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アレクサンテリ視点
44.シリルとソフィアとのお茶会
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皇宮本殿に移動して、わたしとレイシーとソフィアとシリルでお茶会を始めた。
部屋の暖炉の火は明るく燃えていて、室内は暖かく保たれている。
給仕がそれぞれのカップに紅茶を注ぐと、部屋の隅に下がっていった。
まずはわたしが口を開く。
「シリルとソフィアは昨日は踊ったのか?」
「いいえ、踊っておりません」
「ソフィア嬢に断られたのです。何度お誘いしても、つれない素振りで」
わたしたちが席に戻った後も、シリルはソフィアをダンスに誘っていたのか。
それだけ断られてもしつこく追い回すということは、シリルは本気なのだろうか。
「シリル様は、結婚も婚約も拒んでおられると聞きました。どうして急にソフィアをダンスに誘ったのですか?」
レイシーの問いかけに、シリルが真剣な表情になる。
「わたしの婚約者は十年前に病で亡くなりました。元々体が弱く、成人までは生きられないだろうと言われていた女性でした。彼女が一人のままで死にたくないと願ったので、わたしは婚約に応じました。正直なところ彼女に対して恋心はありませんでした」
「それでは、なぜ結婚や婚約を拒んでいたのですか?」
「わたしは、本当に自分が愛した相手と結婚したいと思っていたのです。侯爵家の次男ともなると、それは難しいことです。なので、亡くなった婚約者のことを理由にしていました」
わたしの境遇とシリルの境遇は似ていたのかもしれないと思っていたが、全然違っていたようだ。シリルは婚約者に恋心がなかった。本当に愛した相手と結婚したいと思っていても貴族社会ではそれが難しいので、亡くなった婚約者を理由に結婚や婚約を拒んでいたようだ。
それに対して、ソフィアが以前わたしに向けていたような棘のある態度で問いかけた。
「それが、どうしてわたくしなのですか?」
「実はソフィア嬢のことは聞いていました。皇帝陛下にも怖じずに意見する女性で、姉君の妃殿下がディアン家の後継者となるはずだったのに、妃候補として召し上げられたので、学園で首席を取って、ディアン家の後継者として相応しい人物になろうとしていることを」
新年のパーティーでソフィアの整った顔立ちにシリルは惹かれたわけではなかったようだった。ソフィアの努力を知り、ソフィアの性格を知っていて声をかけたのだと言っている。
見た目の美しさが際立つソフィアは、外見で判断されることが多かったのだろう。シリルの言葉に驚いているようだった。
「わたくしの見た目ではなく、中身を知っていて声をかけたのですか?」
「確かにソフィア嬢はとても美しかった。そのことよりも、わたしは姉君のためならば皇帝陛下にも怖じずに意見ができて、ディアン家の後継者となるために努力もしているというソフィア嬢の姿に心惹かれたのです」
「それならば、そうと言ってくださればよかったのに」
「まず、踊ってみてどんな方かを知りたかったのです。それから飲み物でも飲みながら、ゆっくりお話しできたらと思っていました」
いきなりダンスに誘ったことでソフィアは完全にシリルを警戒していたが、シリルはダンスの後で話すことを求めていたのだ。
これはすれ違ってしまっても仕方がない。
「シリル様は侯爵家のご令息で、ソフィアは伯爵家になったとはいえ、やっと家計が立ち直ったディアン家の娘です。帝都でお育ちのシリル様がディアン伯爵家の領地で暮らせるのですか?」
レイシーは冷静にシリルを見極めるように問いかける。
レイシーは今、シリルがソフィアに相応しいかどうかを見ているのだろう。
「わたしは皇帝陛下の遊び相手となるために帝都にいたことが多いですが、それ以外の時期はロセル侯爵家の領地にいました。ロセル侯爵家は贅沢や華美を美徳としません。領民との触れ合いを大事にして、領民と共に生きている家です。ディアン伯爵家も領民のことを考えている家だと思っています。そうでなければ、領民の女性の社会進出を考えられないでしょう」
