彼氏の優先順位[本編完結]

セイ

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倉橋×浅井編

4.独占欲を感じる距離(浅井Side)

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「…うっわ…会長それヤバいっすよ…」
「独占欲強め彼氏…?」
「会長自ら風紀乱してるよ…」
「…!?///」

朝一生徒会室へ行って開口一番仲間にやっぱり言われてしまった。

「あ…やっぱり隠れてない…よねぇ~…」
「やるなとは言わないけどもう少し自重してくださいよ…」
「犬の躾がなってない」
「会長…番犬の躾はきちんとお願いしますよ…」
「皆…僕の彼氏なんだと思ってんの…」
「会長の番犬」
「皆言ってるよねぇ~」

確かに僕も犬っぽいとか思ってたけどさぁ…。
学校中の認識が共通して犬なのかわいそすぎる…。
まぁたまにホントに犬か?って思う時あるけどそこも可愛いんだよね。

「彼氏さんが不良からバチクソイケメンになって嬉しいのはわかるけどね」
「モテ過ぎてあんま嬉しくないっ!!」
「あ~なんか前の会長みたいに告白ラッシュ凄いっすもんねぇ…会長は気が気じゃないかぁ」
「むぅ…光輝が好きなのは僕だもん!!そんなの気にしないもん!!」
「だからと言って風紀を乱すのは辞めてくださいね。まったく…」
「それは僕じゃなくて光輝に言って!光輝のせいだもん!」
「ここでやったらキレますからね!」
「やるわけないじゃん!!」

最初は僕の方が好きが大きかったけど最近は光輝の好きが大きすぎて逆に困る事が多い。
それは嬉しいけど…最近は僕よりも光輝がモテて心配事が多いんだけどね…。
何で僕への嫉妬が凄いのかよくわからない。

「なぁ…優…俺の家で暮らさね?ずっと俺んち泊まってんだからもう暮らしちゃえよ…」

光輝の申し出にびっくりした。
最近の彼は僕にべったりで、前の彼と違い過ぎて驚く事が増えた。

「え…!?どうしたの急に…」
「お前と離れんのヤダ…」
「…何?何かあった?」
「……。お前ストーカー気づいてないの?」
「えっ!?僕に?」
「数日前からお前の後付いて回ってるやついるんだぜ?」
「…光輝の…じゃなくて?」
「…俺じゃねぇな。お前の事ずっと見てる」
「え…やだ…知らない…だから僕にずっとくっついてたの?」
「…それは俺がくっついてたいからだけど…心配もある」
「…どんな人?知ってる人かなぁ…」
「サッカー部の部長」
「…うぇ~…あの人?この間告白お断りしたばっかだけど…諦めてないってこと?そんな人に見えなかったけど…」
「アイツ爽やかに見えてお前の事めっちゃねっとり見てるからな?マジキモい」

その場面を思い出したのか顔を歪めている。

「家帰るの怖いじゃん」
「だから俺んち住めって言ってんの」
「住む…のはあれだけど暫く泊めて」
「……住んじゃえばいいのに…」
「それはだめな奴になりそうだから嫌。光輝のお世話になりっぱなしな自堕落な生活になりそう…」
「…いいじゃん俺がいないと生きていけなくなればいい」
「…いつの間にそんな重い子になったの……」
「…こんな俺は嫌?」

ちょっと不安そうな顔で僕を抱きしめながら伺う光輝が可愛すぎた。
ホントに僕の事好きなんだなぁ…って思うから嬉しいけど。
今までの恋愛は僕の方が気持ちが重すぎて振られて来たけど、今はどっちも同じ重さで…いや若干光輝の方が重いかもしれない…けどそれがいい。

「どんな光輝も好き」ちゅっ
「ふっ…俺も好き」

独占欲?そんなの大好きに決まってんじゃん。最高。
こんな恋愛待ってた。
光輝がこんなんなるとは思ってなかったけど同じ質量で恋愛が出来るのが光輝で良かったと思う。




ストーカーの事を実感するのはそのすぐ後だった…。

久々に光輝がバイトで先に下校した日、僕は生徒会の仕事が終わり一人光輝のバイト先へ行こうと下駄箱へ行くと、件のサッカー部の部長である日鷹君がいた。

「浅井君。一緒に帰らないかい?今日は番犬君もいないようだし…ね?」

…見た目はホントに爽やか君なんだけどねぇ…。
僕の下駄箱の真ん前を陣取っていて靴が取れないように立つ日鷹君にイラッとする。

「聞き捨てならないね。アレは番犬ではなく可愛い可愛い僕の恋人なんだけどね?」
「アレを可愛いなんて、浅井君眼科に行くことをお勧めするよ」
「可愛いのは僕だけが知ってればいいんだよ。それよりもソコどいてくれる?靴が取れないじゃない」
「それは失礼。どうぞ?それで一緒に帰ってくれるのかな?」
「……」

