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後日談
あれから十年
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アレクシスとヴォルフラムが結婚してから十年目の結婚記念日に、子どもたちからプレゼントがあった。
長男のレオは七歳、長女のアレクシアも七歳の双子だ。
レオは褐色肌に金色の髪に緑の目で、アレクシアは白い肌に灰色がかった白い髪に紫の目だった。
次女のエリーゼは褐色肌に灰色がかった白い髪に緑の目で五歳、末っ子の次男のディートリヒは白い肌に金髪に紫の目の三歳児だった。
どの子もアレクシスとヴォルフラムのどちらにも似ていて、アレクシスもヴォルフラムも四人を可愛がっていた。
「お父様、お母様、結婚記念日おめでとうございます」
「庭師に頼んで、花束を作ってもらいました」
「おとうさま、おかあさま、おめでとう!」
「これ、ぷででんと!」
兄と姉たちに押し出されて、末っ子のディートリヒが薔薇と他の花を合わせた花束を差し出す。
「ありがとうございます、レオ、アレクシア、エリーゼ、ディートリヒ。とても嬉しいです」
「この薔薇はレオとアレクシアが選んでくれたのかな?」
「お母様の髪の色が白だから白薔薇がいいんじゃないかとアレクシアと相談しました」
「お父様が一番好きなのはお母様だから、お母様の色に合わせた方がいいかなと思ったのです」
貴族の子どもらしく話すレオとアレクシアの髪を撫でながら、ヴォルフラムが「お前たちのことも大好きだよ」と言っているが、レオとアレクシアは顔を見合わせてくすくすと笑っている。
「おかあさまは、わたくしがすきよ?」
「エリーゼのことも大好きですよ。レオのことも、アレクシアのことも、ディードリヒのことも」
「ママ、だっこ!」
花束をヴォルフラムに渡して、アレクシスがディードリヒを抱き上げる。羨ましそうにしているエリーゼのことももう片方の手で抱き上げると、エリーゼがアレクシスの頬にキスをした。
「わたくし、おおきくなったら、おかあさまとけっこんするの」
「残念だったな、エリーゼ。お母様はおれと結婚しているんだ」
「そういう問題ですか? エリーゼ、親子では結婚できないんですよ」
「おかあさまとけっこんするのー!」
駄々を捏ねるエリーゼに、ヴォルフラムが苦笑している。
「さぁ、今日はお祖父様とお祖母様のお家にお泊まりですよ。準備はしましたか?」
「わたし、持って行く本を決めました」
「わたくしも、お祖母様から買っていただいた本を持っていきます」
「わたくし、ぬいぐるみといっしょよ」
「ディーね、ほん、じぇんぶもっていくー!」
「ディードリヒは全部は多すぎるから年の数だけにしましょうか」
「みっちゅ?」
「はい、三つです」
子どもたちとやりとりをするアレクシスをヴォルフラムは微笑みながら見つめていた。この十年でアレクシスは四人の子どもを産んで、すっかりと母親の顔になった。それが嬉しくもあるし、ヴォルフラムにはアレクシスを独り占めできなくなって寂しくもある。
独り占めできないことを覚悟して子どもを作ったはずなのだが、アレクシスを時々は独り占めしたくて、孫を可愛がる両親に預けて二人きりの時間を作るのもよくあった。
執務が忙しいときなどは仕方なく預けるのだが、アレクシスのヒートのときは積極的に預けていた。
今回のお泊まりは、アレクシスのヒートではないが、結婚記念日を二人で過ごしたいというヴォルフラムのわがままをアレクシスが聞いてくれた形だった。
「お父様、お母様、行ってきます」
「結婚記念日、楽しんでくださいね」
幼い頃から祖父母に預けられ慣れているレオとアレクシアは、すんなりとアレクシスとヴォルフラムの頬にキスをして馬車に乗った。アレクシスべったりのエリーゼは行きたくなさそうにアレクシスに抱き付いていたが、兄と姉が馬車に乗ったのを見て、アレクシスに手を貸してもらいながら馬車のステップを上がった。
