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第二十五章 オブリビアダンジョン
第四百六十四話 調べてもらおう
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オブリビアの拠点まで戻って来たイズミ達は、一旦見張り塔ではなく冒険者ギルドのテント付近にマスタングを駐車して、警備の男に現状の確認をした。
「こっちは大丈夫だ。アンタから借りたクロスボウのお陰で、3人も片付けてやったぜ」
男はクロスボウを小脇に抱え、温かい飲み物が入ったコップを持って仲間の男に声を掛ける。
「ちょっくら話をして来るから、警備を頼むぞ」
「分かりました!」
男はテントまでイズミを案内すると、イズミの分も飲み物を用意してくれた。
「グラスはあるか?」
「あるが、酒は飲まんぞ」
「この状況下では流石に飲めん…白湯だよ」
木製のコップを差し出すと、容量の半分程の白湯を注いでくれたので、ゆっくりと口に含んだ。
「…少し前に小高い建物の上で警備をしていたら、遠くまで続いていた暗闇の中に、朝日を無理矢理にでも連れ出したかのような光が見えた」
「そうか」
「アンタらも見たか?俺は遠くで起きた出来事の筈なのに、恐怖で言葉も出なかった。あんな攻撃を出来るのはドラゴンくらいだろう…俺はどうにかして気を落ち着かせようと酒を飲む事も考えたが、酒で誤魔化せる気が全くしなかった。だからこうして警戒をしながら、温かい飲み物で心の余裕を取り戻そうとしてるんだ」
良く見ると男の手は小刻みに震えていた。
「敵は居たのか?」
「居たが…全滅だった。あの光は大規模な火魔法の影響だろう。念の為に現地も確認して来たが、酷いもんだったよ」
「そんな攻撃を放つ魔物なんて、やはり伝説級だろう。姿は見たか?」
「いいや、俺達が到着した時には見当たらなかった」
「…そうか」
男はイズミの目や動きをジッと見つめていたが、直ぐに顔を手に持ったコップへと向けて一口飲む。
「敵の拠点で気になる物を回収してね、一度光の教会に確認してもらおうと思っている」
「それが妥当だな。冒険者ギルドの本隊はダンジョン調査に入ってるから、詳しい奴が居ないんだ」
イズミはテントから出るとマスタングの元へ向かい、教会の設営した拠点へと移動する。
「ベリア、ちょっと待っててくれ」
助手席で身体を縮こませ毛布に包まったままのベリアに一声掛けると、光の教会のテントで負傷者の治療をしていたロレッタを見つけた。
「ロレッタさん、少し時間は取れますか?」
「少しお待ちを…はい、これで治りましたよ」
治療を終えたロレッタが一呼吸入れた所で、イズミは敵の拠点で回収して来た瓶を取り出した。
「先程敵の拠点に向かったのですが、こんな物を見つけまして」
「確認致します」
簡素なテーブルに置かれた瓶を、ロレッタは分厚い革製の手袋をはめて取り扱う。
液体の入った瓶の蓋を外すと、何とも言えない甘ったるい香りが広がる。
「…これはポーションの派生品ですね。通常のポーションは主に怪我の回復に使いますが、コレは恐らく錠剤の効果を促進させる目的で作られたものです。甘い香りがとても強いので、かなり濃縮されてますね」
ロレッタは手に持った瓶に蓋をして、錠剤の入った瓶の確認を始める。
紫の錠剤をロレッタが用意した大きめの器に一粒置くと、何かの液体を注いだ。
「紫の錠剤は変化誘発剤の類のようですね。獣人の方が戦闘時に獣化したいといった場合に飲まれる薬と、非常に似たような反応をしています。詳細な鑑定をしますか?」
「出来ますか」
「少し時間はかかります。私は魔道具を介さないと鑑定が出来ないので」
「では、お時間のある時にでもお願いします」
「回収したのは、この瓶だけですか?」
ロレッタは薬を別の瓶に入れて保管しながら聞いて来たので、イズミは素直に答えておいた。
「でかい金属製の箱にそれなりの量が入ってました。放置するのも嫌でしたので、アイテムボックスにありったけ詰め込んで来ましたよ。盗まれないように厳重に保管しておきます」
「お願いしますわ。恥ずかしい話ですが、設営したテントには小型のアイテムボックスしか用意が無くて」
テントから出たイズミは自らが拠点としていた見張り塔へと戻ると、焚火を準備してお湯を作り始めた。
「マスタング、ベリアにココアを飲ませてやりたいのだが」
「かしこまりました」
マスタングは純ココアの粉が入った瓶を実体化すると、受け取ったイズミは木製のコップにお湯とココアの粉と砂糖を少し入れてよくかき混ぜる。
粉がペースト状になったら、しっかりとお湯を入れて再度かき混ぜる。
「ベリア、コレを飲んでみてくれ。少しは落ち着けると思う」
「…ありがと」
ベリアは身体の震え自体は治まっていたものの、とても恐ろしい存在と出会した緊張は解れていないようだった。
「大丈夫。温まるし、優しい味だな」
「俺が昔いた所では、ココアと呼ばれた飲み物だ。これも豆の加工品だ」