僕は拒否を示す為に無言で靴を履き替え彼の横を通り過ぎようとした瞬間手首を掴まれてしまった。

「…いっ…離して!!」
「会長ともあろう方が無視は良くないなぁ…」
「…悪かったね。君と話したくなかったもので。離してくれるかな?」
「…この手を離したら貴方はあの番犬の元へ行くんだろう?」
「そうだよ。これから光輝のバイト先へ行くの。だから離して」
「離しません。俺とお付き合い考えてくれたら離すかも?」

…先日の告白は大人しく引き下がったのに何で今頃になってこんなに執着し始めたんだ?
光輝と付き合い始めたと噂が広まったから?

「断ったハズだよ。今は光輝っていう彼氏もいるんだから君と付き合う気はないのわかっているハズだよね?」
「…何故あの男なんだ?」

…なんかこの台詞つい先日も聞いた気がするな?
何で皆そんな事聞くのかな?
好きだからに決まってるのにね。

「何故って…好きだから?」
「……」

顔を歪めた瞬間掴んだ手に力が入る。
余計に逃げられなくなった気がした…。
逃げるために離れようとすると手を引かれ日鷹君に抱きつかれ近づく顔にびっくりして後ろへ下がると下駄箱に阻まれてしまった。
「!!いや!!離れて!!近づくな!!」
「大人しくして。あんな男より俺の方がいい男だと思うけど…ね?」
そう言いながら顔を近づけてくる。
顎を掴まれ避けようにも動かせない…。
ヤダヤダヤダ!!光輝以外とキスしたくないっ!!

「ーーーーっいや!!誰か!!助けて!!」
「この時間ほぼ人がいないの知ってるよね?誰も助けになんか来ないよ?君の番犬もね?」
「っ!!やだ…光輝ぃ~…」

これから起こるかもしれない事を思うと涙が溢れてきた。

「観念して俺といい事しようか?ね?浅井君」

さっさと帰ればよかったと後悔して
身体の力が抜けた瞬間。
日鷹君の顔を誰かの掌が掴み僕から離してくれた。
潤んだ視界から見えたのは先日仲良くなった青空君とその彼氏君だった。
日鷹君を引き剥がしてくれたのは星川君だった。

「…浅井さん…大丈夫ですか?」

力が抜けた僕を支えてくれる青空君が心配そうに声をかけてくれる。

「…っは…あ…青空…くん…」
「浅井先輩コレどうします?」

星川君の方を見ると彼はまだ日鷹君の顔を掴んで僕に近づけさせないようにして聞いてくる。

「青衣くんその人一応先輩だからね?怪我はさせちゃダメだよ…」
「…一応な。で?この変態どうします?」

二人の対応に心が落ち着いてきた。

「その辺捨ててきてくれるかな?」
「…りょーかい」

星川君の力に逆らえず黙って引きずられて行った。

「…大丈夫ですか?下駄箱きたら助けを求める声が聞こえたので…」
「…タイミングよく来てくれて助かったよ…ホント…」

心が落ち着いたとはいえ、未だ手が震えている僕の手を握りしめてくれる青空くんにホッとした。

「その辺に捨ててきた。大丈夫っすか?」

こっちの爽やかくんとは程遠いな…ホント…。

「浅井さん一緒にファミレスまで行きましょうか?倉橋くんの所に行くんでしょう?僕達護衛しますっ!!ね、青衣くんもいいよね!?」
「……しょうがねぇな…」
「ごめんね…。お願いしていいかな…。二人に何か奢らせてね?」

たぶん青空くんと二人きりがいいんだろう。少し面倒くさそうにしながらも同意する星川くんに青空くんの頼みを断れない彼に申し訳なさを感じながらお願いした。








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