ロセル侯爵家のことはわたしも聞き及んでいた。
広大な領地を持つロセル侯爵家だが、質素倹約をモットーとして、領民を大事にして善政をしいていると聞いている。シリルの言葉に嘘はないだろう。
「シリルはソフィアと結婚したいと思っているのか?」
ソフィアはレイシーの妹でわたしの家族のような存在である。
シリルがどれだけ真剣か、わたしも確かめたかった。
「まだ分かりません。分かりませんが、そうなればいいとは思います。皇帝陛下に認められて、妃殿下の生家であるディアン伯爵家にだったら、両親も婿入りすることは反対しないでしょう」
「まだ分からないとはどういう意味ですか?」
「ソフィア嬢とまだしっかりと交流を持っていないからです。わたしはソフィア嬢のことを知りたい。その上で結婚を決めたいのです」
伯爵家のソフィアのところに侯爵家のシリルが婿入りするというのは珍しいかもしれないが、あり得ないわけではない。特にディアン伯爵家は、陞爵されたばかりで今一番勢いがあって、注目されている家だった。
「わたしには兄と姉がいます。姉は嫁いでいますが、わたしは姉のことをとても愛していました。姉君のために皇帝陛下にも意見ができるソフィア嬢とは分かり合えるところがあるのではないかと思うのです」
「わたくしはディアン伯爵家の後継ぎなのです。相応しい相手を見つけなければいけないと思っています」
「それがわたしではいけませんか?」
「シリル様は、帝都を離れて平気なのですか?」
ソフィアと真剣に話し合うシリルに、わたしは少しだけ困るなとは思っていた。
シリルは優秀な側近なので、いなくなると執務が滞るようになるかもしれない。だが、わたしも執務を振り分けるようになったのだし、側近や宰相だけでなく、皇宮の文官たちもしっかりと働かせなければいけない時期が来ているのかもしれない。
特に、皇宮には属国から文官が送り込まれてきていた。彼らを政治に関わらせることで、属国の意見も取り入れて、今後の属国との関係も円滑になるかもしれないのだ。
「その覚悟はあります」
シリルの目に嘘はないとわたしは判断した。
「シリルは本気のようだな。ソフィアはシリルと話してみてどう思った?」
「わたくしは……こんないいお話はないとは思いますが、本当にディアン伯爵家でいいのかとは思います」
「ソフィアの気持ちを聞いているつもりなのだが」
「気持ちは……まだ分かりません。貴族の結婚とはそのようなものでしょう?」
政略結婚には愛がない場合が多い。
婚約してから、結婚してから、愛を築いて、温かな家庭を作る場合もある。
わたしとレイシーも最初はわたしの気持ちばかりが先行していたが、レイシーもわたしの気持ちを受け取って、わたしを愛してくれるようになった。
「シリルはそれで構わないのか?」
「貴族は婚約、結婚してから愛を築く者もいます。わたしが努力していけばいいだけの話でしょう」
シリルに確認すれば、前向きな返事が来る。
これはディアン伯爵家にとっても、ロセル侯爵家にとっても、いい話に違いない。特にロセル侯爵家にとっては、結婚と婚約を拒んでいたシリルが結婚に前向きになったというだけで大喜びするだろう。
「ロセル侯爵家とディアン伯爵家に、わたしから話を通しておこう」
「ありがとうございます、皇帝陛下」
「お願いいたします」
皇帝としてシリルとソフィアの婚約を認める。
わたしは幼馴染で側近であるシリルと、レイシーの妹で家族同然であるソフィアの幸せを願っていた。
夕食はディアン子爵夫妻とソフィアと一緒に取った。
そのときに、わたしはディアン子爵夫妻に説明をした。ロセル侯爵家には手紙を送っている。返事はすぐに来て、ロセル侯爵はこの婚約を進めたいと願っていると書いてあった。
