相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~

ちくでん

文字の大きさ
31 / 35

すれ違い

しおりを挟む

「ヨトウムシじゃな」
「……これが、あの」

 虫食いだらけになってしまった白菜の芽を野崎さんと調べながら、俺は歯を食いしばった。

 話には聞いていたんだ。夜行性で、昼にはほとんど姿を現さず土中にいるイモムシ。
 そのため見つけづらくて、気がついたときには芽を食い荒らされて成虫の蛾に千個以上の卵を産みつけられているという。

 白菜の芽にネットを掛けたからと思って、ちょっと安心していた。
 どこかに隙間があったのかもしれない。

「こいつにはわしも未だよくやられる。農薬も使ってたんじゃろう?」
「……農薬というか、虫よけの薬品ですが」
「やることをやっていたのならば、これはもう仕方ない。白菜をほぼ壊滅させてしまった、というのも経験じゃ。切り替えてゆこう」

 慰めの言葉がむしろ心に刺さる。
 果たして俺はやることをやれていたのだろうか。

 被せたネットのチェックを毎日念入りにしていたか。
 芽吹いた葉の様子をもっとちゃんと見ていれば、予兆に気づけたのではないか。
 虫除けの魔法に頼り切りでなく、農薬も使っていたらまた違ってたかもしれない。
 様々なことが頭によぎる。

 だが、全ては後の祭りだ。
 野崎さんの言う通り、切り替えていかないと。

「……レムネアちゃんの様子は?」
「まだ部屋から出てくる気配がなくて――」

 ――――。

 風邪から復帰したレムネアが、畑の惨状を見て部屋に閉じこもり丸一日が経っている。

 虫に食い荒らされた畑を見て、彼女は呆然とした顔をしていた。
 信じられないという表情だった。
 しゃがみ込み、虫食いだらけの若芽をそっと触った彼女は俺の方に振り向くと。

「私が虫よけの魔法を掛け忘れていたばっかりに……」

 それは違う、と俺は答えた。
 俺がレムネアに頼り切ってたのが悪いんであって、彼女のせいじゃない。
 おまえが気にすることじゃないと言った。

 これは本心だ。
 責任は俺にあるんだ。レムネアはよくやってくれていた。
 そう伝えたつもりだったのだけど、なぜか彼女はボロボロと涙をこぼし始めた。

 レムネアは抜け殻にでもなったように無表情となり、家へと戻っていった。
 以降、部屋から出てこない。

 食事を持って行っても口を付けず、部屋を暗くして隅で膝を抱えて座っているだけだった。

 ――――。

「それは心配、じゃの」
「はい……」

 レムネアの奴、本当に気にしないでいいのに。
 農業一年目なんか失敗しても当たり前なんだ。それに、資金だってまだカツカツなわけじゃない。失敗を受け入れる余裕だってある。

 だから大きな問題じゃない。
 そう伝えても、彼女は部屋から出てこなかった。

「んん、そうか。……ともあれ、食事も取らないのは困った話じゃ。ウチに朝どりの美味しいトマトがあるから、持って行っておやりなさい。レムネアちゃんはトマトとチーズの組み合わせが好きなのじゃろう?」
「ありがとうございます、お言葉に甘えさせてください」

 ◇◆◇◆

 家に帰った俺は、レムネアが好きなトマトとチーズの料理を作って彼女の部屋の前へと赴いた。

「レムネア、食事の用意ができたぞ。入っていいか?」
「…………」

 部屋の中から返事はない。

「――入るぞ」

 田舎の大きな平屋建てだ。部屋の戸に鍵などと言った洒落たものは付いていない。
 プライバシー、なにそれの時代からの建物だったことに今日は少し感謝をしながら、強引にレムネアの部屋に入っていく。

「ほら、トマトとチーズを焼いてオリーブオイルを掛けたものだ。美味しいぞ?」

 相変わらず彼女は、部屋の隅でうずくまっていた。
 膝を抱えて座ったままこちらを見ようともせず、顔を伏せたままだった。

「俺もここで食べさせて貰うからさ、一緒に食べよう。ほら」

 食事くらいはとってくれよ、心配で仕方ない。
 そう思いながら俺はフォークで焼きトマトを口に運んだ。トロトロのチーズは風味が強くなって、焼いて甘みが上がったトマトと合う。

「ん、美味しい。さあレムネアも食べろって」
「…………」

 変わらず顔を伏せたまま、微動だにしない。
 俺はいったん皿を置いて、大きく息をついた。

 しばし無言で考える。
 こういうとき、言葉ってのは空しく空回りしがちだけれども、言葉にしていかないと始まらないことも多い。……と思う。
 だから敢えて、繰り返すことにした。

