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倉橋×浅井編
6.重い距離②
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午前中の授業をサボり、昼休みになった。
サッカー部の部室前へ行くとちゃんとあのクソ野郎は待っていた。
「ちゃんと来て頂いたようで何より。要件はわかりますよね?先輩」
「!!な…何のことかな!?」
イラッとして奴の背後の壁をガンッと殴る。
「…舐めた事してるとどうなるかわかってるよな…?次に人のモンに手ぇ出したらその粗末なモン握りつぶして使いもんにならねぇようにしてやるから…考えて行動しろよ?」
「…ひっ…わ…悪かった…!!」
俺の方が背が高いため、奴を見下ろしながら低い声を出した。
その声にビクリと身体を震わせながらコクコクと首振り人形のように顔を振る。
「ったく…」
あんだけ脅しといたらもう何もしてこないだろう。
一応他のバカがやらかさないとも限らないから警戒はするが。
優はいつも変なのを釣ってしまっているのを本人自覚なしな所が困る。
まあ、俺がどうにかするからいいけど。
あいつはこのままでいい。
俺に守られていればいい。
俺がいないと生きていけないようにでろでろに甘やかされていればいい。
俺はそれで幸せなのだ。
この幸せが続くのならばどんな厄介事も俺が払ってやろう。
優は知らなくていい。
何も知らずに俺の側で笑っていればいいのだ。
俺がこんな重い恋愛をするとは思ってもいなかったがそれが俺の幸せだとわかったら面倒事も楽しいと思うのが不思議だ。
さて、今日の仕事は終わった。
帰ったら優にめちゃくちゃ癒されよう。
午後は教室へ戻ったが寝て過ごした。
「倉橋くんまた寝てたの?先生睨んでたよ?」
「ん?そんなもんテストで点取りゃなんも文句言わねぇんだからいいんだよ」
「…これで点数取れるから凄いよね…どんな頭してるの?青衣くんもそうだけどさ~」
「?難しくねぇだろ?」
「…頭いい人の台詞だよね…」
ちょっと凹んでる夏目を尻目に俺は教室を出て帰宅した。
鍵を開けて家に入るとトコトコと小走りで玄関まで来た優に抱きつかれた。
「おかえり~光輝」
「ただいま。身体は大丈夫か?」
「…聞くなら自重して欲しいんだけど。学校行けなかったし…」
「昨日はお前のせいだから仕方ないな」
帰ると可愛い笑顔で出迎えてくれる。
…幸せだ。
夕飯も作ってくれていたらしい。
リビングに入るといい匂いが漂ってる。
「優、癒して…」
自分でこんな甘えたな声出すとか思ってもなかったが、優にならこんな情けない姿も見せていいと思うのは優にベタ惚れだからだなんだと、全て曝け出してもいいと思える人だからだと言える。
優に抱きつきながらソファへダイブする。
「ちょっ…危ない!!」
「優が足りない…」
子供みたいにぎゅっと抱きついて頭をグリグリ押し付ける。
「…何ソレ可愛い」
「…優…家に帰ってもいいよ。ストーカーもなんとかしたし。帰って欲しくないけど…帰りたかったら帰れるよ」
「…!!…何したの?昨日の今日でそんなすぐどうにかなるもん?危ない事してない?無理してない?」
「お前のために頑張った」
「…僕は僕のために光輝が危ない目に合うのは嫌だよ…」
「危険は一切ないから心配すんな。お話しただけだから」
「…ホントに?」
「ホント」
「…でも帰らない。最近ずっと一緒に居たからか光輝がいないと寂しいって今日一人で居てそう思った…から…帰らない。帰りたくない…」
俺の頭を抱えながら寂しいと訴える優が可愛い。
これでずっと一緒に居れる。
この為にずっと引っ付いてたし、スキンシップも増やしたし、尽くしに尽くしまくったし。
俺なしじゃ居られなくなったらいいと思ってたけど計画通りで素直過ぎる優が心配になる。誰かに騙されそうで余計に離れられなくなるな。ちな俺は騙してない。
「じゃあ同棲だな?」
「…今度の土日に荷物持ってくるよ…」
「これでヤリまくれるな…チュッ…」
「そんな爛れた生活にはしないからね!!」
どうしたってこれから優と離れなくちゃいけない時間が今以上にできてしまうからその前に同棲する事はどうにかしたかった。
優は先に卒業して大学生になる。
俺よりも先に大人になっていく。
年下の俺ではなく大人な男に靡く可能性がある事が不安だった。
「…優…好きだ…」
「…ホント今日はどうしたの?」
「ずっと一緒だ…」
「ふふっ…可愛い…チュッ…」
優よりも大人になれなくて今はこんな風に甘えて繋ぎ止めることしか出来ない俺は情けない…。
高校生と大学生は思っているよりも差が大きいと思っている。
だからせめて一緒に住んで少しでも一緒に居て俺を刻みつけたい。優が他の男に目がいかないように。
惚れた弱み?だろうか。いつからだろうか…きっかけは大した事ない些細な事だったと思う。俺にとって優先順位は何時でも優が一番になって、優を中心として世界が回ってる。なんて重い男なんだ俺は…。自分でもそう思うくらいには優を縛ってしまいそうでたまに怖くなる。
それでも…こんな俺とずっと一緒に居ることを選んでくれた優の優しさにまた好きになる。毎日"好き"が更新されていくのが楽しい。
優…ずっとずっと好きだ。
※一応完結しましたが、そのうち番外編も投稿予定ですが、いつになるか…。このような拙い小説をここまで読んで頂きありがとうございました。
初投稿もあって自分の書きたい事を文字に起こすのがこんなに難しいとは…今は異世界転移のファンタジー物を書いております。そちらもよしなに…。