「イズミは豆を使った飲み物が好きなのか?あの苦いヤツも豆を使ってたし」
「かもしれん。牛乳を使うともっと優しい味になるが、生憎手持ちには無くてな」
自分の分のココアを作り静かに飲んで空を見上げると、浮かんでいる月は黄色の半月であり青白くは無かった。
「こっちは大丈夫だ。アンタから借りたクロスボウのお陰で、3人も片付けてやったぜ」
男はクロスボウを小脇に抱え、温かい飲み物が入ったコップを持って仲間の男に声を掛ける。
「ちょっくら話をして来るから、警備を頼むぞ」
「分かりました!」
男はテントまでイズミを案内すると、イズミの分も飲み物を用意してくれた。
「グラスはあるか?」
「あるが、酒は飲まんぞ」
「この状況下では流石に飲めん…白湯だよ」
木製のコップを差し出すと、容量の半分程の白湯を注いでくれたので、ゆっくりと口に含んだ。
「…少し前に小高い建物の上で警備をしていたら、遠くまで続いていた暗闇の中に、朝日を無理矢理にでも連れ出したかのような光が見えた」
「そうか」
「アンタらも見たか?俺は遠くで起きた出来事の筈なのに、恐怖で言葉も出なかった。あんな攻撃を出来るのはドラゴンくらいだろう…俺はどうにかして気を落ち着かせようと酒を飲む事も考えたが、酒で誤魔化せる気が全くしなかった。だからこうして警戒をしながら、温かい飲み物で心の余裕を取り戻そうとしてるんだ」
良く見ると男の手は小刻みに震えていた。
「敵は居たのか?」
「居たが…全滅だった。あの光は大規模な火魔法の影響だろう。念の為に現地も確認して来たが、酷いもんだったよ」
「そんな攻撃を放つ魔物なんて、やはり伝説級だろう。姿は見たか?」
「いいや、俺達が到着した時には見当たらなかった」
「…そうか」
男はイズミの目や動きをジッと見つめていたが、直ぐに顔を手に持ったコップへと向けて一口飲む。
「敵の拠点で気になる物を回収してね、一度光の教会に確認してもらおうと思っている」
「それが妥当だな。冒険者ギルドの本隊はダンジョン調査に入ってるから、詳しい奴が居ないんだ」
イズミはテントから出るとマスタングの元へ向かい、教会の設営した拠点へと移動する。
「ベリア、ちょっと待っててくれ」
助手席で身体を縮こませ毛布に包まったままのベリアに一声掛けると、光の教会のテントで負傷者の治療をしていたロレッタを見つけた。
「ロレッタさん、少し時間は取れますか?」
「少しお待ちを…はい、これで治りましたよ」
治療を終えたロレッタが一呼吸入れた所で、イズミは敵の拠点で回収して来た瓶を取り出した。
「先程敵の拠点に向かったのですが、こんな物を見つけまして」
「確認致します」
簡素なテーブルに置かれた瓶を、ロレッタは分厚い革製の手袋をはめて取り扱う。
液体の入った瓶の蓋を外すと、何とも言えない甘ったるい香りが広がる。
「…これはポーションの派生品ですね。通常のポーションは主に怪我の回復に使いますが、コレは恐らく錠剤の効果を促進させる目的で作られたものです。甘い香りがとても強いので、かなり濃縮されてますね」
ロレッタは手に持った瓶に蓋をして、錠剤の入った瓶の確認を始める。
紫の錠剤をロレッタが用意した大きめの器に一粒置くと、何かの液体を注いだ。
「紫の錠剤は変化誘発剤の類のようですね。獣人の方が戦闘時に獣化したいといった場合に飲まれる薬と、非常に似たような反応をしています。詳細な鑑定をしますか?」
「出来ますか」
「少し時間はかかります。私は魔道具を介さないと鑑定が出来ないので」
「では、お時間のある時にでもお願いします」
「回収したのは、この瓶だけですか?」
ロレッタは薬を別の瓶に入れて保管しながら聞いて来たので、イズミは素直に答えておいた。
「でかい金属製の箱にそれなりの量が入ってました。放置するのも嫌でしたので、アイテムボックスにありったけ詰め込んで来ましたよ。盗まれないように厳重に保管しておきます」
「お願いしますわ。恥ずかしい話ですが、設営したテントには小型のアイテムボックスしか用意が無くて」
テントから出たイズミは自らが拠点としていた見張り塔へと戻ると、焚火を準備してお湯を作り始めた。
「マスタング、ベリアにココアを飲ませてやりたいのだが」
「かしこまりました」
マスタングは純ココアの粉が入った瓶を実体化すると、受け取ったイズミは木製のコップにお湯とココアの粉と砂糖を少し入れてよくかき混ぜる。
粉がペースト状になったら、しっかりとお湯を入れて再度かき混ぜる。
「ベリア、コレを飲んでみてくれ。少しは落ち着けると思う」
「…ありがと」
ベリアは身体の震え自体は治まっていたものの、とても恐ろしい存在と出会した緊張は解れていないようだった。
「大丈夫。温まるし、優しい味だな」
「俺が昔いた所では、ココアと呼ばれた飲み物だ。これも豆の加工品だ」
「イズミは豆を使った飲み物が好きなのか?あの苦いヤツも豆を使ってたし」
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