彼氏の優先順位[本編完結]

セイ

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茜の出会い編

9.安心する距離(玲央Side)

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今日は僕にとって運命の日だったと思う。

一生忘れられない…忘れたくない日。

家に帰ってからもドキドキが止まらなくて、教えてもらった連絡先の名前を見て一人悶えてる。

宮嶋茜くん。

あんなカッコいい人が僕を好きって言ってくれた。
これって一生分の運を使い果たした奇跡だと思う。

この嬉しさを誰かと共有したくて…共通のお友達らしい青空くんに連絡してみた。

"今時間大丈夫?"
"大丈夫だよ。何かあった?"
"宮嶋茜くん、知ってるよね?彼と今日会って話をしたんだけど…。"
"僕の彼氏の幼馴染だよ。とってもいい人だよ。"
"彼から告白されたんだけど…"
"えー!?そうなの?早いね。茜くん会えないって嘆いてたけど…。何処で会ったの?"
"おじいちゃんの喫茶店で。常連さんみたいだった。初めて喫茶店で鉢合わせしたけど。"
"へぇー…茜くんも凄い行動力…。玲央くんのこと離したくないんだね…。"
"あ…でも聞きたい事あって…。"
"何?僕で答えられるなら何でも聞いて
!"
"僕…恋愛って今までしたことないからさ、よくわからなくて。友達の好きと恋愛の好きの違いって何?"
"ん~…楽しいとか一緒に遊びたいとか面白いとかそういう感情はどっちもあると思うけど、恋愛にはそれにプラスずっと一緒に居たいとか触れ合いたいとか僕だけを見て!とか僕以外の人に触れないで!とかの独占欲が増えたり、心が落ち着く…とか一緒に居てホッとするとか色んな感情があるのが恋愛だと思う。
恋愛って楽しいだけじゃなくて苦しい事もあるんだなぁって僕も最近知ったんだけど…。"
"青空くんもそんな苦しい思いしたの?"
"ふふっ…僕ね茜くんに嫉妬してたんだよ。青衣くん…彼氏と仲良すぎて、距離も近くて…茜くんてカッコいいし、いい人じゃない?そんな人に勝てないなぁーって嫉妬してたの。だけど青衣くんが僕の事ちょー好きってわかったから僕の嫉妬はなくなったんだけどね。"
"その違いわからなくて直ぐ返事できなかったんだけど、茜くん待ってくれるって…ゆっくりでいいよって言ってくれて。きっと早く返事欲しいだろうけど僕を優先してくれたの。"
"茜くんの事好き?"
"好き…かはわからないけど、さっきまでずっと茜くんの顔が思い浮かんだり、一緒に居たいとか一緒に居てホッとするとかまたお話したいって思った。これって好き…で合ってるのかな…。"
"玲央くんが話したいって思うのは凄い事なんじゃない?一緒に居て安心するのもそう。自然と彼の事を思い出すならそれは立派な恋だよ!!"
"そう…かな?"
"そうそう!なら、後は告白の返事!だね!"
"青空くん何でそんなに楽しそうなの?"
"だって玲央と恋バナできると思わなかったからさー。こういうのも青春じゃない?"
"告白の返事とか恥ずかしくて…どうしたらいいのかわかんないんだよー!!"
"えー…ハッキリ僕も好きですって返事すればいいんじゃない?返事は自分で考えないと!!"
"が…頑張る"

青空くんに相談してよかった。

僕…茜くんを好きなんだなぁ…。
ずっと茜くんの顔が離れなくて…想ってると幸せで…さっき別れたばっかりなのにもう会いたくなってる。

これが好きってことなら僕は最初から好きになっていたのかも…。

明日喫茶店くるかな…?
明日会えたら返事しようかな…。

考えながら横になってたらいつの間にかぐっすり寝てしまっていた。

午前中から喫茶店に居たけど結局来なかった…。
来てくれなくて寂しかったのは内緒。

会いたくて、僕の取った行動は…

"おはようございます。今日は昼前に学校へ行く予定です。いつも図書準備室をお借りしてお昼を食べているので一緒に食べませんか?"

とお誘いをした。
直ぐに茜くんから了承のお返事も頂いた。

いつもは学校に行くのが億劫に思ってるけど今日は違う。
自分から進んで行きたいと思ったのは不登校になってから初めてだった。

昨日寂しさを紛らわす為におじいちゃんに教えてもらって焼き菓子を作ったから今日持っていって食べてもらおう!
お菓子好きかなぁ…。

こんな機嫌よく学校へ行く支度をしているからか、両親からも不思議がられた。

「どうしたの?学校楽しくなった?こんな楽しそうな玲央久々に見てお母さんたちも嬉しいわ!」

って凄い張り切ってお弁当作ってくれた。

そんな楽しみにしてたお昼休みだったけど…。
お昼休みになっても茜くんは来ない…。
やっぱり嫌になったかな…?
連絡のないスマホを握りしめ待ってるとメッセージがきた。

"おまたせ!!図書室に来たよ"

ホッと安堵した。メッセージを見て直ぐ準備室から出ると息を乱した茜くんが居た。
走って来てくれたの?

