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第二十七章 サンダーブレード作戦
第五百三十五話 酒盛り初日
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「いつの間に」
「あの目印を置いた時点で、既に降り立つ準備を整えた者が居るのだよ…最初はあのドワーフ酒をロックで頂こう」
ローマ人風の男神は飲みたいドワーフ酒の瓶を光らせると、メーレルが手にとってロックでお出しする準備を始める。
「異世界で出す時の量で構わんぞ」
「分かりました。メーレルさん、このカップでの1杯がロックの時のお酒を入れる量になります」
「このカップですね…カップ毎に決められた量で注げるのは便利です」
グラスに氷を入れてから軽く回し、水になった分を捨ててからお酒を注ぐ。
そのグラスを男神の座るテーブルへと運んだ。
「お待たせ致しました、此方はヒュミトールの酒蔵で作られたドワーフ酒となります」
「この地でも作られるようになったか。武器や道具ばかりが先行していた町だったが、良くなってきたものだな」
男神がそっとドワーフ酒を飲むと、くぅと言いながらグラスをテーブルに置いた。
「やはり上等なドワーフ酒は良いな」
「ありがとうございます、職人達も喜ぶ事でしょう。お冷やも用意しますね」
お酒だけでは口直しが難しいので、用意していた水をコップに注ぎテーブルに置く。
「つまみはあるのか?」
「ジャーキーにナッツ、ドライフルーツがあります。それとラミア族の料理人が作り込んだチーズケーキと、女神様向けの会食にて評判の良かったじゃがバターもあります」
「ではジャーキーを頂こうか」
イズミがジャーキーを小皿に乗せてテーブルに向かうと、他のテーブル席にもお客様…別の男神様…が座る所だった。
この男神は甚平のような服装である。
「おう!来たのか」
「我々男神向けの酒盛りを開く者が居ると聞いたら、来なければなりますまい。我はあのドワーフ酒をトニックで頂きたい」
男神様は飲みたい酒の瓶を光らせてくれるので、自分達としても分かりが良くて助かった。
イズミ達がドワーフ酒の名前をしっかりと覚えていれば良い話だと考えたが、どの酒蔵で作られたドワーフ酒という情報以外はあんまり分かっていないので難しいのである。
2人…2柱…目の男神様が姿を見せた所で、他の男神様や精霊達も姿を現し始める。
どうも最初に突入する勇気までは無かったのか、待ちわびたかのようにテーブル席に座ったりテーブルの上にちょこんと座ったりしている。
「こりゃ…人手が足りないか?」
「イズミ、流石に今から追加人員は頼めないからな」
「分かってるさ。明日改めて考えよう」
こうして慌ただしい酒盛りの初日が始まった。
男神達の飲みは賑やかな居酒屋と言うよりは、フレンドリーなパブやバーに近かったとだけ言っておこう。
終わったのは夜の10時過ぎの事である。
「異世界人、確かイズミと言ったな?」
「はい、そうですが」
「後4回の酒盛りも、今回のようなレパートリーでやってくれる事を期待している」
「努力します」
イズミは結構減ったように見える酒棚へと目をやりつつ、男神様へ回答をする。
「うむ、それでこそだ…ではそんなお主達にささやかな褒美をやろう」
男神は右手をテーブル席にかざすと、いくつかの品が並べられる。
それは大人の拳よりも大きな鉱石、小振りなワンド、ペティナイフだった。
「鉱石を売りに出せば残る酒盛りで使う酒代は問題無く支払え、遊ぶ余裕もかなりあるだろう。ワンドは光の教会に持ってゆけば目の色を変えて今後も贔屓にしてくれよう。ナイフはそこのラミア族のお嬢さんが使い給え、良い出来の逸品だ」
「あ、ありがとうございます!」
メーレルが綺麗なお辞儀をしたのを確認した男神は、満足そうに頷いた。
「名を名乗るのを忘れておったな、我の名はゼアス。この世界の記録には存在せぬが確かに居る、その程度の者だ」
「御謙遜を」
「次回もまた来る。確か次回は魔王も来る予定と言っておった、故にバーボンなる酒を用意しておくと良いだろう」