最後にアレクシスがディードリヒを抱っこして馬車に乗せる。
「おかあさま、むかえにきてね?」
「ばぁばとじぃじとねんねちていい?」
「お祖父様とお祖母様にご迷惑をおかけしないようにするのですよ。行ってらっしゃい、愛しています、レオ、アレクシア、エリーゼ、ディードリヒ」
「愛してるよ、可愛い我が子たち」
見送りを終えると、ヴォルフラムはアレクシスの腰を抱いた。アレクシスがヴォルフラムの頬に軽く口付けをしてくれる。
「レオとアレクシアの家庭教師が、最近成績がいいと褒めていましたよ」
「おれとアレクシスに似てたら、成績はいいだろうな」
「ヴィー、あなたに褒めて欲しいんですよ。帰ってきたら褒めてあげてくださいね」
「分かってるよ、アレク」
二人きりになるとアレクシスはヴォルフラムを「ヴィー」と呼ぶし、ヴォルフラムはアレクシスを「アレク」と呼ぶ。子どもができてからも、二人きりの時間を大事にしてきた。
アレクシスは子煩悩になった気がするが、ヴォルフラムもヴォルフラムなりに子どもたちを愛していた。
初めの子どもが双子だったときはヴォルフラムも驚いたが、普通より小さく生まれたレオとアレクシアは、よく飲み、よく食べ、すくすくと育った。夜泣きをすることもあったけれど、夜は基本的に乳母に託しているので、ヴォルフラムとアレクシスは二人で休んだ。
アレクシスは母乳が出る体質だったので、レオとアレクシアにはできるだけ母乳を飲ませていた。夜中に哺乳瓶でミルクを飲ませようとしても嫌がっていたようだから、やはり母乳は偉大だったのだろう。
双子だったので言い出せなかったが、ヴォルフラムもアレクシスの母乳を飲んでみたい気持ちはあった。
出産後一年はヒートも来ないし、性交渉も控えるように言われていた。第三子を望むときには、二年は空けるように言われたが、きっちり二年ごとにアレクシスは出産を三回した。ヒートで避妊薬を飲まずに抱き合うと、ほぼ間違いなく子どもができてしまうような体質にアレクシスはなってしまったようだった。
四番目のディードリヒが生まれてからは、アレクシスはヒートの前には必ず避妊薬を飲むようになった。
「三人は子どもが欲しいと思っていましたが、四人も授かることができて、わたしは幸せですね」
しみじみと呟くアレクシスに、ヴォルフラムが花束を飾った食卓に招き、椅子を引いてアレクシスを座らせる。
「おれも女の子が欲しいと思っていたが、アレクが二人も娘を産んでくれた」
「ヴィーに似て美人になると思います」
「アレクに似て凛々しくなっても嬉しいんだが」
話しながら夕食を食べ終えると、ヴォルフラムとアレクシスは夫夫の寝室に向かった。夜は子どもたちは自分の部屋で眠っているのでどれだけでも二人の時間が取れると思っていたのだが、エリーゼが生まれてからそうはいかなくなった。
エリーゼは自分の部屋を抜け出してアレクシスとヴォルフラムの間に挟まって寝ようとするのだ。一歳を超えてベビーベッドを卒業した日から、アレクシスを探し求めて子ども部屋を抜け出すエリーゼに乳母も困り果てていた。
「エリーゼはアルファな気がする。おれと似てる」
「どうでしょうね。甘えっ子なところがわたしと似ているのかも」
「アレクは甘えたいのか?」
「ヴィーに甘やかしてもらっています」
口付けてアレクシスの体を探りながら脱がせていくと、アレクシスもヴォルフラムの上着を脱がせてシャツのボタンに手をかける。
今日はエリーゼはヴォルフラムの両親のもとに預けているので、乱入してこない。
「あの……ヴォルフラム、先にシャワーを……」
「アレクはこんないい匂いをさせているのに?」
「いい匂いじゃないですよ。汗臭いです」
アレクシスの体液にはフェロモンが混じるので、少しも嫌な匂いではないのだが、アレクシスは気にしているようなのでバスルームに行ってから、ベッドに雪崩れ込んだ。