「わたしの幼馴染でもあり、側近でもある、シリル・ロセルがソフィアと婚約を結びたいと言っているのだ。シリルのことは幼いころから知っているが、真面目で優秀な男だと思っている」
「シリル様といいますと、ロセル侯爵家の次男ですよね?」
「侯爵家のご令息で、皇帝陛下の側近の方が、ディアン伯爵家に婿入りしてくれるというのですか?」
「シリルはそのつもりのようだ。わたしもそのことを認めるつもりであるし、ロセル侯爵家も反対しないだろう」
伯爵家になってすぐに侯爵家から婚約の話が出たのだ。ディアン子爵夫妻はとても驚いていた。
「シリルは真剣にソフィアのことを想っているようだ。ソフィアも今日シリルとお茶会をして、シリルの印象が変わったようだ。そうだね、ソフィア?」
「わたくしの外見に惹かれて来たのかと思っていましたが、そうではないということは分かりました。このお話はディアン伯爵家にとってはとてもいいお話です。シリル様もディアン伯爵家に来る覚悟があると仰いました」
恋心に浮かされたわけでなく、冷静に言うソフィアは、シリルのような気持はまだ持っていないのだろう。ただ、ディアン伯爵家に取ってこの話がこの上なくいい話であるということは理解して、政略結婚の相手としてシリルを認めたに過ぎない。
そのあたりがソフィアらしくていいと思う。
「侯爵家のご令息で、帝都に住んでいらっしゃる方が、ディアン伯爵家で暮らせるだろうか?」
「わたくしたちの家は屋敷と呼ぶには狭く質素ですからね」
「それも覚悟の上だと思います。そうでなくても、慣れていただきます」
これはシリルは尻に敷かれそうだなと思うが、それもシリルの望み通りなのだろう。
ソフィアは共に領地を治めるパートナーとしてシリルのことを認めているが、恋心はないように見える。それはシリルが努力していくしかないのだろう。
「わたくしに今できることは、学園を首席で卒業することです。お姉様は学園の首席をずっと保っていらっしゃいました。わたくしもそれを見習って、立派な統治者となれるように勉強していきたいと思っています」
ソフィアの宣言に、レイシーもディアン伯爵夫妻も納得していた。
ソフィアは一週間後に、シリルと帝都のロセル侯爵家のタウンハウスで婚約式を挙げたのだった。
部屋の暖炉の火は明るく燃えていて、室内は暖かく保たれている。
給仕がそれぞれのカップに紅茶を注ぐと、部屋の隅に下がっていった。
まずはわたしが口を開く。
「シリルとソフィアは昨日は踊ったのか?」
「いいえ、踊っておりません」
「ソフィア嬢に断られたのです。何度お誘いしても、つれない素振りで」
わたしたちが席に戻った後も、シリルはソフィアをダンスに誘っていたのか。
それだけ断られてもしつこく追い回すということは、シリルは本気なのだろうか。
「シリル様は、結婚も婚約も拒んでおられると聞きました。どうして急にソフィアをダンスに誘ったのですか?」
レイシーの問いかけに、シリルが真剣な表情になる。
「わたしの婚約者は十年前に病で亡くなりました。元々体が弱く、成人までは生きられないだろうと言われていた女性でした。彼女が一人のままで死にたくないと願ったので、わたしは婚約に応じました。正直なところ彼女に対して恋心はありませんでした」
「それでは、なぜ結婚や婚約を拒んでいたのですか?」
「わたしは、本当に自分が愛した相手と結婚したいと思っていたのです。侯爵家の次男ともなると、それは難しいことです。なので、亡くなった婚約者のことを理由にしていました」
わたしの境遇とシリルの境遇は似ていたのかもしれないと思っていたが、全然違っていたようだ。シリルは婚約者に恋心がなかった。本当に愛した相手と結婚したいと思っていても貴族社会ではそれが難しいので、亡くなった婚約者を理由に結婚や婚約を拒んでいたようだ。
それに対して、ソフィアが以前わたしに向けていたような棘のある態度で問いかけた。
「それが、どうしてわたくしなのですか?」