「ホント、おまえが気にする必要はないんだって。責任は俺にあるんだから」

 彼女が俺の言う通りに、いやその枠を超えて俺の力になってくれてたことは疑いがない。そこから先の責任は、俺が取らないといけない領域だ。
 それが雇い主というものだと思う。

 彼女がやったこと、それは全て俺の判断の上でやってもらったことだ。
 もし、誰が悪いかという話をするなら俺が悪いということになる。

 レムネアは「自分が虫よけの魔法を掛け忘れていたから」と責任を感じていたみたいだが、そこだって俺がしっかりチェックした上で、掛け直して貰うことを忘れなければよかっただけの話。

「俺がもっとしっかりしてれば、こんな事にはならなかったんだ。おまえにツラい思いをさせてしまって、本当にすまないと思ってる。ごめん」

 俯いてこちらを見ることもない彼女に、俺はこんこんと語った。
 トマトもチーズも冷めてしまうくらいの長い時間、一方的に話し掛けていたと思う。

 話し終えて、部屋が沈黙に満たされた。
 やっぱりレムネアは反応してくれないか、俺が諦めかけたそのとき。

「……そんな風に言わないでください」

 彼女は細い声で呟いた。

「え?」
「そんな風に言われたら、まるでケースケさまだけが悪いみたいじゃないですか。でも、違うんです。私が……いえ、私だって悪いんです。私が、私がちゃんとしていれば……!」

 細いけど、力が篭った声。

「一緒に抱えたかった。責任を追及して欲しかった。だって間違いなく私のせいなんですよ? 私がうっかり、遊びにかまけてしまったから。どう取り繕っても、私が虫よけの魔法を掛け忘れていたから苗に虫が付いてしまったんですよ?」
「……レム、ネア?」

 彼女は顔を上げた。
 涙を流しながら、俺の目を見て話しだした。

「この世界にきて、ケースケさまに魔法を褒めて頂いて、頼って貰えて……私、本当に嬉しかった。やっと自分の居場所が見つかったって、初めて一人前になれた気がしたのに……! それなのに、このザマです。……ごめんなさい、私、やっぱり、どこまでいっても出来損ないでした。一人前でもないのに、勘違いしてました」

 訴えかけるその目に、俺は言葉を失った。

「冒険者パーティーの中で味噌っかすだったあのときと、なにも変わっていなかった……!」

 突然立ち上がったレムネアが、部屋を飛び出した。
 慌てて追う俺。
 しかし追いつけないどころか、俺の姿を確認した彼女は空に飛びあがってしまった。

「レムネアっ! 違う!」

 走りながら彼女の言葉を反芻する。

『私、やっぱり、どこまでいっても出来損ないでした。一人前でもないのに、勘違いしてました』

 俺はそんなつもりで彼女を責めなかったわけじゃない。
 まさかそういう風に取られるなんて、思ってもいなかった。

「くそ……っ!」

 レムネアを完全に見失い、俺は足を止めた。
 情けない話だった。今の俺は、彼女にどういった言葉を掛ければいいのかわからない。
 伝えたいのに。
 俺がどれだけレムネアに感謝をしているか、伝えたいのに!
 今はそれをどういう言葉に乗せればいいのか、わからない。

 信じて欲しい、というには資格がないように思えてしまい、頭の中がグチャグチャになる。ああ畜生、胸が張り裂けそうだ!

 ◇◆◇◆

 その後俺は、しばらく彼女を探し回った。

 どこにいったんだレムネア……! 俺は、またおまえを傷つけてしまったのか?
 そんなつもりがなかったとか、言い訳にはならない。
 そんなの、彼女の気持ちを考えたことがないと言ってるも同義じゃないか。

 ホタル川に着いた。
 二人でホタルを見て、語り合った場所だ。だけどここにはレムネアの姿はなかった。
 滑り丘の上に上がってみた。
 美津音ちゃんたちと滑って遊んで、二人でこの町を見渡した場所。
 風の音に乗ってレムネアの声が聞こえたような気がしてハッと振り向いたが、どこにも彼女の姿はなかった。

 レイジの駄菓子屋や野崎さんの家に赴いた。
 二人とも、見かけることがあったら連絡すると約束してくれた。

 車を出して、ホームセンターも覗いてみた。
 飛んでるなら遠くにいった可能性もあると思ったからだ。
 畜生、どこにいったんだレムネア。
 おい種芋ども、彼女を見なかったか!? そう聞いてみるも、奴らは無言だった。
 肝心なときには喋ってくれないんだな。くそぅ。

 レムネアが楽しそうに笑っていた場所を俺は回っていったが、そこには彼女の面影が残っているだけでその姿はなかった。
 まさか、これでもう会えないなんてことはないよな。そんなバカな話は!

