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第二十五章 オブリビアダンジョン
第四百六十九話 いざ突入
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探索用ライトに照らされる白装束の存在は眩しさを感じないのか、何も無かったように螺旋階段を登り終えると動きを止めた。
イズミはショットガンをしっかりと構え狙いを付けると、引き金へ人差し指を沿えて何時でも撃てるように呼吸を整える。
しかし白装束の奴は微動だにせず、此方の様子を伺っているかのように辺りを見渡す。
メガネに敵の反応が表示され、自分の左右に1体ずつグールが現れたのを知ったイズミは、素早く体勢を変えてショットガンを撃ち込み無力化して再度白装束の足元へ銃口を向けて威嚇射撃をする。
だが白装束は無反応だった。
「イズミ、撤収準備は出来てるぞ!」
「分かってる、どうしてもコイツが気になってな」
手持ちの武装が底をつきかけた冒険者は退避して一度拠点まで戻り、補給をしてから戻って来る予定だとベリアが教えてくれたが、イズミは目の前に居る白装束の事を考えると自分は撤収しない方が良い気がしたのだ。
「ロレッタさんの部隊はどうした?」
「冒険者が補給から戻って来る迄程度なら、余裕で防衛出来るって」
「なら安心か…おい待て!」
現状の把握が出来たと思えば、白装束は子供一人分くらい宙に浮くと螺旋階段へと移動を始めた。
急いで駆け寄りショットガンに括り付けたライトで螺旋階段の先を照らすも、其処にはもう白装束の姿は見当たらなかった。
「ベリア、ダンジョン内の状況を知りたいのだが」
「それは厳しいな。ダンジョン内ってのは外との魔法通信が繋がり難いんだ。例え繋がってもめっちゃ聞き取りにくい」
「直接向かった方が早いのか」
「アレを追いかけるのかよ?」
イズミはライトのスイッチを操作して消灯すると、一度ロレッタの展開している結界に入り今後の動きについてベリアと相談する。
「姿を見せるって事は、目的があると言う事だ。どう転ぶかは読めないが、俺達が追いかけて来ると踏んでの行動に思える」
「だとしたら罠だろ」
「分からんぞ?風変わりな救難信号かもしれない。俺達にストールを渡したのもヤツな訳だし、問題解決の為に道案内役を担っている可能性も捨てきれない」
「だったら尚更、腕利きの冒険者に任せるべきだろ」
「腕の立つ冒険者なら、俺の目の前に居るから大丈夫だ。Sランク昇格の議論が出ている、話題の冒険者が」
イズミが笑顔を見せて言い放つと、ベリアは大きなため息をついた。
「簡単そうに言ってくれるぜ。どうしてもダンジョンに入りたいのか?」
「急いだ方が良い気がしてな」
「分かったよ…久しぶりのダンジョンだな」
ベリアもダンジョンに突撃する覚悟が決まったようなので、イズミはマスタングに魔法通信を繋いだ。
「マスタング、これからダンジョンに突入する」
「ご一緒します、少々お待ちを」
そんな返事が来てから10秒後に、マスタングがダンジョン前まで自動運転でやって来た。
ベリアが助手席に乗り込んだのを確認し、運転席の扉を開けるとベリアがグローブボックスから小瓶の入った竹籠を取り出している所だった。
「マスター、この小瓶をロレッタ様へお渡し下さい」
「中身は?」
「緑色の小瓶が魔力回復薬で、茶色の小瓶が回復薬です。持久戦になる可能性を考慮し、保険として持たせておきましょう」
「保険ね…」
イズミが竹籠に入った小瓶の数を数えると、各々15本づつ入っていた。
足りないよりは多い位が丁度よいが、あの極めて不味い魔力回復薬を飲む羽目になる展開にならない事を祈るばかりである。
「ロレッタさん、我々はダンジョンに入って調査隊の援護に向かいます」
「無理はなさらないで下さいね、まだ左腕が痛むと思いますので」
「努力します。ここの防衛に使えそうな回復薬です、必要に応じて使って下さい」
イズミは小瓶の中身について簡潔に説明すると、竹籠ごとロレッタに渡した。
「大丈夫だとは思いますが、ロレッタさんも危険だと思ったら撤退して下さいね」
「分かりましたわ」
ロレッタの真剣な眼差しを見たイズミは、軽く頷いてからマスタングに乗り込みアクセルを踏み込む。
「ベリア、シートベルトを着けてくれ」
「分かった…まさかイズミ」
「このまま突入する」
大きな螺旋階段はマスタングの横幅よりも広く、ぶつかる心配は無さそうなのだ。
段差で車体下部を擦る危険性も考えていたが、そこはマスタングが上手く魔力を使い解消してくれていた。
なのでこの状況下で擦るぶつけるをした場合は、完全に自分の運転が下手なだけである。
どれだけ螺旋階段を回ったか数えてはいなかったが、終わりが近付いて来るとダンジョンの入口である門が見えた。
門の前で一度停車すると、2人は深呼吸をして心の準備を済ませる。
「マスタング、戦闘態勢だ。全武装の使用制限を解除する」
「かしこまりました」