サッカー部の部室前へ行くとちゃんとあのクソ野郎は待っていた。
「ちゃんと来て頂いたようで何より。要件はわかりますよね?先輩」
「!!な…何のことかな!?」
イラッとして奴の背後の壁をガンッと殴る。
「…舐めた事してるとどうなるかわかってるよな…?次に人のモンに手ぇ出したらその粗末なモン握りつぶして使いもんにならねぇようにしてやるから…考えて行動しろよ?」
「…ひっ…わ…悪かった…!!」
俺の方が背が高いため、奴を見下ろしながら低い声を出した。
その声にビクリと身体を震わせながらコクコクと首振り人形のように顔を振る。
「ったく…」
あんだけ脅しといたらもう何もしてこないだろう。
一応他のバカがやらかさないとも限らないから警戒はするが。
優はいつも変なのを釣ってしまっているのを本人自覚なしな所が困る。
まあ、俺がどうにかするからいいけど。
あいつはこのままでいい。
俺に守られていればいい。
俺がいないと生きていけないようにでろでろに甘やかされていればいい。
俺はそれで幸せなのだ。
この幸せが続くのならばどんな厄介事も俺が払ってやろう。
優は知らなくていい。
何も知らずに俺の側で笑っていればいいのだ。
俺がこんな重い恋愛をするとは思ってもいなかったがそれが俺の幸せだとわかったら面倒事も楽しいと思うのが不思議だ。
さて、今日の仕事は終わった。
帰ったら優にめちゃくちゃ癒されよう。
午後は教室へ戻ったが寝て過ごした。
「倉橋くんまた寝てたの?先生睨んでたよ?」
「ん?そんなもんテストで点取りゃなんも文句言わねぇんだからいいんだよ」
「…これで点数取れるから凄いよね…どんな頭してるの?青衣くんもそうだけどさ~」
「?難しくねぇだろ?」
「…頭いい人の台詞だよね…」
ちょっと凹んでる夏目を尻目に俺は教室を出て帰宅した。
鍵を開けて家に入るとトコトコと小走りで玄関まで来た優に抱きつかれた。
「おかえり~光輝」
「ただいま。身体は大丈夫か?」
「…聞くなら自重して欲しいんだけど。学校行けなかったし…」
「昨日はお前のせいだから仕方ないな」
帰ると可愛い笑顔で出迎えてくれる。
…幸せだ。
夕飯も作ってくれていたらしい。
リビングに入るといい匂いが漂ってる。
「優、癒して…」
自分でこんな甘えたな声出すとか思ってもなかったが、優にならこんな情けない姿も見せていいと思うのは優にベタ惚れだからだなんだと、全て曝け出してもいいと思える人だからだと言える。
優に抱きつきながらソファへダイブする。
「ちょっ…危ない!!」
「優が足りない…」
子供みたいにぎゅっと抱きついて頭をグリグリ押し付ける。
「…何ソレ可愛い」
「…優…家に帰ってもいいよ。ストーカーもなんとかしたし。帰って欲しくないけど…帰りたかったら帰れるよ」
「…!!…何したの?昨日の今日でそんなすぐどうにかなるもん?危ない事してない?無理してない?」
「お前のために頑張った」
「…僕は僕のために光輝が危ない目に合うのは嫌だよ…」
「危険は一切ないから心配すんな。お話しただけだから」
「…ホントに?」
「ホント」
「…でも帰らない。最近ずっと一緒に居たからか光輝がいないと寂しいって今日一人で居てそう思った…から…帰らない。帰りたくない…」
俺の頭を抱えながら寂しいと訴える優が可愛い。
これでずっと一緒に居れる。
この為にずっと引っ付いてたし、スキンシップも増やしたし、尽くしに尽くしまくったし。
俺なしじゃ居られなくなったらいいと思ってたけど計画通りで素直過ぎる優が心配になる。誰かに騙されそうで余計に離れられなくなるな。ちな俺は騙してない。
「じゃあ同棲だな?」
「…今度の土日に荷物持ってくるよ…」
「これでヤリまくれるな…チュッ…」
「そんな爛れた生活にはしないからね!!」
どうしたってこれから優と離れなくちゃいけない時間が今以上にできてしまうからその前に同棲する事はどうにかしたかった。
優は先に卒業して大学生になる。
俺よりも先に大人になっていく。
年下の俺ではなく大人な男に靡く可能性がある事が不安だった。
「…優…好きだ…」
「…ホント今日はどうしたの?」
「ずっと一緒だ…」
「ふふっ…可愛い…チュッ…」
優よりも大人になれなくて今はこんな風に甘えて繋ぎ止めることしか出来ない俺は情けない…。
高校生と大学生は思っているよりも差が大きいと思っている。
だからせめて一緒に住んで少しでも一緒に居て俺を刻みつけたい。優が他の男に目がいかないように。
惚れた弱み?だろうか。いつからだろうか…きっかけは大した事ない些細な事だったと思う。俺にとって優先順位は何時でも優が一番になって、優を中心として世界が回ってる。なんて重い男なんだ俺は…。自分でもそう思うくらいには優を縛ってしまいそうでたまに怖くなる。
それでも…こんな俺とずっと一緒に居ることを選んでくれた優の優しさにまた好きになる。毎日"好き"が更新されていくのが楽しい。
優…ずっとずっと好きだ。
※一応完結しましたが、そのうち番外編も投稿予定ですが、いつになるか…。このような拙い小説をここまで読んで頂きありがとうございました。
初投稿もあって自分の書きたい事を文字に起こすのがこんなに難しいとは…今は異世界転移のファンタジー物を書いております。そちらもよしなに…。
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お前を気に入ってる奴にに頼めよ
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誤字報告ありがとうございます(;・∀・)