濃厚に抱き合った後で、アレクシスがヴォルフラムの長い金髪をひと束手に取って口付ける。
「愛しています……こんなに幸せでいいのでしょうか」
「おれもアレクのおかげで幸せだよ」
引き寄せて口付けると、際限なく抱き合ってしまいそうで、アレクシスがヴォルフラムを止めた。
「明日の昼には子どもたちを迎えに行ってあげないと」
「夕方でもいいよ」
「エリーゼが寂しがります」
「今はおれに集中して欲しいな」
「ヴォルフラムはいけないお父様ですね」
苦笑しながら口付けを受けたアレクシスは、それ以上抵抗することなくヴォルフラムを受け入れてくれた。
抱き合った後でお互いの体液でどろどろの状態でアレクシスがぽつりと呟く。
「次のヒートで……」
「アレク?」
「最後にしますから、もう一人だけ赤ちゃんが欲しいと言ったらヴォルフラムは反対しますか?」
結婚してから十年なので、アレクシスは三十二歳 、ヴォルフラムも三十一歳でまだまだ子どもを望める年齢である。医者から止められているわけでもないし、アレクシスが子どもが欲しいのならば、ヴォルフラムに否やはない。
「アレク、最後だなんて言わなくていいよ。アレクはまだ若いし、子どもは欲しいだけ産んでいい。領主の執務はおれが肩代わりするし、サポートもする」
「いいんですか? また新生児をもう一度抱きたいんです」
子どもたちをこの上なく愛するアレクシスだが、特に母乳を与える時期の乳児は可愛くてたまらないようだ。ディートリヒが卒乳してしまってから二年近く経つので、懐かしくなっているのだろう。
「おれが許可を出すことじゃないよ。アレクの体のことなんだから、アレクが決めていい。おれはそれを全力でサポートするだけだ」
「ありがとうございます、ヴォルフラム。わたしは幸せです」
手を伸ばされて頬に口付けられて、ヴォルフラムもアレクシスの頬に口付けを返した。
翌日、きっちりと昼には準備を整えたアレクシスがヴォルフラムと一緒に子どもたちを迎えに行ったのは言うまでもない。
長男のレオは七歳、長女のアレクシアも七歳の双子だ。
レオは褐色肌に金色の髪に緑の目で、アレクシアは白い肌に灰色がかった白い髪に紫の目だった。
次女のエリーゼは褐色肌に灰色がかった白い髪に緑の目で五歳、末っ子の次男のディートリヒは白い肌に金髪に紫の目の三歳児だった。
どの子もアレクシスとヴォルフラムのどちらにも似ていて、アレクシスもヴォルフラムも四人を可愛がっていた。
「お父様、お母様、結婚記念日おめでとうございます」
「庭師に頼んで、花束を作ってもらいました」
「おとうさま、おかあさま、おめでとう!」
「これ、ぷででんと!」
兄と姉たちに押し出されて、末っ子のディートリヒが薔薇と他の花を合わせた花束を差し出す。
「ありがとうございます、レオ、アレクシア、エリーゼ、ディートリヒ。とても嬉しいです」
「この薔薇はレオとアレクシアが選んでくれたのかな?」
「お母様の髪の色が白だから白薔薇がいいんじゃないかとアレクシアと相談しました」
「お父様が一番好きなのはお母様だから、お母様の色に合わせた方がいいかなと思ったのです」
貴族の子どもらしく話すレオとアレクシアの髪を撫でながら、ヴォルフラムが「お前たちのことも大好きだよ」と言っているが、レオとアレクシアは顔を見合わせてくすくすと笑っている。
「おかあさまは、わたくしがすきよ?」
「エリーゼのことも大好きですよ。レオのことも、アレクシアのことも、ディードリヒのことも」
「ママ、だっこ!」
花束をヴォルフラムに渡して、アレクシスがディードリヒを抱き上げる。羨ましそうにしているエリーゼのことももう片方の手で抱き上げると、エリーゼがアレクシスの頬にキスをした。
「わたくし、おおきくなったら、おかあさまとけっこんするの」
「残念だったな、エリーゼ。お母様はおれと結婚しているんだ」
