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第二十八章 梅雨が明けるまで
第五百八十三話 雰囲気に飲まれる
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「お買い上げ、誠にありがとう御座います!」
そんな声が聞こえたかと思えば、イズミと魔王の背後に1台のバイクが出現した。
ハーレーの時は一部組み立てが必要だったが、今回は完成品のようだ。
ハロゲンの灯火類に二眼のメーター、エンジンは無粋な環境規制など関係無いと言わんばかりの空冷式で、冷却用のフィンが男心をくすぐる。
「魔王様、タンク部分に触れて魔力を込めて下さい」
マスタングに促されるようにトライアンフのガソリンタンクに触れると、タンクとエンジンが仄かに光り燃料系統が魔力式に変更された。
これでガソリン残量を気にする生活からオサラバである。
ついでに魔王専用車両として登録も済んだようだ。
「魔王様、取扱説明は此方のメガネで確認出来ますのでご活用下さい。映画も観れるようにしておきました」
「アーティファクトよ、そこまでしてくれるとは」
マスタングはメガネを2個実体化していた。
1つは前魔王様へ、もう1つは現職の魔王様の手へ渡るようにしたのだ。
「感謝するぞイズミよ、そしてアーティファクト【マスタング】よ」
メガネをかけて操作方法を理解した魔王は、早速エンジンを始動してそのサウンドを体感する。
「…良い音、良い鼓動感だ。これがバイクなる乗り物か」
「走ったらもっと楽しいですが、原則としてお酒を飲んだら走ってはいけません。飲酒運転は危険ですから」
「それは人間族のルールだな?なら私は大丈夫だ、泥酔や酩酊程度なら何時でも瞬間的に覚ませるのでな」
「やっぱチートだわ」
一度エンジンを停止させた魔王は操作確認も兼ねてメガネで映画を流してみると、今度は2丁拳銃で敵を撃ちまくっているヴァンダミングなアクションをしているシーンが映し出された。
「この手の武器が良く登場するが、イズミの居た世界での標準武器なのか?」
「えぇと、まぁそんな所です。私の居た世界では魔法が使えないので」
「そんな世界もあるのか。イズミはこの武器を持っているな?一度攻撃を受けてみたい」
魔王はニヤリと笑みを浮かべると、イズミの前に仁王立ちになった。
イズミは一度、前魔王へと顔を向けて確認を取ったが撃ってみろとの事だったのだので、一声かけてから44マグナムを抜いて1発撃ち込んだ。
銃声と共に44マグナム弾は魔王の胸部に命中したが、魔王は一つも表情を変えなかった。
「うむ、元は魔法を使わない動作原理なのだな…良い武器ではないか!魔法が使えないのであれば、この手の武器は確かに有効だ」
「…ノーダメージって、マジかよ」
「イズミよ、私はそのような武器を所有してみたい。同じものでは無くて良いのだが、叶えられるか?」
「マスタングに要相談です」
「問題ありません」
逃げの一手を繰り出そうとしたが、マスタングが乗り気になっているようなので逃げられなくなってしまった。
小さくため息をついたイズミは、ショルダーバッグを手に取った。
「…分かりました。どのような武器が合うか、ヒヤリングさせてください」
イズミは魔王に幾つかの質問をする前に、手持ちの装備を出して魔王の反応を確かめた。
「大型の武器は高威力で射程距離も長いですね」
「私は片手で扱えるのが良いな。威力が高過ぎると勝負にならなくなってしまう」
「でしたら、リボルバーかオートマチックですね」
魔王は44マグナムと45口径自動拳銃とを見比べる。
「リボルバーはこちらのシリンダー内に弾を込めまして、トリガーに指をかけて引くと連動するように回転します」
弾を抜いてから実演すると、リボルバーに興味を持ったのは前魔王の方だった。
「自動拳銃はこちらの弾倉に弾を込めまして、銃本体に挿し込みましたらスライドと呼ぶ部分を操作して、初弾を込める作業をします。それが出来たらトリガーを引くと、薬莢が自動で排出されて次の弾が自動で装填されます。弾が切れたらスライドが引かれた状態で停止します」
「私はこの自動拳銃とやらの方が良いな。威力は先程私に撃ったものより低い方が良いのだが」
「魔力弾であればある程度調整が出来ますので、先ずは実体化する銃を選びましょう」
