兄が【剣聖】、妹は【聖女】になった双子の転生者はのんびり冒険者やってます♪

雪奈 水無月

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第42話 「祭りの後と、不穏な海の影」

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 祭りの熱気が嘘のように、港町ルゼリアの夜は静けさを取り戻していた。
 宿の窓からは、まだ遠くに小さな花火が残り火のように揺らめいている。

「ふぅ~……楽しかったぁ!」
 ベッドに倒れ込む凛。
 隣で蓮は剣を手入れしながら「はしゃぎすぎだ」と呆れ顔。
 一方、ロゼッタは椅子に腰掛け、優雅に葡萄酒を傾けていた。

「……ですが、妙に気になるわね」
 グラスを置き、ロゼッタが目を細める。
「さきほどの巨大タコ……あれほどの魔物が浅瀬に現れるのは異常です。自然な現象とは思えません」

 その言葉に、蓮の手が止まった。
「……誰かが仕組んでいた、ってことか?」
「可能性はあるわ。魔族か、人間の禁忌に触れる術か……」

 空気が一気に重くなり、凛は小さく肩をすくめる。
「え、えっと……ま、まだ決まったわけじゃないんだよね? もしかしたら、ただの“迷いタコ”かも!」
「十メートル級の“迷いタコ”はいない」
 即答する蓮に、凛は「だよねぇ……」と項垂れた。



 翌朝。
 三人はギルドへと顔を出す。

「おはようございます~!」
 受付嬢マリーがにこやかに出迎えた……が、その顔には心配の色が浮かんでいる。

「昨日の件、聞きましたよ。皆さんがいなかったら、港町は大惨事になってました」
「大袈裟だ」
 蓮はぶっきらぼうに答えるが、マリーは真剣な眼差しを向けてきた。

「実は……あれだけじゃないんです。沖合で船が行方不明になる事件が続いていて。調査に向かった冒険者たちも、何人か帰ってきませんでした」

 凛の顔が固まる。
「……え、帰ってこないって……まさか」
「はい。生存確認はできていません」
 マリーは声を落とした。

 その場に重苦しい沈黙が流れる。
 ロゼッタが静かにフードを被り直した。
「……どうやら、海の奥に“何か”が潜んでいるようね」



 だがその時、ギルドの扉が勢いよく開いた。

「報告だぁっ! また船が沈められた! しかも今度は、港からそう遠くない場所でだ!」

 駆け込んできた冒険者の叫びに、ギルド中がざわめいた。
「まさか……次はこの町そのものが狙われるのか?」
「そんな……!」

 凛が不安げに蓮を見上げる。
「蓮にぃ……どうする?」
 蓮は短く息を吐き、ロゼッタを見る。
 ロゼッタは目を細め、不敵な笑みを浮かべた。

「決まっているでしょう。真実を暴きに行くのよ。──私たちで」
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