「実はソフィア嬢のことは聞いていました。皇帝陛下にも怖じずに意見する女性で、姉君の妃殿下がディアン家の後継者となるはずだったのに、妃候補として召し上げられたので、学園で首席を取って、ディアン家の後継者として相応しい人物になろうとしていることを」
新年のパーティーでソフィアの整った顔立ちにシリルは惹かれたわけではなかったようだった。ソフィアの努力を知り、ソフィアの性格を知っていて声をかけたのだと言っている。
見た目の美しさが際立つソフィアは、外見で判断されることが多かったのだろう。シリルの言葉に驚いているようだった。
「わたくしの見た目ではなく、中身を知っていて声をかけたのですか?」
「確かにソフィア嬢はとても美しかった。そのことよりも、わたしは姉君のためならば皇帝陛下にも怖じずに意見ができて、ディアン家の後継者となるために努力もしているというソフィア嬢の姿に心惹かれたのです」
「それならば、そうと言ってくださればよかったのに」
「まず、踊ってみてどんな方かを知りたかったのです。それから飲み物でも飲みながら、ゆっくりお話しできたらと思っていました」
いきなりダンスに誘ったことでソフィアは完全にシリルを警戒していたが、シリルはダンスの後で話すことを求めていたのだ。
これはすれ違ってしまっても仕方がない。
「シリル様は侯爵家のご令息で、ソフィアは伯爵家になったとはいえ、やっと家計が立ち直ったディアン家の娘です。帝都でお育ちのシリル様がディアン伯爵家の領地で暮らせるのですか?」
レイシーは冷静にシリルを見極めるように問いかける。
レイシーは今、シリルがソフィアに相応しいかどうかを見ているのだろう。
「わたしは皇帝陛下の遊び相手となるために帝都にいたことが多いですが、それ以外の時期はロセル侯爵家の領地にいました。ロセル侯爵家は贅沢や華美を美徳としません。領民との触れ合いを大事にして、領民と共に生きている家です。ディアン伯爵家も領民のことを考えている家だと思っています。そうでなければ、領民の女性の社会進出を考えられないでしょう」
ロセル侯爵家のことはわたしも聞き及んでいた。
広大な領地を持つロセル侯爵家だが、質素倹約をモットーとして、領民を大事にして善政をしいていると聞いている。シリルの言葉に嘘はないだろう。
「シリルはソフィアと結婚したいと思っているのか?」
ソフィアはレイシーの妹でわたしの家族のような存在である。
シリルがどれだけ真剣か、わたしも確かめたかった。
「まだ分かりません。分かりませんが、そうなればいいとは思います。皇帝陛下に認められて、妃殿下の生家であるディアン伯爵家にだったら、両親も婿入りすることは反対しないでしょう」
「まだ分からないとはどういう意味ですか?」
「ソフィア嬢とまだしっかりと交流を持っていないからです。わたしはソフィア嬢のことを知りたい。その上で結婚を決めたいのです」
伯爵家のソフィアのところに侯爵家のシリルが婿入りするというのは珍しいかもしれないが、あり得ないわけではない。特にディアン伯爵家は、陞爵されたばかりで今一番勢いがあって、注目されている家だった。
「わたしには兄と姉がいます。姉は嫁いでいますが、わたしは姉のことをとても愛していました。姉君のために皇帝陛下にも意見ができるソフィア嬢とは分かり合えるところがあるのではないかと思うのです」
「わたくしはディアン伯爵家の後継ぎなのです。相応しい相手を見つけなければいけないと思っています」
「それがわたしではいけませんか?」
「シリル様は、帝都を離れて平気なのですか?」
ソフィアと真剣に話し合うシリルに、わたしは少しだけ困るなとは思っていた。
シリルは優秀な側近なので、いなくなると執務が滞るようになるかもしれない。だが、わたしも執務を振り分けるようになったのだし、側近や宰相だけでなく、皇宮の文官たちもしっかりと働かせなければいけない時期が来ているのかもしれない。
特に、皇宮には属国から文官が送り込まれてきていた。彼らを政治に関わらせることで、属国の意見も取り入れて、今後の属国との関係も円滑になるかもしれないのだ。