「分かりました、用意させて頂きます」
「ではこれにて」
ゼアスと名乗った男神はスッと消えてしまった。
静まり返る部屋内にはジャズの音だけが響いている。
「終わった~!」
最初に声を上げたのはベリアだった。
近くにあった椅子に座ると背もたれに身体を預け、天井から吊り下げた魔石ランタンを目を細めながら見つめる。
「どの男神様も精霊達も、ケロッとした顔で飲んでたな。酒豪か?」
「そりゃ神様や精霊なんだから、俺達よりもキャパシティがあるだろうに」
「そうは言うけど、酒はかなり減ったぞ」
イズミは酒棚へ近づき残りを確かめるが、買い足した分はスッカラカンだった。
しっかりと確認すると1回の酒盛りで、用意していた酒の凡そ7割が消費されていたのだ。
マスタングが用意してくれた酒はほとんど消費されていて、残ったのはウォッカが1本と半分にジンが1本で中身は半分程になっていた。
ウィスキーは売り切れだ。
「メーレルさん、乾き物は結構減りました?」
「無くなりましたよ」
「…全部?」
「全部です。チーズケーキも無くなりましたし、ドライフルーツとナッツは結構な勢いで消費されました。2回目以降は多めに用意した方が良いですね」
「それは明日改めてフラウリアさんに相談します」
使い終えたグラス類はメーレルが浄化魔法…クリーン…で綺麗にしてくれており、後片付けがグッと楽になった。
スムーズに終わったのでメーレルを屋敷へ送る為にマスタングの元へ向かうと、ボンネットの上で野良猫が香箱座りをしていた。
「…終わったようだな」
「一応、盛況と言って良いと思いますが」
「5回に分けて正解だったようだな」
「ですね。明日買い出しに出ますよ」
「それが良い。酒は沢山あればある程、喜ぶ事だろう」
メーレルが馬車置き場にやってくると、野良猫はニャアとひと鳴きしてからボンネットから降りて何処かへ行ってしまった。
「イズミ様、ベリア様は先に寝るとの事でした」
「そうですか…では屋敷までお送りしますね」
メーレルを助手席に乗せたイズミは、深夜のヒュミトールをなるべく静かに走り出し、グラテミアの屋敷へと向かう。
その後メーレルが受け取ったペティナイフがグラテミア達に見つかり一騒動あったのだが、それをイズミが知るのはほんの少し先の事である。
「あの目印を置いた時点で、既に降り立つ準備を整えた者が居るのだよ…最初はあのドワーフ酒をロックで頂こう」
ローマ人風の男神は飲みたいドワーフ酒の瓶を光らせると、メーレルが手にとってロックでお出しする準備を始める。
「異世界で出す時の量で構わんぞ」
「分かりました。メーレルさん、このカップでの1杯がロックの時のお酒を入れる量になります」
「このカップですね…カップ毎に決められた量で注げるのは便利です」
グラスに氷を入れてから軽く回し、水になった分を捨ててからお酒を注ぐ。
そのグラスを男神の座るテーブルへと運んだ。
「お待たせ致しました、此方はヒュミトールの酒蔵で作られたドワーフ酒となります」
「この地でも作られるようになったか。武器や道具ばかりが先行していた町だったが、良くなってきたものだな」
男神がそっとドワーフ酒を飲むと、くぅと言いながらグラスをテーブルに置いた。
「やはり上等なドワーフ酒は良いな」
「ありがとうございます、職人達も喜ぶ事でしょう。お冷やも用意しますね」
お酒だけでは口直しが難しいので、用意していた水をコップに注ぎテーブルに置く。
「つまみはあるのか?」
「ジャーキーにナッツ、ドライフルーツがあります。それとラミア族の料理人が作り込んだチーズケーキと、女神様向けの会食にて評判の良かったじゃがバターもあります」
「ではジャーキーを頂こうか」
イズミがジャーキーを小皿に乗せてテーブルに向かうと、他のテーブル席にもお客様…別の男神様…が座る所だった。
この男神は甚平のような服装である。
「おう!来たのか」
「我々男神向けの酒盛りを開く者が居ると聞いたら、来なければなりますまい。我はあのドワーフ酒をトニックで頂きたい」
男神様は飲みたい酒の瓶を光らせてくれるので、自分達としても分かりが良くて助かった。
