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アレクサンテリ視点
15.叔父のカイエタン
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お茶会の後でわたしは執務に戻らなければいけなかった。
皇帝宮までレイシーを送ると、離れがたい気持ちでいっぱいになりながらもレイシーに告げる。
「名残惜しいが、執務が残っているので行ってきます」
「行ってらっしゃいませ、アレクサンテリ陛下」
「帰ってきたら、また、『お帰りなさい』とわたしを迎えてほしい」
「はい、必ず」
レイシーに「行ってらっしゃい」と言われて、わたしはセシルとの約束を思い出していた。
セシルが出かけるときに、まだ六歳だったわたしは一人で残されるのが寂しく、不安で、セシルに抱き着いて離れられないことがよくあった。
そんなときに、セシルはわたしと約束をした。
「わたしが出かけるときは、ガーネくんは必ず『行ってらっしゃい』って言って」
「行ってらっしゃい?」
「そう。出かけた先で危ないことが起きないように祈っててほしいの。わたしは必ず『行ってきます』って言ってでかけるからね」
「分かったよ」
寂しいけれど、出かけた先でセシルが安全であることを祈るのは大事なことだ。
わたしを守っていた護衛たちはみんな殺された。わたしをかくまっていることが露見してしまったら、セシルも危険にさらすかもしれない。
だからこそ、できるだけ目立たないようにして、外に出ないようにしていたのだが、セシルは外に出る必要があるので、どうしてもわたしは取り残される。
泣きそうになるわたしを、セシルは抱き締めてくれた。
「帰ってきたら『おかえりなさい』って言ってくれる?」
「おかえりなさい?」
「そう。その日が何事もなく終わった感謝の気持ちと、帰ってきて嬉しいって気持ちを込めてね。わたしは『ただいま』って言うからね」
「分かった。約束して。ぜったいに元気でかえってきてね?」
「行ってきます」と「行ってらっしゃい」、「お帰りなさい」と「ただいま」、それはわたしとセシルにとってはとても大事な言葉だった。
あんな風に温かく言葉を交わしてセシルを送り出し、セシルの帰りを迎えるのが、わたしは幸せだった。
レイシーとの関係では逆になっているが、やはりわたしにとって「行ってきます」と「行ってらっしゃい」、「お帰りなさい」と「ただいま」は特別な言葉に違いなかった。
出かけていくセシルの安全を祈ったように、わたしは皇帝宮に残していくレイシーの幸福な一日を願う。レイシーが六歳だったわたしのように思っていなくてもいい。わたしがレイシーに対して願いを込められればいいのだ。
それがこの言葉に込められていた。
執務室に戻ると、叔父のカイエタンが訪ねて来ていた。
執務の話かと思えば、母とのお茶会の話を聞き付けたようだった。
「皇太后陛下とお茶会をなさったと聞きましたが、いかがでしたか?」
「レイシーは楽しそうでした」
わたしのことは離さずに、レイシーがどうだったかだけ伝えると、叔父は微笑みを浮かべた。
父と叔父は兄弟で、とてもよく似ている。
父が暗殺されてからわたしが成人するまで、皇帝代理として勤めていた叔父を皇帝に押す一派がいたことは知っている。そういうものたちを黙らせるために、叔父は皇位継承権を放棄した。
「皇帝陛下が妃殿下を迎えられるとのお話、とても嬉しく思っております。皇帝陛下にお子が生まれた暁には、わたしの子どもたちも皇位継承権を放棄させようと思っております」
「それは早計すぎないですか? わたしにもいつ何が起きるか分からないし、レイシーに子どもができるかも分からない。レイシーにプレッシャーを与えるのはやめてください」
叔父はわたしのことをよく考えてくれているのだが、生真面目すぎるところがある。
セシルは結婚することも、家庭に入ることも消極的だった。
わたしが生きるためにレイシーにはわたしの妃になってもらうという不自由な生活を強いるのだ。子どもを産むか産まないか、それくらいはレイシーの意志を尊重したかった。
わたしが皇帝である以上、結婚すれば後継者を求められるのかもしれないが、レイシーはわたしを心から受け入れてくれるかは分からない。その場合には白い結婚でも構わないとは思っていた。
