異世界無宿

ゆきねる

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第二十六章 梅雨の季節

第五百四話 アイテムの買取金額は

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翌朝。
イズミは運動不足解消の為に屋敷の庭をジョギングし、自分の体力の無さを痛感していた。
早朝だと言うのにリコは起き出しており、余裕な表情でイズミのジョギングに付き合うと言って一緒に走っているのだ。

「イズミおじちゃんはさ、変な魔力の色をしてるよね」

「そうか?俺は魔法が使えないから、よく分からないな」

「そうなんだ。ちょっと魔力を吸っても良い?」

「グラテミアさん達から許可を貰ったらな」

「えぇ~!ケチ」

子供の純粋な興味であっても、勝手な行動は周囲に迷惑をかけたりするので保留にさせておくのが良いだろう。

マスタングの側で休憩をしていると、冒険者ギルドに向かうベリアの姿が見えたので、一応声をかけておく。

「おはようベリア、今日も今日とてか」

「そう。今日はアイテムの購入の件も動くから、イズミも後で来て欲しいんだけど」

「分かった、準備したら行くとするよ…ベリア、何か毛艶が良くなってないか?」

陽の光に照らされたベリアの全身が、艶々と輝いて見えるのだ。

「気付いた?昨日グラテミアの魔法の特訓が終わってから、本格的に美容クリームのお試しが始まったんだよ。高級ブラシで毛並みを整えてから、マッサージするみたいにクリームを満遍なく塗られてさ」

「昨日の今日でその艶なのか…町に居る獣人さん達の注目の的だな」

「…だよな。Sランクに昇格するってだけでも注目されてるのに、大変だぜ」

ベリアを見送ったイズミは汗を拭いてから腕時計の竜頭を巻き、冒険者ギルドに向かう準備を整える。

「イズミおじちゃん!グラテミア様に話して来たよ」

「早いな」

元気いっぱいのリコに付き添うアヤが、軽く一礼をして馬車置き場に入ってくる。

「おはよう御座います、イズミさん。今日も冒険者ギルドに?」

「おはようございます、そうなんですよ。オブリビアで入手したアイテムを売りに出すので」

今日の予定を告げておくと、リコが早速と言わんばかりにイズミの左手を掴む。

「ほんの少しだけなら吸っても大丈夫だろうって言われた」

「少しだけね」

服の袖を捲り左腕を見せると、リコが軽く噛み付いて魔力を吸い始めた。

「…味がしない。アヤお姉ちゃん、魔力に味がしないよ」

「本当ですか?」

「うん!」

リコの言葉を聞いたアヤも確認がしたいと言うので、少しだけ魔力を吸わせてみる。

「…確かに、何も感じませんね。魔力を吸収している感覚はあるのですが、味は一切ありません」

「俺は魔力に味がある事自体が初耳なのですがね」

予想外の話だったので詳しく聞きたいと思ったが、冒険者ギルドとベリアを持たせるの良くないので我慢して、冒険者ギルドへと向かう事にした。


冒険者ギルドに到着すると、直ぐにギルド長の部屋に案内される。
既にベリアも待機していた。

「お待たせしました」

「いえいえ、私も少し前に来た所でして…早速本題に入らせて頂きますね」

イズミが席に座ると、右隣にエレノアが座った。
今日も対応の当番らしい。

「我々で買い取らせて頂きたいアイテムをピックアップ致しました」

皆でリストを確認する。
豪華な首飾り、ティラノサウルスな魔物の爪と魔石化した頭蓋、大きな魔石が2個、ギベリス2本。
ブレスレットや魔導書、あの片手剣は含まれていなかった。

「予算の限界まで頑張らせて頂きました」

首飾りは金貨2000枚、魔石化した頭蓋が金貨9000枚、爪は金貨800枚、魔石が大きい方が金貨1000枚で小さい方が750枚。
ギベリスは1本につき金貨5000枚だった。

「ギベリスは過去に5000枚でギルドが購入し、オークションで7000枚以上で落札された経緯がありますので同額に致しました。ヒュミトールのギルドの予算ですと、これ以上の買取は来期…2ヶ月後に改めてお願いさせて頂くのが精一杯です」

「提示価格が全部、金貨での計算な事が驚きだ。爪は銀貨とかになるかと思ったのに」

「爪は下位のドラゴン並みの強度と物理的耐久性がありまして、回収されました爪の合計数だとこの金額になります」

念の為に他のアイテムの想定金額も聞いておく。

「ところで、今回は買取を見合わせてアイテムの価格も聞いておきたいのですが」

「分かりました。此方をご確認下さい」

別のリストを渡されたので確認をする。
ブレスレットは金貨50000枚、魔導書は希少性はあれど管轄ギルド違いとの事で、参考価格で金貨20枚だった。
あの片手剣に至っては、金貨換算で10000000枚相当らしい。
桁がおかしい。

「ブレスレットが金貨50000枚なのは…」

「ハルハンディア共和国きっての鑑定士に転移して貰い、鑑定をしたのですよ。その結果が此方です」

羊皮紙に書かれた効果付与を見て、ベリアとエレノアは衝撃を受けていた。

「コレは…ヤバいな」

「イズミ、このブレスレットは封印しておいた方が」

2人の反応を見てイズミはイマイチ実感出来なかったので、メガネを取り出し文字を翻訳して確認をする。

ケルベロスのブレスレット(守)
特殊な環境下で生成された高品質な天然石を加工して作られた、稀少性の高い特別なブレスレット。
装着条件があるが、詳細は不明。
付与効果:装着中は以下の効果を発揮する。
物理攻撃無効化、魔法攻撃無効化、状態異常無効化。
その他:鑑定不能項目あり。

「トンデモ効果だな」

「そうなんです。金貨50000枚を払って買い取っても、ブレスレットが認めた相手しか装着出来ないとなると、買い取るのも売りに出すのも厳しいものがありまして」

「認められなかったらどうなんだ?」

「不明です。ただ拒否されて終わるのか、はたまた魔力や魂を抜き取られるのか…鑑定士でも解りかねるとの見解でして」

「成る程ね…で、この意味不明な価格の剣は?」

「我々には到底扱えない代物です。買い取り不可能、または拒否と思って頂いて構いません…なのでこの価格は、畏れ多くも剣の価値のみを金額として試算したものになります」

上等な羊皮紙に書かれているのは、眉唾な鑑定結果だった。
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