兄が【剣聖】、妹は【聖女】になった双子の転生者はのんびり冒険者やってます♪

雪奈 水無月

文字の大きさ
42 / 53

第41話 「海の大暴れ!? 女帝、まさかの特技!」

しおりを挟む
 港町ルゼリアの祭りはクライマックスを迎えていた。
 太鼓が鳴り響き、灯籠が海へと流され、歌と笑い声が波に混ざる。

「わぁ~! きれいだね、蓮にぃ!」
「……ああ」
 凛は手を合わせて灯籠を海に流し、蓮も静かに見守る。

 その横でロゼッタは、潮風に髪を揺らしながらぼんやりと海を眺めていた。
「……こんなに穏やかな海を見たのは、何百年ぶりかしら」
 赤い瞳に映る光景は、どこか懐かしいもののようだった。



 だが、穏やかな時間は長くは続かなかった。

「きゃあああっ! 海から何か出てくるー!」
 悲鳴が上がり、人々が浜辺から逃げ出す。

 海面が大きく割れ、泡とともに巨大な影が姿を現した。
 それは巨大な……タコ。
 体長十メートルはあろうかという化け物で、祭りの食材にされかけた仲間を助けに来たのか、怒り狂っている。

「な、なんで祭りの最後にボス戦みたいなのが出てくんの!?」
 凛は腰を抜かし、蓮が剣を抜こうとする。

 しかし、その前に──

「……任せなさい」
 ロゼッタがすっと前に出た。



「ロゼッタさん!? どうする気なの!?」
 凛が慌てて叫ぶ。

 ロゼッタは薄く微笑み、すらりと白い足を砂浜に踏み出す。
 そして──息を大きく吸い込むと、海へと口を向けた。

「──────────」

 吹き出したのは、凄まじい勢いの水流。
 それはまるで竜巻のように海面を切り裂き、巨大タコを直撃させた。

「うわぁ!? ロゼッタさん、水鉄砲!? いや、バズーカ級だよ!?」
 凛は目を丸くする。

 ロゼッタは涼しい顔で説明した。
「……ヴァンパイアは肺活量が常人の数十倍ありますから。水を取り込んで吐き出すくらい、造作もないことです」

「便利すぎるでしょ……!」
 蓮は呆れながらも剣を構える。



 巨大タコは怒り、触手を振り回して浜辺の屋台を壊そうとする。
 そこへ凛が走り込んだ。
「させないよ! 【聖光壁〈ホーリー・シールド〉】!」
 黄金の光の壁が触手を弾き返し、観光客たちを守る。

「よくやった凛!」
 蓮は【剣聖技・閃牙】を放ち、触手を斬り払う。

 そしてロゼッタは最後に、大きく息を吸い──
「これで終わりです!」
 ドゴォォォン!と再び水圧砲を叩き込み、巨大タコは泡を吹いて海に沈んでいった。

 ◆◆◆

 祭りの人々は大歓声をあげた。

「すごい! あの三人が海の化け物を退治したぞ!」
「お姉さんの水鉄砲……いや、魔法? すごすぎる!」
「赤い瞳の美女に、双子の勇者……これは伝説だ!」

 凛は照れ笑いし、蓮は「騒ぎすぎだ」と顔をそむける。
 ロゼッタはほんの少し頬を赤らめながらも、日傘を差して一言。

「……はしゃぎすぎたわね」



 こうして三人の“海イベント”は、港町ルゼリア中の伝説になったのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~

中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」 唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。 人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。 目的は一つ。充実した人生を送ること。

50歳元艦長、スキル【酒保】と指揮能力で異世界を生き抜く。残り物の狂犬と天然エルフを拾ったら、現代物資と戦術で最強部隊ができあがりました

月神世一
ファンタジー
​「命を捨てて勝つな。生きて勝て」 50歳の元イージス艦長が、ブラックコーヒーと海軍カレー、そして『指揮能力』で異世界を席巻する! ​海上自衛隊の艦長だった坂上真一(50歳)は、ある日突然、剣と魔法の異世界へ転移してしまう。 再就職先を求めて人材ギルドへ向かうも、受付嬢に言われた言葉は―― 「50歳ですか? シルバー求人はやってないんですよね」 ​途方に暮れる坂上の前にいたのは、誰からも見放された二人の問題児。 子供の泣き声を聞くと殺戮マシーンと化す「狂犬」龍魔呂。 規格外の魔力を持つが、方向音痴で市場を破壊する「天然」エルフのルナ。 ​「やれやれ。手のかかる部下を持ったもんだ」 ​坂上は彼らを拾い、ユニークスキル【酒保(PX)】を発動する。 呼び出すのは、自衛隊の補給物資。 高品質な食料、衛生用品、そして戦場の士気を高めるコーヒーと甘味。 ​魔法は使えない。だが、現代の戦術と無限の補給があれば負けはない。 これは、熟練の指揮官が「残り物」たちを最強の部隊へと育て上げ、美味しいご飯を食べるだけの、大人の冒険譚。

落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。 ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。 そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。 問題は一つ。 兄様との関係が、どうしようもなく悪い。 僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。 このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない! 追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。 それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!! それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります! 5/9から小説になろうでも掲載中

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

社畜の異世界再出発

U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!? ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。 前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。 けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

スライムに転生した俺はユニークスキル【強奪】で全てを奪う

シャルねる
ファンタジー
主人公は気がつくと、目も鼻も口も、体までもが無くなっていた。 当然そのことに気がついた主人公に言葉には言い表せない恐怖と絶望が襲うが、涙すら出ることは無かった。 そうして恐怖と絶望に頭がおかしくなりそうだったが、主人公は感覚的に自分の体に何かが当たったことに気がついた。 その瞬間、謎の声が頭の中に鳴り響いた。

処理中です...