「そうか、苗が壊滅ねぇ」

 園芸売り場の肝っ玉かあさんこと店員さんが、腕を組んだ。

「一年目だろ? そんなこともあるさね。その経験を次に生かしていくんだね」
「俺も、そのつもりでレムネアに言葉を掛けていたのですけど……」
「ばーか」

 突然呆れたような声を出されてしまい、思わず店員さんの方を見た。

「要はあんたのカミさん、旦那に他人行儀な対応をされたのがショックだったんだろ? 相手の気持ちを慮れって話だよ。まだそんなことを言ってるようじゃ、カミさんを見つけられてもうまくいかないぞ?」

 店員さんは腕を組んだ。

「一緒に頑張って、一緒に喜んで、一緒に悲しんで、一緒に歩んでいると思ってた相手に、自分が悪いはずだと思っているのに『おまえは悪くない』と言われたら、そりゃあヘコむさ。鬼ごっこで言うなら豆役扱いと変わらないじゃないか」
「豆役?」
「掴まっても鬼になることはない、逃げるだけの役のことさ。小さな子に、雰囲気だけ楽しんでもらう為のルールだよ。おまえさんは、大事なカミさんをその役に据えたんだ」

 言葉を返せない。
 俺は彼女に気を遣ったつもりで、単に軽く扱っていただけなのかもしれない。

 どんな気持ちで彼女が俺の手伝いをしてくれているか。
 考えていなかったわけじゃあないけど、慣れてきて少し疎かにしていたのだろう。

「ちゃんと、苦楽を共にしてやれって話さ」

 そうだよ俺も前にレムネアに言ったはずだ。
 苦も楽も、一緒に味わいつくそうぜって。それは、対等であろうという言葉でもあったはずなのに。

 突然、ドンと背中を叩かれた。
 店員さんが笑っている。

「まあ、見かけたらちゃんと声を掛けといてやる。頑張れよ、新米!」

 俺はホームセンターを後にした。
 結局、この日レムネアは見つからなかったのだが、次の日になって野崎さんからスマホに連絡があった。

 レムネアは今、野崎さんの家に居るそうだ。
 フラフラ歩いているところを、美津音ちゃんが捕獲したらしい。

「ありがとうございます、すぐに迎えにいきますので!」
「いや、まだやめといた方がよさそうじゃ」
「え?」
「様子がおかしいし、そっとしておいてやるのが一番じゃろう。今はまだ、ケースケくんと顔を合わせられる状態じゃない」
「そう……ですか」

 ショックだった。
 やはり俺は彼女に嫌われてしまったのだろうか。

「……なに、悪いようにはせんよ。しばらくウチに置いておくから、安心しておくれ」
「わかりました、よろしくお願いします」
「それより台風対策を万全にしておいた方がよさそうじゃぞ。ひどく大型に育っているそうじゃ」

 そう言われ、頭を切り替える。
 万全の態勢で台風を迎えられるように、今度こそ抜かりなく頑張った。――のだが。

『ニュースをお伝えします。大型だった台風16号は、危険な規模でさらに大きく育ちながら本州直撃コースで移動しており――』

 数十年に一度、百年に一度と言われる規模に育った台風が今、この地に襲い掛かろうとしていたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

つまみ食いしたら死にそうになりました なぜか王族と親密に…毒を食べただけですけど

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私は貧しい家に生まれた お母さんが作ってくれたパイを始めて食べて食の楽しさを知った メイドとして働くことになれて少しすると美味しそうなパイが出される 王妃様への食事だと分かっていても食べたかった そんなパイに手を出したが最後、私は王族に気に入られるようになってしまった 私はつまみ食いしただけなんですけど…

偽りの呪いで追放された聖女です。辺境で薬屋を開いたら、国一番の不運な王子様に拾われ「幸運の女神」と溺愛されています

黒崎隼人
ファンタジー
「君に触れると、不幸が起きるんだ」――偽りの呪いをかけられ、聖女の座を追われた少女、ルナ。 彼女は正体を隠し、辺境のミモザ村で薬師として静かな暮らしを始める。 ようやく手に入れた穏やかな日々。 しかし、そんな彼女の前に現れたのは、「王国一の不運王子」リオネスだった。 彼が歩けば嵐が起き、彼が触れば物が壊れる。 そんな王子が、なぜか彼女の薬草店の前で派手に転倒し、大怪我を負ってしまう。 「私の呪いのせいです!」と青ざめるルナに、王子は笑った。 「いつものことだから、君のせいじゃないよ」 これは、自分を不幸だと思い込む元聖女と、天性の不運をものともしない王子の、勘違いから始まる癒やしと幸運の物語。 二人が出会う時、本当の奇跡が目を覚ます。 心温まるスローライフ・ラブファンタジー、ここに開幕。

