14 / 15
第三章
5
しおりを挟む
「真冬に悪い虫が付かないように、真冬の一番近くにいる人間のそばで見守っていた。今だから言えるけど、瑠璃を含め、当時噂になっていた女の子たちとは付き合っていなかったよ」
そんなことを言われて、はいそうですかと信じられるはずがない。
「そんな……、信じられないよ。大学に入ってからも、私が親しくなった女の子と……」
私の言葉に、玲央は即座に言葉を重ねた。
「うん。だからそれも、真冬に彼氏ができないよう見張ってもらうために言い寄っていた。中には、本気で俺と付き合おうって言ってきた子もいたから、その時点でその子とは切れたけど、基本的に俺はだれとも付き合っていたつもりはない」
そんなこと……
私は信じられない思いで、首をずっと横に振っていた。
言葉なんて出てこない。
あんなに陰キャに徹していた私のどこが、玲央の心を掴んだのか……
「出会った頃から、ずっと『自分』っていうものをしっかり持っている、ブレない真冬のことが好きだった。だから就活で、俺の手の届かないところに行ってしまうんじゃないかって、気が気じゃなくて、親父の会社のバイトを紹介したんだ。本命の会社に内定もらったって聞いて、最後の賭けだった。もしこれで、そっちを蹴ってうちに来てくれたなら、絶対に真冬を手に入れるって心に決めて。真冬に認めてもらえるよう、仕事を死ぬ気で頑張った」
玲央の言葉が心に沁みる。
ちゃんと私のことを見ていてくれた。そのことに心を打たれた。
決して私のことを見てくれない、私のことを付き合う彼女の引き立て役にしている悪い男だとずっと思っていた。
そう思わないと、私の心は壊れてしまいそうだった。
玲央のことが好きだと認めてしまうのが怖かった。
自分の予想していなかったことを次々とカミングアウトしていく玲央に、私はパニックを起こしそうだ。
そんな私に玲央は、信じられないかもしれないけれどと前置きをして、爆弾発言をした。
「出張の時、思わぬハプニングで一夜を共に過ごすことになったけど、俺、真冬以外にあんなことしたことないから」
あんなこととは、一夜の過ちだと思っていたあの出来事のことだろう。
思い出しただけで、私の顔が一気に熱くなる。
「真冬にとって、俺は『最低な男』のイメージしかないかもしれない。あの夜、気持ちを伝えず先に身体を繋げてしまったことは、本当に申し訳なく思っている。本当にごめん。でも、俺はいい加減な気持ちで真冬のことを抱いたんじゃない」
玲央はそう言うと、私の手を握った。そうしてその手を自分の胸に押し当てる。玲央の心拍が、直に私のてのひらへと伝わってくる。
その鼓動は、恐ろしいくらいに速い。私の鼓動と変わらないくらいのスピードで脈打っている。
「……お……こ……、す……よ」
私も玲央のことが好きだよと呟いたつもりが、声が上擦って上手く言葉にならない。
玲央はそんな私に優しく微笑んだ。
「真冬、俺のことどう思ってる?」
その言葉を聞いて、私の眼から涙がこぼれ落ちる。
「玲央……、私も学生の頃から、ずっと好きだよ」
私の言葉を聞いた途端、玲央は私の腕を強く引っ張った。そしてあっという間に私は玲央によって抱きしめられていた。
「やっと……、やっと捕まえた」
私たちはしばらくの間こうしてお互いの存在を、お互いの体温を確かめ合った。
そんなことを言われて、はいそうですかと信じられるはずがない。
「そんな……、信じられないよ。大学に入ってからも、私が親しくなった女の子と……」
私の言葉に、玲央は即座に言葉を重ねた。
「うん。だからそれも、真冬に彼氏ができないよう見張ってもらうために言い寄っていた。中には、本気で俺と付き合おうって言ってきた子もいたから、その時点でその子とは切れたけど、基本的に俺はだれとも付き合っていたつもりはない」
そんなこと……
私は信じられない思いで、首をずっと横に振っていた。
言葉なんて出てこない。
あんなに陰キャに徹していた私のどこが、玲央の心を掴んだのか……
「出会った頃から、ずっと『自分』っていうものをしっかり持っている、ブレない真冬のことが好きだった。だから就活で、俺の手の届かないところに行ってしまうんじゃないかって、気が気じゃなくて、親父の会社のバイトを紹介したんだ。本命の会社に内定もらったって聞いて、最後の賭けだった。もしこれで、そっちを蹴ってうちに来てくれたなら、絶対に真冬を手に入れるって心に決めて。真冬に認めてもらえるよう、仕事を死ぬ気で頑張った」
玲央の言葉が心に沁みる。
ちゃんと私のことを見ていてくれた。そのことに心を打たれた。
決して私のことを見てくれない、私のことを付き合う彼女の引き立て役にしている悪い男だとずっと思っていた。
そう思わないと、私の心は壊れてしまいそうだった。
玲央のことが好きだと認めてしまうのが怖かった。
自分の予想していなかったことを次々とカミングアウトしていく玲央に、私はパニックを起こしそうだ。
そんな私に玲央は、信じられないかもしれないけれどと前置きをして、爆弾発言をした。
「出張の時、思わぬハプニングで一夜を共に過ごすことになったけど、俺、真冬以外にあんなことしたことないから」
あんなこととは、一夜の過ちだと思っていたあの出来事のことだろう。
思い出しただけで、私の顔が一気に熱くなる。
「真冬にとって、俺は『最低な男』のイメージしかないかもしれない。あの夜、気持ちを伝えず先に身体を繋げてしまったことは、本当に申し訳なく思っている。本当にごめん。でも、俺はいい加減な気持ちで真冬のことを抱いたんじゃない」
