異世界無宿

ゆきねる

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第二十七章 サンダーブレード作戦

第五百三十六話 買い取り依頼

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1回目の酒盛りを終えた翌朝。
イズミは朝一番で商人ギルドへと向かっている。

「なんだっけ?昨日受け取った鉱石を見てもらうんだっけか」

「そう。鑑定してもらって、良い金額なら売って次の酒盛りの足しにする」

「べらぼうな金額になったりして」

「可能性はあるぞ?なにせ男神様から頂いた鉱石だし…ベリアはここ数日どうだ」

「大変だけど、めっちゃ充実してる。特に毛艶が良くなって来ててさ、獣人の国に言ったらモテモテだって言われたぞ」

「それはありそうだな…獣人の国か」

助手席で欠伸をするベリアは商人ギルドの建物に到着したら別行動になる。
冒険者ギルドでの若手向けの実戦訓練が思ったよりも稼ぎになるらしく、昼過ぎまで訓練をして、夕方頃からグラテミアのトレーニングを夜までこなし、その後はフラウリアに連行され獣人向け美容クリームのテスターをしている。
とても大忙しなのである。

商人ギルドに到着してベリアと別れたイズミは、ギルドの建物に入ると直ぐに職員が接客にやって来た。

「おはようございます、本日は買い物でしょうか?」

「今日はある代物を買い取りして貰えるのか、確認をしたくて」

「そう言う事でしたら、奥の部屋にご案内致します」

職員が案内してくれた個室にて少し待っていると、白髪を綺麗に纏めた老人と長い金髪を纏めている秘書らしき女性の2人が入って来た。

「初めまして、私は商人ギルドのギルド長をしておりますシンドラーと申します。この女性は秘書のサマンサです」

「よろしくお願いしますわ」

「イズミです、此方こそよろしくどうぞ」

握手を求められたが丁重に断り、2人が椅子に座り落ち着いたのを確認してから話を切り出す。

「買い取りの確認でギルド長がお見えになるとは、思っておりませんでした」

「冒険者ギルドから色々と話は聞いてますよ。アダマンタイトは我々も購入させて頂きましたので」

「成る程」

「冒険者ギルドにて鑑定をせず、我々商人ギルドに持ち込まれたと言う事でしたので、今回は私が直接お話しをさせて頂こうかと考えましてね」

そう話すシンドラーの顔は彫りの深いダンディな男で、映画に出演したら助演男優賞を複数回は受賞するだろう存在感がある。
イズミは本題を切り出すと同時に、木製のテーブルに布を敷いて鉱石を置いた。

「大分昔に入手した鉱石でしてね…当時の私には使い道が無くて存在を忘れていたんです。荷物整理をしていたら出て来たので、手元にあっても宝の持ち腐れな気がして」

「拝見致します…鑑定を使ってもよろしいですか?」

「勿論です」

老人が鉱石を手に取り目を細めて真剣な表情で見つめていると、その手が僅かに震え始めた。

「これは!…サマンサ、大至急で宝石担当を呼び出しなさい」

「宝石担当ですか?一番詳しい者ですと、トレヴァーさんになりますが」

「トレヴァーならこの鉱石を分かるかもしれませんね、仕事中であっても呼び出して下さい。最優先事案です」

「かしこまりました」

サマンサが個室から出てゆくと、シンドラーは鉱石を布の上に置いてからハンカチで額の汗を拭う。

「イズミさん、この鉱石はどの地域で入手なさったのですか?」

「この鉱石をくれた男も旅人でしてね。大酒飲みの男と仲良くなりまして、その男が満足いくまで酒を飲ませてやったら、お礼にとくれたんでよ。なので何処で採れた鉱石なのかは分かりませんね」

イズミは事実半分嘘半分の内容を真剣な表情で言い切った。
神様から売れば酒代の足しになると説明されたなんて、口が裂けても言えないのだ。

「失礼します、トレヴァーです。ギルド長、最優先事案とは如何程ですか?」

「トレヴァー、こちらはこの鉱石の買い取り依頼をしているイズミさんです」

「どうも」

イズミが軽く会釈をすると、トレヴァーも会釈で返す。

「彼はハルハンディア共和国にて二人しかいない宝石や鉱石の特級鑑定士でしてね、私でも見つけきれない機微な違いすら見分ける男です。トレヴァー、早速鑑定をお願いします」

「分かりました。では失礼しますね」

シンドラーはトレヴァーを椅子に座らせると、鉱石の確認をするように促した。

「見た目は深緑色で、かなり透明度も高いですね。エメラルドに近いようにも見えます…しかし、何か拭えぬ違和感があります」

「違和感ですか?」

トレヴァーの言う違和感が分からないイズミだったが、そのまま鉱石を凝視して動かなくなったトレヴァーの鑑定結果を待つこと数分。

「…可能性としてあるのは、まだ正式に宝石としての名が決まっていない石に近いですね。サマンサさん、ロウソクを持ってきてくれませんか?」

「ロウソクですね」

サマンサが火のついているロウソクを持ってくると、受け取ったトレヴァーが鉱石に近づける。
すると、鉱石は赤色に変身でもしたかのように色を変えたのだ。

「やはり!間違いありません。この鉱石は過去に1例だけあった『輝きを変える石』です!このサイズと質であれば、宝石界の歴史が変わるかもしれません!!」

トレヴァーが大興奮で商人ギルド長であるシンドラーに猛プッシュしている姿を見ながら、イズミは元いた世界でもそんな宝石があった記憶を掘り起こしていた。
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