「こ…来ない…かと思った…」
「遅くなってごめん!!」
「よ…良かった…こっち…」

ちゃんと来てくれたことの安堵からか、顔がにやけるのが止まらなくて、早く二人きりになりたくて、茜くんの手を取って準備室に案内する。
どさくさに紛れて手を繋いじゃったけど嫌がられてないかな?
少し手が震えてしまう…。
そんな心配をよそに茜くんは恋人繋ぎ?みたいに僕の手をギュッと繋ぎ直してきた。僕もギュッと握り返した。
その手はとても温かくて…ホッとする。

準備室の中はテーブルと椅子が用意しておいた。
なんとなく隣同士だと緊張しそうだから向かい合わせにしてみたけど結局どっちも緊張する。

「いつもここで食べてるの?」
「うん…いつ…もは…司書さんと食べて…るけど、今日は茜…くんが来る…って…言ったら外に…食べ…に行っちゃった…」

今日人が来ることを伝えたら二人きりで仲良くね。と言って外に行ってしまった司書さん。ありがとうございます。

嬉しくていつもより顔が緩んでる。
そんな僕の顔に手を伸ばして頬を撫でる茜くん。
その手が好きで思わずすり寄ってしまう。
気持ち悪くないかな?
撫でながらニコニコしてる茜くんを見て僕もニコニコしちゃう。

「俺は玲央と二人きりで食べれて嬉しい…」
「ぼ…ぼく…も嬉し…いです…」

と嬉しい事を言ってくれるので顔が赤くなるのをお弁当を広げる事で下を向いて誤魔化した。

茜くんといるとずっと顔が火照って熱い…。
ちょっと落ち着こう…。

「美味しそうなお弁当だね」
「今日…お母さん…が張り…切って作って…た」
「?そうなんだ?購買でデザート買ってきたから一緒に食べよ?」

と美味しそうなクリームプリンを出してくれた。
プリンは大好き!!
学校の購買でこんな立派な美味しそうなデザートも売ってるんだ?凄い!!

「お…美味しそう…!!ぼ…僕…プリ…ン好きだか…らとっても…嬉し…い!!」

子供みたいに喜んで恥ずかしかった…。
僕のお菓子も食べてくれるかなぁ?

「そっか…喜んでくれてよかった」
「あ…あの…僕…もお菓子作って…持ってきた…ので一緒に食べてくれ…ますか…?」
「もちろん!!玲央の手作り?え…!?めっちゃ嬉しい!!」

よかった!喜んで貰えた!

「こん…なに…楽しい食…事は…久しぶ…りでとても…嬉し…いです」
「俺も玲央と食事できるの凄く楽しいよ。誘ってくれてありがと」

こんな幸せな時間を過ごせるなんて思ってもみなかった。

「また一緒に食べようね?」
「あ…はいっ…」
「まだ…緊張してる?」
「あ…茜…くんはとても話…やすくて…」
「そうか、そうなら嬉しい…」

実は緊張してるけど話しやすいのはホント。
こんな幸せな時間がずっと続けばいいと思ってる。

初めてが沢山あって、この人と恋愛出来たらずっと幸せなんだろうなぁと思う。

「デザートも食べよっか…」
「あ…はい」

僕はマドレーヌなどの焼き菓子を出した。
バターのいい匂いがする。
昨日頑張って良かった。

「わぁ…美味そう!!いい匂い!!玲央上手だねぇ~」
「あ…おじいちゃんが得…意なの…で洋…菓子を沢…山お…そわりま…した…」
「あ~マスターかぁ。喫茶店なら洋菓子多いか。」
「茜…くんはどんなお菓子…が好き…ですか?」
「俺?俺何でも好きだよ~。でも得に好きなのはチーズケーキかなぁ」

チーズケーキなら作ったことあるから大丈夫!!
作ったら食べて欲しいなぁ。

「チーズケーキ…今度…作る…ので食べて…くれますか?」
「食べる食べる!!玲央のお菓子なら何でも美味しくいただきます!!」

喜んでもらえるように頑張ろう。

「このプリン先週から購買に置いてあって人気過ぎてなかなか買えないらしいんだけど今日は丁度残っててラッキーだったんだ。玲央と食べれて幸せ!!」

僕の為に買ってきてくれて嬉しい…。
ずっと僕の事考えてくれてたって事だもんね?
こんな嬉しい事ないよ…!

「ありがとう茜くん…」

僕は幸せを噛み締めてプリンを食べた。

ガラッ
「あれ…もうお昼休み終わりだよ~早く教室戻りなさい」

幸せ時間が終わってしまった…。楽しい時間って過ぎるの早いよね…。

「あ…今片付けます。すんません」
「いいよいいよ~南くんと仲良くしてくれてるみたいだしねぇ時間に遅れなければ大丈夫だよ」

司書さんのその言葉に2人で目を合わせて笑った。

残りのお菓子を茜くんに渡し、扉の前でお別れ。

「じゃあまたね…」
「はい…」

離れたくないなぁと思ってたら茜くんにギュッと抱きしめられた。茜くんの心臓の音ドキドキしてる。
僕のドキドキも伝わっちゃうかな?
もっとくっつきたくて大きな背中に手を回してみた。
人と抱き合うのって凄く幸せなんだと初めて知った…。
温かくて幸せ…。

「茜くんまた一緒に…」
「うん…連絡待ってるよ」

そう言って離れて茜くんは教室へ戻った。


あ…返事しようと思ってたのに忘れちゃった…。
幸せ過ぎて忘れてた…。









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