ギルド受付嬢は今日も見送る~平凡な私がのんびりと暮らす街にやってきた、少し不思議な魔術師との日常~

弥生紗和
ファンタジー
【完結】私はギルド受付嬢のエルナ。魔物を倒す「討伐者」に依頼を紹介し、彼らを見送る毎日だ。最近ギルドにやってきたアレイスさんという魔術師は、綺麗な顔をした素敵な男性でとても優しい。平凡で代わり映えのしない毎日が、彼のおかげでとても楽しい。でもアレイスさんには何か秘密がありそうだ。 一方のアレイスは、真っすぐで優しいエルナに次第に重い感情を抱き始める―― 恋愛はゆっくりと進展しつつ、アレイスの激重愛がチラチラと。大きな事件やバトルは起こりません。こんな街で暮らしたい、と思えるような素敵な街「ミルデン」の日常と、小さな事件を描きます。 大人女性向けの異世界スローライフをお楽しみください。 西洋風異世界ですが、実際のヨーロッパとは異なります。魔法が当たり前にある世界です。食べ物とかファッションとか、かなり自由に書いてます。あくまで「こんな世界があったらいいな」ということで、ご容赦ください。 ※サブタイトルで「魔術師アレイス~」となっているエピソードは、アレイス側から見たお話となります。 この作品は小説家になろう、カクヨムでも公開しています。

土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~

にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。 「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。 主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。

冒険者パーティから追放された俺、万物創生スキルをもらい、楽園でスローライフを送る

六志麻あさ
ファンタジー
とある出来事をきっかけに仲間から戦力外通告を突きつけられ、パーティを追放された冒険者カイル。 だが、以前に善行を施した神様から『万物創生』のスキルをもらい、人生が一変する。 それは、便利な家具から大規模な土木工事、果てはモンスター退治用のチート武器までなんでも作ることができるスキルだった。 世界から見捨てられた『呪われた村』にたどり着いたカイルは、スキルを使って、美味しい料理や便利な道具、インフラ整備からモンスター撃退などを次々とこなす。 快適な楽園となっていく村で、カイルのスローライフが幕を開ける──。 ●表紙画像は、ツギクル様のイラストプレゼント企画で阿倍野ちゃこ先生が描いてくださったヒロインのノエルです。大きな画像は1章4「呪われた村1」の末尾に載せてあります。(c)Tugikuru Corp. ※転載等はご遠慮ください。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

過労死して転生したら『万能農具』を授かったので、辺境でスローライフを始めたら、聖獣やエルフ、王女様まで集まってきて国ごと救うことになりました

黒崎隼人
ファンタジー
過労の果てに命を落とした青年が転生したのは、痩せた土地が広がる辺境の村。彼に与えられたのは『万能農具』という一見地味なチート能力だった。しかしその力は寂れた村を豊かな楽園へと変え、心優しきエルフや商才に長けた獣人、そして国の未来を憂う王女といった、かけがえのない仲間たちとの絆を育んでいく。 これは一本のクワから始まる、食と笑い、もふもふに満ちた心温まる異世界農業ファンタジー。やがて一人の男のささやかな願いが、国さえも救う大きな奇跡を呼び起こす物語。

【完結】うだつが上がらない底辺冒険者だったオッサンは命を燃やして強くなる

邪代夜叉(ヤシロヤシャ)
ファンタジー
まだ遅くない。 オッサンにだって、未来がある。 底辺から這い上がる冒険譚?! 辺鄙の小さな村に生まれた少年トーマは、幼い頃にゴブリン退治で村に訪れていた冒険者に憧れ、いつか自らも偉大な冒険者となることを誓い、十五歳で村を飛び出した。 しかし現実は厳しかった。 十数年の時は流れてオッサンとなり、その間、大きな成果を残せず“とんまのトーマ”と不名誉なあだ名を陰で囁かれ、やがて採取や配達といった雑用依頼ばかりこなす、うだつの上がらない底辺冒険者生活を続けていた。 そんなある日、荷車の護衛の依頼を受けたトーマは――

処理中です...