異世界無宿

ゆきねる

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第九章 海を目指して

第百十八話 ものは試しで

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イズミはマスタングから回答をもらった、幽霊の類いではないかと仮定して捜索を続けた。

最も、イズミには幽霊を視る能力は皆無なので、マスタングの探知能力頼りではある。

「この辺か?」

「はい。その辺りで魔法反応があります」

やはり近くには誰も居ないし、変な物も無い。
その場に立つと鳥肌が立ったりする事も無い。

マスタングから場所の確認も取れたので、イズミはその場所を見失わないようにマグナムの弾を抜いて目印として地面に置いてから、急ぎ足でマスタングへと戻った。

運転席に乗り込んだイズミは、モニターで積んでいる食料品のリストを確認する。

「こっちの世界の勝手が分からないからな…こんなで良いと信じよう」

イズミは木製の皿とコップを取り出してから、黒パンにベリーのジャムを塗り、皿に盛り付ける。
勿論、厚切りのベーコンも忘れない。

お供え物ではあるが、自分がガッツリ食べたいと思う時の量で盛り付けた。


お供え物の準備が整ったので、イズミは目印にしたマグナムの元まで持って行き、地面にゆっくりと置いた。

マグナムをホルスターに仕舞い、コップに水を注いでから両手を合わせた。

「何方かは存じ上げませんが、どうぞこちらを召し上がって下さい」

そう言ってから立ち上がり、マスタングへと歩いて行く。
運転席に戻ってからマグナムに弾を込め直し、仮眠を取ろうと目を閉じる。
しかし、上手く眠れない。

「…コーンポタージュでも作るか」

ふと頭に浮かんで来たので、とりあえずお湯を作る事から始める。

焚火を準備して鍋で水を沸騰させる。
コップを1つ取り出した所で、向こうにも供えた方が良い気がしてきたので、自分の直感を信じてコップは2つ取り出した。

温かい飲み物は身体をリラックスさせてくれるし、心も穏やかにしてくれるのだ。
無いよりは有る方が良いだろう。

2人分のコーンポタージュを用意したイズミは、片方をお供え物として置いてきた。

「太陽が昇ったら片付けますので、それまではご自由にどうぞ」

イズミはそう言い残すとマスタングまで戻り、1人で月を見ながらコーンポタージュを飲んだ。


翌朝。

イズミは身体を伸ばしてから水筒の水を飲み、マスタングに確認を取った。

「マスタング。魔法反応はあるか?」

「現在はありません。夜明け前に反応は消失しました」

太陽も昇ったのでお供え物も片付けようと近付いて行くと、料理は綺麗に無くなっていた。

「魔物でも出たか?」

「魔物が現れたら、マスターを起こしています」

マスタングは俺を起こしていないので、どうも魔物が食べに来た訳でもないようだ。

イズミが皿とコップを片付けようとしたら、コーンポタージュを入れていたコップに何か石のような物が入っていた。

大きさは1円玉より一回りほど小さい位の紫色の石だった。
そんな小さな石を手のひらに乗せる。

形はお世辞にも整っているとは言えない。

「食事のお礼…なのか?」

イズミは石を太陽に透かして見たが、原石なのかそこまで透けは無かった。

「不思議な事もあるんだな」

そう呟きながら、皿とコップの片付ける。
石は柔らかい布で保護をしてから、マスタングのグローブボックスに仕舞った。

よく分からない不思議な一晩だったが、イズミは気にしない事に決めて次の町へとマスタングを走らせた。
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