イズミ達がドワーフ酒の名前をしっかりと覚えていれば良い話だと考えたが、どの酒蔵で作られたドワーフ酒という情報以外はあんまり分かっていないので難しいのである。
2人…2柱…目の男神様が姿を見せた所で、他の男神様や精霊達も姿を現し始める。
どうも最初に突入する勇気までは無かったのか、待ちわびたかのようにテーブル席に座ったりテーブルの上にちょこんと座ったりしている。
「こりゃ…人手が足りないか?」
「イズミ、流石に今から追加人員は頼めないからな」
「分かってるさ。明日改めて考えよう」
こうして慌ただしい酒盛りの初日が始まった。
男神達の飲みは賑やかな居酒屋と言うよりは、フレンドリーなパブやバーに近かったとだけ言っておこう。
終わったのは夜の10時過ぎの事である。
「異世界人、確かイズミと言ったな?」
「はい、そうですが」
「後4回の酒盛りも、今回のようなレパートリーでやってくれる事を期待している」
「努力します」
イズミは結構減ったように見える酒棚へと目をやりつつ、男神様へ回答をする。
「うむ、それでこそだ…ではそんなお主達にささやかな褒美をやろう」
男神は右手をテーブル席にかざすと、いくつかの品が並べられる。
それは大人の拳よりも大きな鉱石、小振りなワンド、ペティナイフだった。
「鉱石を売りに出せば残る酒盛りで使う酒代は問題無く支払え、遊ぶ余裕もかなりあるだろう。ワンドは光の教会に持ってゆけば目の色を変えて今後も贔屓にしてくれよう。ナイフはそこのラミア族のお嬢さんが使い給え、良い出来の逸品だ」
「あ、ありがとうございます!」
メーレルが綺麗なお辞儀をしたのを確認した男神は、満足そうに頷いた。
「名を名乗るのを忘れておったな、我の名はゼアス。この世界の記録には存在せぬが確かに居る、その程度の者だ」
「御謙遜を」
「次回もまた来る。確か次回は魔王も来る予定と言っておった、故にバーボンなる酒を用意しておくと良いだろう」
「分かりました、用意させて頂きます」
「ではこれにて」
ゼアスと名乗った男神はスッと消えてしまった。
静まり返る部屋内にはジャズの音だけが響いている。
「終わった~!」
最初に声を上げたのはベリアだった。
近くにあった椅子に座ると背もたれに身体を預け、天井から吊り下げた魔石ランタンを目を細めながら見つめる。
「どの男神様も精霊達も、ケロッとした顔で飲んでたな。酒豪か?」
「そりゃ神様や精霊なんだから、俺達よりもキャパシティがあるだろうに」
「そうは言うけど、酒はかなり減ったぞ」
イズミは酒棚へ近づき残りを確かめるが、買い足した分はスッカラカンだった。
しっかりと確認すると1回の酒盛りで、用意していた酒の凡そ7割が消費されていたのだ。
マスタングが用意してくれた酒はほとんど消費されていて、残ったのはウォッカが1本と半分にジンが1本で中身は半分程になっていた。
ウィスキーは売り切れだ。
「メーレルさん、乾き物は結構減りました?」
「無くなりましたよ」
「…全部?」
「全部です。チーズケーキも無くなりましたし、ドライフルーツとナッツは結構な勢いで消費されました。2回目以降は多めに用意した方が良いですね」
「それは明日改めてフラウリアさんに相談します」
使い終えたグラス類はメーレルが浄化魔法…クリーン…で綺麗にしてくれており、後片付けがグッと楽になった。
スムーズに終わったのでメーレルを屋敷へ送る為にマスタングの元へ向かうと、ボンネットの上で野良猫が香箱座りをしていた。
「…終わったようだな」
「一応、盛況と言って良いと思いますが」
「5回に分けて正解だったようだな」
「ですね。明日買い出しに出ますよ」
「それが良い。酒は沢山あればある程、喜ぶ事だろう」
メーレルが馬車置き場にやってくると、野良猫はニャアとひと鳴きしてからボンネットから降りて何処かへ行ってしまった。
「イズミ様、ベリア様は先に寝るとの事でした」
「そうですか…では屋敷までお送りしますね」
メーレルを助手席に乗せたイズミは、深夜のヒュミトールをなるべく静かに走り出し、グラテミアの屋敷へと向かう。
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