兄が【剣聖】、妹は【聖女】になった双子の転生者はのんびり冒険者やってます♪

雪奈 水無月

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第40話 「海で大はしゃぎ!?」

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「わーい! 海だーっ!」
 凛は勢いよく浜辺へ駆け出し、そのまま波に飛び込んだ。
 白い砂浜と碧い海、そして陽気な人々の声。港町ルゼリアの祭りは最高潮だ。

「ちょ、凛! はしゃぎすぎると溺れるぞ!」
 蓮が慌てて後を追うが、すでに妹は浮き輪にしがみつきながら波に揺られている。
「だーいじょうぶ! 私、泳げるもん!」
「嘘つけ、犬かきしかできないくせに」



 そのやり取りを浜辺で眺めながら、ロゼッタは日傘をくるりと回し、溜息をついた。
「……神白兄妹というのは、どうしてこう……子犬のように元気なのかしら」

「ロゼッタさーん! 一緒に入りましょうよ!」
 凛が大声で呼ぶ。

「私は結構です。日に焼けますから」
「えー! せっかく水着買ったのにー!」
「……っ!」
 図星を突かれたロゼッタの頬がほんのり赤く染まる。



「なら、私が無理やりでも……!」
 凛は水飛沫をあげながらロゼッタに突撃。
「ちょ、や、やめなさい凛──きゃあっ!」

 ドボーン!

 優雅な女帝があっさりと海に引きずり込まれた。
 浜辺の人々は驚愕し、次の瞬間、拍手と笑いが巻き起こる。

「ぷはっ……! こ、このっ……凛!」
 赤い瞳でギロリと睨むロゼッタ。だがその表情は、どこか楽しそうでもあった。



 ◆◆◆

 やがて海辺は賑やかな競技大会に変わった。
 スイカ割り、砂像コンテスト、綱引き──

「次はビーチフラッグです!」
 司会の声に、凛とロゼッタが並んでスタートラインに立つ。

「負けませんよ、凛」
「こっちこそー! 女帝さんに勝つんだから!」

 合図と同時に砂浜を駆け抜ける二人。
 結果は──

「お姉ちゃん速すぎ! なんであんなにスタミナあるの!?」
「ふふ……夜は長いものですから」
「えっ!? なにその意味深な返し!」



 一方、蓮はというと──
 砂浜で貝殻を集めていた子供たちに囲まれていた。

「お兄ちゃん、剣の技見せてー!」
「魔物やっつけた話してー!」
「う、うるさい……俺は休んでるだけだ」
 苦手な人混みに押され気味の蓮。
 けれど子供たちの瞳の輝きを見て、ふっと小さな笑みを浮かべる。



 ◆◆◆

 夕暮れ。
 浜辺に座った三人は焼き魚を頬張りながら潮騒を聞いていた。

「楽しかったなぁ~! 海って最高!」
「まさか私が浜辺で走ることになるとは思いませんでした……」
 ロゼッタは小さく微笑み、波に赤い瞳を映す。

「……でも、悪くありませんね」
 その言葉に蓮と凛は顔を見合わせ、にっこりと笑った。



 遠く沖合に、黒い影がゆっくりと動いていた。
 しかしこの時の三人はまだ、それに気づくことなく──
 ただ束の間の休息を楽しんでいたのだった。
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