「そういう問題ですか? エリーゼ、親子では結婚できないんですよ」
「おかあさまとけっこんするのー!」
駄々を捏ねるエリーゼに、ヴォルフラムが苦笑している。
「さぁ、今日はお祖父様とお祖母様のお家にお泊まりですよ。準備はしましたか?」
「わたし、持って行く本を決めました」
「わたくしも、お祖母様から買っていただいた本を持っていきます」
「わたくし、ぬいぐるみといっしょよ」
「ディーね、ほん、じぇんぶもっていくー!」
「ディードリヒは全部は多すぎるから年の数だけにしましょうか」
「みっちゅ?」
「はい、三つです」
子どもたちとやりとりをするアレクシスをヴォルフラムは微笑みながら見つめていた。この十年でアレクシスは四人の子どもを産んで、すっかりと母親の顔になった。それが嬉しくもあるし、ヴォルフラムにはアレクシスを独り占めできなくなって寂しくもある。
独り占めできないことを覚悟して子どもを作ったはずなのだが、アレクシスを時々は独り占めしたくて、孫を可愛がる両親に預けて二人きりの時間を作るのもよくあった。
執務が忙しいときなどは仕方なく預けるのだが、アレクシスのヒートのときは積極的に預けていた。
今回のお泊まりは、アレクシスのヒートではないが、結婚記念日を二人で過ごしたいというヴォルフラムのわがままをアレクシスが聞いてくれた形だった。
「お父様、お母様、行ってきます」
「結婚記念日、楽しんでくださいね」
幼い頃から祖父母に預けられ慣れているレオとアレクシアは、すんなりとアレクシスとヴォルフラムの頬にキスをして馬車に乗った。アレクシスべったりのエリーゼは行きたくなさそうにアレクシスに抱き付いていたが、兄と姉が馬車に乗ったのを見て、アレクシスに手を貸してもらいながら馬車のステップを上がった。
最後にアレクシスがディードリヒを抱っこして馬車に乗せる。
「おかあさま、むかえにきてね?」
「ばぁばとじぃじとねんねちていい?」
「お祖父様とお祖母様にご迷惑をおかけしないようにするのですよ。行ってらっしゃい、愛しています、レオ、アレクシア、エリーゼ、ディードリヒ」
「愛してるよ、可愛い我が子たち」
見送りを終えると、ヴォルフラムはアレクシスの腰を抱いた。アレクシスがヴォルフラムの頬に軽く口付けをしてくれる。
「レオとアレクシアの家庭教師が、最近成績がいいと褒めていましたよ」
「おれとアレクシスに似てたら、成績はいいだろうな」
「ヴィー、あなたに褒めて欲しいんですよ。帰ってきたら褒めてあげてくださいね」
「分かってるよ、アレク」
二人きりになるとアレクシスはヴォルフラムを「ヴィー」と呼ぶし、ヴォルフラムはアレクシスを「アレク」と呼ぶ。子どもができてからも、二人きりの時間を大事にしてきた。
アレクシスは子煩悩になった気がするが、ヴォルフラムもヴォルフラムなりに子どもたちを愛していた。
初めの子どもが双子だったときはヴォルフラムも驚いたが、普通より小さく生まれたレオとアレクシアは、よく飲み、よく食べ、すくすくと育った。夜泣きをすることもあったけれど、夜は基本的に乳母に託しているので、ヴォルフラムとアレクシスは二人で休んだ。
アレクシスは母乳が出る体質だったので、レオとアレクシアにはできるだけ母乳を飲ませていた。夜中に哺乳瓶でミルクを飲ませようとしても嫌がっていたようだから、やはり母乳は偉大だったのだろう。
双子だったので言い出せなかったが、ヴォルフラムもアレクシスの母乳を飲んでみたい気持ちはあった。
出産後一年はヒートも来ないし、性交渉も控えるように言われていた。第三子を望むときには、二年は空けるように言われたが、きっちり二年ごとにアレクシスは出産を三回した。ヒートで避妊薬を飲まずに抱き合うと、ほぼ間違いなく子どもができてしまうような体質にアレクシスはなってしまったようだった。
四番目のディードリヒが生まれてからは、アレクシスはヒートの前には必ず避妊薬を飲むようになった。