どうしてもレイシーを手放すことだけは考えられなかったが、それ以外の何もレイシーに強要するつもりはない。
子どもの件に関しても、出産は命懸けだと聞いているので、レイシーの負担になることはできる限りさせたくなかった。
「わたしは子どもを求めていない。叔父上のお子の中から養子をもらって、後継者に据えるかもしれません」
「それならば、何のための結婚なのですか?」
叔父の考えは古い。
結婚は子どもを作るためにするのではない。
愛し合って、共に生涯を暮らすためにするのだ。
それでもこの国のほとんどの男性が叔父と同じような考えなのだろう。
「結婚は子どもを作るためにするのではないと思っています。女性は子どもを産むための機械ではない。わたしはレイシーになにも望みません。ただ、わたしの横にいてくれればいい」
それに対して、叔父ははっとして頭を下げた。
「皇帝陛下の仰る通りです。未来の妃殿下にプレッシャーをかけるようなことを口にして申し訳ありませんでした」
叔父も悪いひとではないのだと分かっている。
父は母がわたしを産んでから子どもを望めなくなったとしても、母一人だけを愛し続けた。
わたしも父のように、子どもが望めなくても生涯レイシーを愛する気持ちはある。
それが叔父にも伝わったようだった。
執務を終えて、皇帝宮に戻ってきたところで、わたしは夕食を食べていないことを思い出した。
皇帝宮に戻ってレイシーの気配を感じると、それまでは義務で食べていただけの食事で空腹感など覚えたことがなかったのだが、お腹が空いたような気分になってくるから不思議だ。
時間が遅かったので、レイシーは一人で夕食を終えていたようだったが、わたしが帰ってくると、出迎えてくれた。
足早に駆けてくる彼女が、バランスを崩して転びそうになるのに、わたしは手を出してその華奢な体を抱き留める。
セシルと一緒に眠っていたころには、セシルのことが大きく感じたこともあった。抱き着くと安心感があった。
抱き留めたレイシーの体は細く華奢で、柔らかく、軽かった。
こんなにも細くて軽くて大丈夫なのだろうかと心配になる。
わたしの腕の中で、レイシーがわたしを見上げてくる。
「お、かえりなさいませ」
「レイシー、足を捻っていないかな? 大丈夫?」
「大丈夫です。靴を買い替えたので、慣れなかったようです」
「レイシーの足を美しく見せる素敵な靴だね」
「ありがとうございます」
レイシーの足元を見れば、踵の高めの靴を履いているのが分かった。
これが彼女がずっと履きたかった流行の靴なのだろう。慣れるまでには時間がかかるかもしれないが、レイシーが履きたいと思うのならば応援したい。そのために手を貸すことも、大歓迎だった。
わたしの胸を押して離れるレイシーの顔が赤いような気がする。
抱き締めてしまったので、怖がられただろうか。
無理にレイシーに触れることはしないと決めていたので、わたしはそっとレイシーから離れる。
「レイシー、ただいま」
手を取って部屋に送るくらいはいいだろうと思っていると、レイシーが嬉しそうにわたしに報告してきた。
「ジャケットは縫い上がりました。後は、刺繍をするだけです」
「どんな形になったのかとても楽しみだ。明日にはレイシーの婚約式の衣装の材料が届くから、楽しみにしていてくれ」
「はい!」
わたしもレイシーに明日、婚約式の衣装の材料が届くことを伝える。
レイシーの表情が輝くのを感じる。
レイシーの喜びが伝わってくるようで、わたしも嬉しかった。
その夜は、抱き締めたレイシーの細さや軽さが腕に残っていて、なかなか寝付けなかった。
レイシーの望まないことはしたくないと考えていても、わたしも健全な成人男性だった。愛するひとに欲望を抱かないわけではない。
即位する前に薄着の令嬢が寝室に忍び込んできたときには、吐いてしまうほど嫌悪感しかなかったのに、レイシーには自分から触れたいと思ってしまう。
レイシーを怖がらせるつもりはなかった。
レイシーと関係を持つのは、レイシーと心が通じ合って、レイシーとの同意がなければ絶対にしてはいけないことだと分かっている。
それに、結婚もしていない淑女に手を出すようなことは絶対にしてはいけないと理解していた。