実体化は自動拳銃に決まったので、今度はどの銃にするかだ。
「実用的なのは私が使っている2丁拳銃位のサイズですが」
イズミはフルサイズの45口径にコンペンセイターがついたカスタムを見せるが、魔王はあまり実用的な銃を求めてはいないようだ。
「私としては威力や実用性では無く、見た目を重視したい。私が戦う時は剣と魔法が基本だ、銃は相手の実力を見極める為に使いたい」
「見極め、ですか」
「左様。銃での攻撃を避ける、防ぐ、武器で弾く等、剣で決着をつけるしか無いような実力者かどうか。それを見極める武器として所有したいのだ」
魔王は銃のリストを眺めた結果、ある拳銃の姿を見て動きを止めた。
「イズミよ。この武器だ、この武器こそ私の思い描いた姿そのものだ」
魔王が辿り着いた銃は、自身の扱うコンペンセイター付きの45口径よりもロングスライドな拳銃、ハードボーラーだった。
「イズミが2丁同時に扱うのであれば、私もそれに倣うとしよう」
魔王はハードボーラーの2丁拳銃を所望されたので、色の確認をしてからマスタングに実体化を頼んだ。
「マスタング、シルバーのハードボーラーを2丁だ」
「かしこまりました。ホルスターはショルダーかベルトか選べますが」
「ホルスターは不要だ。アイテムボックスを使う」
魔王からの一声もあり、拳銃だけを実体化させる。
実体化が完了したハードボーラーを魔王へ渡すと、その重量バランスにまず驚いたようだ。
「おぉ、ロングスライドなるものは重心が前方寄りになるのか。だが悪くない」
銃を構える魔王の姿は、その容姿もあって非常に様になっているのが羨ましい。
「イズミよ、我にも一つ銃を拵えてくれ。この銃だ」
「…」
前魔王も銃への興味があるようで、イズミにリボルバーの実体化を求めてきた。
表示されていたのは357マグナム弾を使用するリボルバー、コルト・パイソンの6インチだった。
「もう少し短いモデルもあるようだが、我はこの長さが見た目のバランスも整っていると思うのだ」
現職の魔王様に銃を渡して、前魔王様には渡さないと言うのは不公平な気がするので、イズミはまたまた諦めてマスタングに実体化を頼んだ。
ちなみにだが、パイソン用にウエスタンスタイルのホルスターを求められたので、こちらも同時に実体化して渡している。
そんな声が聞こえたかと思えば、イズミと魔王の背後に1台のバイクが出現した。
ハーレーの時は一部組み立てが必要だったが、今回は完成品のようだ。
ハロゲンの灯火類に二眼のメーター、エンジンは無粋な環境規制など関係無いと言わんばかりの空冷式で、冷却用のフィンが男心をくすぐる。
「魔王様、タンク部分に触れて魔力を込めて下さい」
マスタングに促されるようにトライアンフのガソリンタンクに触れると、タンクとエンジンが仄かに光り燃料系統が魔力式に変更された。
これでガソリン残量を気にする生活からオサラバである。
ついでに魔王専用車両として登録も済んだようだ。
「魔王様、取扱説明は此方のメガネで確認出来ますのでご活用下さい。映画も観れるようにしておきました」
「アーティファクトよ、そこまでしてくれるとは」
マスタングはメガネを2個実体化していた。
1つは前魔王様へ、もう1つは現職の魔王様の手へ渡るようにしたのだ。
「感謝するぞイズミよ、そしてアーティファクト【マスタング】よ」
メガネをかけて操作方法を理解した魔王は、早速エンジンを始動してそのサウンドを体感する。
「…良い音、良い鼓動感だ。これがバイクなる乗り物か」
「走ったらもっと楽しいですが、原則としてお酒を飲んだら走ってはいけません。飲酒運転は危険ですから」
「それは人間族のルールだな?なら私は大丈夫だ、泥酔や酩酊程度なら何時でも瞬間的に覚ませるのでな」
「やっぱチートだわ」
一度エンジンを停止させた魔王は操作確認も兼ねてメガネで映画を流してみると、今度は2丁拳銃で敵を撃ちまくっているヴァンダミングなアクションをしているシーンが映し出された。
「この手の武器が良く登場するが、イズミの居た世界での標準武器なのか?」
「えぇと、まぁそんな所です。私の居た世界では魔法が使えないので」
「そんな世界もあるのか。イズミはこの武器を持っているな?一度攻撃を受けてみたい」
魔王はニヤリと笑みを浮かべると、イズミの前に仁王立ちになった。
