十二年付き合った彼氏を人気清純派アイドルに盗られて絶望してたら、幼馴染のポンコツ御曹司に溺愛されたので、奴らを見返してやりたいと思います

塔原 槇

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第二章 俺の幼馴染は御曹司でポンコツで

二十話

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「上がったぞー」


 俺が声を掛けると、麗音がひょこっと顔を出した。


「あっ、おかえり!ねえねえ、ベッドなんだけどさ」

「あー、いいよ俺ソファで寝るから」

「そんなのだめ!風邪引いちゃうよ。ねえ、しゅん兄ちゃん、久しぶりに一緒に寝よ?」

「は?」


 こいつは何を言ってるんだ。

 一緒に寝るだと?

 どこまでも俺を子供の頃の『しゅん兄ちゃん』だと思っているんだな。

 胸の奥にじわりと疼いた想いに見て見ぬふりをする。

 ……そうだ、こいつは俺の失恋も、俺の性的嗜好も知らない。

 ただ純粋に、あの頃の続きをやりたいだけなんだ。


「……分かった、ただベッドから押し出すなよ?」

「そんなことしないよ!」


 麗音はうきうきとした表情で掛け布団をめくる。

 俺はそっと隣に入る。

 麗音のシャンプーの匂いがふわりと香る。


「……やっぱり、ちょっと狭いね」

「だな」

「でも、あったかい、しゅん兄ちゃんの匂いがする」


 加齢臭かよ、と突っ込む前に、麗音は寝息を立てていた。


「……寝付き良すぎだろ」


 暗がりの中、麗音の寝顔を見つめるうちに、俺もいつしか眠りに落ちていた。



 ピピピ、といういつものアラーム音が遠くに聞こえる。


「ん……?」


 見慣れない白い部屋。

 あ、そうか。

 俺、昨日、麗音の家に……


「……麗音?」


 ベッドには俺一人だった。


 肉が焼ける匂いと、ジュー、とキッチンの方から音が聞こえる。


「麗音……?」

「あっ!しゅん兄ちゃんおはよう!」


 そこには、ベーコンを焼く麗音の姿があった。

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