抱き締めたレイシーの感触を思い出しながらも、わたしは眠りについた。
睡眠薬はもういらないと医者に言おうと思えるくらい、短時間だったが、心と体を回復させる深い眠りだった。
皇帝宮までレイシーを送ると、離れがたい気持ちでいっぱいになりながらもレイシーに告げる。
「名残惜しいが、執務が残っているので行ってきます」
「行ってらっしゃいませ、アレクサンテリ陛下」
「帰ってきたら、また、『お帰りなさい』とわたしを迎えてほしい」
「はい、必ず」
レイシーに「行ってらっしゃい」と言われて、わたしはセシルとの約束を思い出していた。
セシルが出かけるときに、まだ六歳だったわたしは一人で残されるのが寂しく、不安で、セシルに抱き着いて離れられないことがよくあった。
そんなときに、セシルはわたしと約束をした。
「わたしが出かけるときは、ガーネくんは必ず『行ってらっしゃい』って言って」
「行ってらっしゃい?」
「そう。出かけた先で危ないことが起きないように祈っててほしいの。わたしは必ず『行ってきます』って言ってでかけるからね」
「分かったよ」
寂しいけれど、出かけた先でセシルが安全であることを祈るのは大事なことだ。
わたしを守っていた護衛たちはみんな殺された。わたしをかくまっていることが露見してしまったら、セシルも危険にさらすかもしれない。
だからこそ、できるだけ目立たないようにして、外に出ないようにしていたのだが、セシルは外に出る必要があるので、どうしてもわたしは取り残される。
泣きそうになるわたしを、セシルは抱き締めてくれた。
「帰ってきたら『おかえりなさい』って言ってくれる?」
「おかえりなさい?」
「そう。その日が何事もなく終わった感謝の気持ちと、帰ってきて嬉しいって気持ちを込めてね。わたしは『ただいま』って言うからね」
「分かった。約束して。ぜったいに元気でかえってきてね?」
「行ってきます」と「行ってらっしゃい」、「お帰りなさい」と「ただいま」、それはわたしとセシルにとってはとても大事な言葉だった。
あんな風に温かく言葉を交わしてセシルを送り出し、セシルの帰りを迎えるのが、わたしは幸せだった。
レイシーとの関係では逆になっているが、やはりわたしにとって「行ってきます」と「行ってらっしゃい」、「お帰りなさい」と「ただいま」は特別な言葉に違いなかった。
出かけていくセシルの安全を祈ったように、わたしは皇帝宮に残していくレイシーの幸福な一日を願う。レイシーが六歳だったわたしのように思っていなくてもいい。わたしがレイシーに対して願いを込められればいいのだ。
それがこの言葉に込められていた。
執務室に戻ると、叔父のカイエタンが訪ねて来ていた。
執務の話かと思えば、母とのお茶会の話を聞き付けたようだった。
「皇太后陛下とお茶会をなさったと聞きましたが、いかがでしたか?」
「レイシーは楽しそうでした」
わたしのことは離さずに、レイシーがどうだったかだけ伝えると、叔父は微笑みを浮かべた。
父と叔父は兄弟で、とてもよく似ている。
父が暗殺されてからわたしが成人するまで、皇帝代理として勤めていた叔父を皇帝に押す一派がいたことは知っている。そういうものたちを黙らせるために、叔父は皇位継承権を放棄した。
「皇帝陛下が妃殿下を迎えられるとのお話、とても嬉しく思っております。皇帝陛下にお子が生まれた暁には、わたしの子どもたちも皇位継承権を放棄させようと思っております」
「それは早計すぎないですか? わたしにもいつ何が起きるか分からないし、レイシーに子どもができるかも分からない。レイシーにプレッシャーを与えるのはやめてください」
叔父はわたしのことをよく考えてくれているのだが、生真面目すぎるところがある。
セシルは結婚することも、家庭に入ることも消極的だった。
わたしが生きるためにレイシーにはわたしの妃になってもらうという不自由な生活を強いるのだ。子どもを産むか産まないか、それくらいはレイシーの意志を尊重したかった。
わたしが皇帝である以上、結婚すれば後継者を求められるのかもしれないが、レイシーはわたしを心から受け入れてくれるかは分からない。その場合には白い結婚でも構わないとは思っていた。