「ベリア、準備は?」
「何時でも大丈夫だ」
「よし、突入だ!」
イズミはアクセルを強く踏み込むと、大きく開かれたダンジョンの門を潜り抜けた。
イズミはショットガンをしっかりと構え狙いを付けると、引き金へ人差し指を沿えて何時でも撃てるように呼吸を整える。
しかし白装束の奴は微動だにせず、此方の様子を伺っているかのように辺りを見渡す。
メガネに敵の反応が表示され、自分の左右に1体ずつグールが現れたのを知ったイズミは、素早く体勢を変えてショットガンを撃ち込み無力化して再度白装束の足元へ銃口を向けて威嚇射撃をする。
だが白装束は無反応だった。
「イズミ、撤収準備は出来てるぞ!」
「分かってる、どうしてもコイツが気になってな」
手持ちの武装が底をつきかけた冒険者は退避して一度拠点まで戻り、補給をしてから戻って来る予定だとベリアが教えてくれたが、イズミは目の前に居る白装束の事を考えると自分は撤収しない方が良い気がしたのだ。
「ロレッタさんの部隊はどうした?」
「冒険者が補給から戻って来る迄程度なら、余裕で防衛出来るって」
「なら安心か…おい待て!」
現状の把握が出来たと思えば、白装束は子供一人分くらい宙に浮くと螺旋階段へと移動を始めた。
急いで駆け寄りショットガンに括り付けたライトで螺旋階段の先を照らすも、其処にはもう白装束の姿は見当たらなかった。
「ベリア、ダンジョン内の状況を知りたいのだが」
「それは厳しいな。ダンジョン内ってのは外との魔法通信が繋がり難いんだ。例え繋がってもめっちゃ聞き取りにくい」
「直接向かった方が早いのか」
「アレを追いかけるのかよ?」
イズミはライトのスイッチを操作して消灯すると、一度ロレッタの展開している結界に入り今後の動きについてベリアと相談する。
「姿を見せるって事は、目的があると言う事だ。どう転ぶかは読めないが、俺達が追いかけて来ると踏んでの行動に思える」
「だとしたら罠だろ」
「分からんぞ?風変わりな救難信号かもしれない。俺達にストールを渡したのもヤツな訳だし、問題解決の為に道案内役を担っている可能性も捨てきれない」
「だったら尚更、腕利きの冒険者に任せるべきだろ」
「腕の立つ冒険者なら、俺の目の前に居るから大丈夫だ。Sランク昇格の議論が出ている、話題の冒険者が」
イズミが笑顔を見せて言い放つと、ベリアは大きなため息をついた。
「簡単そうに言ってくれるぜ。どうしてもダンジョンに入りたいのか?」
「急いだ方が良い気がしてな」
「分かったよ…久しぶりのダンジョンだな」
ベリアもダンジョンに突撃する覚悟が決まったようなので、イズミはマスタングに魔法通信を繋いだ。
「マスタング、これからダンジョンに突入する」
「ご一緒します、少々お待ちを」
そんな返事が来てから10秒後に、マスタングがダンジョン前まで自動運転でやって来た。
ベリアが助手席に乗り込んだのを確認し、運転席の扉を開けるとベリアがグローブボックスから小瓶の入った竹籠を取り出している所だった。
「マスター、この小瓶をロレッタ様へお渡し下さい」
「中身は?」
「緑色の小瓶が魔力回復薬で、茶色の小瓶が回復薬です。持久戦になる可能性を考慮し、保険として持たせておきましょう」
「保険ね…」
イズミが竹籠に入った小瓶の数を数えると、各々15本づつ入っていた。
足りないよりは多い位が丁度よいが、あの極めて不味い魔力回復薬を飲む羽目になる展開にならない事を祈るばかりである。
「ロレッタさん、我々はダンジョンに入って調査隊の援護に向かいます」
「無理はなさらないで下さいね、まだ左腕が痛むと思いますので」
「努力します。ここの防衛に使えそうな回復薬です、必要に応じて使って下さい」
イズミは小瓶の中身について簡潔に説明すると、竹籠ごとロレッタに渡した。
「大丈夫だとは思いますが、ロレッタさんも危険だと思ったら撤退して下さいね」
「分かりましたわ」
ロレッタの真剣な眼差しを見たイズミは、軽く頷いてからマスタングに乗り込みアクセルを踏み込む。
「ベリア、シートベルトを着けてくれ」
「分かった…まさかイズミ」
「このまま突入する」
大きな螺旋階段はマスタングの横幅よりも広く、ぶつかる心配は無さそうなのだ。
段差で車体下部を擦る危険性も考えていたが、そこはマスタングが上手く魔力を使い解消してくれていた。
なのでこの状況下で擦るぶつけるをした場合は、完全に自分の運転が下手なだけである。
どれだけ螺旋階段を回ったか数えてはいなかったが、終わりが近付いて来るとダンジョンの入口である門が見えた。
門の前で一度停車すると、2人は深呼吸をして心の準備を済ませる。
「マスタング、戦闘態勢だ。全武装の使用制限を解除する」
「かしこまりました」
「ベリア、準備は?」
「何時でも大丈夫だ」
「よし、突入だ!」
イズミはアクセルを強く踏み込むと、大きく開かれたダンジョンの門を潜り抜けた。
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