549 / 625
第二十七章 サンダーブレード作戦
第五百三十六話 買い取り依頼
しおりを挟む
1回目の酒盛りを終えた翌朝。
イズミは朝一番で商人ギルドへと向かっている。
「なんだっけ?昨日受け取った鉱石を見てもらうんだっけか」
「そう。鑑定してもらって、良い金額なら売って次の酒盛りの足しにする」
「べらぼうな金額になったりして」
「可能性はあるぞ?なにせ男神様から頂いた鉱石だし…ベリアはここ数日どうだ」
「大変だけど、めっちゃ充実してる。特に毛艶が良くなって来ててさ、獣人の国に言ったらモテモテだって言われたぞ」
「それはありそうだな…獣人の国か」
助手席で欠伸をするベリアは商人ギルドの建物に到着したら別行動になる。
冒険者ギルドでの若手向けの実戦訓練が思ったよりも稼ぎになるらしく、昼過ぎまで訓練をして、夕方頃からグラテミアのトレーニングを夜までこなし、その後はフラウリアに連行され獣人向け美容クリームのテスターをしている。
とても大忙しなのである。
商人ギルドに到着してベリアと別れたイズミは、ギルドの建物に入ると直ぐに職員が接客にやって来た。
「おはようございます、本日は買い物でしょうか?」
「今日はある代物を買い取りして貰えるのか、確認をしたくて」
「そう言う事でしたら、奥の部屋にご案内致します」
職員が案内してくれた個室にて少し待っていると、白髪を綺麗に纏めた老人と長い金髪を纏めている秘書らしき女性の2人が入って来た。
「初めまして、私は商人ギルドのギルド長をしておりますシンドラーと申します。この女性は秘書のサマンサです」
「よろしくお願いしますわ」
「イズミです、此方こそよろしくどうぞ」
握手を求められたが丁重に断り、2人が椅子に座り落ち着いたのを確認してから話を切り出す。
「買い取りの確認でギルド長がお見えになるとは、思っておりませんでした」
「冒険者ギルドから色々と話は聞いてますよ。アダマンタイトは我々も購入させて頂きましたので」
「成る程」
「冒険者ギルドにて鑑定をせず、我々商人ギルドに持ち込まれたと言う事でしたので、今回は私が直接お話しをさせて頂こうかと考えましてね」
そう話すシンドラーの顔は彫りの深いダンディな男で、映画に出演したら助演男優賞を複数回は受賞するだろう存在感がある。
イズミは本題を切り出すと同時に、木製のテーブルに布を敷いて鉱石を置いた。
「大分昔に入手した鉱石でしてね…当時の私には使い道が無くて存在を忘れていたんです。荷物整理をしていたら出て来たので、手元にあっても宝の持ち腐れな気がして」
「拝見致します…鑑定を使ってもよろしいですか?」
「勿論です」
老人が鉱石を手に取り目を細めて真剣な表情で見つめていると、その手が僅かに震え始めた。
「これは!…サマンサ、大至急で宝石担当を呼び出しなさい」
「宝石担当ですか?一番詳しい者ですと、トレヴァーさんになりますが」
「トレヴァーならこの鉱石を分かるかもしれませんね、仕事中であっても呼び出して下さい。最優先事案です」
「かしこまりました」
サマンサが個室から出てゆくと、シンドラーは鉱石を布の上に置いてからハンカチで額の汗を拭う。
「イズミさん、この鉱石はどの地域で入手なさったのですか?」
「この鉱石をくれた男も旅人でしてね。大酒飲みの男と仲良くなりまして、その男が満足いくまで酒を飲ませてやったら、お礼にとくれたんでよ。なので何処で採れた鉱石なのかは分かりませんね」
イズミは事実半分嘘半分の内容を真剣な表情で言い切った。
神様から売れば酒代の足しになると説明されたなんて、口が裂けても言えないのだ。
「失礼します、トレヴァーです。ギルド長、最優先事案とは如何程ですか?」
「トレヴァー、こちらはこの鉱石の買い取り依頼をしているイズミさんです」
「どうも」
イズミが軽く会釈をすると、トレヴァーも会釈で返す。
「彼はハルハンディア共和国にて二人しかいない宝石や鉱石の特級鑑定士でしてね、私でも見つけきれない機微な違いすら見分ける男です。トレヴァー、早速鑑定をお願いします」
「分かりました。では失礼しますね」
シンドラーはトレヴァーを椅子に座らせると、鉱石の確認をするように促した。
「見た目は深緑色で、かなり透明度も高いですね。エメラルドに近いようにも見えます…しかし、何か拭えぬ違和感があります」
「違和感ですか?」
トレヴァーの言う違和感が分からないイズミだったが、そのまま鉱石を凝視して動かなくなったトレヴァーの鑑定結果を待つこと数分。
「…可能性としてあるのは、まだ正式に宝石としての名が決まっていない石に近いですね。サマンサさん、ロウソクを持ってきてくれませんか?」
「ロウソクですね」
サマンサが火のついているロウソクを持ってくると、受け取ったトレヴァーが鉱石に近づける。
すると、鉱石は赤色に変身でもしたかのように色を変えたのだ。
「やはり!間違いありません。この鉱石は過去に1例だけあった『輝きを変える石』です!このサイズと質であれば、宝石界の歴史が変わるかもしれません!!」
トレヴァーが大興奮で商人ギルド長であるシンドラーに猛プッシュしている姿を見ながら、イズミは元いた世界でもそんな宝石があった記憶を掘り起こしていた。