玲央はそう言うと、私の手を握った。そうしてその手を自分の胸に押し当てる。玲央の心拍が、直に私のてのひらへと伝わってくる。
その鼓動は、恐ろしいくらいに速い。私の鼓動と変わらないくらいのスピードで脈打っている。
「……お……こ……、す……よ」
私も玲央のことが好きだよと呟いたつもりが、声が上擦って上手く言葉にならない。
玲央はそんな私に優しく微笑んだ。
「真冬、俺のことどう思ってる?」
その言葉を聞いて、私の眼から涙がこぼれ落ちる。
「玲央……、私も学生の頃から、ずっと好きだよ」
私の言葉を聞いた途端、玲央は私の腕を強く引っ張った。そしてあっという間に私は玲央によって抱きしめられていた。
「やっと……、やっと捕まえた」
私たちはしばらくの間こうしてお互いの存在を、お互いの体温を確かめ合った。
46
あなたにおすすめの小説
こじらせ女子の恋愛事情
あさの紅茶
恋愛
過去の恋愛の失敗を未だに引きずるこじらせアラサー女子の私、仁科真知(26)
そんな私のことをずっと好きだったと言う同期の宗田優くん(26)
いやいや、宗田くんには私なんかより、若くて可愛い可憐ちゃん(女子力高め)の方がお似合いだよ。
なんて自らまたこじらせる残念な私。
「俺はずっと好きだけど?」
「仁科の返事を待ってるんだよね」
宗田くんのまっすぐな瞳に耐えきれなくて逃げ出してしまった。
これ以上こじらせたくないから、神様どうか私に勇気をください。
*******************
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
半年間、俺の妻になれ〜幼馴染CEOのありえない求婚から始まる仮初の溺愛新婚生活〜 崖っぷち元社畜、会社が倒産したら玉の輿に乗りました!?
とろみ
恋愛
出勤したら会社が無くなっていた。
高瀬由衣(たかせゆい)二十七歳。金ナシ、職ナシ、彼氏ナシ。ついでに結婚願望も丸でナシ。
明日までに家賃を用意できなければ更に家も無くなってしまう。でも絶対田舎の実家には帰りたくない!!
そんな崖っぷちの由衣に救いの手を差し伸べたのは、幼なじみで大企業CEOの宮坂直人(みやさかなおと)。
「なぁ、俺と結婚しないか?」
直人は縁談よけのため、由衣に仮初の花嫁役を打診する。その代わりその間の生活費は全て直人が持つという。
便利な仮初の妻が欲しい直人と、金は無いけど東京に居続けたい由衣。
利害の一致から始まった愛のない結婚生活のはずが、気付けばいつの間にか世話焼きで独占欲強めな幼なじみCEOに囲い込まれていて――。
妖狐の嫁入り
山田あとり
恋愛
「――おまえを祓うなどできない。あきらめて、俺と生きてくれ」
稲荷神社の娘・遥香(はるか)は、妖狐の血をひくために狐憑きとさげすまれ、ひっそり生きてきた。
ある日、村八分となっている遥香を探して来たのは怨霊や魔物を祓う軍人・彰良(あきら)。
彼は陰陽師の名門・芳川家の男だった。
帝国陸軍で共に任務にあたることになった二人だったが、実は彰良にもある秘密が――。
自己評価は低いが芯に強さを秘める女が、理解者を得て才能を開花させる!
&
苦しみを抱え屈折した男が、真っ直ぐな優しさに触れ愛を知る!
明治中期風の横浜と帝都を駆ける、あやかし異能ロマンス譚です。
可愛い妖怪・豆腐小僧も戦うよ!
※この作品は、カクヨム・小説家になろうにも掲載しています
契約結婚に初夜は必要ですか?
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
勤めていた会社から突然、契約を切られて失業中の私が再会したのは、前の会社の人間、飛田でした。
このままでは預金がつきてアパートを追い出されそうな私と、会社を変わるので寮を出なければならず食事その他家事が困る飛田。
そんな私たちは利害が一致し、恋愛感情などなく結婚したのだけれど。
……なぜか結婚初日に、迫られています。
運命には間に合いますか?
入海月子
恋愛
スペイン建築が大好きな設計士
大橋優那(おおはし ゆな) 28歳
×
せっかちな空間デザイナー
守谷翔真(もりや しょうま) 33歳
優那はスペイン建築を学ぶという夢が実現するというときに、空間デザイナーの翔真と出会った。
せっかちな彼は出会って二日目で優那を口説いてくる。
翔真に惹かれながらも、スペインに行くことが決まっている優那はその気持ちに応えられないときっぱり告げた。
それでも、翔真はあきらめてくれない。
毎日のように熱く口説かれて、優那は――
灰かぶりの姉
吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。
「今日からあなたのお父さんと妹だよ」
そう言われたあの日から…。
* * *
『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。
国枝 那月×野口 航平の過去編です。
嘘をつく唇に優しいキスを
松本ユミ
恋愛
いつだって私は本音を隠して嘘をつくーーー。
桜井麻里奈は優しい同期の新庄湊に恋をした。
だけど、湊には学生時代から付き合っている彼女がいることを知りショックを受ける。
麻里奈はこの恋心が叶わないなら自分の気持ちに嘘をつくからせめて同期として隣で笑い合うことだけは許してほしいと密かに思っていた。
そんなある日、湊が『結婚する』という話を聞いてしまい……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる