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第二十五章 オブリビアダンジョン
第四百六十五話 再確認
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戦闘の熱も冷めた翌朝、イズミは白湯を入れたコップに口をつけると空になっている弾倉に弾を込める。
ベリアも緊張が解れたのか朝からナイフの素振りして、身体の調子を確認しているようだ。
「マスタング、広範囲の索敵を頼む」
「かしこまりました…半径30km内に敵性反応はありません」
「なら一先ず大丈夫そうだな。後はダンジョンの方か」
ライフルベストを脱いで弾を詰め終えた弾倉をねじ込みショルダーバッグに収納すると、ジャケットを羽織り冒険者ギルドの拠点警備をしている男の元へ向かった。
「調子はどうだ?」
「あの戦闘以降は何の動きも無いな。俺はもう少ししたら仮眠に入るが、用事でもあるのか」
「ダンジョン調査に入った奴等からの報告ってのは何時頃入るのか、それを確認しておきたくて」
「それなら昼過ぎだろうな。ダンジョンで1日を過ごして、その情報を持ち帰って来る調査担当が居るんだよ。これもダンジョン内の1日がコッチの1日と同じ基準で動いていればの話だが」
ダンジョンの時間軸が世界の時間軸とズレているのは、カレンの故郷で見つけたダンジョンでもあった事だ。
向こうだと此処の1日が、ダンジョンの日中帯だった。
「では戻って来たらベリアに連絡を頼みます」
「分かったよ、そのくらいの事なら任されよう」
「手間をかける」
「良いって事よ。夜警を担当した奴等は皆、アンタが貸し出したクロスボウのお陰で助かってるからな」
見張り塔まで戻ったイズミは、改めて敵の拠点を調査しようと提案した。
日中帯の調査であれば、昨日気付かなかった物が見つかるかもしれないと考えたのだ。
「大半が燃え尽きてたし、期待薄じゃないか?」
「他にも金属製の箱があるかもしれないし、軽くでも見ておきたいかなと」
「そこまで言うなら、アタイは構わないけど」
「よし決まりだ。昼過ぎには戻ってこよう」
腕時計へ目をやると7時55分、ちょいと速足で向かえば昼過ぎにはオブリビアに帰ってこれる筈だ。
引き継ぎを終えた冒険者ギルドの男に挨拶をしてから、マスタングに乗り込んで敵拠点のあった場所へ走ってゆく。
到着して最初に気付いたのは、死体が全く見当たらない事だった。
焼け焦げた匂いはほとんどなく、代わりに血の匂いは若干残っているし、武具や防具は彼方此方に散見される。
しかしあの大量の死体だけが、まるで無くしたパズルのピースのように抜け落ち無くなっているのだ。
「…一晩で全部食ったってのか?」
念の為に索敵を頼むが、案の定敵の反応は無かった。
マスタングから降りたイズミは大量の死体のあった広場へ移動すると、甲冑や武具の残骸が大量に散らばっていた。
「イズミ、あっちから嫌な感じがする」
ベリアは自身が感知した何かに向かい、ゆっくりとした足取りで近付いてゆく。
「この辺なんだけど…」
完全に破壊された複数あるテントの内の1つの前で立ち止まったベリアは、風魔法で残骸を吹き飛ばして歩くスペースを確保する。
「パッと見では気になる物は見当たらないが」
イズミはメガネを取り出して掛けると、マスタングに頼んで周辺のスキャンを試みる。
「マスター、隠匿の魔法が使われている場所があります」
「ビンゴだ!視認しやすくしてくれ」
メガネに赤い靄が表示されたので、ショルダーバッグからグレネードランチャーを取り出すと、ベリアと共にしっかりと距離をとって射撃姿勢を取る。
引き金に指をかけグレネードが発射されて、赤い靄に吸い込まれてゆく。
爆発音とはまた違う炸裂音が響き隠匿の魔法が破壊された。
煙が薄くなり奥が見えてくると、表面が溶解し煤の付いた箱が鎮座していた。
「中身は何だろうな…見る限り罠は無さそうだけれども」
ゆっくりと焦らずに箱を調べ、そっと蓋を開ける。
中には大量の布袋が入っていた。
大きさは大小様々だが、箱を覗き込んだベリアの表情が非常に険しいので厄介な代物なのだろう。
小さめの布袋を1つ取り出して太陽の下で開いて外に出してみると、血で汚れた魔石が3個ゴロンと転がってみせた。
「よりによってコレか」
「もしかしてさ、あの箱の中身は全部コレって事か?」
「可能性はあるな」
「うげ。正気じゃ無いだろ」