イズミは朝一番で商人ギルドへと向かっている。
「なんだっけ?昨日受け取った鉱石を見てもらうんだっけか」
「そう。鑑定してもらって、良い金額なら売って次の酒盛りの足しにする」
「べらぼうな金額になったりして」
「可能性はあるぞ?なにせ男神様から頂いた鉱石だし…ベリアはここ数日どうだ」
「大変だけど、めっちゃ充実してる。特に毛艶が良くなって来ててさ、獣人の国に言ったらモテモテだって言われたぞ」
「それはありそうだな…獣人の国か」
助手席で欠伸をするベリアは商人ギルドの建物に到着したら別行動になる。
冒険者ギルドでの若手向けの実戦訓練が思ったよりも稼ぎになるらしく、昼過ぎまで訓練をして、夕方頃からグラテミアのトレーニングを夜までこなし、その後はフラウリアに連行され獣人向け美容クリームのテスターをしている。
とても大忙しなのである。
商人ギルドに到着してベリアと別れたイズミは、ギルドの建物に入ると直ぐに職員が接客にやって来た。
「おはようございます、本日は買い物でしょうか?」
「今日はある代物を買い取りして貰えるのか、確認をしたくて」
「そう言う事でしたら、奥の部屋にご案内致します」
職員が案内してくれた個室にて少し待っていると、白髪を綺麗に纏めた老人と長い金髪を纏めている秘書らしき女性の2人が入って来た。
「初めまして、私は商人ギルドのギルド長をしておりますシンドラーと申します。この女性は秘書のサマンサです」
「よろしくお願いしますわ」
「イズミです、此方こそよろしくどうぞ」
握手を求められたが丁重に断り、2人が椅子に座り落ち着いたのを確認してから話を切り出す。
「買い取りの確認でギルド長がお見えになるとは、思っておりませんでした」
「冒険者ギルドから色々と話は聞いてますよ。アダマンタイトは我々も購入させて頂きましたので」
「成る程」
「冒険者ギルドにて鑑定をせず、我々商人ギルドに持ち込まれたと言う事でしたので、今回は私が直接お話しをさせて頂こうかと考えましてね」
そう話すシンドラーの顔は彫りの深いダンディな男で、映画に出演したら助演男優賞を複数回は受賞するだろう存在感がある。
イズミは本題を切り出すと同時に、木製のテーブルに布を敷いて鉱石を置いた。
「大分昔に入手した鉱石でしてね…当時の私には使い道が無くて存在を忘れていたんです。荷物整理をしていたら出て来たので、手元にあっても宝の持ち腐れな気がして」
「拝見致します…鑑定を使ってもよろしいですか?」
「勿論です」
老人が鉱石を手に取り目を細めて真剣な表情で見つめていると、その手が僅かに震え始めた。
「これは!…サマンサ、大至急で宝石担当を呼び出しなさい」
「宝石担当ですか?一番詳しい者ですと、トレヴァーさんになりますが」
「トレヴァーならこの鉱石を分かるかもしれませんね、仕事中であっても呼び出して下さい。最優先事案です」
「かしこまりました」
サマンサが個室から出てゆくと、シンドラーは鉱石を布の上に置いてからハンカチで額の汗を拭う。
「イズミさん、この鉱石はどの地域で入手なさったのですか?」
「この鉱石をくれた男も旅人でしてね。大酒飲みの男と仲良くなりまして、その男が満足いくまで酒を飲ませてやったら、お礼にとくれたんでよ。なので何処で採れた鉱石なのかは分かりませんね」
イズミは事実半分嘘半分の内容を真剣な表情で言い切った。
神様から売れば酒代の足しになると説明されたなんて、口が裂けても言えないのだ。
「失礼します、トレヴァーです。ギルド長、最優先事案とは如何程ですか?」
「トレヴァー、こちらはこの鉱石の買い取り依頼をしているイズミさんです」
「どうも」
イズミが軽く会釈をすると、トレヴァーも会釈で返す。
「彼はハルハンディア共和国にて二人しかいない宝石や鉱石の特級鑑定士でしてね、私でも見つけきれない機微な違いすら見分ける男です。トレヴァー、早速鑑定をお願いします」
「分かりました。では失礼しますね」
シンドラーはトレヴァーを椅子に座らせると、鉱石の確認をするように促した。
「見た目は深緑色で、かなり透明度も高いですね。エメラルドに近いようにも見えます…しかし、何か拭えぬ違和感があります」
「違和感ですか?」
トレヴァーの言う違和感が分からないイズミだったが、そのまま鉱石を凝視して動かなくなったトレヴァーの鑑定結果を待つこと数分。
「…可能性としてあるのは、まだ正式に宝石としての名が決まっていない石に近いですね。サマンサさん、ロウソクを持ってきてくれませんか?」
「ロウソクですね」
サマンサが火のついているロウソクを持ってくると、受け取ったトレヴァーが鉱石に近づける。
すると、鉱石は赤色に変身でもしたかのように色を変えたのだ。
「やはり!間違いありません。この鉱石は過去に1例だけあった『輝きを変える石』です!このサイズと質であれば、宝石界の歴史が変わるかもしれません!!」
トレヴァーが大興奮で商人ギルド長であるシンドラーに猛プッシュしている姿を見ながら、イズミは元いた世界でもそんな宝石があった記憶を掘り起こしていた。
31
あなたにおすすめの小説
彼に勇者は似合わない!
