異世界無宿

ゆきねる

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第二十五章 オブリビアダンジョン

第四百七十話 さくっと合流

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門を潜り抜けると、周囲は暗い草原だった。
見た限り人も魔物も確認出来ないので、一度マスタングに索敵を頼みモニターで確認する。

「調査隊は第2回層の門付近に居るようです、距離は凡そ10km先です」

「戦闘中か?」

「いいえ、現時点では休憩中のようです」

「なら今のうちに合流しよう」

モニターに表示された調査隊の位置にポイントを付け、安全運転でマスタングを走らせる。

「ダンジョン内をこうやって移動するってのは、何だか新鮮だなぁ」

「そうか?」

「ダンジョンの入口ってのは、馬車とか飛竜とかが入り難い場所にある事がほとんどでさ、荷物の多いパーティーは大変なんだよ。だからダンジョン周辺に都市が出来上がるんだけど」

そう言う事であれば、マスタングは規格外の存在だろう。
移動も戦闘も荷物も任せられる、最高の相棒である。

ベリアは窓を少しだけ開けると、ダンジョンの風を感じながら目を細める。

「それにしても、調査隊も頑張ったみたいだな…しっかり魔物を討伐してるよ」

「分かるのか?」

「臭いでな。ダンジョンの魔物の臭いは、討伐して直ぐには消えないんだよ」

草原を掻き分け進んでゆくと、土が露出している地面に遭遇したので一度停車して確認をする。

「地面が抉れてるのか」

「魔物との戦闘痕だよ、誰かがファイヤーボールでも使ったんだろうな。此処に燃えたような跡があるだろ」

ベリアの説明を聞いたイズミは納得しつつも、周辺に燃え移る事が無くて良かったと安堵した。

「もう少しで合流出来そうだし、急ぐとしよう」

モニターで周辺の反応を確かめてから、改めて調査隊の元へ向かう。
ところどころで地面が抉れているので、調査隊が入った時点では魔物も多かったのかもしれない。


ようやく見えてきた調査隊の拠点では冒険者が数名で見張りをしているのか、マスタングのエンジン音に反応して武器を構えているようだったのでベリアに対応を頼んだ。

直ぐに自分達への警戒は解け、拠点内に案内されテントの近くにマスタングを駐車する。

「ダンジョン内はどんなだ?」

「思った以上に階層渡りが多いみたいだな。出来れば第2回層に入りたいけど、今日までは様子見だとさ…魔道具である程度の階層情報は入手済みなんだけど、情報と出て来た魔物の属性に不一致があるみたいでもう少し調査をするって」

「情報との不一致ねぇ」

マスタングから降りたイズミは身体を伸ばすと、焚き火の近くへ向かい暖を取る。
ダンジョン内でも夜は少し冷えるのだ。

「イズミか、地上の様子はどうじゃ?」

「向こうでも色々ありましたが、取り敢えず被害もほとんど無く大丈夫ですよ。グールもチラホラ出て来ましたが、問題無く対応してますね」

武器の代わりにコップを持ったオルドリンが姿を見せたので、簡単な情報共有をしておく。

帝国兵の襲撃や拠点を燃やし尽くした事は上手くぼかして、かなりザックリとした説明で済ませた。
今の段階でこれ詳細に話すのは互いに面倒くさい展開になる気がしたのだ。

「このダンジョンは不気味じゃよ…出て来る魔物達がこぞってグール化しておる。第1階層からこんな様子のダンジョンは聞いたことが無い」

「此処が初めてのダンジョンなのかもしれませんね…はたまた、ダンジョンの奥に何らかの異常があるとか」

「儂は後者だと考える。ダンジョンに出るグールは中盤からと言うのが定説じゃからの、それにだ…ダンジョン内でも汚れた魔石が見つかったのだ」

深刻そうな表情のオルドリンが言うには、魔物のグール化の原因の一部は汚れた魔石だと考えているそうなのだが、まだ他の可能性も残っているので断定が難しいらしい。

「地上でも破壊作業は継続中ですね。下手に触れないので進捗は悪めみたいですが…明日は第2階層へ?」

「そうじゃな…あの魔道具を第2階層へ運び、半日は調査をしておきたい」

「せっかく此処まで来たので、自分達もご一緒しますかね」

イズミはショルダーバッグからココアの粉末の入った瓶を取り出すと、近くの冒険者達と話をしているベリアの分も一緒にココアを作る。

話が拗れると厄介なので、暫くは白装束の奴の話題は出さないでおく。

ベリアにココアを渡してオルドリンが座っている焚き火へと戻ると、セリーヌが丁度休憩に入った所だった。

「あらイズミ様、ダンジョンにいらしたのですね」

「興味関心に負けましてね」

「旅や冒険をなさる方でしたら、ダンジョンは魅力的な場所ですから…それは?」

「ある豆を使った飲み物でして…私はココアと呼んでいます。飲んでみます?」

「よろしいのですか?」

「勿論」

イズミはセリーヌの分のココアを作ると、僅かに砂糖が入っている小瓶と共に渡した。

「どうぞ…小瓶には砂糖が入っています、甘さが欲しければ使って下さい」

「砂糖まで…ありがとうございます」

一口目は砂糖無しで飲んだセリーヌは、何かを確認するようにもう一口飲み首を傾げた。

「これは…何処かで似たような飲み物を頂いたような。オルドリン様、一口飲んでみて下さい」

「なんじゃ唐突に…これは、確かに南方の王国で飲まれている物に似ているな。エルフ族や魔族が好んで飲んでいたような。しかしこれ程までに良い舌触りだったかまではなんとも」

「南方ですか」

2人の会話を聞いたイズミは今度の旅先は南方でも良いかなと考えつつ、第2階層へと繋がる大きな門へと視線を移した。
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