地面に転がった魔石は金槌で破壊し、自分達では運ぶには難のある箱を睨みつける。
「流石に放置する訳にもいかないし、どうしたものか」
「全部壊すか?」
「この数を此処で破壊して土地に影響があるのか、光の教会に一度確認を取った方が良いだろう…何個あるんだ」
「450個です。今3個破壊したので、残り447個です。この調子ではダンジョン内にも仕込まれている可能性があります」
マスタングのカウントを聞いた2人は、大きなため息をついた。
なにせ帝国の連中はオブリビアで750個、この敵拠点で450個の合わせて1200個も準備していた事になる。
勿論、かなり小粒の…小豆2個分くらい…もありはするが。
何としてでも数を用意するという執念を感じるのだ。
更にダンジョン内にもあるかもしれないと考えると、胃が痛み始めそうである。
「…ねぇ、アレ壊してくれないの?」
「此処で壊して良いものか、判断が出来なくてなぁ」
唐突に聞こえた声に対して反射的に返事をしたベリアだったが、直ぐに周囲を見渡して声の主を探す。
「アレがあると、僕達は此処に居れなくなっちゃうんだ」
声の主を見つけたベリアは思わずイズミの腕を引っ張り、イズミにも見えるのか確かめてもらう。
「イズミ!あの子が見えるか?」
「あの子?…何処に居るんだ、俺には見えないが」
メガネで確認をするが、イズミには只の破壊されたテントがあるだけにしか見えなかった。
「多分、この土地に住まう精霊だと思うけど…汚れた魔石を破壊して欲しいって。あの魔石があると此処に居れなくなるらしい」
「破壊するにしても、まずはあの箱を陽の光に晒さないとな…ベリア、一緒に箱を移動させよう。2人で押せば動かせるだろう」
2人は気合を入れて金属製の箱を押して、開けた所まで運び具体的な破壊方法を考える。
数が多いので金槌ではダルいのだ。
相談した結果、最初にショットガンで破壊するだけ破壊して、その後ベリアの火魔法で灰にして風魔法で吹き飛ばす事にした。
「マスタング、汚れた魔石を破壊するのに適した散弾を用意してくれないか?」
「かしこまりました…ドラムマガジン4個分あれば、対応可能と判断します」
「ありがとう、助かるよ」
マスタングのトランクから魔石破壊特化型のショットシェルが装填されたドラムマガジンを取り出すと、金属製の箱を横に倒して狙いやすくしてからショットガンを撃ち込んだ。
ベリアも緊張が解れたのか朝からナイフの素振りして、身体の調子を確認しているようだ。
「マスタング、広範囲の索敵を頼む」
「かしこまりました…半径30km内に敵性反応はありません」
「なら一先ず大丈夫そうだな。後はダンジョンの方か」
ライフルベストを脱いで弾を詰め終えた弾倉をねじ込みショルダーバッグに収納すると、ジャケットを羽織り冒険者ギルドの拠点警備をしている男の元へ向かった。
「調子はどうだ?」
「あの戦闘以降は何の動きも無いな。俺はもう少ししたら仮眠に入るが、用事でもあるのか」
「ダンジョン調査に入った奴等からの報告ってのは何時頃入るのか、それを確認しておきたくて」
「それなら昼過ぎだろうな。ダンジョンで1日を過ごして、その情報を持ち帰って来る調査担当が居るんだよ。これもダンジョン内の1日がコッチの1日と同じ基準で動いていればの話だが」
ダンジョンの時間軸が世界の時間軸とズレているのは、カレンの故郷で見つけたダンジョンでもあった事だ。
向こうだと此処の1日が、ダンジョンの日中帯だった。
「では戻って来たらベリアに連絡を頼みます」
「分かったよ、そのくらいの事なら任されよう」
「手間をかける」
「良いって事よ。夜警を担当した奴等は皆、アンタが貸し出したクロスボウのお陰で助かってるからな」
見張り塔まで戻ったイズミは、改めて敵の拠点を調査しようと提案した。
日中帯の調査であれば、昨日気付かなかった物が見つかるかもしれないと考えたのだ。
「大半が燃え尽きてたし、期待薄じゃないか?」
「他にも金属製の箱があるかもしれないし、軽くでも見ておきたいかなと」
「そこまで言うなら、アタイは構わないけど」
「よし決まりだ。昼過ぎには戻ってこよう」
腕時計へ目をやると7時55分、ちょいと速足で向かえば昼過ぎにはオブリビアに帰ってこれる筈だ。
引き継ぎを終えた冒険者ギルドの男に挨拶をしてから、マスタングに乗り込んで敵拠点のあった場所へ走ってゆく。
到着して最初に気付いたのは、死体が全く見当たらない事だった。