プリン伯爵
ファンタジー
連日の残業で終電帰りのサラリーマン、神無月無名21歳。
ある夜、突然足元の光に包まれ異世界へと召喚されてしまう。
そこは豪華絢爛な王宮。
第一王女ラクティスは、彼を含む男女5人を「勇者」として召喚したと告げる。
元の世界では時間がほぼ止まっているという説明を受け、半ば強制的に魔国との戦いに協力することになった無名たち。
発現した無名の紋章は歴代でも最高クラスを示し万能の勇者と称され、周囲を驚愕させる。
元の世界への帰還を条件に口頭で協力を約束する勇者たちだが、無名だけは王家に対し警戒心を抱き、王に元の世界への帰還とこの世界で得た力を持ち帰ることを書面で約束させる。
協調性がないと周囲から思われながらも、己の最適解を優先する無名は、果たして他の勇者たちと協力し、魔国を打ち倒して元の世界へ帰ることができるのか。
それぞれの思惑が交錯する中、勇者たちの戦いが幕を開ける。
これは社会不適合者が歩む成長の物語。
不死身のボッカ
暁丸
ファンタジー
逓信(ていしん)ギルドに所属する甲殻人ボッカ。歩荷(ぼっか=運搬人)だからボッカと素性を隠す特急便の運搬人。
小柄な身体に見合わぬ怪力、疾風のスピードと疲れ知らずのスタミナで、野を越え山越え荷物を運ぶ。
逓信ギルドの運搬人になったのは、危険な迷宮には入りたく無いから。面倒と危険を避けてすんなり仕事を終わらせたいのに、時にギルド支部長に命じられ行きたくも無い魔獣狩りの運搬人として駆り出される。
割とチートな身体能力を持ちながら、戦闘能力はからっきしで過剰な期待はされたく無い。こんな殺伐とした異世界生活なんかとっとと終わらせて眠るように死にたいと願う、そんな<不死身の歩荷>のお話。
※種族名とか用語は前作と共通にしてますが、別の世界の物語です。世界観も若干違います。
※「歩荷」とは一般的にいう「ポーター」のことですが、長距離運送も兼任しています。
※作者が設定厨なので、時々本筋に関係ない解説回が入ります。
※第16回ファンタジー小説大賞にエントリーしてみました。
僕だけ入れちゃうステータス欄 ~追放された凄腕バッファーは、たまたま出会った新人冒険者たちと真の最強パーティーを作り上げる~
めでめで汰
ファンタジー
バッファーの少年カイトのバフスキルは「ステータス欄の中に入って直接数字を動かす」というもの。
しかし、その能力を信じなかった仲間からカイトは追放され迷宮に置き去りにされる。
そこで出会ったLUK(幸運)値の高い少女ハルと共にカイトは無事迷宮から生還。
その後、カイトはハルの両親を探すため地下迷宮の奥へと挑むことを決意する。
(スライム、もふもふ出てきます。女の子に囲まれるけどメインヒロインは一人です。「ざまぁ」もしっかりあります)
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
龍と旅する。
水無月
ファンタジー
治安が良くない島々や国を龍と旅する物語。
主人公たちが探すのは「龍の卵」。だがそれを狙うのは彼らだけではなく、「龍狩り」や貴族とも争うことになる。
出会いと別れを繰り返して、ロッドとレリスは大海原を渡る。
・海龍 ロッド……最強。頼りになる。こいつ一人でいいんじゃないかと思われるが、とある理由からレリスと行動している。威厳のある話し方をするが、中身は幼い男の子。
・人間 レリス……男性。人間基準で言えば強いが、あくまで人間の枠組みの中でのこと。お人好し。
※注意
〇喧嘩しまくりの異種族同士ですが、彼らはお互いを家族だと認識しています。家族愛です。
〇レリスが生まれ持った性質のせいで「龍の卵」なみに狙われる時があります。徐々に巻き込まれヒロインみたいになります。
〇上記のふたつが無理な方はお気を付けください。表紙と挿絵は手描きです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる