐らく見方も、両軍の砦でも同じようなものだろう。
「いいなぁ、鳥料理、たまにはお粥と芋以外も食べさせなさいよ」一人で冗談を言いながらリリアは空に向けて弓を構えた。
「スゥ…」肺いっぱいに呼吸すると、潮の香が体の隅々まで回るようだ。
日も傾き海風と陸風が逆転する時間帯。凪の時間だ風はない。
リリアも本音では一発試し打ちしたい。しかし、試し打ちしてしまっては並みな弓士だ。
「と・り・に・く・な・の・ヨット!」リズムと共に放たれた矢は空に舞った。
「おおお!」相手から歓声があがり、剣と盾を打ち鳴らす音が沸いた。
白い鳥は柵から落ち、調理待ち状態になっている。
味方の砦から号鐘が鳴り響きだした。リリアがそれを聞いて呟く。
「引き上げの合図ね…」
「おい!リリア、あれはお前への合図だぞ!」兵士達がリリアを呼ぶ。
「当たらなかったら恥かくとこだった」リリアは本音でちょっと苦笑い。
見上げると、材料にされなかった分達が頭上を飛び去って行った。
もとい、リリアからしたら相手の矢を拾っている時点で射程内にいる事はわかっている。
まだ相手の弓兵から距離がある。直射なら気を付けるべきだが、放物線射撃の距離なら、よほどの不運でない限り当たらない事を予想していた。
リリアは構うことなく矢を拾い集めては紐で束ねて転がしていく。
また相手が矢を放つのが見えた。3本程度だろうか?飛んで来る。
「あんな山なりが人に当たるわけないじゃない」独り言を言いながら構わず矢を拾う。
味方の兵士もリリアの意図が理解できたのか、ニヤニヤしながら眺めている。
矢を一束まとめて地面に転がすと、スタスタっと歩いて、わざと大胆に近づいてみた。
10本前後の矢が放たれ、飛んで来るのが見えた。まだ山なりだがさすがに狙いが正確になってきたか。それでも歩きながら余裕で避けられる。狙いが正確な矢は数が多くとも、その場を離れるように移動すれば纏めて回避できる。不正確な矢はバラついていて、しょせん避けるほどでもない。簡単な法則だ。
女兵士が一人でウロウロしながら矢を拾い集めているのが面白いのだろう、相手の陣を見ると弓を手にした者が増えて射撃を楽しんでいるようだ。見回すと、相手の砦の上でも、こちらの砦の上でも、リリアの遊びに気がついたのか、人が集まりつつある。
矢の数がいっきに増えて、30本以上飛んできた。ちょっとしたものだが先ほどの法則がある以上、大した事は無い、見上げながら歩いて避けるリリア。
「山なり射撃は方向より距離感が難しいのよ」呟きながら飛んできた矢を拾い集める。
「撃ち返してやろうか…」思ったが、リリア一人が放物線射撃を行っても相手の二の前だ。かといって、リリアの弓より相手の弓の方が高性能だ。リリアからは直射の距離に入れない。もっともせっかく和やかな雰囲気なのだ、相手も遊び気分な以上、リリアが下手に刺激することも無い。
「よし!リリアから鳥料理のプレゼントですよ」
相手弓兵達の手前の柵にカモメだか、ウミネコだか、アホウドリだかがとまっている。
海には馴染みがないリリアなのであの白い鳥が何かよくわからないが、どれでも鳥肉の材料になることは確かだ。
弓と矢を手に、距離の調整をする。放物線射撃は距離感が難しいのだ、自信のあるギリギリの距離まで移動したい。相手はリリアが弓と矢を手にしたので興味津々に見ている。恐らく見方も、両軍の砦でも同じようなものだろう。
「いいなぁ、鳥料理、たまにはお粥と芋以外も食べさせなさいよ」一人で冗談を言いながらリリアは空に向けて弓を構えた。
「スゥ…」肺いっぱいに呼吸すると、潮の香が体の隅々まで回るようだ。
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リリアも本音では一発試し打ちしたい。しかし、試し打ちしてしまっては並みな弓士だ。
「と・り・に・く・な・の・ヨット!」リズムと共に放たれた矢は空に舞った。
「おおお!」相手から歓声があがり、剣と盾を打ち鳴らす音が沸いた。
白い鳥は柵から落ち、調理待ち状態になっている。
味方の砦から号鐘が鳴り響きだした。リリアがそれを聞いて呟く。
「引き上げの合図ね…」
「おい!リリア、あれはお前への合図だぞ!」兵士達がリリアを呼ぶ。
「当たらなかったら恥かくとこだった」リリアは本音でちょっと苦笑い。
見上げると、材料にされなかった分達が頭上を飛び去って行った。
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