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第二十七章 サンダーブレード作戦
第五百三十一話 装備の新調
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ヒュミトールの大通りにて魔石ランタンを買い揃えて店を出ると、既に雨が降り出していた。
「降ってきたか…」
イズミはオリーブドラブ色のミリタリージャケットの襟を立てると、足早にマスタングを停めた馬車置き場へと移動する。
その途中で冒険者向けの衣服を売っているお店に並ぶ商品に目が止まった。
ズボンだ。
異世界生活を始めて長くなって来たが、基本的な衣服類は元いた世界ベースである。
ミリタリージャケット、タフなジーンズ、踝まで保護された靴、下着類。
上着は異世界の物を買って所持はしているが、ショルダーホルスターと愛用の44マグナムをキャリーする都合上、何時もミリタリージャケットを着込んでいる。
異世界ではミリタリージャケットの利便性が身に染みる。
まずポケットの数だ。ちょっとした買い物の時は活用出来るし、戦闘中に拾ったアイテムをポケットにねじ込む事も出来るし、予備弾倉を突っ込んでおく事だって出来るのだ。
ショルダーバッグにアイテムボックス機能が付与されてはいるが、人目につく場所で使っていればひったくりに合うリスクがある。
ではズボンはどうだろうか。
正直な所、あまり気にしていなかった部分ではある。
頑丈かつ汚れても然程目立たず、ベルトループがあって予備のスピードローダーやホルスターを装着出来れば、それ以上の要求は無かった。
初手で条件を満たしている服装だったので、気にする事もそんなに無かったのである。
そんなイズミが店に飾られたズボンに目が行ったのには理由がある。
丈夫そうな生地で作られているのは勿論だが、膝の部分が魔物のであろう革らしき素材で補強されていたのだ。
膝立ちをする時に小石でも踏もうものなら、痛くて体勢を崩してしまってもおかしくはない。
興味を持ったイズミは店に入ると、早速店主らしき男に声を掛けた。
「すみません、このズボンについて話を聞きたいのですが」
「いらっしゃい…あぁそれか。それは騎士隊や冒険者からも評判の良い生地を使ったズボンだ。膝の所はギガントバッファローの皮を加工してから縫ってる、粗悪な剣が相手ならまず切れない」
「戦闘中に膝立ちをする時に、小石とかを踏んだら流石に痛むか?」
「小石ねぇ、革を二重にして縫えば大分楽になるかもな」
「それは良い事を聞いた。そんなカスタムのオーダーは聞いてくれるのかい」
イズミは自分のウエストに合いそうなズボンを手に取ると、店主の男に渡した。
「特徴オーダーもやってるさ、他にもあるかい?」
「なら、こんなベルトループを着けて欲しい」
自分のズボンを見えるようにジャケットを逃し、ベルトとループを確認してもらう。
「ほぉ!紐でズレ落ち防止をしてないタイプか、サイズは…俺の人指指の第二関節くらいね、ループは全部で5箇所か」
男は何処からか薄汚れた羊皮紙と炭を持ってくると、特徴オーダーの内容をメモし始める。
「ズボンと特徴のオーダー対応込みで、銀貨50枚になるけど大丈夫かい?」
「なら2着分頼む」
「それじゃ銀貨100枚、または金貨1枚だ。手付け金で1割、受け取り時に残りの支払いで良いかい」
「この場で全額払っても良いが」
「羽振りの良い客は好きだよ…確かに金貨1枚受け取ったぞ。今から仕上げるとなると、2日後には渡せるな」
「分かりました、では2日後に」
「このズボンの素材については、今の内に説明を聞いておくかい?」
男はイズミにズボンの試着をさせながら、ズボンに使われている素材について話し始める。
「着てみると大分固いな」
「そうだろう、この生地の特徴はズバリ、最初は兎に角固いんだ。騎士隊では最初に履く前にしっかりと洗い込むか、何日か連続で履いて慣らしをしてから洗い込む事が多いそうだ。冒険者でも几帳面な奴は洗い込むが、そうじゃない奴らは依頼を受けての移動中に慣らすとか言ってたな…時間があるならしっかりと町にいる時に慣らした方が良いぞ、ズボラな奴ほど肌が擦れて痛むと言いやがる」
話を聞く限り店主の男は、このズボンに使っている素材にかなりの信頼を置いているように思える。
実戦で馴染ませるよりも先ずは日常の動きで身体とズボンを馴染ませるべきだと言っており、擦れ防止も考えておけと教えてくれているのだ。