「三人は子どもが欲しいと思っていましたが、四人も授かることができて、わたしは幸せですね」
しみじみと呟くアレクシスに、ヴォルフラムが花束を飾った食卓に招き、椅子を引いてアレクシスを座らせる。
「おれも女の子が欲しいと思っていたが、アレクが二人も娘を産んでくれた」
「ヴィーに似て美人になると思います」
「アレクに似て凛々しくなっても嬉しいんだが」
話しながら夕食を食べ終えると、ヴォルフラムとアレクシスは夫夫の寝室に向かった。夜は子どもたちは自分の部屋で眠っているのでどれだけでも二人の時間が取れると思っていたのだが、エリーゼが生まれてからそうはいかなくなった。
エリーゼは自分の部屋を抜け出してアレクシスとヴォルフラムの間に挟まって寝ようとするのだ。一歳を超えてベビーベッドを卒業した日から、アレクシスを探し求めて子ども部屋を抜け出すエリーゼに乳母も困り果てていた。
「エリーゼはアルファな気がする。おれと似てる」
「どうでしょうね。甘えっ子なところがわたしと似ているのかも」
「アレクは甘えたいのか?」
「ヴィーに甘やかしてもらっています」
口付けてアレクシスの体を探りながら脱がせていくと、アレクシスもヴォルフラムの上着を脱がせてシャツのボタンに手をかける。
今日はエリーゼはヴォルフラムの両親のもとに預けているので、乱入してこない。
「あの……ヴォルフラム、先にシャワーを……」
「アレクはこんないい匂いをさせているのに?」
「いい匂いじゃないですよ。汗臭いです」
アレクシスの体液にはフェロモンが混じるので、少しも嫌な匂いではないのだが、アレクシスは気にしているようなのでバスルームに行ってから、ベッドに雪崩れ込んだ。
濃厚に抱き合った後で、アレクシスがヴォルフラムの長い金髪をひと束手に取って口付ける。
「愛しています……こんなに幸せでいいのでしょうか」
「おれもアレクのおかげで幸せだよ」
引き寄せて口付けると、際限なく抱き合ってしまいそうで、アレクシスがヴォルフラムを止めた。
「明日の昼には子どもたちを迎えに行ってあげないと」
「夕方でもいいよ」
「エリーゼが寂しがります」
「今はおれに集中して欲しいな」
「ヴォルフラムはいけないお父様ですね」
苦笑しながら口付けを受けたアレクシスは、それ以上抵抗することなくヴォルフラムを受け入れてくれた。
抱き合った後でお互いの体液でどろどろの状態でアレクシスがぽつりと呟く。
「次のヒートで……」
「アレク?」
「最後にしますから、もう一人だけ赤ちゃんが欲しいと言ったらヴォルフラムは反対しますか?」
結婚してから十年なので、アレクシスは三十二歳 、ヴォルフラムも三十一歳でまだまだ子どもを望める年齢である。医者から止められているわけでもないし、アレクシスが子どもが欲しいのならば、ヴォルフラムに否やはない。
「アレク、最後だなんて言わなくていいよ。アレクはまだ若いし、子どもは欲しいだけ産んでいい。領主の執務はおれが肩代わりするし、サポートもする」
「いいんですか? また新生児をもう一度抱きたいんです」
子どもたちをこの上なく愛するアレクシスだが、特に母乳を与える時期の乳児は可愛くてたまらないようだ。ディートリヒが卒乳してしまってから二年近く経つので、懐かしくなっているのだろう。
「おれが許可を出すことじゃないよ。アレクの体のことなんだから、アレクが決めていい。おれはそれを全力でサポートするだけだ」
「ありがとうございます、ヴォルフラム。わたしは幸せです」
手を伸ばされて頬に口付けられて、ヴォルフラムもアレクシスの頬に口付けを返した。
翌日、きっちりと昼には準備を整えたアレクシスがヴォルフラムと一緒に子どもたちを迎えに行ったのは言うまでもない。
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