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第四章
告白と拒絶 2
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「……パパ……」
寝ぼけた声でそう言いながら、藤堂さんの腰にぎゅっとしがみついた。
藤堂さんは慌てたようにしゃがみ込み、真一くんの背中をさすった。
「どうした、真一。悪い夢でも見たか?」
その声はさっきまでの硬さを失い、柔らかく解けていた。
藤堂さんの腕の中で、真一くんは安心したのか再び目を閉じて、寝息を立て始めた。
藤堂さんはゆっくりと真一くんを抱き上げ、寝室へ向かう。私はその後を着いていき、部屋の扉を開けた。
ベッドの上に、真一くんをそっと下ろして薄手の布団を掛ける。
私はそっと近づき、真一くんの髪に手を伸ばした。
寝癖でふわふわに乱れた髪をなでながら、はっきりと言った。
「この子にとって、もう、父親はあなたなんです」
藤堂さんが一瞬、私を見上げる。
視線を受け止めたまま、続けた。
「私は……この子の母親として、藤堂さんと真一くんに関わりたいです」
沈黙が落ちた。
時計の針が動く音と、お湯のはぜる音だけが耳に残る。
藤堂さんは何かを言いかけ、そして唇を閉じた。
「……少し、考える時間がほしい」
やっとの思いで絞り出したその言葉に、胸の奥がきゅっと締め付けられる。
それでも私は、頷くしかない。
「わかりました」
それ以上は、何も言わなかった。
* * *
それから、週一で藤堂さんの家に通うのは変わらずだけど、彼との距離は少しだけ遠くなった。
会話は必要最低限。
それでも私は、真一くんの前では笑顔を崩さないようにした。
私の事情なんて、この子には関係ないのだから。
「おねえちゃん、これみて!」
真一くんが保育所で作った紙飛行機を持って駆け寄ってくる。
「わあ、かっこいいね。飛ばしてみようか」
リビングで一緒に飛ばしながら、笑い声を交わす。
藤堂さんは台所からその様子を見ていたが、目が合うとすぐに視線をそらした。
夜、真一くんを寝かしつけるとき、彼が小さな声で言った。
「ねえ、おねえちゃん……ずっと、ここにいてくれる?」
その言葉に、私の胸の奥が痛む。
「もちろんだよ」
そう答えると、真一くんは安心したように目を閉じた。
その寝顔を見ながら思った。
私はもう、この家から離れたくないーーたとえ、藤堂さんの気持ちが私に向いていなくても。
* * *
一週間後の夜。
真一くんが眠った後、私は荷物を持って帰ろうとした。
玄関で靴を履いていると、背後から藤堂さんの声がした。
「……ありがとう」
振り向くと、彼は少しだけ笑っていた。
「真一のこと、君がいてくれると助かる」
その言葉は、まだ答えではないことは承知の上だ。
けれど、私の中に小さな灯がともる。
「私は、真一くんが大好きです。もちろん、藤堂さんのことも」
まっすぐにそう伝えて、ドアを開けた。
夜風が頬を優しく撫でる。
藤堂さんがどう答えるのかーーそれは、もう少し先のことになるだろう。
でも私は待つことを決めたのだ。
彼と、この子と、一緒に生きられる日が来ると信じて……
寝ぼけた声でそう言いながら、藤堂さんの腰にぎゅっとしがみついた。
藤堂さんは慌てたようにしゃがみ込み、真一くんの背中をさすった。
「どうした、真一。悪い夢でも見たか?」
その声はさっきまでの硬さを失い、柔らかく解けていた。
藤堂さんの腕の中で、真一くんは安心したのか再び目を閉じて、寝息を立て始めた。
藤堂さんはゆっくりと真一くんを抱き上げ、寝室へ向かう。私はその後を着いていき、部屋の扉を開けた。
ベッドの上に、真一くんをそっと下ろして薄手の布団を掛ける。
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寝癖でふわふわに乱れた髪をなでながら、はっきりと言った。
「この子にとって、もう、父親はあなたなんです」
藤堂さんが一瞬、私を見上げる。
視線を受け止めたまま、続けた。
「私は……この子の母親として、藤堂さんと真一くんに関わりたいです」
沈黙が落ちた。
時計の針が動く音と、お湯のはぜる音だけが耳に残る。
藤堂さんは何かを言いかけ、そして唇を閉じた。
「……少し、考える時間がほしい」
やっとの思いで絞り出したその言葉に、胸の奥がきゅっと締め付けられる。
それでも私は、頷くしかない。
「わかりました」
それ以上は、何も言わなかった。
* * *
それから、週一で藤堂さんの家に通うのは変わらずだけど、彼との距離は少しだけ遠くなった。
会話は必要最低限。
それでも私は、真一くんの前では笑顔を崩さないようにした。
私の事情なんて、この子には関係ないのだから。
「おねえちゃん、これみて!」
真一くんが保育所で作った紙飛行機を持って駆け寄ってくる。
「わあ、かっこいいね。飛ばしてみようか」
リビングで一緒に飛ばしながら、笑い声を交わす。
藤堂さんは台所からその様子を見ていたが、目が合うとすぐに視線をそらした。
夜、真一くんを寝かしつけるとき、彼が小さな声で言った。
「ねえ、おねえちゃん……ずっと、ここにいてくれる?」
その言葉に、私の胸の奥が痛む。
「もちろんだよ」
そう答えると、真一くんは安心したように目を閉じた。
その寝顔を見ながら思った。
私はもう、この家から離れたくないーーたとえ、藤堂さんの気持ちが私に向いていなくても。
* * *
一週間後の夜。
真一くんが眠った後、私は荷物を持って帰ろうとした。
玄関で靴を履いていると、背後から藤堂さんの声がした。
「……ありがとう」
振り向くと、彼は少しだけ笑っていた。
「真一のこと、君がいてくれると助かる」
その言葉は、まだ答えではないことは承知の上だ。
けれど、私の中に小さな灯がともる。
「私は、真一くんが大好きです。もちろん、藤堂さんのことも」
まっすぐにそう伝えて、ドアを開けた。
夜風が頬を優しく撫でる。
藤堂さんがどう答えるのかーーそれは、もう少し先のことになるだろう。
でも私は待つことを決めたのだ。
彼と、この子と、一緒に生きられる日が来ると信じて……
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