「サイズはコレで大丈夫そうだ」
「膝当ての位置も大丈夫みたいだな、裾も調整しておこう…コレで良し」
全ての確認を終えた店主はズボンを店の奥へ持って行ってから、改めて完成日を告げる。
「完成は2日後、金は支払い済みとは言え保管は60日間、それを過ぎたら申し訳無いが破棄する事になる」
「分かりました、覚えておきます」
着替えて店を出たイズミは、雨に濡れながら小走りでマスタングの元へ向かう。
「待ったか?」
「問題ありません。グラテミア様より連絡がありまして、料理長がチョコレートの試作したので試食に来て欲しいそうです」
「相変わらず仕事が早いな」
イズミは運転席で呼吸を整えると、グラテミアの屋敷へと向かった。
何時もの馬車置き場にマスタングを停めて屋敷に入ると、直ぐに従者の1人がやって来ては食堂へと案内をしてくれた。
こころなしか興奮を隠しきれていないのが気にはなるが。
食堂に入るとグラテミア達と料理長がレシピとチョコレートを交互に見ながら、何か打ち合わせをしている最中だった。
「スミマセン、買い物をしてまして遅くなりました」
「大丈夫ですわ、急ぎの案件ではありませんので」
グラテミアは笑顔でそう言ってくれたが料理長は目の下にクマが出来ており、周囲よりかなりの圧を感じる日々を送っていたのかもしれない。
「もう試作品が完成するとは」
「…頑張りました」
「2種類のレシピを元に作りました」
イズミがレシピを確認すると、ミルクチョコレートと普通のチョコレートを作ったようである。
ミルクチョコレートを頬張ったイズミは、よく味わった後で深く頷いた。
「これは美味しいですね…一粒だけでも満足感が凄いです」
「ミルクチョコレートは一部のエルフ族を除けば、万人受けする商品ですね。最初は普通のチョコレートから広める想定で動き、現地でチョコレートの認知度が高くなって貴族が食い付いて来たタイミングで、ミルクチョコレートを出して落とし込みます」
既にグラテミアはチョコレートを活用した計画を練り始めているようだ。
イズミはベリアにも試食をさせて貰えるように依頼をすると、自分の分の試食を終えてから料理長に感想を伝える。
料理長はホッとしたのか表情を柔らかくしたが、その背後から感じる強烈なプレッシャーのせいで冷や汗をかくのであった。
「降ってきたか…」
イズミはオリーブドラブ色のミリタリージャケットの襟を立てると、足早にマスタングを停めた馬車置き場へと移動する。
その途中で冒険者向けの衣服を売っているお店に並ぶ商品に目が止まった。
ズボンだ。
異世界生活を始めて長くなって来たが、基本的な衣服類は元いた世界ベースである。
ミリタリージャケット、タフなジーンズ、踝まで保護された靴、下着類。
上着は異世界の物を買って所持はしているが、ショルダーホルスターと愛用の44マグナムをキャリーする都合上、何時もミリタリージャケットを着込んでいる。
異世界ではミリタリージャケットの利便性が身に染みる。
まずポケットの数だ。ちょっとした買い物の時は活用出来るし、戦闘中に拾ったアイテムをポケットにねじ込む事も出来るし、予備弾倉を突っ込んでおく事だって出来るのだ。
ショルダーバッグにアイテムボックス機能が付与されてはいるが、人目につく場所で使っていればひったくりに合うリスクがある。
ではズボンはどうだろうか。
正直な所、あまり気にしていなかった部分ではある。
頑丈かつ汚れても然程目立たず、ベルトループがあって予備のスピードローダーやホルスターを装着出来れば、それ以上の要求は無かった。
初手で条件を満たしている服装だったので、気にする事もそんなに無かったのである。
そんなイズミが店に飾られたズボンに目が行ったのには理由がある。
丈夫そうな生地で作られているのは勿論だが、膝の部分が魔物のであろう革らしき素材で補強されていたのだ。
膝立ちをする時に小石でも踏もうものなら、痛くて体勢を崩してしまってもおかしくはない。
興味を持ったイズミは店に入ると、早速店主らしき男に声を掛けた。
「すみません、このズボンについて話を聞きたいのですが」
「いらっしゃい…あぁそれか。それは騎士隊や冒険者からも評判の良い生地を使ったズボンだ。膝の所はギガントバッファローの皮を加工してから縫ってる、粗悪な剣が相手ならまず切れない」
「戦闘中に膝立ちをする時に、小石とかを踏んだら流石に痛むか?」
「小石ねぇ、革を二重にして縫えば大分楽になるかもな」