「その覚悟はあります」
シリルの目に嘘はないとわたしは判断した。
「シリルは本気のようだな。ソフィアはシリルと話してみてどう思った?」
「わたくしは……こんないいお話はないとは思いますが、本当にディアン伯爵家でいいのかとは思います」
「ソフィアの気持ちを聞いているつもりなのだが」
「気持ちは……まだ分かりません。貴族の結婚とはそのようなものでしょう?」
政略結婚には愛がない場合が多い。
婚約してから、結婚してから、愛を築いて、温かな家庭を作る場合もある。
わたしとレイシーも最初はわたしの気持ちばかりが先行していたが、レイシーもわたしの気持ちを受け取って、わたしを愛してくれるようになった。
「シリルはそれで構わないのか?」
「貴族は婚約、結婚してから愛を築く者もいます。わたしが努力していけばいいだけの話でしょう」
シリルに確認すれば、前向きな返事が来る。
これはディアン伯爵家にとっても、ロセル侯爵家にとっても、いい話に違いない。特にロセル侯爵家にとっては、結婚と婚約を拒んでいたシリルが結婚に前向きになったというだけで大喜びするだろう。
「ロセル侯爵家とディアン伯爵家に、わたしから話を通しておこう」
「ありがとうございます、皇帝陛下」
「お願いいたします」
皇帝としてシリルとソフィアの婚約を認める。
わたしは幼馴染で側近であるシリルと、レイシーの妹で家族同然であるソフィアの幸せを願っていた。
夕食はディアン子爵夫妻とソフィアと一緒に取った。
そのときに、わたしはディアン子爵夫妻に説明をした。ロセル侯爵家には手紙を送っている。返事はすぐに来て、ロセル侯爵はこの婚約を進めたいと願っていると書いてあった。
「わたしの幼馴染でもあり、側近でもある、シリル・ロセルがソフィアと婚約を結びたいと言っているのだ。シリルのことは幼いころから知っているが、真面目で優秀な男だと思っている」
「シリル様といいますと、ロセル侯爵家の次男ですよね?」
「侯爵家のご令息で、皇帝陛下の側近の方が、ディアン伯爵家に婿入りしてくれるというのですか?」
「シリルはそのつもりのようだ。わたしもそのことを認めるつもりであるし、ロセル侯爵家も反対しないだろう」
伯爵家になってすぐに侯爵家から婚約の話が出たのだ。ディアン子爵夫妻はとても驚いていた。
「シリルは真剣にソフィアのことを想っているようだ。ソフィアも今日シリルとお茶会をして、シリルの印象が変わったようだ。そうだね、ソフィア?」
「わたくしの外見に惹かれて来たのかと思っていましたが、そうではないということは分かりました。このお話はディアン伯爵家にとってはとてもいいお話です。シリル様もディアン伯爵家に来る覚悟があると仰いました」
恋心に浮かされたわけでなく、冷静に言うソフィアは、シリルのような気持はまだ持っていないのだろう。ただ、ディアン伯爵家に取ってこの話がこの上なくいい話であるということは理解して、政略結婚の相手としてシリルを認めたに過ぎない。
そのあたりがソフィアらしくていいと思う。
「侯爵家のご令息で、帝都に住んでいらっしゃる方が、ディアン伯爵家で暮らせるだろうか?」
「わたくしたちの家は屋敷と呼ぶには狭く質素ですからね」
「それも覚悟の上だと思います。そうでなくても、慣れていただきます」
これはシリルは尻に敷かれそうだなと思うが、それもシリルの望み通りなのだろう。
ソフィアは共に領地を治めるパートナーとしてシリルのことを認めているが、恋心はないように見える。それはシリルが努力していくしかないのだろう。
「わたくしに今できることは、学園を首席で卒業することです。お姉様は学園の首席をずっと保っていらっしゃいました。わたくしもそれを見習って、立派な統治者となれるように勉強していきたいと思っています」
ソフィアの宣言に、レイシーもディアン伯爵夫妻も納得していた。
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