焼け焦げた匂いはほとんどなく、代わりに血の匂いは若干残っているし、武具や防具は彼方此方に散見される。
しかしあの大量の死体だけが、まるで無くしたパズルのピースのように抜け落ち無くなっているのだ。
「…一晩で全部食ったってのか?」
念の為に索敵を頼むが、案の定敵の反応は無かった。
マスタングから降りたイズミは大量の死体のあった広場へ移動すると、甲冑や武具の残骸が大量に散らばっていた。
「イズミ、あっちから嫌な感じがする」
ベリアは自身が感知した何かに向かい、ゆっくりとした足取りで近付いてゆく。
「この辺なんだけど…」
完全に破壊された複数あるテントの内の1つの前で立ち止まったベリアは、風魔法で残骸を吹き飛ばして歩くスペースを確保する。
「パッと見では気になる物は見当たらないが」
イズミはメガネを取り出して掛けると、マスタングに頼んで周辺のスキャンを試みる。
「マスター、隠匿の魔法が使われている場所があります」
「ビンゴだ!視認しやすくしてくれ」
メガネに赤い靄が表示されたので、ショルダーバッグからグレネードランチャーを取り出すと、ベリアと共にしっかりと距離をとって射撃姿勢を取る。
引き金に指をかけグレネードが発射されて、赤い靄に吸い込まれてゆく。
爆発音とはまた違う炸裂音が響き隠匿の魔法が破壊された。
煙が薄くなり奥が見えてくると、表面が溶解し煤の付いた箱が鎮座していた。
「中身は何だろうな…見る限り罠は無さそうだけれども」
ゆっくりと焦らずに箱を調べ、そっと蓋を開ける。
中には大量の布袋が入っていた。
大きさは大小様々だが、箱を覗き込んだベリアの表情が非常に険しいので厄介な代物なのだろう。
小さめの布袋を1つ取り出して太陽の下で開いて外に出してみると、血で汚れた魔石が3個ゴロンと転がってみせた。
「よりによってコレか」
「もしかしてさ、あの箱の中身は全部コレって事か?」
「可能性はあるな」
「うげ。正気じゃ無いだろ」
地面に転がった魔石は金槌で破壊し、自分達では運ぶには難のある箱を睨みつける。
「流石に放置する訳にもいかないし、どうしたものか」
「全部壊すか?」
「この数を此処で破壊して土地に影響があるのか、光の教会に一度確認を取った方が良いだろう…何個あるんだ」
「450個です。今3個破壊したので、残り447個です。この調子ではダンジョン内にも仕込まれている可能性があります」
マスタングのカウントを聞いた2人は、大きなため息をついた。
なにせ帝国の連中はオブリビアで750個、この敵拠点で450個の合わせて1200個も準備していた事になる。
勿論、かなり小粒の…小豆2個分くらい…もありはするが。
何としてでも数を用意するという執念を感じるのだ。
更にダンジョン内にもあるかもしれないと考えると、胃が痛み始めそうである。
「…ねぇ、アレ壊してくれないの?」
「此処で壊して良いものか、判断が出来なくてなぁ」
唐突に聞こえた声に対して反射的に返事をしたベリアだったが、直ぐに周囲を見渡して声の主を探す。
「アレがあると、僕達は此処に居れなくなっちゃうんだ」
声の主を見つけたベリアは思わずイズミの腕を引っ張り、イズミにも見えるのか確かめてもらう。
「イズミ!あの子が見えるか?」
「あの子?…何処に居るんだ、俺には見えないが」
メガネで確認をするが、イズミには只の破壊されたテントがあるだけにしか見えなかった。
「多分、この土地に住まう精霊だと思うけど…汚れた魔石を破壊して欲しいって。あの魔石があると此処に居れなくなるらしい」
「破壊するにしても、まずはあの箱を陽の光に晒さないとな…ベリア、一緒に箱を移動させよう。2人で押せば動かせるだろう」
2人は気合を入れて金属製の箱を押して、開けた所まで運び具体的な破壊方法を考える。
数が多いので金槌ではダルいのだ。
相談した結果、最初にショットガンで破壊するだけ破壊して、その後ベリアの火魔法で灰にして風魔法で吹き飛ばす事にした。
「マスタング、汚れた魔石を破壊するのに適した散弾を用意してくれないか?」
「かしこまりました…ドラムマガジン4個分あれば、対応可能と判断します」
「ありがとう、助かるよ」
マスタングのトランクから魔石破壊特化型のショットシェルが装填されたドラムマガジンを取り出すと、金属製の箱を横に倒して狙いやすくしてからショットガンを撃ち込んだ。
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