「それは良い事を聞いた。そんなカスタムのオーダーは聞いてくれるのかい」
イズミは自分のウエストに合いそうなズボンを手に取ると、店主の男に渡した。
「特徴オーダーもやってるさ、他にもあるかい?」
「なら、こんなベルトループを着けて欲しい」
自分のズボンを見えるようにジャケットを逃し、ベルトとループを確認してもらう。
「ほぉ!紐でズレ落ち防止をしてないタイプか、サイズは…俺の人指指の第二関節くらいね、ループは全部で5箇所か」
男は何処からか薄汚れた羊皮紙と炭を持ってくると、特徴オーダーの内容をメモし始める。
「ズボンと特徴のオーダー対応込みで、銀貨50枚になるけど大丈夫かい?」
「なら2着分頼む」
「それじゃ銀貨100枚、または金貨1枚だ。手付け金で1割、受け取り時に残りの支払いで良いかい」
「この場で全額払っても良いが」
「羽振りの良い客は好きだよ…確かに金貨1枚受け取ったぞ。今から仕上げるとなると、2日後には渡せるな」
「分かりました、では2日後に」
「このズボンの素材については、今の内に説明を聞いておくかい?」
男はイズミにズボンの試着をさせながら、ズボンに使われている素材について話し始める。
「着てみると大分固いな」
「そうだろう、この生地の特徴はズバリ、最初は兎に角固いんだ。騎士隊では最初に履く前にしっかりと洗い込むか、何日か連続で履いて慣らしをしてから洗い込む事が多いそうだ。冒険者でも几帳面な奴は洗い込むが、そうじゃない奴らは依頼を受けての移動中に慣らすとか言ってたな…時間があるならしっかりと町にいる時に慣らした方が良いぞ、ズボラな奴ほど肌が擦れて痛むと言いやがる」
話を聞く限り店主の男は、このズボンに使っている素材にかなりの信頼を置いているように思える。
実戦で馴染ませるよりも先ずは日常の動きで身体とズボンを馴染ませるべきだと言っており、擦れ防止も考えておけと教えてくれているのだ。
「サイズはコレで大丈夫そうだ」
「膝当ての位置も大丈夫みたいだな、裾も調整しておこう…コレで良し」
全ての確認を終えた店主はズボンを店の奥へ持って行ってから、改めて完成日を告げる。
「完成は2日後、金は支払い済みとは言え保管は60日間、それを過ぎたら申し訳無いが破棄する事になる」
「分かりました、覚えておきます」
着替えて店を出たイズミは、雨に濡れながら小走りでマスタングの元へ向かう。
「待ったか?」
「問題ありません。グラテミア様より連絡がありまして、料理長がチョコレートの試作したので試食に来て欲しいそうです」
「相変わらず仕事が早いな」
イズミは運転席で呼吸を整えると、グラテミアの屋敷へと向かった。
何時もの馬車置き場にマスタングを停めて屋敷に入ると、直ぐに従者の1人がやって来ては食堂へと案内をしてくれた。
こころなしか興奮を隠しきれていないのが気にはなるが。
食堂に入るとグラテミア達と料理長がレシピとチョコレートを交互に見ながら、何か打ち合わせをしている最中だった。
「スミマセン、買い物をしてまして遅くなりました」
「大丈夫ですわ、急ぎの案件ではありませんので」
グラテミアは笑顔でそう言ってくれたが料理長は目の下にクマが出来ており、周囲よりかなりの圧を感じる日々を送っていたのかもしれない。
「もう試作品が完成するとは」
「…頑張りました」
「2種類のレシピを元に作りました」
イズミがレシピを確認すると、ミルクチョコレートと普通のチョコレートを作ったようである。
ミルクチョコレートを頬張ったイズミは、よく味わった後で深く頷いた。
「これは美味しいですね…一粒だけでも満足感が凄いです」
「ミルクチョコレートは一部のエルフ族を除けば、万人受けする商品ですね。最初は普通のチョコレートから広める想定で動き、現地でチョコレートの認知度が高くなって貴族が食い付いて来たタイミングで、ミルクチョコレートを出して落とし込みます」
既にグラテミアはチョコレートを活用した計画を練り始めているようだ。
イズミはベリアにも試食をさせて貰えるように依頼をすると、自分の分の試食を終えてから料理長に感想を伝える。
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※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
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