どうしてもレイシーを手放すことだけは考えられなかったが、それ以外の何もレイシーに強要するつもりはない。
子どもの件に関しても、出産は命懸けだと聞いているので、レイシーの負担になることはできる限りさせたくなかった。
「わたしは子どもを求めていない。叔父上のお子の中から養子をもらって、後継者に据えるかもしれません」
「それならば、何のための結婚なのですか?」
叔父の考えは古い。
結婚は子どもを作るためにするのではない。
愛し合って、共に生涯を暮らすためにするのだ。
それでもこの国のほとんどの男性が叔父と同じような考えなのだろう。
「結婚は子どもを作るためにするのではないと思っています。女性は子どもを産むための機械ではない。わたしはレイシーになにも望みません。ただ、わたしの横にいてくれればいい」
それに対して、叔父ははっとして頭を下げた。
「皇帝陛下の仰る通りです。未来の妃殿下にプレッシャーをかけるようなことを口にして申し訳ありませんでした」
叔父も悪いひとではないのだと分かっている。
父は母がわたしを産んでから子どもを望めなくなったとしても、母一人だけを愛し続けた。
わたしも父のように、子どもが望めなくても生涯レイシーを愛する気持ちはある。
それが叔父にも伝わったようだった。
執務を終えて、皇帝宮に戻ってきたところで、わたしは夕食を食べていないことを思い出した。
皇帝宮に戻ってレイシーの気配を感じると、それまでは義務で食べていただけの食事で空腹感など覚えたことがなかったのだが、お腹が空いたような気分になってくるから不思議だ。
時間が遅かったので、レイシーは一人で夕食を終えていたようだったが、わたしが帰ってくると、出迎えてくれた。
足早に駆けてくる彼女が、バランスを崩して転びそうになるのに、わたしは手を出してその華奢な体を抱き留める。
セシルと一緒に眠っていたころには、セシルのことが大きく感じたこともあった。抱き着くと安心感があった。
抱き留めたレイシーの体は細く華奢で、柔らかく、軽かった。
こんなにも細くて軽くて大丈夫なのだろうかと心配になる。
わたしの腕の中で、レイシーがわたしを見上げてくる。
「お、かえりなさいませ」
「レイシー、足を捻っていないかな? 大丈夫?」
「大丈夫です。靴を買い替えたので、慣れなかったようです」
「レイシーの足を美しく見せる素敵な靴だね」
「ありがとうございます」
レイシーの足元を見れば、踵の高めの靴を履いているのが分かった。
これが彼女がずっと履きたかった流行の靴なのだろう。慣れるまでには時間がかかるかもしれないが、レイシーが履きたいと思うのならば応援したい。そのために手を貸すことも、大歓迎だった。
わたしの胸を押して離れるレイシーの顔が赤いような気がする。
抱き締めてしまったので、怖がられただろうか。
無理にレイシーに触れることはしないと決めていたので、わたしはそっとレイシーから離れる。
「レイシー、ただいま」
手を取って部屋に送るくらいはいいだろうと思っていると、レイシーが嬉しそうにわたしに報告してきた。
「ジャケットは縫い上がりました。後は、刺繍をするだけです」
「どんな形になったのかとても楽しみだ。明日にはレイシーの婚約式の衣装の材料が届くから、楽しみにしていてくれ」
「はい!」
わたしもレイシーに明日、婚約式の衣装の材料が届くことを伝える。
レイシーの表情が輝くのを感じる。
レイシーの喜びが伝わってくるようで、わたしも嬉しかった。
その夜は、抱き締めたレイシーの細さや軽さが腕に残っていて、なかなか寝付けなかった。
レイシーの望まないことはしたくないと考えていても、わたしも健全な成人男性だった。愛するひとに欲望を抱かないわけではない。
即位する前に薄着の令嬢が寝室に忍び込んできたときには、吐いてしまうほど嫌悪感しかなかったのに、レイシーには自分から触れたいと思ってしまう。
レイシーを怖がらせるつもりはなかった。
レイシーと関係を持つのは、レイシーと心が通じ合って、レイシーとの同意がなければ絶対にしてはいけないことだと分かっている。
それに、結婚もしていない淑女に手を出すようなことは絶対にしてはいけないと理解していた。
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