勇者の血を継ぐ者

エコマスク

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【108.5話】 一部有名なリリア ※進水式前日の話し※

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明日は軍艦の進水式と海軍発足の式典があるのでルーダ港に来たリリア。
契約マッチでお世話になったリアルゴールドとハンズマンの支部に顔を出しご挨拶。
「やあ!リリア殿!久しぶりだね。冒険旅行に出ていた?… 明日は式典に出る?… そうか、王国は軍艦を作っていたね。ドックにはウチも物資を卸しているよ。また、契約して試合してくれないかな?冒険なんてするよりお金になるだろ?わっはっはー」
担当者はリリアが挨拶に来てくれて上機嫌。
何でも、全裸事件を含めた“とんでも三試合”の残したインパクトは凄いらしい。
今でこそ落ち着いたが、一時期リリアモデルの鎧セットの売り上げは伸び、リアルゴールドとハンズマンのブランド格を押し上げたとか…
「ブランディング?宣伝効果?… うん、うん、良かったよかった」
金銭が右往左往する以外にどんな事があるのだろうか?リリアには理解不能だが、ニコニコと調子を合わせてリリアは頷く。
「これからお昼でも」「夜は一席設けますよ、良い男おそろいの店」とやたら誘われたが「リハーサルが」を連呼しながらリリアは退出。国の知らないところであんまり関わるなと勇者管理室から注意を受けているのだ。


お昼時、港町を歩く。町散策とB級グルメにレッツゴー!
貿易量が増えたせいか、街中ますます活気づいている。治安の低下を除けば異国文化が入り乱れ、訳のわからん面白さがある。

「名物!古の味を今に伝える元祖軍艦饅頭1号店!」
何これ?明日が進水式の軍艦の饅頭がすでにあっちこっちで古の名物として売られ、どこもかしこもウチが発祥の店的な看板を並べている。
「変なの…」
変な現象だがリリアが買って食べてみると由緒ある古の饅頭は現代受けする味で非常に美味しい。

街中にはやたらと闘技場での試合のポスターを見かける。どれもこぞって女性剣士と何かの試合で商人ギルドと女性剣士の名前と絵が描かれている。
何でもリリアとリアルゴールドの成功例に他の商人ギルドが乗っかっているそうだ。
「剣の美女リリネvs野獣」「魔法無双女性リリサvsネトネトスライム」「美人過ぎるモデル体型女バーバリアンリリカvs欲求不満触手」
もう一体何と戦うのやら…
男の視覚と股間を刺激しがちなイラストが描かれている。しかもどいつもこいつもリリアに似た名前使いやがって!!
「リリアに似た名前も腹立つけど… 何なの?回りくどい肩書ねぇ…」
焼きトウモロコシを片手にポスターを眺めて呟いたら、隣にいた男性が聞いていたらしい。
「あぁ、これね。女勇者、女性勇者、女冒険者、女剣士… とにかくその辺のワードはリアルゴールドが版権を押さえているらしくって使えないからどこもこんなんだよ」
男性が説明してくれた。リアルゴールドの商魂…
「女弓士!!これ、使われてるよ」リリアが一枚のポスターを指さす。
「弓士は版権を取られてないんだろうね、まぁ、勇者で弓押しなんて奇想天外な発想だからね」男性が事も無げに言う。
何か結局軽んじられた感があるリリア…
因みに「リリア」も版権を押さえられているらしい!!
驚いてリアルゴールドの支部に暴れこむリリア!
「ちょっと!!聞いたわよ!リリアの名前でかってにお金儲けしないでよ!あたしの権利よ!あたしにもお金ちょうだい!いや、とにかく勝手な事しないでよ!」
大騒ぎしていると弁護士ギルドの男がやってきた。
「私は弁護士のコモンと言います」いかにも知的そうなハイエルフが自己紹介。
「弁護士のコモン?コモン弁護士?誰だか知らないけど、本物リリアに相談もしないで勝手にリリアの名前で商売しないでよ!!」
リリアが食って掛かる。
結局あっという間にリリアは言い負かされる。村出身の教会独学女弓士vs王立学校卒ハイエルフ弁護士、最初っから決着はついている。
「すでにこちらに使用権があります。むしろリリアさんの方が名前を変更していただかないといけないのを、こちらとしては無料で使用させている状態で… リリアさんが名前を変更なさいますか?」だって…
法律とか持ち出されてもよくわからない。悔しいが太刀打ちできないので建物を後にするリリア。担当が追いかけてきた。
「いやぁ、旅行中だったとはいえ、知らせずすまないねぇ。色々あるけどまたよろしくな」
そう言って、袋を差し出した。
勝手に色々しておいて、この先も色々よろしくやらせる気か!
袋を開けると50G入っていた。なんだ、こんなはした金!どこまでも馬鹿にしている!!


憮然としながら街中を歩いていると握手を求められた。
リリアと気が付く人は気が付くらしい。サインも求められた。人生初の生サイン。
少しご機嫌もよくなる。
特売品チラシの裏だったが”Lilia”と心を込めてリリアはサイン。こんな事ならもっとサインの練習しておけばよかった…
「ありがとう、あたしこれからも頑張る!工芸ギルド・ハンズマンの最先端技術によって作られたリリアモデルの鎧セットはこの先のリアルゴールド港町店で買えるわよ。リアルゴールド、ハンズマンありがとう」リリアは握手をしながら条件反射的に叩き込まれた宣伝文句を口にする。
「ありがとう!… ありがとう!… 握手?お安い御用よ!… 試合?当分試合はしないかな?… 裸?… いやぁ、もう裸になることはないかな… 普段?… もちろん勇者よ!… いや、勇者モデルとかでは… タレント勇者?… えっと… 本物よ、実は本当に王国公認勇者よ… いや、自称勇者の人達とは違うの… 本当に普段は痛い思いしながら国民と財産を保護する仕事… いや… まぁ… はい… うん… ありが…とう… とにかくがんばる…」
リリアが闘技場以外で体を張って勇者をしている事実は認識されていないようだ。
命がけの活動は認知されず、闘技場の無様な試合だけが人気を博す…
「宿に戻って午後のディルとピエンの合流するドック見学まで休んでよ」
リリアは不貞腐れてしまった。まぁ、気持ちはわかる…


「ぅわ!何これ、メッチャ美味しいじゃない」
宿に戻りかげに目についた“美味しい!クラムチャウダー”
「クラムチャウダーって何かな?」
異文化が盛んに入ってくるルーダ港では毎回何かしら発見がある。最近では生魚を小さく固めたライスの上に乗っけて食べる店もあるのだ、不思議な食べ物。
「アサリのスープ美味しいよ」おばさんがニコニコと進める。確かに美味しそう!

宿の部屋でパンと一緒に食べるクラムチャウダーは果たして美味しかった。
「街は素敵なのに、人がねぇ…」リリアはベッドに入るとお昼寝タイム。
明るい窓の外は賑わっている。
今度からここに来たら焼き鳥、クラムチャウダーを必ず食べることを決心。
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