イズミは一度、前魔王へと顔を向けて確認を取ったが撃ってみろとの事だったのだので、一声かけてから44マグナムを抜いて1発撃ち込んだ。
銃声と共に44マグナム弾は魔王の胸部に命中したが、魔王は一つも表情を変えなかった。
「うむ、元は魔法を使わない動作原理なのだな…良い武器ではないか!魔法が使えないのであれば、この手の武器は確かに有効だ」
「…ノーダメージって、マジかよ」
「イズミよ、私はそのような武器を所有してみたい。同じものでは無くて良いのだが、叶えられるか?」
「マスタングに要相談です」
「問題ありません」
逃げの一手を繰り出そうとしたが、マスタングが乗り気になっているようなので逃げられなくなってしまった。
小さくため息をついたイズミは、ショルダーバッグを手に取った。
「…分かりました。どのような武器が合うか、ヒヤリングさせてください」
イズミは魔王に幾つかの質問をする前に、手持ちの装備を出して魔王の反応を確かめた。
「大型の武器は高威力で射程距離も長いですね」
「私は片手で扱えるのが良いな。威力が高過ぎると勝負にならなくなってしまう」
「でしたら、リボルバーかオートマチックですね」
魔王は44マグナムと45口径自動拳銃とを見比べる。
「リボルバーはこちらのシリンダー内に弾を込めまして、トリガーに指をかけて引くと連動するように回転します」
弾を抜いてから実演すると、リボルバーに興味を持ったのは前魔王の方だった。
「自動拳銃はこちらの弾倉に弾を込めまして、銃本体に挿し込みましたらスライドと呼ぶ部分を操作して、初弾を込める作業をします。それが出来たらトリガーを引くと、薬莢が自動で排出されて次の弾が自動で装填されます。弾が切れたらスライドが引かれた状態で停止します」
「私はこの自動拳銃とやらの方が良いな。威力は先程私に撃ったものより低い方が良いのだが」
「魔力弾であればある程度調整が出来ますので、先ずは実体化する銃を選びましょう」
実体化は自動拳銃に決まったので、今度はどの銃にするかだ。
「実用的なのは私が使っている2丁拳銃位のサイズですが」
イズミはフルサイズの45口径にコンペンセイターがついたカスタムを見せるが、魔王はあまり実用的な銃を求めてはいないようだ。
「私としては威力や実用性では無く、見た目を重視したい。私が戦う時は剣と魔法が基本だ、銃は相手の実力を見極める為に使いたい」
「見極め、ですか」
「左様。銃での攻撃を避ける、防ぐ、武器で弾く等、剣で決着をつけるしか無いような実力者かどうか。それを見極める武器として所有したいのだ」
魔王は銃のリストを眺めた結果、ある拳銃の姿を見て動きを止めた。
「イズミよ。この武器だ、この武器こそ私の思い描いた姿そのものだ」
魔王が辿り着いた銃は、自身の扱うコンペンセイター付きの45口径よりもロングスライドな拳銃、ハードボーラーだった。
「イズミが2丁同時に扱うのであれば、私もそれに倣うとしよう」
魔王はハードボーラーの2丁拳銃を所望されたので、色の確認をしてからマスタングに実体化を頼んだ。
「マスタング、シルバーのハードボーラーを2丁だ」
「かしこまりました。ホルスターはショルダーかベルトか選べますが」
「ホルスターは不要だ。アイテムボックスを使う」
魔王からの一声もあり、拳銃だけを実体化させる。
実体化が完了したハードボーラーを魔王へ渡すと、その重量バランスにまず驚いたようだ。
「おぉ、ロングスライドなるものは重心が前方寄りになるのか。だが悪くない」
銃を構える魔王の姿は、その容姿もあって非常に様になっているのが羨ましい。
「イズミよ、我にも一つ銃を拵えてくれ。この銃だ」
「…」
前魔王も銃への興味があるようで、イズミにリボルバーの実体化を求めてきた。
表示されていたのは357マグナム弾を使用するリボルバー、コルト・パイソンの6インチだった。
「もう少し短いモデルもあるようだが、我はこの長さが見た目のバランスも整っていると思うのだ」
現職の魔王様に銃を渡して、前魔王様には渡さないと言うのは不公平な気がするので、イズミはまたまた諦めてマスタングに実体化を頼んだ。
ちなみにだが、パイソン用にウエスタンスタイルのホルスターを求められたので、こちらも同時に実体化して渡している。
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